おとぎ話の末裔   作:C&Y

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寮監先生と人外生徒の明日はどっちだ、秘密の部屋編。
シリアスのようでシリアスではないのですよ。
校長のアタマにはニフラー。
背後ではファング君がオロオロしています。


AVB、或いは静かなる丘と秘密の部屋 ㉓

幕間

 

ニフラーはウキウキだ!

今日はキラキラがいっぱいだ!

コワコワまほうつかいの頭で、イッツブレイキン!

 

(あとで黒い奴に怒られた……)

 

 

***

 

ガツンとパスが繋がると、慣れた思考がなだれ込んでくる。

顔を上げたら見慣れた顰めっ面と、少し白い空が見えた。

 

ごめんね

 

って伝えたら、一瞬眉が下がった後……鬼になったでござるよ!

 

アタマで三点倒立していたニフラーちゃんがはたき落とされた!

 

もちろん、ちっちゃなモフモフにダメージは無い。

しゃかしゃかと戻ってくると胸元で威嚇のポーズ。

ついでに、私にもぺしりっと彼の手がのる。

 

ふへへへ。

 

中には入らなかったよ。

ゲームでも夢でもないからね。

ヒャッハーしてると思った?

じゃぁ聞いちゃうよ。

 

チミは、魔法少女だ。

基本魔法はそれなりに使える。

真っ暗くらくら〜なダンジョンの入口があった。

 

ちなみに魔法少女レベル1だ。

回復魔法は、ヒーラーじゃないから初期の呪文で回数制限ありだ。

 

そんな君は丸腰で中に、はいるかい?

罠があるかもしれない。

ゴブリン……は、普通に銀行にいるんだったね。

えっとゴブリン以外の、ちょっちコワコワモンスターが出てくるかもしれない。

 

多分、ワイのアニマルパワーなら、近寄ってこないかも知れないけれど、モグモグされる事確実だ!

さらにバッドステータスで、少し足を怪我していたりする。

逃げたり隠れたりもできない。

なにより、人間がでてきたら恐怖じゃん。

おまけに園丁さんも行方不明なんだじょ?

 

ワイ、実力は無い。

どちらかというと寄生タイプ。

 

ふへへって、彼の顔を見て笑う。

 

夜になっても誰も来なかったら、どうしていただろうね。

森に戻った?

わからない。

 

でも、きてくれたから、ふへへって笑う。

 

小動物も手の中でモゾモゾ。

ありがたいことに、ちっちゃいモフモフも側に残ってくれた。

道案内するよ〜って、はよ行こうって言ったわりに、私がへたり込んでるのがわかったようで、一緒にいてくれた。

もちろん、キラキラのお布施を要求されたけど。

 

そうしてニフラーを抱えて、近場の石の影に座って待つことにしたんだ。

足首が痛かったから、今度は足を伸ばして風を遮る日向を選んだ。

 

最近どうよ?って小動物とコミュニケーションしながらね。

どんな所に暮らしてるん?

とかね。

よくよく聞いたら、ケルトバーン先生のところで数匹一緒に暮らしてるらしい。

 

つーかケルトバーン先生、どこに住んでんだろうってなった。

もしかして森の中かと慄きつつ聞いたら、どうやら森じゃなくて山沿いに活動拠点らしき小屋があるそうだ。

 

ホグワーツ内にも自室はあるだろうけど、そっちで数種の魔法生物を飼育していて、生徒は立ち入らない付近。

方角的には、城から北西方向だね。

そういえば、そっち方向はけっこう敷地として広い。

西門から見て左手に林と低木、手入れのされた庭園というには野生だけど、東南の森とはちがって普通の生き物が多い場所だ。

でも、ハイランドの山々に続く荒野がある方向だから、何に使うというより使われない場所、多分、大規模イベントとかで使用するのかも知れないけど、今は何もなかったと思う。

ムーアと山々がある家の無い方角だなぁ。

 

なんて、ちょこっと彼女と喋りつつ考えていた。

シクジリばかりで、ちょびっとだよ、何だかヘニョってた。

 

でも思考、念話と血の縛りが結びついた途端、元気になった。

 

えねるぎーちゃーじっ!!

