ダンまち世界に、異世界戦士の記憶が継承されるのは間違っているのだろうか 作:麵魔
まずお試しという形で出します。
もしキャラ達の喋り方が変だと感じたら誤字報告などで修正依頼を出してもらえるとありがたいです。
――迷宮深層。
薄暗い岩壁に、何か巨大なものを引きずるような重い音が響いていた。足元には砕けた石片が散らばり、冷たい空気の中には、濃い魔物の気配が漂っている。
その中心で、ベル・クラネルは短剣を構えながら、目の前に立つ異形の魔物を睨みつけていた。
全身を黒い甲殻に覆われた巨大な身体には、複数の赤い眼が不規則に浮かび、その背中からは何本もの太い腕が伸びている。これまでダンジョンで遭遇したどの魔物とも似ておらず、ベルにはその正体すら判断できなかった。
その隣では、レフィーヤ・ウィリディスが杖を握り締め、魔物の動きを慎重に観察している。
ベル「……レフィーヤさん、下がってください!」
ベルがそう叫んだ直後、魔物が低い咆哮を上げ、巨大な腕を勢いよく振り下ろした。
ベルは咄嗟に横へ飛び退いたが、直後に地面が大きく砕け、轟音と共に大量の岩片が周囲へ飛び散った。転がるように着地したベルは、すぐに立ち上がって短剣を構え直す。
ベル「速い……!」
あれほどの巨体からは想像できないほど、魔物の動きは鋭かった。
ベルは距離を取りながら相手の動きを観察する。正面からでは隙がなく、一本の腕を振るった直後には別の腕が追撃を仕掛け、さらに複数の赤い眼がベルの動きを絶えず追い続けていた。
ベル「……だったら!」
正面突破が無理なら、隙が生まれる瞬間を自分で作るしかない。
ベルは一気に地面を蹴り、魔物の懐へ飛び込んだ。振り下ろされた腕を紙一重でかわし、その勢いのまま短剣を振り上げる。
しかし――。
ガキィンッ!
ベル「くっ……!」
刃は黒い甲殻に弾かれ、ベルの身体がわずかによろめいた。
その瞬間を狙うように、魔物が別の腕を振り上げる。
だが、その攻撃が振り下ろされるより早く、後方からレフィーヤの声が響いた。
レフィーヤ「ベル・クラネル、そこから離れて!」
レフィーヤは杖を構え、すでに詠唱を終えていた。
レフィーヤ「開け、光の地平。馳せろ、白真の矢。――アルクス・レイ!」
杖の先から放たれた白い光が、一筋の矢となって飛び出した。
それは単純に一直線へ進むのではなく、逃げようとする魔物の動きを追うように空中で軌道を変えながら、その身体へと迫っていく。
魔物が腕を動かして光の矢を防ごうとした瞬間、ベルはその動きを見逃さなかった。
ベル「今だ!」
ベルは魔物の側面へ回り込み、腕の死角へ潜り込む。
その直後、光の矢が複数の腕の隙間を正確にすり抜け、巨大な身体に浮かぶ赤い眼の一つへ突き刺さった。
――ズシュッ!
