おとぎ話の末裔   作:C&Y

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寮監先生と人外生徒の明日はどっちだ、秘密の部屋編。
R15と残酷描写タグは、予防処置と寮監先生の苦行成分でできています。



AVB、或いは静かなる丘と秘密の部屋 ⑮

幕間

 

コリンは反省した。

メソメソご飯を保健室で食べて、メソメソ新入生で新学期なのに、ひとりで課題学習だ。

でも、マグル出身で魔法界を知らないのもあって、魔法界のお話をきける時間ができて結構ラッキー。

先生方のお顔とお名前も覚えられた。

グリフィンドールの監督生や寮の一年生、他の子達も、お許しが出てから毎日顔を出してくれる。

腐ってる?って聞いてくるのは困るけど。

 

そしてスリザリンのお姉さんもお菓子をくれる。

カメラに仕掛けをしたから、もう大丈夫と言ってくれた。

それでも女の子を撮る時は要注意と言われたので、コリンは素直に頷いた。

盗られたパパとの写真やお手紙の事も、ちゃんと先生に話した。

上級生の顔は覚えていない。

 

覚えていること?

スリザリンカラーだったこと。

変な屋敷しもべが一緒だったこと。

そうそう使用人もいたと思う。

 

「ひとりじゃなかったのじゃな?」

 

はい、普通のかっこうの男の人でした。

御主人様って、変な屋敷しもべも……あれ、うん、なんかぼんやりして思い出せないなぁ。

 

「……その屋敷しもべ妖精の何が不思議だったのじゃね?」

 

僕、はじめて屋敷しもべを学校で見たんです。

だから、本当は変じゃないのかもしれないけど、水に濡れてるみたいに、足元がビショビショで……。

目玉が大きくて……蛙みたいな顔をしてました。

ぴょんぴょん跳ねるように歩いてて、他の屋敷しもべは可愛いのに、なんだか、怖くて……。

 

「大丈夫じゃ、コリン、少し眠りなさい」

 

***

 

カメラ少年への事情説明は、校医先生がしてくれるらしい。

お説教はマクゴナガル先生。

事情聴取はこの二人にまかせる。

ここで黒衣の不審者が登場したら、またヒキツケおこしちゃうからね。

 

んで、午後の授業に向かう集団に合流。

カメラ少年、腐ってないし命に別状はないと伝える。

 

予想以上に、腐ってるの?

腐っちゃうの?

わっしょいわっしょい!

と、皆に連呼される。

 

居合わせた他の寮生や先輩にまで、腐っちゃうの?って聞かれたぞ。

詳しいことはスリザリン寮監にきいてねーって言ったら、結構なブーイング。

 

聞けないよーお願いお願い!わっしょいわっしょい!

最後はブーイングじゃなくて、泣き声も聞こえたんで、今回はカメラ少年を経由して、意地悪した人に飛んだみたいだよーってだけ答えておいた。

いやマジ、写真勝手に撮らなきゃ大丈夫。

それに先に申告すれば、ワイだけモザイクかかるようにしてくれるから、誤爆はないって。

 

(誰に言えば?そりゃぁスリザリンの寮監に決まってるじゃん)

 

と、魔法で文字を浮かべる。

 

何で絶望顔するんじゃ、少年たちよ。

チミたち、やってるね?

内緒で校内美少女達の写真撮ってるね……。

それでも撮りたいなら、ダーリンに蔑みの視線をもらいつつ処理してもらいなよ。

きっと馬鹿だろうって、言葉ももらえるよ!

 

とか、話したけど。

まぁほら、解呪できるとは言ってないし、先生方からのお知らせからは外れていないぞい。

 

んで、午後の授業は防衛術。

スリザリンの集団に混じると、皆がぐるりと周りを囲む。

席順は一番うしろの一番端っこ。

さぁこっちという感じで隣りは、いつものダフネちゃん。

今回は前にパンジーちゃんで、通路側の方向は、暴れん坊なミリセントちゃんだね。

 

最近は暴れてないぞ、ちょろちょろ私を観察しながら、おとなしくしている。

だからお名前覚えたぞ!

