異世界でロードアウトを組んで生き残る~FPSゲーマーの転生記~   作:眼鏡丸

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1-12 見下してんじゃねぇよ

 

目的の森へはなんなく到着した。

MP5も装備済み、すでにいつでも交戦可能な状態にはしてある。

ミニマップにはまだ何も映っていないが、FPSゲームではマップに移らないようにする能力もあったりした。

警戒心が高いといえば聞こえはいいが、未知のエリアにおいて何があるかわからないので気が立っているだけともいう。

 

あぁ、幸いACOGは手持ちのCPで購入できた。

ゲームでもアイアンサイトはあまり使わない派だったので有難い。

 

普段より丁寧なクリアリングをしながら、ほどなく歩くとミニマップに反応がある。

この一週間で狩った魔物は、基本的に群れで行動していた。

今回の反応は一つだけ。しかし普段見るものより大きい気がする。

 

息を殺し、反応がある方へゆっくりと進んでいく。

見えた。

森の向こう、池と呼ぶには小さい、水辺にそいつはいた。

鷹のような鋭いくちばしに、しっかりとした体躯。大きな翼。

全長で3mほどだろうか、翼を広げるともっと大きいかもしれない。

頭で思い描いていたグリフォンそのままの姿の存在が水を飲んでいる。

 

チャンスだ。

こちらはレッサーグリフォンの側面をつく箇所にいる。

しかし9mmで仕留められるだろうか。

いや、熊だって338ラプアとかが必要なんだ。

ここはダメージを与えることに徹しよう。

 

狙うのは目。彼我の距離は60mほど。

3点バーストに設定したMP5でADSを行う。

不思議と心は落ち着いている。

息を止め、体を固定し銃のブレを極限まで0に近づける。

 

発砲。

 

「ギョエアッ!!!」

 

3点全弾ではないが、いくつかが目に命中したようだ。

目から血を流しながらレッサーグリフォンは怒り狂った様子で、あたりをなぎ倒している。

 

まだこちらは見つかっていない。

今のうちに与えられるダメージは与えておこうと、マガジンの残りをフルオートで撃ち尽くす。

相手がめちゃくちゃ暴れてるので狙いは適当だ。

 

リロードをし終わったタイミングでこちらが見つかったようだ。

空を飛び、滑空しながら近づいてくる。

 

「ヤバイヤバイヤバイ!」

 

MP5をインベントリへしまいグリフォンの進路から飛びのくように避ける。

さっきまで自分のいた場所は、グリフォンの爪に地面が20cmほど抉られていた。

 

わかってはいた。

死ぬ可能性もあると。

だが、今までは優位な位置でこの世界ではチートな武器を使って弱い魔物を狩っていた。

真に死の可能性に直面したのはこれが初めてだ。

 

グリフォンがこっちを向いた。

野生の怒りをこれでもかというほど発するグリフォンの片目と目が合った。

 

避けなければ。

足が動かない。

唇も渇いている。

 

「うわあああああっっっ!!」

 

乱射だった。

狙いなんてあったもんじゃないFPSで言うところの腰撃ちであたりに弾をばらまく。

当たったか当たってないかもわからない。

しかし、1マガジンの乱射は威嚇として一定の効果はあったらしい。レッサーグリフォンは少し後ずさってこちらを見ている。

 

やるしかない。

やるしかないんだ。

動け、考えろ、藤沢愁吾。

遮蔽は意味がない、飛ばれては厄介だ。

まずは翼。

 

レッサーグリフォンもこちらの気配が変わったのを察したのか、再度飛び上がり攻撃を仕掛けてこようとする。

だが、その攻撃は前に走りスライディングをして股くぐりのように躱す。

 

即座にADS。

心臓がうるさい、狙いが定まらない。

息も荒い、冷静じゃない。

でも、やらなきゃいけない。

3点バーストで翼の根本をめがけて射撃する。

 

ひどいエイムだったが、的が大きいため何発かは命中する。

レッサーグリフォンからも苦悶の声があがる。

 

落ち着け。

効果はある。

倒せない相手じゃない。

逃がすな。

逃走能力を奪え。

さっきまでパニック状態だった思考が、依頼の達成に向けてシフトしていくのを感じる。

片方の翼は弱めることができた。

このままもう片方も。

 

今回はきっちりと狙いをさだめ先ほどとは別の翼の根元に射撃を行う。

レッサーグリフォンはさらに苦悶の叫びをあげる。

 

次は足だと狙いを変えようとしたその時。

レッサーグリフォンが突然こちらに向かって突進してきた。

 

やば、回h…

 

間に合うはずもない。

直撃こそ避けられたものの、大型車に弾き飛ばされたかのような勢いで地面に打ちつけられる。

 

「ゲホッゲホッ」

 

衝撃が強く言葉も出ない。

息もうまくできない。

満身創痍に追い打ちをかけるかのように、レッサーグリフォンが体を足で踏みつけてくる。

 

クソが…見下してんじゃねぇよ…

 

焦点の定まらない視界の中で、片目のあいつがこっちを見てきやがる。

顔を近づけて舐めるような目線。

完全に餌だと思ってやがる、食われるなら綺麗なお姉さんって決めてんだよこちとら。

 

無意識に腰のホルスターからP2000を引き抜く。

さっきの衝撃でサプレッサーはどっか飛んでったらしい。

震える手でレッサーグリフォンの頭めがけて引き金を引いた。

 

久々に聞いたな、生の銃声。

そう思った時には、体を押さえていた足から力が抜けレッサーグリフォンが倒れこむ。

まだ浅く息をしている、とんだ生命力だ。

 

もう一度頭部めがけて引き金を引きーー

レッサーグリフォンは完全に沈黙した。

 

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