おとぎ話の末裔   作:C&Y

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寮監先生と人外生徒の明日はどっちだ、秘密の部屋編。
R15と残酷描写タグは、予防処置と寮監先生の苦行成分でできています。

あくまでも、ワタシ的ロックハート先生でっす!
すまねぇすまねぇ(゚∀゚)アヒャ


AVB、或いは静かなる丘と秘密の部屋 ⑬

 四つの長テーブルの周りに皆が座り、その上を数え切れない蝋燭などが浮かびキラキラと輝いていた。

 天井はいつものどおりに魔法で夜空を映している。

 ハイランドの夏の終わりの美しい夜空だ。

 新入生を待ち構える教員、生徒も本日は正装だ。

 私もサイズ変更したスリザリンカラーの改造……ローブだ。

 

 改造ね。

 マダム・マルキンのお店から、サイズピッタリの少し改造された上着が届いた。

 あといつもの制服もね。

 上着下のシャツの方はサイズ調整されたいつものやつだよ。

 改造された上着の方が問題。

 

 制服の話をちょっとしようか。

 この魔法世界の魔法学校なのに、魔女っ子スタイルの帽子とか上着はあるんだけど、普段の上着下はパブリックスクールな感じなんだよね。

 とっても不思議だけど、まぁここはイギリスでもある。

 正装の魔女スタイルは、この上着に寮カラー、そしてとんがり帽子ね。

 で、入学式はこの正装になるし、晩餐なんかもそれね。

 先生方の食卓も一段上にあって横並び。

 これは式の時とかになる。

 で、この上着、ローブでロングコートみたいな感じ。

 季節にあわせて生地が変わるけど、形や長さはかわらない。

 その下はシャツ、ネクタイ、ベスト、スラックス、スカートで、マグルのパブリックスクールスタイル。

 ウィーズリーオジサンが説明してくれた通り、格差を隠す道具でもある。

 一応、このスタイルなら、ある程度の自由が許されていて、ローブのような指定が無いんだ。

 まぁ皆一緒にしたほうが目立たないし、お下がりとかも手に入りやすいから、いつのまにか同じになってた奴。

 そもそも購入場所もダイアゴン横丁のお店で、皆一緒ってのもある。

 

 なのに私に届けられたのは、踝近くまである上着とレースタイ。

 同じローブでもウエストが絞られてボタンが並んでいる。

 ヨーロッパ最古の制服って言われている奴の形だった。

 

 やはり、どこからともなく強火担が働きかけていたりする。

 こういう場合、犬が、はっちゃけていると考えて良い。

 

 ちょっと嫌なんだけど?

 ってヒゲに言ったら、ヒゲも遠い目をして、どうやら、あのはぁはぁしてたウィーンのオジサンらしい。

 写真お断りのかわりに、こだわりの制服になったそうだ。

 

 魔法界の写真お断り。

 だいぶヒゲ的に頑張ったようだ。

 なにしろ写し絵が動く魔法的写真である。

 

 いろいろな意味で駄目です。

 いい加減にしなさい。と、いう世界的賢者に対して、

 

 いっちょにくらしてるなんて、おじいたんじゅるいぞっ!

 と、いうメッセージがガンガン来たそうだ。

 

 ...キモチワルイ。

 

 まぁそんなこんなで、ちょっくら、地味にダメージをうける感じになりつつも、ローブの形が一人だけ、ナニカ違うけど、大凡のパブリックスタイルは何とか死守された。

 ちょこっとアレンジされてても、中身まで戦前のヨーロッパスタイルにされたらたまらんわ。

 今回はスカート丈も一応交渉したので、パンツともども普通の丈も用意してもらえた。

 言われるままが楽なのは知ってるんだけどね。

 

 マダム・マルキンの方でも、提供する制服のイメージってあるわけよ。

 どうやら、ブッカブカで作ってもらっていたけど、それは成長期だからというお目溢しだったらしく、サイズの変化がある程度なくなったところで、きちんと作らせてほしいというお願いらしい。

 まぁ着崩すのは本人次第なんだけど、オーダーの意味の無い製品を提供したくないとも言われた。

 んで、届いたのはワイの今夏のサイズぴったりの服。

 サイズは秘密だが、うむ身長は168センチちょっとで、体重は50キロをやっと越えた。

 ウエストは、まぁ痩せてるからね、そういう事。

 自分が美人の分類だとはわかっているけど、スタイルは、そんなに良いとは思っていない。

 バランスが少し悪いって思う。

 

 ……。

 

 わかってるよ、認めたくないけど、うん、可愛くないんだよ。

 制服が仮装なんだよなー

 女っぽすぎるんよ。

 げんなりするけど隠しようもない。

 

 お顔は大人顔ではないのが救いかな?