今学期から、補習を少し見てあげるつもり。

 

さすがにダーリンみたいな教師には難しいだろうしね。

ダーリン、勉学の努力は苦にならないタイプ。

 

更に言えば、努力ぐらいはタダでできるだろ?だから、どうして努力できないのかわからない人なのだ。

そしてわからないところが、わからない!どうせ無駄だろう……って考えちゃう子の場合、根気よく付き合える先生じゃないと無理なのである。

 

褒めて伸ばすフリットウィック先生は、できない子のレベルに合わせての指導もできたりするんだよ。

だから、人気なの。

そしてダーリンは、まぁいっちゃなんだが、IQ高すぎて、違うレベル帯の人の悩みがわからないのだ。

たぶんだよ、環境とか人間関係が普通なのに、どうして勉強で悩むんだろうって感じ。

 

んで、本来ならアシスタント、補助教員が指導に入るけど、前にも言ったかな?彼が扱う薬剤の危険度から現役のマンゴの癒者レベルの人じゃないと手伝えない。

 

しょうがないから、ドリル作って宿題積み上げてるようだけど、そもそもがやる気ゼロなのである。

さすがにね、まだまだ二年生なんだよ、諦めるの早いじゃん。

気がついたら見てあげようかなって思ってる。

 

自分の事はどうなんだ?

防衛術以外は自信あるよ〜あぁあと箒は無理。

あのエロ箒じゃなくても、高いところが怖いのは治らないよ。

 

考え事をしていると授業の始まりを告げるベルが鳴った。

これ、マグルの学校と同じで、何だか不思議だよね。

魔法の国のお城の学校に始業ベル。

 

と、ハリー君がぎりぎりで走り込んでくる。

それに続いて、いつもの二人もだ。

三人は、私と同じ一番うしろの列に滑り込んだ。

 

そして役者、小説家が髪の毛を靡かせながら登場だ。

生徒全員が着席すると、小説家は大きな咳払いをした。

静まり返る室内。

 

んで、ネビル君の前にスススッとやってきて、彼の持っていた小説を取り上げ、ウインクをしている自分自身の表紙を高々と掲げた。

ほら、チャンピオンベルトを掲げるボクサーね。

 

「私だ」

 

本人もウインク。

おもしれー

 

「アオイ、絶対に今日はやめてね。本当に何もしないでよね」

 

わかってるよーワイ、いいこだよー

 

実際、ヒゲとダーリンは不穏な要件で外出中である。

イタズラはしないのである。

ワイ、真面目、キリッ!

 

「パンジー」

「なるようにしかならないわ、私達は努力した、これだけよ」

 

そいで何か自分の経歴を自慢するボクチン。

滑るジョーク、ツルツルだっ!

思わず、ナイスジョークと親指をあげて声援。

小説家は目を輝かせた!

 

「それ、違う意味よね」

 

ふへへっ

 

そいでいきなりテストだって。

ボクチンマニアックテスト。

配られるテスト用紙、なになに……。

 

思わず手をあげるワイ。

何故か唸る周囲。

 

(記念にもう一枚、サイン入りでくださいます?)

 

ちょびっとお嬢様風に、文字を浮かべてみせた。

ワイは、できるアニマル。

今日は、悪役令嬢だぞー!オホホホホざます!

 

お前、正気か?

という視線を男子達からもらうが、女子生徒の一部は、我も我もと手をあげる。

それに超上機嫌になるアホ、じゃなくて小説家。

 

「レディ、さすがわかっていらっしゃる。教科書にサインが必要でしたらいくらでも」

 

(このテストのサイン入りで、もう一枚くださいませ。それで十分ですわ。)

 

にゅふふふっ!

わらっちった!

 

その瞬間、察した生徒が数名。

ハー子さん、複雑。

ハリー君、あぁもちろん僕は空気だよ……。

スリザリンのワイを囲む少女たち、もう、この猿が〜!である。

 

そんなこんなで、余分にテスト用紙をゲット。

キラキラインクのサイン入りだ!