魔物の身体が大きく震える。
ベル「効いた!」
ベルはすぐさま短剣を構え直し、魔物の動きが止まった一瞬を利用して、さらに踏み込んだ。
しかし、魔物はまだ倒れない。
複数の眼が一斉にベルへ向けられ、その身体から先ほどとは比べものにならないほど濃い殺気が放たれた。
レフィーヤ「ベル・クラネル、離れてください!」
ベルは迷わず後方へ跳んだ。
直後、魔物の身体から黒い衝撃波が放たれ、周囲の岩壁を大きく削り取っていく。
ベル「危なかった……!」
荒い息を整えながら、ベルは魔物を見つめた。
レフィーヤも杖を握り直し、今の攻撃で得た情報を頭の中で整理する。
レフィーヤ「……あの眼です」
ベル「眼?」
レフィーヤ「はい。先ほどアルクス・レイが当たった瞬間、明らかに動きが止まりました。全部が弱点なのかは分かりませんが、少なくとも、あの眼のどれかが魔物の力に関係しているはずです」
ベルは魔物を見上げる。
複数の赤い眼が、それぞれ別々の方向からこちらを睨みつけている。
ベル「分かりました。もう一度、お願いします!」
レフィーヤ「任せてください!」
ベルが再び駆け出す。
魔物が巨大な腕を振り下ろすが、ベルは身体を低くしてその下を抜け、続けて横から迫ってきた別の腕を跳び越えた。さらに頭上から振り下ろされた攻撃を避けると、そのまま壁を蹴り、魔物の肩口へと一気に駆け上がる。
その動きに魔物が反応し、複数の眼が一斉にベルを追った。
その瞬間。
レフィーヤ「開け、光の地平。馳せろ、白真の矢。――アルクス・レイ!」
再び放たれた白い光が、魔物の動きを追いながら空中を駆け抜ける。
ベルはその光へ魔物の意識が向いた一瞬を利用し、肩口から跳躍すると、魔物の死角へ回り込んだ。
ベル「――これで!」
短剣が深く突き刺さる。
ほぼ同時に、アルクス・レイが別の赤い眼を正確に貫いた。
魔物の巨体が大きく揺れ、耳をつんざくような咆哮が迷宮全体へ響き渡る。
魔物「グォォォォォォッ!」
それでも数秒間は抵抗を続けていた魔物だったが、やがて力を失ったように膝をつき、巨大な身体がゆっくりと地面へ崩れ落ちた。
最後までベルたちへ伸ばされていた腕が地面へ落ちると、黒い甲殻に覆われた身体は完全に動かなくなった。
ベル「……倒した?」
ベルは荒い息を吐きながら、倒れた魔物を見つめる。
レフィーヤ「そのようです。もう動く気配はありません」
レフィーヤも杖を下ろし、ようやく小さく息を吐いた。
ベル「……よかった。ありがとうございます、レフィーヤさん」
レフィーヤ「い、いえ。私だけの力ではありません。あなたが魔物の注意を引いてくれたから、アルクス・レイを当てることができたんです」
ベル「それなら、お互い様ですね」
レフィーヤ「……そうですね」
二人が少しだけ笑った、その時だった。
倒れた魔物の身体から、淡い光がゆっくりと浮かび上がった。
ベル「……?」
レフィーヤ「何でしょう……?」
黒い甲殻を包み込むように光が広がり、その中心から、どこか遠くから響いてくるような声が聞こえた。
???『――その者は、名を持たぬ影として、この地に生まれた』
ベルは思わず周囲を見回したが、声の主らしき姿はどこにもない。
???『だが、倒されし時、その姿と力は記憶として残る』
レフィーヤ「記憶……?」
レフィーヤが呟いた瞬間、魔物を包んでいた光がさらに強くなり、次の瞬間には黒い身体そのものが無数の粒子へ変わって消えていった。
ベルとレフィーヤは、しばらく何も言わずにその場を見つめていた。
ベル「……何だったんでしょう」
レフィーヤ「分かりません。でも、あの声が言っていた『記憶』という言葉が、少し気になります」
レフィーヤがそう答えた直後だった。
――ゴゴゴゴゴゴッ!