 それでもお化粧なんぞしたら、年齢はわからんだろうなぁ。

 髪の色は、もっと色が抜けてきてる。

 金髪じゃなくて、やっぱり銀髪よりのグレーかな。

 青みがかってる。

 肌の色もやっぱり少し暗めのトーン。

 独特の色合いだけど、東洋の色合いではない。

 瞳の色は相変わらずだね。

 別に困っているわけじゃないのに、いつもちょっとばかり眉が下がっているような表情だね。

 少し垂れ目だからかな。

 

 もう外見の事は気にしていない。

 贅沢な悩みだしね。

 

 それから……。

 彼の側にいることもだ。

 作家以外の教員も事情を知っているし、そもそもがセウェルスに預けたのは校長だ。

 だから、学業への勤勉さを示していれば、大凡の事は目を瞑ってくれていた。

 セウェルスより年上の人ばかりだし、魔法族はオカシナ出来事になれていた。

 更に突っ込んでおけば、クィレル先生の事件もあり、現実面の危険な事がなければ、たいした話ではない。

 

 純血家系が沈黙してるってのもあるしね。

 噂は、夏の間に回っただろう。

 

 これもセウェルスが言った通り、魔法族同士の現在の情報構築がどうなっているのかを見る参考になったようだ。

 魔法省などのお役人、上流階級、マスコミとかね。

 私の情報、不穏な話、闇の帝王関連。

 大凡がこの情報の流れ方で、色々動き出しているそうだ。

 特に、闇の帝王と、私というかグリンデルバルドの動きに対してね。

 

 良くも悪くも停滞していた所に、爆弾が放り込まれた感じだって、ヒゲが言ってた。

 楽しそうだったよ。

 

 私の方は、まぁぼちぼち。

 

 マーガレットの事も。

 オカシナ輩の噂も、何もかもわからない状態。

 記憶が崩れて消えちゃっているけど、どうやら無意識の部分の記録はあるって感じ。

 まぁそれも断片なんだけどね。

 彼女の、居場所というか落ちた場所は、ちょっとわかったと思う。

 具体的な位置はわからないけれど、たぶん、大丈夫な場所。

 私を捕まえて脳みそを浚っても見つからないけどね、ざまぁ。

 

 言葉はだいぶ戻ってきている。

 血の守り、マーガレットと離れて時間がたってきたしね。

 それでも子供たちに影響があるうちは、喋れない。

 いろいろセウェルスの方で考えてくれているけれど、まぁ今でも十分だ。

 そんな事を考えながら、新入生の儀式を見守る。

 

 一年生の長い列。

 ウィーズリーの妹ちゃんがいるね。

 組分け帽子の横でマクゴナガル先生が立っている。

 いつも通り姿勢正しく素敵なお姿である。

 

 ふと、グリフィンドールの席に座る子供たちに目が向く。

 ハリー君は少し感慨深そうに新入生を見ていた。

 仲良しの友達二人は、彼の側でニコニコしている。

 

 あぁうん、楽しそうで何より。

 他のテーブルを見回す。

 皆、とてもいい表情。

 で、我がスリザリンも、真面目なお顔をしているけれど、組分けの儀式を楽しそうに見守っている。

 マルフォイ君、君も楽しげでよろしい。

 今期、ハリー君に絡んだら、なまはげプレイしようかな?

 

 で、教員のテーブル。

 女性比率多め。

 いつもの面子、大きい人は既に酒をガバガバ。

 今日は教員以外もテーブルについてる。

 組分け儀式があるからね、今日はひな壇の長テーブル。

 最後の晩餐の絵を思い描くとわかりやすいかな?

 中央に校長、左右に教員が配置されている。

 

 ユダとかそういうのなしだよ。

 単なるお仕事上の配置だとおもう。

 若手であるセウェルス(若いんだぞ!)の隣が小説家になるのは、お約束。

 普通のディナー配置だと男女交互になるけど、あくまでも儀式の為の教職員配置だからね。

 

 そしてヒゲとしては、小説家を見張る位置にセウェルスを置く。

 いや、最初から見張らんとならん人間を雇うんじゃねぇよっていうのは、言っちゃ駄目ね。

 

 そのセウェルスは、いつものポーカーフェイス。

 となりの小説家は、ずっとスピーカーオンの状態のようだ。

 

 フリットウィック先生の口元が、面白そうに歪んでるし、シニストラ先生は遠くを見ている。

 バーベッジ先生は、呆れたようにチラッと見てから子供たちの方へと視線を固定した。

 他、古参の先生方は笑顔をキープ、あぁトレローニー先生、あれは酔っ払ってるね。

 