いや、防衛術のテスト用紙だったらもらえるわけないけど、中身は、小説家のプロフィールクイズ。

防衛術とはミリも掠っていない。

 

これ爺ちゃんとダーリンに見せるんだー

ホクホクしながら収納に入れる。

 

「それ、どうするつもり?」

 

そりゃ、保護者に見せるの。

額装して、かざってもらうの〜

小説家の記念の一枚、笑かしてもらったわ〜

って、メモ書き飛ばしたら、周囲は静かになった。

 

「そうだった、貴女、校長が保護者だったわね」

 

「知ってた、うん、わかってた……。

そうよね、この子、感性が寮監と同じなのよね。すんごい辛辣……。」

 

周囲の生ぬるい視線を浴びながら、テストにとりかかる。

笑かしに来てるぅ、ナニコレ、全巻読破してるから、答えられちゃう!

やだ、オモロ。

コイツに羞恥心は無いのか?

 

んで、当然、コアなファンの、ハー子さんが優勝。

ワイは、一応、パーソナルデータだけは抜かして、書籍の内容に絞って答えた。

全五十四問。

それでも半分も正解しちゃって、お褒めの詩を捧げられる。

まじうーけーるぅ!

 

「これで、今日は我慢してるのよね」

 

「まったくすばらしい生徒がそろっていますね!

スリザリンにもグリフィンドールにも、10点をあげましょう!!」

 

いいんじゃね、点数もらえたし。

 

「メモ書きにしなくても、何が言いたいかわかったから」

 

その間に、小説家は覆いのかかった大きな籠を持ち上げ、教卓の上へと置いた。

 

「さぁ、本日のメインイベントです!

魔法界の中でも、最も汚れた生き物と戦うすべを授けるのが、私の役目なのです!!

この教室で君たちは、これまでにない恐ろしい目にあうことになるでしょう。

ただし、私がここにいる限り、何物も君たちに危害を加える事は無いと思いたまえ。

落ち着いているように、それだけをお願いしておきます。」

 

んで、オープン。

 

小説家と子供たちのやり取りからするに、籠にみっしりと詰まっているのは、コーンウォール地方のピクシー小妖精。

ワイの記憶だと、こいつらは辺鄙な廃村とか海辺の近くの廃墟に住み着く妖精だ。

妖精といってるけど、そうだなぁグレムリンみたいな小さな意地悪な顔したバケモノだ。

人の気配が残ってる過疎地に巣食う害獣みたいなやつだよ。

 

子供たちが馬鹿にしたように見てるけど、実際は凶悪。

女の人とか赤ちゃんとか、弱いお年寄りを狙っていたずらすると怪我どころじゃすまない、マジ魔法界の害獣ね。

 

でも、案外どこにでもいるもんで、この妖精、イタズラする相手を選んでる。

ホグワーツには子供がいっぱいいるけど、大人の怖い魔法使いもいるから、積極的にあらわれて悪さをするなんてことはない。

そう、捕まえられて押し込められて、持ち込まれなければね。

 

森に遊びにいった時に出くわして、キモいなぁって調べたんだよね。

檻の中では、すでに子供たちに向かって中指たててる感じであばれている。

これ、危険だよなぁ。

小説家は自信満々、つまり大丈夫?

 

「さぁそれでは、君たちがピクシーをどうやって扱うかをやってみましょう!」

 

ん、対処法、教えてからじゃ……?

 

***

 

まぁ結果だけ言うと、小説家の魔法は効果がなかった。

子供たちは噛まれたり、引っかかれたりした。

うん、だめじゃん。

どうなったかって?

 

どうもしないよ。

一匹がね、ワイのところにも来たのよ。

どうするのかなぁ?

ひっかいたり、髪の毛弄ったりするのかなあ?

って思ったら、案の定、髪飾りを盗んだ。

周りの女の子は迫りくる妖精をはたき落とすのに一生懸命だよ。

でもね、ワイの髪飾りをとった妖精が、動きをとめた。

たぶん、人間だったら、ギャーって感じで固まる。

 

あぁ小説家は、何か言い訳しながら教室から出ていった後ね。

 

(妖精さん、髪飾りを返していただけるかしら?)