ふへっ、ふへへへ

 

たぶん、ちょびっとだけど、怖かったんだなぁ。

落ち込んでたけど、怖かったのだ。

 

じゃが、今は平気だぞい!

 

笑ったら頭をぺしぺしされた。

でも、何だか元気が出た。

魔法薬ぶっかけられた時は驚いたけど、笑っちゃった。

だって魔法薬だよ、臭いはずなのにニオイがお優雅、紅茶系の良き香り。

おまけに飲まされた治癒ポーションが、紅茶味。

 

笑えて少し、泣きそうになった。

 

味を改良した奴って事はダーリンの手作り。

ホグワーツのポーションマスター謹製の、お高い奴だ。

ありがとうって、お代を払うよーって言ったら、バカモノー!!だって。

 

まぁそれで抱えられたんだけどね、そうとう怒らせちゃったみたいで、ぎゅーぎゅーだよ。

片手で荷物な抱え方。

ぎゅーで、顎がぐりって、頭にセットされたよ。

 

格好としては片腕で懐に抑え込まれてる。

杖腕はフリーで、仁王立ちスタイル。

仁王じゃなくて魔王だねぇ。

そいでダーリンの肋骨が地味に痛いでござるよ。

ワイの体が削れるでござるよ。

顎も頭にグリグリですぞ!

比較的、ワイ、体が薄くて軽いから、ダーリンでも抱えられるけど、マジで肋骨当たるとか、肉を増量せねばならぬ。

つーか、何で食べる量が前より増えたはずなのに痩せるのん?

 

「……馬鹿が面倒事を投げてよこすからだろうが」

 

ごもっとも。

 

お怒りの冷気が漂っているのである。

手の中の小動物も、びっくらしたのか両手を広げて威嚇ポーズしたままだし。

でも、爺ちゃんの顔を見て、自分のシクジリの重さが理解できて、黙った。

 

ごめんなさい。

 

「大丈夫じゃよ、で、どうやって扉を開いたのかの?」

 

ルーンを見て、扉に触ったら消えたでござる!

 

幸いにもそのルーンは縁に沿って彫られていたので、残っていた。

そしたら、ルーンを読んだ爺ちゃんが固まった。

正確には下部に記された普通の署名らしきものを見てね。

どうやら何か問題がありそうだ。

他の二人は、興味深そうに中を見ている。

 

「……帰りたいのですが」

 

と、ダーリン。

非常にご機嫌斜め。

グリグリ顎で脳天が痛い。

馬鹿がもっと馬鹿になるからヤメレ!!

まぁ温かいし、運ばれて楽ちんだから、いーけどなー。

ちなみに足は浮いている。

肋骨が当たって痛いので、今はこっちが腕を回してる感じ。

ワイ、子猿ポジ。

 

「少し、確認したい事がある。もう少し耐えられるかね?」

 

と、爺ちゃんに聞かれて体調を考える。

痛みも無いし、薬で治っちゃったし、身体の不快感はゼロ。

おトイレも大丈夫。

んで、親指をたてたら、爺ちゃんが笑った。

 

「……帰るべきです」

 

「後でより、今じゃ。わかるじゃろう?」

 

ため息をつくセウェルス。

再接続のせいなのか、すんごく感情の波がわかる。

とても嫌な予感がするらしい。

それも面倒くさい予感。

杖腕を彼が自由にしている点を考えれば、危険だとも判断しているようだ。

 

「後ろに、コレと下がっていただけますかな?」

 

「いや今回は、儂が先頭じゃ。君は彼女と殿を頼む」

 

そういう爺ちゃんに、彼は片眉を上げた。

再びの無言のやりとり。

 

ツーカーなんだよねぇ。

まぁ二人とも、教師の方が副業だからなぁ。

 

どういう話?

