ハリーはでてないけどね!
あいかわらずの寮監先生&人外生徒の明日はどっちだ。
R15は、予防処置と寮監先生の苦行でできています。
呪われた杖、狐ちゃんを手に入れた。
いえぇい!
これで魔女っ子だ。
呪われてるけど、副作用ないの?
「杖を紛失するな。誤って手にした者が燃やされる可能性がある」
いや、それ私の責任?
「オリバンダーが専用の杖ホルダーを寄越した。
他者がくれぐれも誤って触れないようにと、箱も」
呪われた箱ですよねー、きっと処分したかったんでしょうね。
あぁ杖ホルダー、深いワインレッド、可愛い。
「かもしれんが、もらっておけ。
その箱も寮生や周りの者が触れる場所に置いておくなよ。
いや、一度、ダンブルドアに見せるか」
先生的には、大丈夫なんでしょ?
「オリバンダーが言う呪いは、癖のある杖の特徴にすぎない。
使用者に忠実な杖や、使用者が能力を示さなければ従わない杖もある。
それが極まると、その杖のようになるのだろう。
まぁ盗難や奪おうとした者を焼くぐらいの方がいい、のか」
セコム付きね。
「どういう意味だ」
自動防衛機能付き杖。
「良く言えばな」
さて、いよいよ本命、服と下着を買いますぞー!!
ちなみに、マグル界の下着屋さんと、ダイアゴン横丁のお店、どっちが魔女的に正解ですか?
「知らん」
先生、きっと休暇中にマグルの衣料品店で適当に買うタイプですね。
まぁきっと店員お勧めをそのままかもですが。
「帰るぞ」
やだー!!
このままだと不味いんです。
ジャパンの女子高生でもあやうい、絶対領域が出現しちゃうんです。
魔法的にサイズ調整にも限度があるんですぅ。
「聞きたくない」
わかりました。
この通りの普通の婦人服の店で、魔法界的スタンダードな服と下着をちゃちゃっと買いますから。
必死に説得した。
まぁ周りから見たら、ぐいぐいローブを引っ張って、いやいやしてただけなんだけどね。
聞いたことのある声が聞こえたところで、寮監先生が折れた。
(あれ? あの黒い服...
一緒にいるの...
黒衣の不審者
だ、大丈夫よ、ね
あれは、報告いらないわよね。
なにか揉めて...ひそひそひそ...)
多分、スリザリン以外の誰かだ。
ごめん。
制服はオーダーメイドのマダムマルキンの洋装店というところで。
ここは、殆どのホグワーツ生が利用するお店だそうだ。
独特のファッションセンスの女店主が、マダムマルキンなのだろう。
藤色って中々ないよね。
「付き添いだ。
彼女は言葉が不自由だ。
筆談か、必要な事があれば吾輩に。
ホグワーツの制服を、替えも含めて一式、必要な枚数を。
普段着や生活に必要な衣類一式を同じく頼む」
で、寮監先生は入口付近の椅子に収まると、どこかからか取り出した本を開いた。
もう防御態勢は万全だ。
全身から不本意であるとの空気を醸し出している。
はーやーくしろー
「はじめましてお嬢さん、私の店は初めてね。
お名前をお伺いしても?」
「ドヴワティーヌ嬢だ」
「ありがとうございますミスター」
店主は私に目配せをした。
男って駄目ねぇ〜のあの視線だ。
メモにカキカキ。
下着とパジャマが欲しいです。
店内には他にお客の姿はない。
女性店員さんに聞いたら、時期的に混雑するのは夏休みの終わり近くだそうだ。
「細い、それにしても細い、羨ましいですぅ」
ガっとウエストを測りながら、店員さんが言う。
そりゃぁ子供だもん。
「実は女性用下着のラインナップは、あちらの奥の仕切りにあるのですが。
女性専用ですので、お嬢様だけをお連れしても?」
「奥の安全を確認してからだ」
「出入り口や窓はございません」
「安全確認だ」
「男性を入れただけで、展示商品の購入を嫌がる方がいらっしゃるので、ご遠慮いただけると」
「じゃぁ、購入は不可だ。会計をしろ」
ねぇ、貴女の保護者、大丈夫?