 

声にしようかとも思ったけど、抗魔力の低い子が多いから文字にする。

妖精って文字読めるかなー?って思ったけど、髪飾りを掴んでた奴は、ぼとっと落とした。

 

何、落としてんだよ、オラ。

 

柄悪くメンチを切るワイ。

アニマル全開で睨むと、慌てた様子で妖精が机に戻す。

その間にも、暴れまわっていた妖精がワイに気がついたのか、こっちを見る、ぐりっと顔が向く。

何か、既視感。

あぁ庭小人だっけ?アレと同じかな。

 

(妾は、不快じゃ、放せ下郎どもが)

 

意識と共に、魔法の文字も浮かべてみる。

それから指を向け、生徒に取り付いて暴れているヤツを順々に視界におさめた。

 

(覚えたぞ、下郎。人の子を害するなら、森までいって焼き払ってくれるわ)

 

ワイ、悪役令嬢、高笑いするなり、オホホホホ!

 

んで、籠に自ら戻るグレムリンじゃなくて妖精達。

こいつら本当にたちが悪いなー、相手を見て態度変えるとか、カスかよ。

いや、カスは逃げた小説家だな。

しかし、どんなスゴ技飛び出すかと思ったのに、ポンコツかよー。

で、すかさず、ハー子さんが蓋をする。

 

(と、脅してみたけど、皆、大丈夫?ワイ、やりすぎた?こわくないよー)

 

護符を恐れたのかもねーって言うと、皆、あぁそうか、スネイプの護符かぁ、コワ!

と、アニマルの言い訳を信じてくれた。

 

どちらかというとワイの血筋にビビり散らしたいつものアレなんだけどね。

ダーリンにお仕置きされる未来がチラッと見えたりする。

まぁ拍手をもらったから良しとしようかな。

 

後は皆でお片付けした。

喧嘩はしなかったよ。

まぁ寮どうしで小競り合いするより、小説家へのヘイトが溜まったわけよ。

 

マルフォイ君は、最初のテストで防衛術の授業を受ける価値無しって判断してた。

そしてハリー君と同じく、僕は空気だよってクィレル先生の本を読んでた。

まだ防衛術の本を読んでた方が無難ちゃぁ無難。

 

「私達に体験学習をさせたかっただけよ」

 

ハー子さん、壊れた教室の備品をなおしながらの苦しいフォロー。

 

「耳を疑うよ、ドヴワティーヌさんが叱らなかったら、あのバケモノに耳をかじり取られてたんだぞ。

シェーマスなんてズボンに穴があいたんだぞ。パンツ見られたって、泣いてたんだからな。」

 

そのシェーマス君の姿は既に無い。

ズボンをかえにいったんだね。

 

「いや、ロン、それ言ってやるなよ。」

「おぉぅ、ごめん」

「ハーマイオニー、ロックハートなんて、自分のやっていることが、じぶんでも全然わかっていないんだよ」

「違うわ、本に書いてあったじゃない」

「自分で書いた、自分の宣伝文句じゃん」

 

そこだよなー、実績、あるんだよね。

誰もそれに文句も反証もしてないんだよな。

つまり、小説家がした事にしておいた方が丸くおさまる、何かがあるって考え方もできるわけ。

疑惑を疑惑のままにするのは、許している訳じゃないのが、ヒゲのヒトデナシ成分な訳で。

大人って面倒だよね。

でも、この授業じゃ、賭けはどうでもいいから、そうそうに退場してもらわないと卒業試験をうける先輩方は、去年に引き続いて絶望、いや、毎年そうだから、同じなのか?

 

「……父上に、ちょっと手紙を出すよ」

 

ボロボロになった備品、元がわからなくなった何かをゴミ袋に押し込んでいたマルフォイ君が、ぼそっと言った。

 

「……さすがに、アレは無い」

 

それに反応したのは、ハー子さん。

 

「貴方も彼の本、読んだでしょ?すごい人なのよ」

 

それにマルフォイ君は何かを言おうとして黙った。

うん、世間的には素晴らしいっていう話、なんだよね。

そして校長が雇った。

理事会も承認している。

ちっちぇぇ妖精さえ捕まえられなくてもね。

 

(防衛術と思うからひっかかるだけさ〜

文学、演劇、自己演出、あとは詩の授業だと思えば、楽しいじゃない?