ワイの解釈ね。

 

ホグワーツは近代学校システムを採用してるけど、魔法界は中世スタイルなんだよね。

それもリアル構造でできてる。

 

第一次世界大戦じゃなくて中世。

ほらファンタジー中世じゃないほうね。

 

ローエングリンでもなければ、文学的慈愛の騎士じゃなくて、領土戦争と女子供の人権ゼロの中世スタイルよ。

前にも言った、村焼いてこいよのアレ。

 

そして騎士は名誉職じゃなくて、王の名によって農奴つれて戦に参戦する夢も希望もない野蛮さがデフォ。

騎士団なんて名乗ってるのは宗教を背負ってる神の兵隊か、金貸し商人の勢力ね。

実利と暴力の世界。

 

そんな世界の爺ちゃんのポジションは、君主、領主、騎士団長あたり。

だからホグワーツの校長の仕事は、実質、マクゴナガル先生が回してて、爺ちゃんは様々な調整とか話し合いに飛び回ってるんよ。

日頃姿が見えないのは、そりゃもう国際魔法連盟の会合から、魔法界テロリスト対策に、富裕層との調整にマグルとの表の輸入問題まで目配りしてる。

目配りね、つまり怖い攻撃型賢者が見張ってるから、平穏ってわけ。

 

わかるかな。

校長の仕事ってね、ホグワーツにいることが仕事で、仕事の内容は学校運営じゃないんよ。

教員採用とか資金源の調整、校内の治安や安全の管理の権限は持ってるけど、運営は副校長が担っている。

 

そしてアルバス・ダンブルドアという偉大で恐ろしい力を持った男が、常時どこに暮らして、何をしているかを明らかにする為の場所が、ホグワーツってわけ。

 

まぁ誰もそんな風に思ってない?

確かにね、これは私の考えだよ。

けれど魔法省の治安関係の人は理解しているんじゃないかなぁ。

後は外交担当の人。

 

力の強い魔法使い、それも年を取った魔法使いはね、どこにいて何をしているかが問題なんだよ。

 

そして情報戦や裏の色々は、この顔色の悪いポーションマスター様が担ってる。

村焼いてこい、よろしくな!

 

ナニカ問題が起きると、投げられる有能な諜報担当実務の人。

不憫枠のシゴデキスペシャルブラック企業戦士。

 

……。

 

ダーリンから蔑みの視線をもらい、ワイニッコリ!

 

いや、ワイ、バカにしてないにょ~

しょうがにゃいにゃ〜

にゃら、だいしゅきな真・婚約者殿に情報をプレゼントにゃ!

 

んで、一応、彼に伝えておく。

 

ホグワーツに帰りたいよぅって言ったら、この子が奥から来た。

道があるって、学校に繋がってるようだよ。

 

そっと小さな銭ゲバモフモフを差し出す。

ペヤっと口を開くモフモフ。

 

ダーリンの蔑みの視線が、人を殺しそうな奴に進化した!

 

「君は……馬鹿だろう」

 

そんな溜めて言う台詞?

 

んで、やっぱり爺ちゃんは、心を読んでいるのか、小動物を凝視。

ダーリンは天を仰いだ。

 

「ホグワーツ内部にかね?それは人が行き来できる状態だろうか」

 

って聞かれたから、小さき銭ゲバモフモフに問う。

 

ねぇチミ、学校に戻れる道って、皆通れるのん?

ねぇ、びっくりしたのわかったし、無事に案内してくれたら、マグカップ1杯分の宝石あげるよ!

 

「葵」

 

ゴリッと顎で脳天に再びのお仕置きである。

地味に痛いし、体に回る腕ががが、これプロレス技にあったよね。

まじでお仕置きモード!