事件性無いわよね。
ホグワーツの教師だけど、前例あるし、事件じゃないわよね?
的な視線を受けるワシ。
仕方ねぇんだよ、というしかめっ面の寮監先生はイライラと指をトントン。
凍りつく空気に、オロオロする女店員さん。
うん、まぁ簡単な話なんだけどね。
台の上から降りて、先生のローブを引っ張る。
そいで仕切りの側に一緒に行く。
寮監先生に手前で立ち止まってもらう。
直ぐ側なら、対応できるでしょ?
仕切りのアコーデオンカーテンをゆっくり寄せる。
試着室の可愛らしい扉を開け、見てもらう。
中には入ってないよ。
その間、店主と店員は無言。
本当に、安全確認で意地悪とか変な意図はないんだね、でも、気持ち悪くね?
って思ってそう。
腕を引くことを了承してもらって、寮監先生が確認したい場所を指し示す。
一緒ならね、いいんでしょ。
入ってないしね。
仕切りの向こうは下着の山だったが、出入りできる場所や覗き見できるような場所はない。
変な人が潜んでもいない。
色のリクエストはあります?
と、軽いセクハラをしてみる。
当然、無視。
怒らないでくださいよ。
わかってますって、素早く終わらせますから。
んで、二人で戻って、再び、先生は本を開いて座った。
カキカキ。
先生、真面目だから。
で、女主人と店員は寛容の微笑み。
試着を繰り返し、数組購入。
下着に関しては、やっぱり少し古風だ。
ただ、シルエット的には可愛い。
そしてやっぱりガーター使用。
ベルトとリングは両方買った。可愛い。
ついでに色々、店主に頼んだ。
小物や雑貨、取り扱っていないだろう品だけど、無理を言って料金を上乗せして頼んだ。
ここまでかなってね。
たぶん、先生は、すでにいっぱいいっぱいだ。
私とパスが繋がっているせいだろうか。
何か、マイナスイメージというか、苦しさが伝わってきていた。
この街に来てからずっとね。
それは買い物の煩わしさに対してとか、会話のやり取りが原因じゃない。
ぜんぜん、別次元の苦しさである。
私が嫌いとか、状況がいやってことじゃないって意味。
今も、ここにはいないんだよね。
彼はいない。
本を開き、文字を追っているが、何か、別の事を考えている。
そう感じて……、やっぱり、私ってさ、寄生虫?
感覚の共有ってのかな。
あーまずいなって。
見てなくても、感じる。
寮監先生は、ふと、店の外の通りに目を流した。
ここに来たくないのは、別の原因があるのだろう。
魅了の力の話と一緒。
私の事なんて、どうでもいいのだ。
この苦行に耐えているのも、関係ない理由。
投げかけられる面倒な事柄も。
私の冗談も、それから他人の評価も、全部、寮監先生には、どうでもいいことなのだ。
だから怖くない。
怖いことは別にあるし、今、彼の周りにある事柄なんて、全部、些末な事だ。
なぜ、わかる?
私が侵略し、厚かましくもベタベタと思念でまとわりつき、常にその外側を撫で回しているからだ。
いやぁセクハラセクハラ。
寮監先生は、時々、そうして絶海の孤島にでもいるように遠く、遠くなる。
当然、孤島には誰もいないので、聞こえているはずの言葉も潮騒にまぎれてしまう。
寂しいが、その孤独によって、私の平穏は確保されているって事。
寄生虫ごときが、私から何か奪えるとでも? 馬鹿らしい。である。
それなのにだ。
私のほうが、気になってしまう。
凍りついた金属に手を伸ばしてしまう訳だ。
最初から疑問だ疑問だっていう、なぜ、この人に念話を通しているのか? これね。
その痛ましさを勝手に想像し、冗談で煽り立てるか、身勝手に慰めたくなってしまうのか。
何度も己に確認するが、彼は趣味ではないのである!