次はどんなショーが見られるかなぁ、わくわくするよ〜)

 

それで怒るかなぁと思ったら、ハー子さんも、ファンの女の子達も、ちょっとばつが悪そうに笑った。

 

(実際、声の使い方、話し方、すべてが勉強になるよ。

君たちだって、大人になって社会に出た時に、お仕事したりするじゃない?

自己演出が必要な時がある。

人を雇っている立場、部下に命令する人、客商売でもてなす側、病人の世話をしたり、恋人の両親に挨拶する時だって、印象操作は重要さ。

小説家のような、自己演出、明るさ、演技力は、とてもおもしろい題材だし、勉強になると思うんだよね)

 

「ソイツが防衛術の教師じゃなければね」

 

ハリー君のツッコミの後に、ハー子さんは恐る恐るという感じで言った。

 

「あの、アオイは、彼のような人が嫌いなの?」

 

嫌い?

小説家を?

 

「アオイ、答えなくていいわ。

勉強できるのに、わからないの?

アオイは、スリザリンの寮監のお気に入りよ。

それがどういう意味かわかる?

普通に、嫌味と当てこすりを毎日聞かされて喜ぶような性格なの。

そんな子が、アレに話しかける時以外は、なんて呼ぶか聞いてたでしょ?」

 

いや、どんだけ、ワイの心が黒いと?

 

「ほら、無害そうな顔してるけど、この子、アレを小説家としか呼んでいないわ。」

 

するとハー子さんと、ファンの女の子達は曖昧に笑った。

 

「あぁ彼女が本気を出したら、バカの一番になれないものね。なるほど、アンタ達、本当に馬鹿よね。

あんなのの何処がいいんだか」

 

いや、そんなギスギス睨み合っちゃだめだよ。

 

(いいじゃない、ファンがいても。

ワイだって、ファンだもん、小説家以外の人だけど。

へへっ、推しが誰だか、聞いてくれてもいいんだよ?)

 

「やめて、僕、聞きたくない!」

「ロン、答えはわかってるんだから、聞いても同じだろ」

「ポッター、僕も聞きたくない。夕食は美味しく食べたいんだ……。」

「マルフォイまで?」

 

(パンジーちゃんが言いたいことはわかるけど。

要素をとりはらってみれば、素敵じゃない?

比較的清潔で、性格も明るくて、怖くない。

何?男子どもよ?)

 

「じゃぁ実際は、君、どんな評価してるのって聞きたくて」

 

(えっ?ワイの毒を聞きたいと?悪趣味な……)

 

「自覚はあるんだね。でも、大丈夫じゃない?

君が本当に、アレに興味が無い事を確かめたいだけだろうしね」

 

で、教室を片付けている途中、皆、珍しく聞く姿勢。

あぁ今日はダーリンがいないからね。

私の小説家寸評なんてあてにもならんのにねぇ。

まぁいいか。

 

アーサー・ウィーズリー的な公平さはないけど、あの考え方の路線はあながち間違いじゃないってわかった。

結果には原因があるって道筋ね。

 

(まだ良く知らない人だからね。

よくも悪くも、自己肯定感の強い人だ。

彼の出版物に目を通したけど、文章構成、内容共に良い小説だ。

 

異論は認めるよ。

でも、私にとっては彼は、よくいる小説家だ。

 

彼の功績や経歴を私だって知っている。

だが、それでも判断材料を持ち合わせていないから、私は彼を小説家としている。

そもそも私が彼を論じる必要もないからね。

 

では、教師としてはどうか?

ホグワーツにおいての防衛術という学問の位置づけとしては、これもまたグレーだ。

 

彼は本来の教師としては、評価できない。

だが、逆説的に考えてみよう。

 

理事会は許可を出した。

ダンブルドア校長も許可を出した。

そして彼は教壇にたっている。

 

無駄な授業に見える内容だとしてもだ。

では、我々ができる事は何か?