 

いや、大丈夫、ほら、例の貢物ボックスね。

小さな宝石箱サイズから、樽みたいになってるし、怖くてキモいから。

知らないオジサンからの投げ銭、恐怖だから。

売り払えないんなら、魔法生物が処理しちゃったほうが穏便。

それに樽から更に進化しそうで嫌である。

 

最近、普通の宝石を嫌がっているという情報が回ったのか、曰く付きの真珠とか、変な水晶に、年代物の装身具も送られてくるようになっている。

 

そろそろグリンゴッツに直送して、呪い破りに見てもらってから金庫行きにしたい。

まぁ理想は、できれば返品したい。マジな。

 

唸るダーリン。

驚きのポーズから、ふんふん上機嫌に戻る銭ゲバ。

どうやら大人の怖い魔法使いに囲まれた上に、セウェルスにはたき落とされたのも怖かったようだ。

いや、音の割に力はこもってなかったでしょ?

転がり落ちたの、チミ、自分からじゃん。

どちらかと言うと顎で脳天グリグリと、魔法シビシビ攻撃をされてる私の方がヤバいからね。

 

ん、でも驚いた?

再びペヤっと嘴を開いてみせる小さきモフモフ。

でも、チミ、本当に驚いてたら、そのアホポーズしてないよね。

 

「葵、順序よく話せ」

 

森は?

あの罠は?

 

「調べるが、今は君の話だ」

 

ぎゅうっとされるのと暖かさに紛れて、小さな拒絶が感じられた。

いけない、いけない。

踏み込んでは失礼でもあるし、探索をおじゃんにしたのは私だ。

 

「違う、この目の前の面倒事を先に片付けようとしただけだ。そのニフラーを、……ハグリッド、引き取ってくれ」

 

んで、大きい人が手を伸ばすと、再びの変な威嚇ポーズ。

ついでに、きゅいきゅい鳴き声までサービス。

 

(アテシ、このキラキラのピカピカを貰うまではちかくに、いるの〜!!)

 

と、いう銭ゲバ思考が伝わる。

チミは、相変わらずガッツのあるモフモフだねぇ。

しょうが無いので、どんよりしているダーリンに伝える。

 

やだって、又、お腹の袋の中身を吐き出させられたら、ふて寝して動かないとか言ってるよ。

一応、道案内してくれるらしいから、ご機嫌はとっときたいな。

 

「嫌だそうだ……。」

 

「嫌われちまっただかぁ?」

 

嫌いではなくて、巣穴に金物を隠した後なら問題ないって。

チミ、相変わらずだねぇ。

 

「……ハグリッド、道案内の後で回収を頼む」

 

きゅっきゅと鳴くニフラーは勝利を確信したのか、手の中で再びの変な威嚇ポーズ。

今度は片足も持ち上げている。

ちょっとこの世界の魔法生物とか妖精って、皆、お笑い担当なの?

 

それ威嚇じゃないよね。

死んだふりみたいな感じ?

コワコワの魔法使いばっかり?

わかった、好きな宝石のリクエストを聞いてあげよう。

だから、その爺ちゃんの道案内をするのじゃ。

 

で、大きな人じゃなくて、困惑してる爺ちゃんの頭に乗せた。

 

知ってる?

爺ちゃんね、背が高いのよ。

この魔法界、高身長が多いのよ。

ダーリンとそんなに変わらないのよ。

その高い目線の更に上にある頭部へシュート!

 

「おぉ、そうかそうか、案内してくれるのか、ふふふっ」

 

だからね、爺ちゃん、すこしも年寄りに見えないのよ!

皆、小柄な好々爺だと勘違いするけど、演技な!