私が愚かな子供だから?
保護者に据えるにも、魅了をかける相手としても、彼は規格外だ。
すると理由は、私が、傲岸不遜だから。と、なってしまう。
だって結末なぞ想像するまでもないでしょう。
振り払われ鼻で笑われ、そして二度と会話をしてくれないだろう。
凍傷を負い、偽善という名の皮を剥がされ終わるのだ。
寮監先生の言う通り、それでお前はどうするつもりなのか? である
手を出すならば、腐り落ちた肉の中から、骨を取り出すまでの覚悟が必要だ。
そもそもさー寮監先生に原因があるんじゃないの?
そんな結論に、ループ。
セクハラめいた思念で、弱点を探したくなるわけだ。
無駄な攻略をしかけるなよ。
前提として、私が大人である必要がある。
面倒くさい、原因不明で、思念を混ぜる相手を探求するのは、私が同等の大人だったら、だ。
考えてもみてほしい。
如何に前世の私が大人であっても、今の自分は子供だ。
促成栽培中だが、生きた年数はローティーン。
それが大人の男の中身を探る為、頭の中身をかち割るとか、スプラッタな予想しか無い。
宿り木に自分で火をつけるようなもんである。
ぼやかさずに言えば、この手の男は中身を見た相手を許さない。
ぶっ殺されなくても、魔法的に呪われそうだ。
さらにさらに言えば、シリアスは十分、お腹いっぱいなのである。
己が状況もドシリアス。
ストーカー被害に、叔母さん、飛ばしちゃったし、何か良くないモノにも狙われてる。
能力は、男の頭をパーにする魅了だし、友達作れなくなる要素満載。
モノホンの女になったら、人間関係マッシャーになるだろう。
悲しい、隠遁するしかない。
叔母さんと暮らすといったけど、見守るスタイルになると思う。
お薬売って引きこもる。
私、早く言えば妖怪みたいなものだもの。
女郎蜘蛛、スカンク、妖怪、寄生虫。
ねぇ、この世が全てどうでもよくなる出来事を背負ったヒーロー。
悲劇の主人公かもしれないけれど、残念、私の物語じゃないわ。
記憶だけ大人を取り入れてもね、できないことはできないし、癖の強い男の苦悩なんて、関わっちゃ駄目。
そう、こっちから関わっちゃ駄目。
最近ちょっと近すぎたね。
反省反省。
困った人ね、あまりシリアスを飼ってるようなら、色々、イタズラしちゃうぞっ!
まぁイタズラは、程々にしてあげないと。吾輩氏、過労死寸前だもんね。
労災でなさそうだし、今日は我慢しゅるー!
とまぁ、全部棚上げ。
シリアスにも付き合わない。
そして今、自分ができることは、さっさと買い物を済ませる事だけだ。
そうして荷物はお届けしてもらえるように手配をし、すぐに使うものだけ手荷物にしてもらった。
「帰るぞ」
ロンドン駅に戻り、飛ぶ前に、目に入った売店でお菓子を購入。
で、ポートキーを握る直前、先生のポケットにナッツの袋とヌガーのお菓子を突っ込んだ。
片眉をあげる相手に、私は肩をすくめる。
仲直りの賄賂。
で、魔笛を二人で握り込んで、今日のミッション終了。
***
それから寮監先生は夏休みになり、私は寮に引きこもった。
異常成長、促成栽培な私に、他の寮の残留組がドン引いているようだ。
筆談をすると、スネイプ先生に許可を取らなくて大丈夫?