生徒としてね。

 

ここでいうのは、校長が求めているのは何か?だ。

生徒の自主性とも考えられる。

 

防衛術の学問的知識は、前年度のクィレル教授の教科書を読み込む事を繰り返し、各学年の先輩方に教えを乞う事で、来るテスト、魔法省の外部テスト対策をしても良い。

 

さて、ここまで私が述べているのは、つまり、小説家を判断する材料は少ない。

 

たとえ、小妖精を捕まえる呪文が成立せずに、将来の闇祓い候補生になるかもしれない子供たちの教育ができるのか疑問だとしてもだ。

何事も学ぼうと思えば学べる。

 

例えば、彼のような人物のプロファイリングをしてみるのもいいだろう。

そもそも防衛術とは、闇の魔術や闇の生物、魔法界の危険に対しての授業だ。

ある意味、堕落を体現する大人の事例としても面白かろう。

そしてマグルの精神医学のスケーリングモデルでの観測事例とするのも面白い。

実におもしろい、ん、どうしたの、皆?)

 

「君とスネイプの仲が良い意味がわかったよ。

いつも、そんな話してるの?」

 

(こんな事言ったら、教師を愚弄するなってお仕置きされる)

 

「あぁ、うん」

「わかったでしょ、そもそもこの子に、好きとかそっち方向の興味があると思う?

全力でおちょくりに走るだけよ。」

 

「つまり嫌い?」

 

(そもそも好き嫌いで論じる相手だと思ってないかな。

ウィーズリー弟君に、スリザリン寮監先生ってセクシーよねって聞くようなもんだよ)

 

「やめて、むり、やめて」

 

(ほら、虫がシニカケてるみたいに……)

 

「小説、だと思ってるの?」

 

ハー子さんが、何だか愕然としている。

無神経でごめんよ。

 

(歴史を君は学んでいるはずだ。

支配者が変われば歴史は変わる。

 

出版物が真実を示している訳では無い。

昔々の出土品だって真実を書き連ねている訳でもない。

 

真実だと思って書いていても、違う場合もある。

魔法界の出版物の検閲がどのようなものかは知らない。

 

そして彼の功績も公式に認められているね。

だから、事実かもしれない。

 

でも、あの本は、あくまでも本人が書き連ねた主観だ。

それを保証する者も権威も無い。

 

教科書を指定し、学習内容を決めるのは、個々人の教師の裁量になっている。

そして彼が真実と言っても、実証できない、証言者もいない、データも無い物語を見せられても、私はそれをノンフィクションであるとは認められない。

 

残念ながら、この意見は変える事ができない。

ただしだ、私自身は彼の人格やキャリアを否定はしない。

彼の提供する授業は受けるし、彼の話を聞きはする。

そこから何を学び取るかは生徒自身の裁量もあるからね。

 

君が素敵だと思うことが自由なように、私の考えも自由だ。

だから、君や他の女の子の考えを否定はしないしバカにもしない。

これは私個人の意見だ。)

 

「勲章ももらってるのよ?」

 

(そうだね。

否定はしない。

排除もしない。

 

ただ、今日は一つ証明された。

彼のサインは素敵だ。

このインクは特別にあつらえたのかな?

そしてこのマニアックテストもきちんと作られている。

娯楽としては最高だ!

 

あとは、そうだね。

彼は呪文学をもう一度履修するべきだ。

発音に関しては得意では無さそうだ。

そんな彼が危機一髪の大冒険をしているという。

実に興味深い、インタビューをして、言葉の端々を記録して、後でスネイプ教授と分析を……)

 

「皆、そう言う質問をしてるわけじゃないの、わかってるよね?」

 

うん?

 

片付けの手を止めているギャラリーを見回す。

 

聞いちゃうの?

 

(ワイな、婚約者(笑)がいるからなー

そもそも異性としての相手は決まっているのである。

浮気はしないのさー)

 

阿鼻叫喚

 

***

 

ホグワーツは閉鎖的な環境だ。

その晩の夕食はあらゆる意味でざわついていた。

 

「何をやった」

 

疑問符もつけないとは、さすがダーリン。

そっちこそ、どうだった?