 彼女のおちゃけってさ、見えすぎるタイプの人特有のお薬代わりじゃねって最近思ってる。

 幻覚とか幻聴消すのに飲んじゃうのか。

 人生つらすぎて飲んじゃうのか。

 どっちにしろ、アル中先生は良くないので、これもヒゲを叱ってやらんと。

 占学でイカれた先生だからで済ませちゃならんよ、魔法学校にアル中女とか、そんな人生のシビアなモデルを提供せんでも道徳的反面教師の教えはできると思うんよ。

 

 あと、心霊的アンテナたってて誤魔化すのとは違うと思う。

 魔法界、本物のゴーストいるから、心霊的恐怖ってのが、低い。

 未知の恐怖じゃなくて、本当に呪われるわ〜の方が怖いのである。

 だから酔っぱらい女史の場合は、幻覚幻聴という具体的な電波受信しちゃう、オンオフ設定が効かない感じなんかな〜ってね。

 理解ある彼氏を紹介してあげれば精神面ともども落ち着きそうな気もする。

 

 お茶会で酔いつぶれると、一度目の結婚が地獄だったこと。

 その後の彼氏もクズだったことを泥酔すると喋りだす。

 そもそも紅茶に酒をダバダバ注いでるのもあれだけど、何かホグワーツ教師って劣等感ありすぎか、突き抜けて自惚れているかの人が目立つよね。

 教育に悪いって最初は聞こえないようにしていたマクゴナガル先生も、だんだんと慣れてきてるみたいで、最近はそのまま垂れ流させている。

 

 内なる目を曇らせない為とかいってるけど、逆に曇らせている感じじゃね?

 教師生活より普通に占いして稼いでたほうが……いや、駄目か。

 メンタル弱めでロクデモナイ事ほざいてたら、魔法界、命がなくなる世界だった。

 被害妄想とかヒステリー気味なのも、そもそもが……いや、組分け見ながら、考えることじゃねーなー。

 

 そいでヒゲ。

 ヒゲは通常通り、新入生をキラキラした目で見ている。

 ロクデモナイ事は考えていないと思う。

 寝る前に、一度だけ顔を出しておくか……。

 

 そんな風に始まった新入生の組分けが終了すると、先生方の改めての挨拶と紹介がされる。

 新入生向けにね。

 今更だけどさ、さすが魔法使いの学校って感じの先生ばかりだよね。

 誰一人、個性的じゃない人がいない。

 

 そして私的には、私自身の努力が実っている事に満足しているぞ!

 努力ってなんぞ?

 そりゃぁねぇ、見てよ、黒衣の不審者。

 レベルアップしてるっしょ?

 

 去年のセウェルスと今年のセウェルスは微妙に違うのである。と、私は思ってる。

 いつも通りの狂気のボタンな黒服にロングローブ。

 最近はポニーテールにワイの黒リボンである。

 

 イメージとして猫背の前かがみの姿勢って思われてるけど、あれ、猫背じゃなくて目線を合わせたくなくて下を見てる。

 そしてわざとだと思うんだよね。

 もやしアピール。

 

 そりゃそうだ、元気ハツラツしているイメージでは駄目だったわけよ。

 死喰い人疑惑の、弱い立場の人間だってね。

 地下で薬つくって薬草刻んでる陰キャでいる事が求められていた。

 

 まぁ陰キャは、そのまんまの性格だけどな。

 でもバリ喧嘩上等スタイルとか、仕事に対する自負がエベレストな人間が下を向いてる、目立たなくしているのは演技としか思えない。

 自己評価が低いのは、できて当たり前の、そもそもの基準値が異常なタイプだから、だと思ってる。

 求めるラインが厳し目だから、評価なんてされないと考えている。

 常人の最高得点が、人としての最低ラインね。

 そして仕事や自分の技術に関しては、エベレストの自信をもってる。

 矛盾だけど、彼は自分の技術、知識、魔法全般の能力が高い事を知っている。

 そこに自信をもっている。

 自己評価は最低なのにだ。

 

 そういう人間は他者の評価を切り捨ててしまっている。

 だから俯く必要も目立たなくする必要も本来はない。

 つまり演技だ。

 怖い怖い。

 

 で、ヒゲが攻撃型賢者を隠して好々爺の演技してるのと同じ。

 陰キャのもやしに見せているのは、弱い人間だというアピールだと思う。

 でも、そんなアピールは、そろそろいらない訳よ。

 

 まぁ今回のうつむき加減は、どちらかというと隣りの人間と関わりたくない、話しかけんなよボディーランゲージ。

 笑える。

 

 まったく通じていない。

 肩でも組まれそうだ。

 殴り飛ばすなよ、ダーリン。

 

 そんなダーリン、猫背で顎が前に行く姿勢は止めている。

 そもそもが軍人スタイルの姿勢にして、上から目線で蔑んだら似合うお顔立ちだ。ちゅてき!