調子に乗る小動物が、そんな爺ちゃんの頭部でドヤる。

なぜか、セウェルスに向けてだ。

命知らずなのか、賢者の頭部なら攻撃されないと理解しているのだろうか。

どっちかっていうと、単なるお調子者だろうなぁ。

 

「……なぜ、校長の頭に乗せる」

 

校長の頭部で変なポーズを披露するモフモフを見て、目が淀むダーリン。

大きな人は少し羨ましそうだ。

 

爺ちゃんも、何も言わずに灯りの魔法を唱えた。

ご機嫌である。

どうやら、ニフラーの能天気ムーブがツボらしい。

 

ちなみに、爺ちゃんの杖は有名らしいよ。

普段使いが難しい、タイトルホルダーに与えられるチャンピオンベルトみたいなものだって。

 

じゃぁ元の杖は?

そう、爺ちゃん、今、ちょいちょい使ってるのが元の杖らしい。

 

つまり腰に二本あるんよ。

でも一見するとひとつの杖をつかってるように見えるっていう偽装がされてる。

 

たまたま部屋に入り浸ってたら、杖二本あるじゃ〜ん!!って話になった。

これはダーリンにも内緒らしい。

まぁバレてもいいから、私にペラったんだろうけどね。

 

ちなみにケルトバーン先生は、すでに杖先に灯りを浮かべて、興味津々。

ファング君は、最初からピルピル。

 

誰ともはぐれたくないし、先頭は無理だし、後ろも駄目。

かと言って私にひっつくとセウェルスに蹴り飛ばされる。

飼い主は飼い主で、もう当てにならないぃ!!というのが、ファング君の思考。

うん、だいたい正しいよ。

こっちに来なよ、飛びつかなきゃ、怒られないから。

 

灯りに照らし出されたのは、石のトンネルだね。

大きなもので、足元の階段の中央はすべり台みたいな傾斜になってる。

通路幅は五メートル以上かな。

コンクリートじゃなくて、やっぱり古い時代の硬い岩盤をくり抜いた感じだね。

方向からすると、北に向かってる。

もちろん、魔法的な仕掛けがあったら、方角も距離も関係ないかもだけどね。

空気の流れがあるし、魔法族達は爺ちゃんを先頭に静かに進んでいく。

そして頭部で方向をキュルキュル言いながら指し示す銭ゲバ。

シリアスがじゃっかん緩んでいるが、空気もこもっていないところを見るに、この地下通路、もしかしなくても密閉空間ではなさそうだ。

 

ホグワーツの地下って、薬学教室のある地下ダンジョンが最下層じゃないの?

 

「廃水処理の部分は更に下だが、厳密に言えば魔法建築物に本来の位置、通常建築の構造を求めるのは無駄だ。

物理法則はあるが、構造は魔法や誓約が優先されている。

そしてホグワーツ城は、その魔法と誓約により、常に改変改装が行われている。

わかりやすく言えば、時代とともに城が成長する仕組みだ。

成長だとわかりにくければ、補修改装を勝手に行う建物であり、利用者の望み通りの姿を維持する。

その原資には、生き物の自然放出分の魔力や、空気中の魔素を利用する。

故に土地そのものの魔素、魔の森も燃料の一部であるし、我々魔法族が利用する事で、このホグワーツは保たれている。

故に使われぬ古い部分も残っている。

どこもホグワーツだが、最初に作られた部分は既に遺跡だ。

始祖の時代は既に神話であるから、道理であろう。

そしてこの遺跡、つまり古い部分に時代ごとに新たな部分が積み上がり、現在に続いている。

だから本来の用途とは違う使われ方をしている空間もあるし、我々が利用していない部分も多い。

 

古代の遺跡の上に住んでいる状態だ。

未踏区域が殆どを占めている魔の森。

それも含めて、城も現在利用している部分以外は不明。

 

ずっと使い続けていたからこそ、調べもしないという事だな。

あと、城塞建築である事は確かで、時代によっては地下は墓地としても利用されていた。

 

気になって探ろうとはせぬように。

碌でもない代物が淀んでいる場合もある。

毒、呪い、悪霊。

冗談ではなく、今回のように迂闊に手を触れれば、それだけで命を失う仕掛けもあろう。

古いからではない、城塞建築とは守りの為に外敵を殺すように出入り口には様々な仕掛けがあるものだからだ」

 