 

「後で、それをなおす。一応、機能は働いているようだ。それで、髪飾りが欠ける出来事とは?」

 

小説家の授業風景を教えると、ダーリンは片手で眉間をもんだ。

ワイの謎の婚約者(笑)の発言も含めて、この馬鹿者が〜という考えが伝わる。

 

ガヤガヤしている広間のすみっこで、いつもどおりのチェックを受けてる。

お疲れ気味のダーリン。

シリアス空間にいたようだけど、バトルした様子が無くてなによりだ。

 

「イギリスで奴は預かる事になった。」

 

大丈夫なん?

 

「具体的に我々へ向けての攻撃は今のところしていない。」

 

ダーリンに襲いかかった事はノーカウント?

 

「認識としては遊びだそうだ。」

 

なにそれ、どんなジャイアニズム。

 

「なんだそれは……。」

 

いじめっ子理論。

高度なS気質。

俺様が神。

 

「どこでそんな言葉を仕入れてくるのだ。下品な物言いはやめなさい」

 

うぇ〜い。

 

「ともかく、それも理由のひとつだが、時々、校長ともども外出する事になる」

 

大変だね。

 

「あぁだから、問題をおこすな」

 

ワイ、いーこだよ〜あばばばば!

 

「良い生徒が婚約者発言をするか?」

 

だって、実際、目の前にいらっしゃる。

許嫁、婚約者(仮)、ダーリンさまがヨウ!

へいへい!

あばばばばば!

それヤメレ!

 

ガッとシビシビしてくる手を握る。

ぐぉ〜

 

「校長にな」

 

うん?

 

「曲がりなりにも淑女を殴るのはヤメロと言われたのだ」

 

だからシビシビ攻撃に切り替えたと?

ヒゲー!!

 

***

 

その夜、ロックハートマニアックテストを帰ってきたヒゲに見せると、すんごくウケた。

ついでにホグワーツ卒業するまでは、セウェルスを貸してほしいとお願いした。

 

「ずっとでもええんじゃよ?」

 

そんな事を言ったヒトデナシのヒゲを細かなみつあみにしてやった。

まぁ、そんなこんなで新学期が始まったわけだけど、更に問題がおきた。

 

写真少年はハロウィン近くまで、念の為に保健室学習。

小説家の演技指導ならぬ授業風景が全学年に知れ渡る頃かな、スリザリンとグリフィンドールのクィディッチ練習の時間がかちあった。

練習場のバッティングね。

 

ここで仲良くできる下地がない寮同士。

そりゃもう揉めたらしい。

結果、マルフォイ君は、禁止用語を発言。

魔法で喧嘩して、殴り合って、結果は二つの寮とも減点。

ウィーズリー弟君は、魔法で事故って、お口からナメクジ。

再び、二つの寮は険悪な雰囲気に。

なにやってんの?

 

「悪意はない」

 

バッティングの元をつくった教師がそっぽをむいているが、凡ミスをした彼が元なのは明白。

 

「ドラコには注意した」

 

禁止用語を発したことだけは注意したようだ。

 

「ルシウスも、今後は、差別発言を控えさせるだろう。」

 

そっち系の発言だったのか。

 

「マグル、混血への差別発言だ」

 

ちなみに、それはダブルスタンダード。

純血は人口の割合からいったら、少数派。

スリザリンでは、かろうじて純血家系が半数を超えているけどさぁ。

帝王だって、はいはい、内緒内緒。

 

「私も混血だ。

純血が魔法省の要職についていたのは過去だ。

それでもだ。

そんな混血やマグル出身の者でさえ、純血の血を特別視してしまう。」

 

やっかいな話だねぇ。

 

「特に、君を見て勘違いしてしまう子供もいるだろう」

 

私のせいだと?

 

放課後の教授室。

ひんやりとした地下の部屋で、ロンドン土産の菓子を渡されて、もぐもぐしながらの会話だよ。

うましうまし、このクッキーなんだろう、シナモン?

 

そんな私に奇妙な虫でも見るような視線を向けたまま、彼は首を傾げた。

 

「おとぎ話を目の前で見ているような気分になるのだろう。

だから、すこし夢を見るのだ。

馬鹿らしい夢でも真実味が出る。」

 

小説家のお話のように?