 例のスカルプシャンプーのお陰で、髪の毛を伸ばす事にしたらしい。

 髪の毛を材料にする薬の実験をするとか。

 

 ならば更にブラックリボンを提供せねば。私の髪の毛も黒サテンのリボンを使っている。

 屋敷しもべ妖精ちゃんにお願いして、凝った編み込みだ。

 ワイの髪の毛も使う?

 て聞いたら、怒られたけどな。

 

 オシャレ番長のマルフォイママには会ったこと無いけど、彼はきちんとすればオッサンにはならないという意見は一致している。

 彼は年齢が上がれば上がるほど、イケるタイプ。

 怖そうだけど、少し秘密な雰囲気のイケオジ風に仕上げる所存。

 頭髪もしっとりだしな!

 

 ぺったりではない、シットリだっ!

 微かに良き香りまでするのである!

 ハスハスしたらビリビリされたけどなっ!

 そいでこれ重要、清潔感!!

 

 今学期は食事改善の他にも睡眠の質向上を目指しているのだ!

 投資先の資産価値の向上は、投資家としては重要なのである!

 まぁそれも、このカスがっ!という恐ろしい表情で台無しだがなっ!

 

 そいで派手なローブのカスじゃなくて小説家が立ち上がった。

 バサッ!

 翻るローブ、女の先生方には通用しないようで、スプラウト先生が何故か手で払う仕草。

 魔法を使ったようだ..あぁ香水か、小説家、香水派だね。

 スプラウト先生、香りに厳しそうだ。

 今作ってもらっているフレグランスも控えめに使うようにしよう。

 つーか、スプラウト先生は小説家の位置から一番遠い反対側なんだが……。

 

 食欲大丈夫かな、ダーリン。

 そんな黒衣の隣りにパステルカラー。

 それだけで、コント?ってなる。

 

 隣のセウェルスは目を閉じた。

 

「ありがとう、ありがとう!

 こうして皆さんの輝く顔の前に立てて、私は本当に、本当に光栄です!

 防衛術とは、恐ろしい闇の魔法から身を守る学問。

 でも心配はいりませんよ。

 適切な知識 と 少しの勇気、

 そして……(無駄に笑顔の溜めが入っているなぁ)良い教師がいればね。

 今年一年、皆さんと一緒に学べることを楽しみにしています。

 さあ、素晴らしい一年にしましょう!」

 

 ケッって言ったの誰?

 でも小説家は自分に酔ってるし、一部の女の子がキャァキャアしてて聞いてない。

 そしてスリザリンの寮監先生は目を閉じているので、減点しない。もっと罵ってやれ?

 

「実はですね、私自身もホグワーツで学んだ一人なんです。

 だからこそ、皆さんの気持ちがよく分かる。

 闇の魔法は恐ろしい。

 ですが……(キラッって歯を輝かせる!灯りと角度を調整しているぞ、高技術点だっ!)

 知っていれば、備えていれば、打ち勝つことはできる。

 その方法を、今年は余すところなくお教えしましょう。

 私の教科書にも...ね!(^_-)-☆(知ってる?これでダーリンと二、三歳差ぐらいのアラサーなんよ)

 いつでもサインするので声をかけてくださいね!

 皆さんと過ごす一年が、今から待ちきれません!」

 

「はい、次に〜」

 

 ぶった切るマクゴナガル先生、すでに良心的なそのご尊顔に怒りの気配。

 職員室でアレは何かあったな……。

 

 すげぇおもしれぇ。

 どんな授業をするんだろう。

 ほら、危機意識あったらさ、スポンサーの子供が通う学校で、さらに卒業生なら後輩を相手にするわけで。

 自分だったら、舐められないように〜とか、ホグワーツの権威に見合った教育を〜とか緊張バリバリじゃね?

 

 面白い人だよね。

 何も怖くないのかな?

 自己顕示欲?