戦ってからじゃないとお話できないんじゃないの? って真顔で言われた。
ちなみに夏休み前の話だけど。
ウィーズリーの双子の兄ちゃん達は、寮監先生に日々挑んでいる。
そしてついでに私と遊んでいく。
手を繋いでグルグルとか、ほいっと上に投げてくれたり、よくあるやんちゃ兄弟のスキンシップである。
重要なのは、私がついでで、寮監先生に悪戯するのがメインだって事。
皆、寮監先生も勘違いしてるけど、いたずらされた時の反応を知りたがっている。
オマケの私と遊ぶ時は、本当に構ってくれてるだけ。
それから寮監先生に私が悪い魔法をかけられて成長してるって噂と、どこかから誘拐してきたという噂が流れている事を教えてくれた。
ごめんねって。
なんだかんだ言って、元の噂の元となった自分たちの軽口を、きちんと反省しているようだった。
私自身の、ならべると最悪な状況の詳細が広まったのもある。
魔法使いの両親、マグルの飛行機事故で死んでる事。
スクイブの叔母さんと暮らしてたけど、犯罪に巻き込まれて行方不明になった事。
私は、その犯罪の被害者で、事故で記憶と言葉がおかしくなってる事。
さらに恐怖体験と血筋から、成長が早まって大きくなってること、などなどだ。
まぁ大体が、男の子達との接触を減らす為に、話を広めているのだろう。
結びは、寮監先生に許してもらってから話しかけてね、だ。
誰がって、まぁ校長先生だろうなぁ。
それで元々、陽キャで優しい彼らは、自分たちの弟や妹と同じように遊んでくれているようだ。
ホグワーツの子って、こう何だか、いい子が多いよね。
ちなみに残留してる生徒は、当番の先生が面倒を見てくれる。
今回は、フィリウス・フリットウィック先生。
実にチャーミングなレイブンクローの寮監先生だ。
呪文学の先生で、小柄でニコニコ、私的には一推しな雰囲気。
そう、陽の気配である。
久方ぶりに、なんだかこう、陽キャのエネルギーを感じた。
酷寒の寮監先生とは逆。
ただし、私の事情を知らない先生なので、なるべく近寄らない。
そんなフリットウィック教授の専攻は呪文学。
発語してはならんし、発語制限あり。
むりくり喋ると幼児の叫びというか謎のお返事。
呪文学、無理。
そもそも喋れない。
そこで大広間、ご飯の時に聞いてみた。
休暇期間中は、残留組は同じテーブルにつくんだ。
魔女として発語に問題がある、呪文学が学べないのではないか?
先生の答え。
呪文は言葉、音とした方が、確実で正確な行使に繋がるは自明である。
しかし、呪文を理解し完璧に想起、魔力を動かす修練は、発語に問題がなくとも必須である。
理論と構築においては、発語が必ずしも修練に必要ではない。
そもそも呪文を正確に理解し、思考だけで完璧に完成させる事が、呪文学では重要。
発語はそれに倣えば、自ずと揺らぎ無い呪文の行使につながる。
完全な呪文の想起、完璧な魔力操作、遅滞無い呪文の言葉。
美しく、素早く、芸術とも取れる複雑な呪文を完成させるには、発語だけに注力しても無駄なのだ。
そもそも古来よりの知識を知り構築される呪文がどのような意味と目的、最終的な形になったのかを学ぶことが呪文学の面白さである。
それは新たな呪文を作り出す事さえ可能にし、さらなる知識の深淵へと到達する足がかりである。
魔法使いとは、魔力があるだけでの凡夫の事を指すのではない。
魔法使いとは、知識を探求し、未知の世界を選ぶ者である。
呪文学は、それを可能にする学問であり、魔法使いとして思考を続けるなら、何事も不可能はない。
ただ、無言呪文を習得するには、少なくとも六年次からになる。
つまり私には無理。しょんもり...
「いや、ドヴワティーヌ君は、正確に音を理解し、呪文を理解できる。
呪文に関しての聞き取りは問題がないのだろう?
そして言葉として形にできないが、音無く呟くことは可能ではないかね?
君は呻くことも息を吹き出す事もできる。
例えばハミングだ」
歌、か。
だが、音程、音節となると...
あぁ歌として認識するのか、呪文のイントネーション、ミュージカル、いける?