 

「あれはカスの世迷い言だ。」

 

世迷い言でも、あの自信はどこから来ると思う?

 

「誇大妄想癖」

 

思ったんだけどさ。

 

「何だ?」

 

校長がジンクス封じに招き入れた。

何かのテストじゃないかな。

人間とか人の心の有り様を見るのに。

 

「アーサー・ウィーズリーと同じ論旨か?」

 

違うよ、校長を信じてるんじゃない、小説家の経歴が欠片も信じられないからさ。

 

「何が言いたい?」

 

バカのふりで、超有能?

 

「論じるのも無駄だ」

 

分析するほどの厚みが、クッキーの薄さほどないんだね。

はい、甘み控えめだったよ。

 

と、二人でボリボリお菓子を食べた。

 

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ハリー・ポッターと創られし娘(作者:テーラ・クレプスクリー)(原作:ハリー・ポッター)

▼【あらすじ】▼42歳の歴史教師だった私は、病気で寝込んでいたはずだった。――次に目を覚ますと、そこはハリー・ポッターの世界。しかも、あのセブルス・スネイプの娘に生まれ変わったみたい!?▼最推しであるスネイプ先生の悲劇的な死を変えるため、そして原作主人公のハリーや子供たちの危険を少しでも減らすため! ▼元歴史教師の知識と大人の責任感を胸に、セブルス・スネイプ…


総合評価:476/評価:8.6/連載:28話/更新日時:2026年11月02日(月) 00:00 小説情報

闇の魔術大好き少女が認められるまで(作者:闇の魔術連盟名誉会員)(原作:ハリー・ポッター)

例のあの人(ヴォルデモート)の影響なのか、不当に貶められている闇の魔術。▼名前を聞くだけで忌み嫌われるその魔術も、本来は魔法族がもっと便利に、もっと幸せに暮らすために使われるべきもの。▼今はまだ、魔法省の目を避け、地下でこっそり研究を続ける日々。▼けれど、いつか闇の魔術が正当に評価され、誰もがその便利さを認める日を夢見て……▼少女は今日も、無遠慮に魂を弄繰り…


総合評価:2712/評価:8.19/連載:31話/更新日時:2026年09月26日(土) 18:28 小説情報

俺のハリポタなんか変(作者:パシフィカ)(原作:ハリー・ポッター)

前世の記憶を持って生まれた少年トム・ブライトは、約11年間マグルの孤児院で過ごしてきた。▼彼は普通の世界へ逆行転生したと考え、人生プランを練ってきた。▼しかし、突然届いたホグワーツからの入学通知がすべてを変える――これはヴォルデモートがハリーポッターを殺害し、ダンブルドアへ勝利した世界線で転生少年もがき、苦しみ、救世主へ至る物語。


総合評価:2763/評価:8.48/連載:35話/更新日時:2026年10月26日(月) 12:04 小説情報

フリーナ・ドゥ・フォンテーヌと魔法の世界(作者:とりあえずお茶)(原作:ハリー・ポッター)

水神のお役目を終えたフリーナが、イギリスに転移して今度はホグワーツでのんびりとした学生生活を送る話。送れるとは言っていない。▼舞台は『炎のゴブレット』からです。なお、本作に恋愛要素はありません。ヒロインはマクゴナガル先生です。


総合評価:827/評価:8.67/連載:12話/更新日時:2026年11月01日(日) 19:00 小説情報

Q. もしも1981年11月1日の夜が物凄く寒かったら(作者:階段下から)(原作:ハリー・ポッター)

闇の帝王が滅びた夜、ハリー・ポッターの額に魂の欠片が残された。▼問題は、一九八一年十一月一日の夜があまりに寒かったことだ。▼凍える玄関先で、額の傷に残された魂の欠片は目を覚ますべきでないときに目を覚ましてしまった。▼手はない。足もない。出ていくこともできない。▼殺しそこねた子どもを、生かさなければならない。自分が消えないために。


総合評価:1673/評価:8.54/連載:46話/更新日時:2026年11月01日(日) 23:54 小説情報


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