 

 いやさ、自慢するだけの称号と実績?らしいけどさ。

 面白いよね。

 実際、元死喰い人の男の危険度レベルはマックス。

 中央に座る爺ちゃんは世界最高峰の攻撃型賢者。

 はっきり言っちゃうとさ、ホグワーツの教員の席に座ってる人たちって、重要教科の人ほど攻撃力バリ高の魔法使いなんだよね。

 マクゴナガル先生もフリットウィック先生も、魔法使いとしては強者の部類。

 デスゲームしたら、最後まで残るのは爺ちゃんを抜かしたら、マクゴナガル先生あたりだと思うんよ。

 変身術って無機物や疑似生命を作り出しちゃうわけでさ、準賢者って言っても良いわけじゃん。

 呪文学だって、呪文や魔法陣を作れる、改変とか弄れるってのは、魔法使いとして極めちゃってるって事だしね。

 

 そして言うまでもなく魔法薬学は、地味にツヨツヨ。

 死にかけだって復活させるし、どんなマッスル野郎だって一滴で失神できるわけよ。

 そもそも闇の魔法のプロフェッショナルの死喰い人。

 モノホンの戦闘になったら、どんだけだよ。おまけに魔道具までつくれちゃう。

 いや、自慢してイキリ倒してもいいの、ダーリンの方じゃん。

 そんな最年少でポーションマスターのホグワーツ教授であるダーリン。

 実力も突き抜けてて、キャラ的に威圧感と厳しさで教えているから、まぁ授業を回せるわけでさ。

 

 小説家が文学の教師なら、想像つくけど、防衛術なわけでさ。

 クィレル先生の教科書にそった授業をさ、かわりの先生方が続けてきたけど、決して舐め腐った内容では困る科目だ。

 ヒゲは闇の魔術そのものから遠ざけておきたいらしいけど。

 その結果が、この小説家なら、魔法族の未来は無い。

 

 それともこれから読み取れってことかな?

 ともかく、実戦型賢者と元死喰い人から見ると、丸腰で踊り出してるアホってわけよ。

 で、本人を見て、ちらっと思ったんだよね。

 小説家、自信満々なのはアホだからなのもあるけど、何か打開策というか、自分でやり抜ける自信の裏付けみたいなの持ってんのかな?ってね。

 ヒゲがね、単なるアホを招き入れないのはわかってる。

 そして私の目があるから、今回は頭に変なの寄生されてるような問題ではないだろう。

 後さ、少し気がついたんだけど、ホグワーツ卒なら、在学期間ダーリンと被ってるよね。

 

 つまりダーリンのプロフィール知ってる?

 いや、知らんのか?

 死喰い人云々は、知らないとは思う。

 だって、知ってたらこう、もっと態度違うよね。

 あからさまに、こう下に……いや、そもそもホグワーツのポーションマスターにマウントとれるってすげぇよな。

 

 うん、ワイ、ワクワクしてきたぞっ!

 期待していいんだよね!

 

「何考えてるかは、わからないけど、席順は変更するしかないわ。」

 

 ダフネちゃんが、ぽつりと呟いた。

 スリザリンテーブルのワイの隣りには女の子が座り、正面は監督生である。

 にっこり!

 うん、いやされる、かわいい、かわいい〜

 

「明日、合同授業だし。あの教師の側にいきたい人は前にしましょう。後は、ドラコに相談ね」

 

 パンジーちゃんも、今日もかわいいねぇ〜飴ちゃん食べる?

 ライムキャンディーを渡す。

 

「……不安しかないわ、この顔見てよ。絶対何かするわよ」

 

「いいんじゃない?動物って虫とか小動物を見つけると転がして遊ぶんでしょ?」

 

「あながち、間違ってないように思えるのがつらいわ。」

 

「それに何があっても、私たちはそうならないように立ち回ってました!って言えるようにしとけば」

 

「まぁそうよね。でも止めないと。寮監が……」

 

「……さすがにスリザリン寮監が不祥事で変わるとかは、無いわよね。噂、聞いてる?」

 

「えぇ、だからかって納得したけど。」

 

 大丈夫だよ〜ワイは良いこだよ〜

 

「……。」

 

「時々引っ叩きたくなるのよね。」

 

「その割に腕組んでるの何?」

 

「自分でも不思議なんだけど……優しくもしてないのよ?」

 

「だからじゃない?」

 

 ワイはええ子だよー

 

「……複雑よね。噂だと」

 

「わかる。

 聞こえてくるのと現実のギャップが酷いわ。

 その点、スリザリンでよかったわ。

 そうじゃなかったら何をどう考えていいかわからないもの。」

 

「こっちは、親から在学中で助かったって言われたわよ。

 そうとう焦っていたわ、子供の話を参考にするなんて!だって。

 私としては、少しホッとしてる」

 

「そっちも?……空気が変わったわよね」

 

「ずっと不安だったから、皆、そうじゃない?」

 

「えぇ、いくら私達の産まれる前だって言われても、怖かったもの。戻ってきたら、きっと」

 

「戻るようなら、国外に出すって言われてたのよね」

 