二人の足元から、突然、大きな地響きが伝わってきた。
ベル「――っ!」
ベルが咄嗟に短剣を構える。
だが、先ほどの魔物が復活したわけではなかった。
震えているのは地面だけではない。
迷宮そのものが、何か巨大な力によって揺さぶられている。
レフィーヤ「ベル・クラネル! 何か来ます!」
ベル「はい!」
二人が身構えた瞬間、目の前の空間に一本の黒い亀裂が走った。
それは岩壁でも地面でもなく、空間そのものが裂けたように見えた。
ベル「……何、これ」
レフィーヤ「近づかないでください! こんな魔法、私は知りません!」
レフィーヤがベルの腕を掴んで引き止める。
しかし、ベルは亀裂の向こうに広がる真っ白な光から目を離せなかった。
その白い光の中に、何かの姿が浮かんでいる。
緑色の服を身に着け、一本の剣を手にした少年。
ベル「……誰?」
ベルが無意識に呟く。
すると同時に、レフィーヤの視界にも別の姿が映った。
金色の長い髪。
白い衣。
そして、こちらを静かに見つめる少女。
レフィーヤ「……あの人は……」
胸の奥が、理由もなく強く締め付けられた。
初めて見るはずなのに、なぜかずっと昔から知っていたような、不思議な懐かしさが込み上げてくる。
ベル「レフィーヤさん?」
レフィーヤ「……分かりません。でも、あの人が私を呼んでいるような気がします」
その言葉に応えるように、亀裂の向こうから声が響いた。
???『――勇気を忘れないで』
ベルの表情が変わる。
ベル「……今の声は?」
続いて、もう一つの声が静かに重なった。
???『――あなたは、あなたのままで』
レフィーヤ「……!」
その言葉を聞いた瞬間、レフィーヤの瞳が揺れた。
意味を理解するより先に、その言葉が胸の奥へ深く入り込んでくる。
レフィーヤ「私は……私のまま……」
その呟きをきっかけにしたかのように、空間の亀裂が一気に広がった。
強烈な風が渦の向こうから吹き抜け、ベルとレフィーヤの身体が強い力で引き寄せられる。
ベル「うわっ!」
ベルは咄嗟に短剣を地面へ突き立て、どうにか身体を支えようとした。
レフィーヤも杖を握り締めながら必死に足を踏ん張るが、渦の力はそれを許さない。
レフィーヤ「ベル・クラネル!」
ベル「レフィーヤさん!」
レフィーヤ「手を!」
ベル「はい!」
ベルが手を伸ばすと、レフィーヤもすぐにその手を掴んだ。
二人は互いに離されまいと強く手を握り締める。
しかし、渦の力はさらに強くなり、二人の身体はついに地面から浮き上がった。
レフィーヤ「離しませんから!」
ベル「僕もです!」
次の瞬間、白い光が視界を覆い始める。
迷宮の壁も、足元の地面も、先ほどまで戦っていた魔物の姿さえも、すべてが遠ざかっていった。
身体がどこにあるのかすら分からなくなり、上下も左右も、光と闇の境界さえも意味を失っていく。
まるで世界そのものが裏返り、二人の存在だけが何もない場所へ放り出されていくようだった。
それでも、ベルはレフィーヤの手を離さなかった。
レフィーヤもまた、ベルの手を強く握り返していた。
そして。
白い光の向こうに、最後の光景が浮かび上がる。
ベルの前には、緑の服を着た少年が立っていた。
レフィーヤの前には、金色の髪を持つ少女が立っている。
少年は何も語らず、ただ静かな瞳でベルを見つめていた。
少女もまた、レフィーヤを見つめながら、穏やかな表情で手を差し伸べる。
やがて二人が同時に手を伸ばした。
ベルも、レフィーヤも、その手へ向かって自分の手を伸ばす。
そして。
指先が触れた瞬間――。
世界は、すべて白い光に包まれた。
その先に何が待っているのか、二人にはまだ分からない。
ただ一つだけ確かなのは。
この瞬間から、ベル・クラネルとレフィーヤ・ウィリディスの物語が、これまでとはまったく異なる場所へと動き始めたということだった。
今回のAIに書いてもらったお話はここまでです。
手書きの方も進めるつもりですが、行き詰った時はこっちも出そうかと思っています。低評価喰らっても出そうかと思ってはいます。まだ未定ですけど。では次回があればお楽しみに!