校長先生が不在の時、テーブルには、私の魔力吸収用漬物石が置かれている。
日に日に大きな物に取り替えられており、それが校長先生みたいに、ちょこんと置かれ、何故か顔が書かれた紙が貼ってある。
校長先生に似てる。
その石を見ながら、考える。
可能性について。
寮監先生は、必ず息を吹きかけさせて確認している。
魅了が漏れてないか。
そして歌も歌える。
歌には、今のところ魅了が乗っていない。
乗せる事もできるけどね。
フリットウィック先生が頷く。
呪文、お口の中で囁いても成立するし、寮監先生は簡単な呪文の行使は無言だった。
小声で歌う?
これは、試してみるしかない。
「ただし、セブルスが帰ってきてからだ」
事情を知らぬはずなのに、何故か、私のお目付け役は寮監先生で確定していた。
***
そして7月が終わり、さらなる暑い季節が訪れた。
とは言っても、イギリスの高地の夏は、そこそこだ。
身長の伸びは停止した。
163センチだ。
急成長は止まってくれた、よかった。
そして体重は相変わらずである。
痩せぎすではない、痩せている。
最近、オヤツがそっとお部屋に置かれている。
牛乳とオヤツだ。
たぶん、屋敷しもべ妖精さんだと思う。
校長先生かな、食べろって事だよね。
牛乳苦手。
でも、ちびちび毎日飲んでる。
効果が出てるのが、お胸である。
げんなりする。
しょうがないので、制服はお胸がめだたないように大きめにしてる。
しかし、9月の新入生に混じったら、高学年と低学年ほどの差になるだろう。
まぁ仕方なし。
このまま老けてくの?
とか心配してたら、なぜか、校長先生がお休み期間に戻ってきた時に、特性が強く出ていて、老けない可能性の方が高いって言われた。
どうやら、母親の血筋も詳細ではないがわかったようで、やっぱり男を食い物にする系魔物の血が入っているらしい。
ジャパンに親族が残っているようだけど、殆ど他人のようなもので、縁者として頼るほどじゃないそうだ。
そいで成長の事。
ヴィーラ等の魔法生物の血が少しでも混じってると、成人までは早く成長するけど、その後、容姿に年齢が現れにくくなるそうだ。
喜ぶべき?
私としては、あんまりうれしくない。
ますます、妖怪、寄生虫みたいだしね。
魔法族としては、それほど問題じゃないって。
そもそも魔法族は長命だ。
校長先生だって、マグルでいったら寿命越えてるしね。
そいで、とうとう、新学期を目前にして、先生方も戻ってきた。
私もいよいよ、普通の学生生活ってのを送れるわけだよね。
...
そこ、すんごい馬鹿にした目で見てる教育者、口にだせよぅ!
「毎日鏡を見ているかね、頭だけでなく視力も悪くなったようだ」
視力はいいですよ、魔眼も絶好調です。
この間、レンズが粉々になりました。
「抗魔に吸収素材を混ぜたのが失敗か」
先生、また、手広く仕事してたんですね。
お薬じゃなくて魔道具とか、そこまで手を出して。
そんなだから夏休みなのに、負のオーラと疲労マシマシになるんですよ。
マシマシにしていいのは、フラペチーノのクリームだけですよ。
バケーションじゃなかったんですか?
つーか、普通に念話通じるし。
恋人とイチャイチャの夏とか過ごし「黙れ」
好奇心じゃなくて、誰か別の女性の干渉とか意識の変化で影響あるかなぁと。
まぁそういう変化を受け付けない鉄壁の身持ちの堅さですか、はい。
参考にならん。
「教師のプライベートを探るんじゃない」
あー、もしかして灰色の夏休み、時間外労働三昧とかですか?