「急に誰が勝ち馬かの話をしてたわよ、調子いいわよね。いつも通りって言えばそうなんだけど」

 

「それね、うちも同じ。あと、旗色を急に変えるなって。けど」

 

「同じ同じ。言動には気をつけろだって。普通に過ごせばいいだけよ」

 

「まーねー」

 

 なにやら、子供たちも大変なようだ。

 もしかしなくても、闇の帝王(笑)が不可逆のお姿に成り果てた事が、一通り情報共有されつつあるようだ。

 もちろん、純血のお家にね。

 ここからは政治的パワーバランスの話である。

 ワイのお耳に入ったところで、頑張ってねーだ。

 ただ、子供たちの世界としては、社会的不安要素がひとつ消えるだけでも、明るくなる。

 将来の進路に影響ある話だもんね。

 現に、どのテーブルも夕食が始まると新入生を交えて笑顔増量である。

 スリザリンのテーブルもいつもより笑顔が多い。

 つまり親御さんの気苦労が減れば、子供達も笑顔が増えるのである。

 良きことだ。

 

 まぁ良きことじゃないテーブルもあるようで、職員の食卓は一人賑やかであるが、その隣はどんよりと淀んでいた。

 大きな人が、時々、ちったぁ声をおさえねぇかね、ロックハート先生よぉと、宥めるほどである。

 いやぁ、どんな病状だよ。あっ言っちゃった。

 あれ、病気だよね?

 

 そんなメッセージが届いたわけでもないのに、ダーリンの視線とかち合う。

 あれは、シニカケているな。

 精神がシニカケて、何も聞いていない。

 きっと夜半に岸辺で絶叫して、不審者として語り継がれてしまうかもしれない。

 

 黙れ。

 

 はい、黙るっすよぅ。

 口パクで言われて食事に戻る。

 考えられる限りの実験をしたいと後で言いに行こう。

 小説家の精神分析とその症状に対するカテゴリー判断実験をしたい所存。

 独自スケールとマグルの精神医学から内容を引っ張るかなー。

 

「やだ、何かイタズラ考えてる?アオイ、その口元止めなさい。何、アヒル口?

 パンジー、どうしよう。明日、授業があるわよね。アレの防衛術、午後だったわよね?」

 

「やめてよ、ダフネ。

 私ね、最近、スルーする事を覚えたのよ。

 教授とアイコンタクトとってても、深く考えないようにしてるの。

 とんでもないイタズラしそうだとか、わざとアレに絡んで、教授の血管を切れさせるとか考えてるだろうとかね。」

 

「ほぼ、読んでるじゃない」

 

「だから、読みたくないって言ってんでしょ!スルーしなさいよ!」

 

 たのしそーだー

 

 って顔したら、何故か両側から頬を抓られた。

 

 ***

 

「連絡事項だ」

 

 食事が終盤へと向かう頃に、フィルチ氏がセウェルスの側で耳打ち。

 それからすぐに、彼は校長へと話しかけ、立ち上がった。

 

 隣りの作家は、何故かキラキラ笑顔でポーズをキメながら、ファンサをしている。

 女の子たちも楽しそうで、まぁ良いんじゃないかな。

 うん、陽の気配だけど、大きな人とは何かが違うのを感じる。

 まぁ悪い事じゃない。

 

 作家としては、全人類お客様だもんね。

 爽やかアピールと女子生徒への媚に余念がない、すげぇ。

 なんというエネルギー。

 

 そして正反対に淀む目の下にクマを飼う、黒衣の不審者が注目を集めるために、スッと人差し指をあげた。

 こちらは極寒の冷気である。

 無視したらお仕置きされるのがわかるムーブだ。

 新入生達も、すでにこの先生は怖いのファイルに入れているだろう。

 

 皆、食事の手を止めて彼を見つめた。

 いつも通りのローテンションに、いつも通りの黒衣の男が、いつも通りの美声で喋りだす。

 不思議と大声では無いのに広間の隅々まで届くんだよね。

 

「本校の生徒一名に対し、無許可で画像、映像に類する、魔法的記録を行う事を禁ずる」

 

 おっ、もしかして……。

 

 彼は一拍間をあけてから、後ろ手に手を組むようなポーズをとると、生徒たちを睥睨した。

 温度の無い視線で見回すと、グリフィンドールの方向へと顔を固定する。

 

「言うまでもないが、我がスリザリンの生徒である女生徒の事だ。

 彼女を盗撮した場合のペナルティを先に述べて置くことにする。

 今回は減点ではない。

 質問はあろうが、先に吾輩の話を聞き終えてから質問に答える。

 まず、彼女は稀なる貴種であり、ダンブルドア校長とホグワーツ理事会の預かりとなっている。

 新入生諸君にはわからぬ話であろう、葵、挨拶をしなさい。」

 