私への講義だったけど、森番の大きな人は、そうなのかーって唸っている。

 

「そうじゃの、地下は特に物資を運び込む、戦になれば逃れる道にもなる。

そして敵が一番に入り込んでくる場所じゃ、創立者が罠を置くのは考えられようのぅ。」

 

と、言った爺ちゃんが立ち止まり、灯りで辺りを照らしながら見回した。

 

「何ぞ、ありますかい?」

 

「う〜ん、そうじゃのぅ。多分じゃが、人間以外なら通してもらえそうな仕掛けじゃ」

 

それにケルトバーン先生が、天井を見つめた。

 

「先生は研究で、外に行くんで、慣れてるんだ」

 

と、大きな人が教えてくれる。

つまりインディー・ジョーンズとかララ・クロフト?

 

「それは誰だ?」

 

架空の冒険家で考古学者?スーパーレジェンドアクションできる主人公。

 

「……魔法生物研究をする人物は多かれ少なかれ、危険な自然の中に行く。

当然、マグルの物も含めて遺跡にもだ。

つまり君の想像はあながち間違いではない。正解でもないが」

 

なるほど〜。

何も無い空間を探るケルトバーン先生は、ひとしきり辺りをごそごそした後、やっぱり天井を見上げた。

 

「振り子、落下物天井ではないですが、上から来ますね。

足場は崩れないかと」

 

と、怖い事を言った。

 

「まぁFloat、impenetrableぐらいかのぅ」

 

で、爺ちゃんが足を踏み出すと上から黒い影が通路を切った。

切った、だよ。

ぶおって音は残像の後。

 

まじか〜……。

 

驚きと恐怖で、何か、そんな感想しか出なかった。

でっかい刃物、ほら、ゲームで出てくる、でっかい振り子の鎌だった。

ギロチンとも言う。

もちろん爺ちゃんは輪切りになっていない。

刃物は静止して揺り戻しの動きのままで上にある。

 

輪切りかと思ったよ!!

 

しがみついている相手が、呆れたように息を吐いた。

 

「校長に、あの程度の物理攻撃は効かない。もちろん、君は半分になるだろうが。」

 

へいへい、わかってるよぅ、世界最高峰攻撃型賢者様に、ダンジョントラップは無効っすよぅ〜!

 

「そうでもないぞぃ、これでも不意打ちは、転ぶぞぃ」

 

いや、転ぶだけかよ!!

 

で、何の変哲もない薄暗い石の通路は下へと続いている。

緩やかで脇道も狭くて入り込めないものばっかり。

それでいて特にジメッともしていない。

時々、即死級(ワイだとな)トラップが発動して、刃物跳んできたり、溶解液が溢れたりと、ゲームかよという罠がお見舞いされたが、それ以外は普通?の地下道だった。

その間、銭ゲバモフモフは賢者の頭部で、驚いちゃったポーズをかましている。

 

何で三点倒立すんねん。

チミもこんな即死級のトラップ避けてきたの?

そんな訳無い?

それにしては余裕のポーズに見えるんだけど。

 

「多分じゃが、人間の侵入者にだけ反応するんじゃ」

 

じゃぁワイだと、どっち判定?

 

「葵!」

 

いや、ダーリン、怒らんといて。

耳元で怒鳴られて、ちょっと聴力が死んだぞい。

そしてガクガクしないでちょ。

まじで単なる興味だから!