夏も冬と同じく突然死の季節ですよ。
少しは労ってくださいよ。
「新入学前の面談である。私語は止めろ」
はーい。
「良く聞いておけ、正式に入学すれば、今のようなゆるい言動は許されなくなる」
寮監先生だけしか、聞こえてないけど。
あぁ時々、校長が開心術で立ち聞きしてますね。
お歌のリクエストは断ってます。
無差別に何か魔法をかけられそうで。
楽しいならいいじゃないっていうスタンスは嫌いじゃないんですけどね。
「そんな事になっていたのか」
何か、母方の血筋が面白い感じだったらしくて、私の魔眼ってのの効果範囲を調べたりしたいらしくて。
でもいまいち体内魔力が安定してないからって、それじゃぁお歌が聞きたいとか。
それもなぁって。
校長、多分、歌の能力開発したがってそうなんですよね。
どんな考えなのかイマイチ読めなくて、コントロールできなくなったら、唯一のストレス解消方法が失われちゃうから保留ってしてるんですけど。
偉大な魔法使い? だから、大丈夫なんでしょうけどー。
まぁ、いつも通りの平常運転なんですけどー。
って言ったら納得したのか、寮監先生は眉間を揉みながら続けた。
「嫌だと思うことは却下で良い。
これからは教師といえども、不快、不本意と思えば拒絶して良い」
そうなんですか?
「お前と同じ新入生は、前にも語った混乱時期生まれの子どもたちが含まれている。
親や親族でも立場が割れているし。家族内でも対立陣営に属している場合もある。
これまでのような学内の雰囲気とは一線を画する様相になるだろう。
何だ?」
中道という立場は取れるでしょうか?
「消極的意見表明は可能だが、スリザリンは純血主義であり、闇側と糾弾される場面が多いことだろう。
対立陣営はグリフィンドールとなる。
彼らは校長、副校長を含めて、正義の立場であると傲慢に立ち居振る舞うのが常だ。
そこに理屈も理性もない。
他の寮は日和見だが、正論と強権に流れるだろう」
って、対立構図を狭い学校内で作り上げるんですね。
原作ってそういう話なの?
良くわからんが、死なない立ち回り、日和見で、すむかなぁ。
「私が君にだけ、先に説明をする意味を考えろ」
あぁ、中立とか無理?
「魔法界は古い体質が生きている。
その並外れた外見だけでも十分に、純血の証明になる」
混血ですが?
「実際、純血の根拠の証明などできないのだ。
誰が主張し信じているかが問題なだけだ。
純血の名家と主張したのも、根拠は無い」
面倒だなぁと考える私に、寮監先生はサラッと言った。
「ホグワーツで起きる出来事は、すべて外的な要因が裏にある。
君に忠告をするとすれば、大人も子供も嘘をついているという事だ。
嘘だ。
嘘を真実だと思いこんでいるともいう。
君が巻き込まれない唯一の方法は、日和見ではなく、常に多数に含まれる事だ」
ん? 日和見じゃん。
それに寮監先生は、馬鹿にしたように指を振った。
「言質をとられず、答えを返さぬように振る舞え。
多数に含まれていても敗者に含まれてはならない。
勝者に含まれていても少数になってはならない。
目立たぬことは無理であろうが、強者に阿る事は得意であろう?」
そのやり口だと、私は寮監先生から離れませんよ。
「そういう解釈ではない」
貴方の庇護下にある事で、あらゆる答えを丸投げできますもの。
「逆だ。
私自身が、嘘の渦中に置かれる。
流れる噂以上に、立場が悪くなるだろう。
新学期と共に、阿る相手を選ぶのだ。
私以外にだ。
ただし、男の教師ははずせ」
寮監先生より年下の先生って奴ですか?