 言われたので、各テーブルに向かってカーテシー。

 

「事情があり、発語にも制限がある。

 故に彼女を守るために強力な護符が与えられている。

 護符には様々な防御の魔法が込められているが、そのうちの一つが、写真を撮る事によって発動するようになっている。

 彼女の容姿を写し取り外部に与える事や、記録として残すことを禁忌としているという訳だ。

 だが、そもそも女生徒の絵姿を勝手に写し取り、他人に渡す行為は倫理的にもよろしくない事を先に述べておく。

 そして諸君らの軽い脳みそにも残るように言い置いておくが、守りの護符は一つではない。

 彼女には防犯や防御の為に、様々な護符が与えられている。

 これは理事会、校長も了承し許可をえたものだ。

 それを常時身につけている。

 これは校内校外を問わず解除不能だ。」

 

 ざわつく生徒達。

 そりゃそうだよねー

 

「さて、諸君たちは考えるだろう。

 約束を破り、彼女を写した場合のペナルティとは何だ?

 護符ならば映像が歪むのか?とな。」

 

 彼は温度のない視線をグリフィンドールに向けたまま、淡々と続けた。

 

「先日、学用品購入の為、外出した時だ。

 愚かな野良犬が姿を見せた。

 まことおろかにも、彼女を盗撮しようとした輩がいたのだ。

 保護者に許可もとらず、無粋にもレンズを向けたのだ。嘆かわしい限りである。」

 

 ざわついていた生徒たちが、徐々に口を閉じた。

 どんよりと曇った視線で眺め回す男に、皆、慄いている。

 たぶん、隣の陽気な波動にキレそうになっているだけだよん。

 作家、空気を読まずに女の子たちにファンサしてるんだよ。

 まぁそもそも、悪の首領?みたいな、黒い男が演説する絵面がアウトなんだけどね。

 

「詳細は省くが……その野良犬どもの一人は、十日と経たずに校長へと詫びを申し入れる事となった。

 念の為に補足しておくが、これは脅しではない。

 事実である。

 理解できない者は、自らの無謀さを証明する自由を選んでも構わん。

 ただし、後処理に吾輩を巻き込むことはゆるさん。」

 

 手をあげたのは双子だ。

 

「よろしい、質問かね?」

 

 何故か双子もキラキラした目で、黒衣の不審者を見ている。

 

「具体的に、術式が知りたいでーす。反応域とか、どの程度までアレンジをしてるんですか?

 たぶん、俺達が考えてる術式だと、めちゃくちゃ調整難しい呪詛系ですよねー」

 

 それに珍しくセウェルスが笑顔に。

 普通に微笑んでも邪悪なスマイルじゃが、今回は、意図して意地悪な表情である。

 八重歯じゃないけど少し尖ってんのよね、歯。

 ワイ的にはチャームポイントなんだけど、新入生はチビリそうだ。

 

「こちらの詳細は漏らせぬ、勝手に想像し構築するのはよかろう。

 添削ぐらいはしてやる。

 そうだな……反応域は、貴様らと吾輩の距離からでも十分に機能した。

 半時と経たず、血反吐を吐いて撤退を余儀なくされたところを見るに、調整はうまくいっている。

 十日の猶予はあるが、全身への腐敗浸透は数日で完了するだろう」

 

「すげぇ!今度、俺達が作ったやつも見てください!」

「よかろう、魔法使いとは好奇心を持つべきである。」

 

 いや、そんな爽やかな話じゃないのに笑顔でしめるなよ。

 そして彼はウンウンと態とらしく頷くと、微笑んだまま続けた。

 

「しかし最近、好奇心と愚かしさの区別がつかない生徒が増えたらしい。」

 

 そいで、グリフィンドール一年生の席を凍りつくような眼差しで見つめた。

 

「写真を撮れば英雄にでもなれると思ったかね?

 ならば美しい景色や、自然の生き物を撮れば良い。

 いいかね、貴種の女性を勝手に写し取ろうとした愚か者は、血反吐を吐きながら逃げ出し帰った。

 護符は優秀だ。

 吾輩が心血を注ぎ、多くの方々のご助力によって作り上げた品だ。

 心穏やかに学業に専念できるようにとな。

 加害者の生命は斟酌しない。」

 

 ニヤッと悪役笑い。

 だめじゃん、普通に連絡事項しなよ。

 一年生の顔色悪くなってるから。

 ワイも謝っちゃうよ、ごめんねごめんね!