この罠作った人は、どんな設定したのかなぁって。

魔法生物がどの程度の割合だと、人以外にするんだろうという純粋な……、悪魔のような表情になっちった。

ごめんち……。

 

「確かめてみるかの?」

 

「校長!!」

 

「その、何の話を」

 

困惑する魔法生物大好きっ子な大人二人。

それに爺ちゃんは、イタズラっぽい表情で言った。

 

「ちょうどいい、そこは床が反応する。

確かめたが、穴だけじゃ。

浮遊の魔法を使っておけば大丈夫じゃ、ほれ」

 

んで、爺ちゃんは私に魔法をかけた。

ふよっとなる。

 

「嫌です」

 

なんというか、ワイ、すこし恥ずかしいのよ。

これ、どうみても両腕で抱きしめられてるのよ。

 

「大丈夫じゃ、信じなさい」

 

「疑っているのではありません。嫌なのです。

きっと何も心配ないのでしょう。

ですが、嫌です。

森に連れてくる判断も間違いでした。

もう十分でしょう、悪趣味だ。」

 

ガッチリ抱え込まれながら、反省するのワイじゃん。とか思いつつ、彼の腕を叩く。

 

わかってる。

ワイ、不注意。

ワイ、もしかしたら重大な事になってた。

それもこれもお調子者のワイが原因。

 

そして、彼は少し、血の呪いの影響で、たぶんだけど、嫌な事を思い出してる。

私じゃなくて、誰かを失ったときの気持ちだ。

 

ごめんよ、まじ、ごめんよ。

傷つけちゃったよ、ごめんよ。

 

聞こえないように唱える。

魔女の血よ。

どうか、彼を束縛するな。

お願いだ。

彼は自由でいいんだ。

彼の意思で協力するだけで十分なんだよ。

 

「落ち着きなさい。大丈夫なんじゃよ。

そしてな、知るべきことなんじゃ。

それも早い内に、お主が思うより、何もかも早くしておかぬと、それこそ手遅れになる。」

 

そして爺ちゃんは、ゆっくりと言い含めるように続けた。

 

「大丈夫じゃ、もし魔法を解除されても、見たところ護符の首飾りは有効なままじゃ。

どのような罠であろうと、君が作り与えたものだ。

並大抵の攻撃で壊れる代物では無かろう。

恐れる必要はない、違うかね?」

 

振り仰ぐと、思うより普通の表情が見下ろしていた。

 

「……恐れてなど、いません」

 

そうして降ろされて、地面から浮き上がるワイ。

 

大丈夫さ。

そう、私が怖がったから、彼が少し、心配してしまっただけだ。

なら、怖がらない。

私は、ワイは怖がらない。

へへっ、大丈夫だもん。

楽しいことをさがすんだもん。

うん。

ちょっち楽しい。

 

ひとりじゃないぞ。

みんないるぞ。

ここに私は生きてる。

大丈夫、うん、楽しい事をさがすぞい。

ちょっち楽しい。

そう、信じて。

信じる、信じ込む。

 

それが伝わったのか、セウェルスはいつでも引き戻せるように手を差し出したまま、猿め!と呟いた。

 

なるほど、と理解する。

 

爺ちゃんは、きっとダーリンを心配してる。

多分ね。

私の失敗が、この人の、何かを傷つけた。

 

だから、私が元気じゃないと駄目なのは正解。

 

正解をチョイスしろ。

冷静な私よ、そうだ。

 

何も怖くない。

伝わっては駄目、そういうのはフェアじゃないもんね。

爺ちゃんはいつもの感じに戻そうとしてるんだね。

 

楽しい、でしょ?

うん。

 

ふわふわと罠の上に漂う。

浮いてるから、反応しないとか?

と、思ったら、爺ちゃんがそっと床に私を下ろす。

たぶん、浮遊はかかってるけど、歩いてみる。

 

……うん、下に空間があるのがわかる反響音。

歩き回るが反応無し。

 

「じゃぁ儂に同じ魔法を頼みます、校長。」

 

で、ケルトバーン先生が入れ替わりで足を置いたら、瞬時に床が消えた。

のわ〜って声をあげる先生。

大丈夫、浮いておられる。

 

『わ〜ワイ、魔法生物?』

 

ふざけて魔法文字を浮かべたら、ダーリンにマジギレされた。

 

「この大馬鹿者!!」

 

ガクガク。

まだ、安心できてないかぁ。

ははは、大丈夫だってば〜あははは!