まだ、お会いしてませんよ。
入学式に、改めて組分け式の時に最初に説明してくれるって段取りらしいですし。
そもそも寄生虫扱い健在。
新入生で仲良くできる子いるといーなー。
「浮くに決まっているだろう」
現実って残酷ですよね。
「私も、これからどうなるか、予想がつかない」
埋められた死体みたいに、椅子の背に体を預ける。
力の抜けた身体に虚ろな瞳。
魔法界の基本情報は歴史の教科書では記号にすぎない。
何が触りになるのかわからない以上、寮監先生の言う通り、ひたすらご安全にと、注意せねばならない。
つまり私の知らぬ有名な物語が始まるのだろう。
「一年入学後、個人的な面談の回数を減らす。
私自身の立場で不利益を被りそうな場合は、そばに寄るな。
いいな、無事に卒業する事、君自身の力をコントロールできるようになることを優先しろ。
相手を問わず、甘言を弄する輩には近づくな。
愛という便利な言葉を囁く輩もだ。
そして常に、一人にならぬようにしろ。
あとこうした念話が通じる相手が新たに出た場合は報告するように」
はい、パパ。
茶化したが、寮監先生は怒らなかった。
***
茶番をすることになった。
一年生とか、皆に混じって新学期を迎えようよってなった。
改めて、皆の前で組分け帽子を使えって。
汽車が到着したら、そこから無地のローブ着て、混じれって。
ダルい、面倒、すごく嫌。
これこそまさに拒否案件。
「セブルスもつけよう」
お菓子のオマケみたいにつけられた寮監先生の表情が地獄の使者のようになった。
すごいナーバスになってるってわかる先生を、微笑んで見つめる校長先生。
散々お出迎えの用意をした末の、夕方になっての、これである。
「最初で最後、一度きりの入学式じゃ。
本当なら、他の子供達のように集まって汽車の旅もさせてやりたかったがの」
「...駅まで、送ります」
私の存在は、周知されているし名前も教師の間では知られている。
それでいて森番の人もだけれど、正式に紹介はされていない。
つまりこれから始めましょうというのは、本当なのだ。
不穏な事ばかりだが、それでも駅まで送ってもらう。
因みに、隣接する村から迎えに出る馬車にて送ってもらった。
個性的な馬だった。
馬でいいんだよね?
「セストラルが見えるのか?」
見えちゃ不味いのですか?
仕込みで駅で待つ。
虚しい。
「子供なら楽しいものだ」
先生も、子供の時、楽しかった?
「あぁ」
やがてレトロおしゃれな蒸気機関車が到着。
子どもたちの流れに、良く見知った先輩方の顔もある。
あちらも寮監先生に腕をとられた私を見て、驚くとともに察したようだ。
でかくとも、ワイ、新入生。
異次元レベルに成長してるけど、ワイもうすぐ十二歳になろうかという、少女。
詐欺である。
チマチマとした子どもたちを見て、ほんわかとする。
可愛い。
なんだろう、己と違い、なんて可愛いんだろう。
「足元に気をつけろ、余所見をするな」
いや、すごい可愛いんですけど?
「...君の同級生だ」
薄暗い灯りに並ぶ子供たち、その列の最後に腕をとられて並ぶ。
振り返った子供がぎょっとして飛び上がった。
「おぅスネイプ先生、お姫様も今日からこっちに混じるんだな!」
大きな人が怒鳴る。
船に乗ろうとしていた子供も含めて、皆が振り返りぎょっとするのが見えた。
ほら、いわんこっちゃない。
「彼女は言葉が不自由だ、気を配ってくれ」
「はいよ、万事しっかりまかせてくれ!」
「おとなしくしていろよ」
と、囁くと寮監先生は馬車のほうへと向かった。
私もそっちがいいなぁ。
「そいじゃぁ、ついてこいよ!
いっち年生は残ってないか?
足元にはぁ気をつけろよ。
さぁついて来な!」
大きな人の後に続いて、子供たちが歩き出す。
暗くて足元が悪い。
隣を歩く女の子がフワッと後ろに傾いだ。
咄嗟にその後頭部に右手をそえる。
「ひぃい転ぶところだった! ありがとう」
どういたしまして。
っと、寮監先生のノリで返したけど、伝わらないんだった。
いいえ、という感じで首を振る。
それを見ていた周りの子供たちの一人が、小声で言った。
「お姫様なの?」
まさか。
この私がお姫様だったら、王子をロープで縛って売りに出すわ。
なんて純粋な子供に言っていいセリフじゃない。
否定の身振りをして、先を急ぎましょうと手を向ける。
いちおう、この足元の悪い場所を歩くのにも意味があるらしいよ。
ホグワーツの歴史では、開祖の行いを踏襲してるって事。
これも入学式のひとつの儀式って事だね。
因みに子供たちの身長は130センチ前後。
目立つなと言うミッションは、そもそも無理ゲーだったりする。