 

「愚か者にもわかるように繰り返す。

 撮るな。

 治療が間に合うとは限らん」

 

 フォローを入れようとしたマクゴナガル先生に、彼は頷き返した。

 

「この処置は、正式に許可を頂いている。

 当該護符は、防衛目的の呪物であり、校則違反にもならぬし、魔法省からも了解を得ている。

 無断撮影で減点しないのは、結果の責任が本人に跳ね返るからだ。

 ただ、悪意無き理由や、たまたま掠った程度ならば、早急に教師に申し出れば、解除処置もとれる。

 ただし、後遺症や身体的影響は自己責任、学校としては責任を負わぬ。

 無許可無断での撮影をしなければ、違法な事をしなければ何も恐れる話ではない。

 以上だ。

 質問などがあれば、応えよう」

 

 静寂。

 そりゃぁないよね。

 ちなみに、新入生の男の子でカメラ小僧がひとりいる。

 食事風景を写真に撮っていたね。

 きっとフィルチ氏が先に気がついたのだろう。

 そしてセウェルスとしては、危険だよって言わんといかん立場で、脅すつもりはない。

 その子、マグル出身だろうからね。

 スリザリンの純血家系の女の子を写真に撮ったりしたら、とんでもない話になる。

 そういう意味でも警告している訳。

 まぁそんな善意、善意なんだよ!を好意的に解釈できている子供は一部だ。

 ハー子さんは翻訳できているらしく、片手で目を覆っている。

 

 しょうが無いので、空中にキラキラ文字を描いた。

 

(いろいろ迷惑をかけてごめんなさい)きらきら魔法文字も習得できたんよー

 

「素晴らしい騎士道精神ですね!

 レディを護るに、そのくらいでなければ!

 そうです、写真を撮るのなら、この私をどうぞ!

 いつでも、私は待っていますからね!」

 

 思わず、笑う。

 

(スネイプ教授、ロックハート教授、お心遣いありがとうございます。)

 

 マクゴナガル先生も、今度は笑顔を浮かべた。

 子供たちも力を抜く。

 悪いばかりではない、この手の人って必要なんだなぁ。

 ワイ的、小説家の好感度があがる。

 こういうところは、いいよね。

 全方向自己肯定と空気の重さを叩き壊すの。

 ムードメーカーだ。

 人間っておもろいなぁ。

 ほら、ダーリン、ケッって顔しないの。

 そんな時、件のカメラ少年が手をあげた。

 

「質問ですか、コリン・クリービー」

 

 マクゴナガル先生に声をかけられた少年が、困惑をしたまま言った。

 

「あの、僕、写真をたくさん撮って、家族に送ってあげたいんです。その許可をとったら、いいんでしょうか?」

 

「いや、お前、話聞いてた?」

 

 ウィーズリー弟君が、思わず突っ込む。

 

「あの、許可をとったらいいんですよね?」

 

 それににべもなく、男は返した。

 

「彼女に関しては却下だ。

 安全上の問題である。

 その他は本人に許可を得る事はもちろんだが、外部、マグル界に写真を送る場合は、その都度、グリフィンドール寮監に確認をもらうように。

 よろしいですかな?」

 

 と、最後に彼はマクゴナガル先生に聞いた。

 

「基本的に、本人に承諾を得る事と、生徒間での写真のやりとりも、写っている本人に許可を得てからにするように。

 また、親御さんに写真を送るとしても、問題がないかを私のほうで見るようにします。いいですね?」

 

 そいでこの問題は終了した……かに見えたんだけどね。

 じゃぁ女子じゃなければいいよね!っていう答えになったらしくて、ハリー君の追っかけが誕生した。

 ちなみに次の日の朝から、ハリー君、カメラ少年、マルフォイ君&小説家の間でコント、じゃなくて揉めまくったのは言うまでもない。

 

 ごめんね……で、パパラッチは詫びを入れていたんだねぇ。

 食後の解散時に話しかけると、セウェルスは生き生きとした笑顔をこちらに向けた。

 ニヤリ……。

 無言で立ち去っていくが、よほど心の栄養をもたらす結果だったのだろう。

 啓蒙高いよね、マイダーリン、ちゅき!

 

「どういう意味なんだろう」

 

「怖いんだけど」

 

「スリザリン名物だから、気にしないで一年生は整列してね」

 

「ひと月もしない内に慣れるから、あと、彼女は二年生ね」

 

「最終学年のお姉さんじゃないんですか?」

 

「そのへんも追々ね、さて、寮にいきますよ〜」

 

「はーい」

 

 God's in his heaven. All's right with the world.

 神、天に知ろしめす、すべて世は事も無し。

 

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