 

多分、拳骨とかシビシビはダメージ与えるから~とか気遣いもあるんだろうけど、揺すられるのも地味に脳みそにダメージが来るから!

 

「二度とくだらぬことを口にするな!このっ」

 

「まぁまぁセブルスや、つまり味方の魔法生物には反応しない。どう思うかね?」

 

言われて大人組の顔が曇る。

どういうこと?

 

「ここは魔法生物用の場所だ。そのニフラーに聞け。ここは何の住処だ?」

 

目が血走ってるね、ダーリン。

万年寝不足って、突然死するって前から言ってるけど、マジで4日過ぎたら昏倒させるぞい?

はいはい、怒らない、怒らない。

わかったって、ねぇ、ここは誰のお家?

 

ぺやっと口をひらいて、銭ゲバモフモフは答えた。

 

(でかでかブンブンがいるの〜れでぃなら、だいじょびよ〜)

 

そうだった。

でかでかブンブンね。

 

『でかでかブンブンだそうです』

 

大きさは?

 

『この通路いっぱいぐらいだそうです』

 

そりゃもう、大人たちは帰ると進むで割れた。

誰が帰るって?

そりゃダーリンだけだけどね。

 

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スリザリンの継承者とは私のこと。▼そんな少女が闇の魔術と共に魔法界を突き進む。▼ダンブルドアの正義とやらに違和感を感じる方、▼倫理観が茶匙一杯の悪役主人公が暴れる話が読みたい方、▼あるいは性格の悪いあなた、どうぞこちらへ。▼※原作キャラクターは誰おま状態かもしれません。▼アンチ・ヘイトタグは念の為ではありません、本気と書いてガチです。▼地雷だらけです。合わな…


総合評価:350/評価:7.08/連載:64話/更新日時:2026年07月24日(金) 01:30 小説情報

一九九五年度『闇の魔術に対する防衛術』教授、ペルセオン・セイア(旧姓リドル)(作者:T・M・レボリューション・リドル)(原作:ハリー・ポッター)

アメリカの闇祓い、ペルセオン・セイアがホグワーツに教師としてやってくる話。▼出自は真っ黒、父親はあれ。生まれた事自体が罪みたいな彼がやってくることで物語が変わり出す


総合評価:1761/評価:8.55/連載:10話/更新日時:2026年11月03日(火) 00:40 小説情報

俺のハリポタなんか変(作者:パシフィカ)(原作:ハリー・ポッター)

前世の記憶を持って生まれた少年トム・ブライトは、約11年間マグルの孤児院で過ごしてきた。▼彼は普通の世界へ逆行転生したと考え、人生プランを練ってきた。▼しかし、突然届いたホグワーツからの入学通知がすべてを変える――これはヴォルデモートがハリーポッターを殺害し、ダンブルドアへ勝利した世界線で転生少年もがき、苦しみ、救世主へ至る物語。


総合評価:2781/評価:8.48/連載:35話/更新日時:2026年10月26日(月) 12:04 小説情報

闇の魔術大好き少女が認められるまで(作者:闇の魔術連盟名誉会員)(原作:ハリー・ポッター)

例のあの人(ヴォルデモート)の影響なのか、不当に貶められている闇の魔術。▼名前を聞くだけで忌み嫌われるその魔術も、本来は魔法族がもっと便利に、もっと幸せに暮らすために使われるべきもの。▼今はまだ、魔法省の目を避け、地下でこっそり研究を続ける日々。▼けれど、いつか闇の魔術が正当に評価され、誰もがその便利さを認める日を夢見て……▼少女は今日も、無遠慮に魂を弄繰り…


総合評価:2751/評価:8.25/連載:31話/更新日時:2026年09月26日(土) 18:28 小説情報


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