異世界でロードアウトを組んで生き残る~FPSゲーマーの転生記~ 作:眼鏡丸
ACOGスコープの向こう側。
的確に捉えた射線は、ゴブリンの脳天を貫く。
MP5のセミオートはやはり精密射撃に向いている。
すぐにエイムをスイッチして次、また次とゴブリンを倒していく。
フリックエイム苦手だったんだけどな。
奇襲に気づいたゴブリンの集落が慌ただしくなり始める。
ライカも今が機と見たのか、飛び出して槍を薙ぎ払いゴブリンの首を飛ばしていく。
ライカに気づいたゴブリンが群れをなして殺到するが、あの数は少ししんどそうだ。
俺も前押ししよう。
FPSでもSMGの役割は後方支援ではない、前線をひっかきまわす役目だ。
SMG握ったらやっぱり凸らんとね。
「こっちだ!」
ゴブリンのタゲを分散するよう、あえて声をあげながら突撃する。
もちろんフルオートに切り替えている。
数が多いので固まっている部分に適当に撃っているだけでゴブリンは倒れていく。
よしよし、いい加減こっちに食いついたな。
走りながらリロードしゴブリンを引き付けていく。
一つ、ライカからゴブリンの特性を聞いたときに戦法を思いついていた。
攻撃性の高さ。群れで追いかけてくる。
そう、ゾンビ系FPSなどでお馴染みのトレインである。
ちらっと後ろを振り返ると思った通りゴブリンが列をなして追いかけてきている。
そこに向かってMP5のフルオート射撃を叩き込む。
ブレの少なさも相まって、ゴブリンのヘッドラインに的確に弾幕が形成された。
一網打尽とはこのことだ。
ライカの方を見ると、持ち前の身体能力で無双している。
二人にタゲが分散したことでかなり楽になったな。
リロードを行い、こちらに向かってくるゴブリンを倒してはトレイン、倒してはトレインを繰り返す。
向かってくるゴブリンも少なくなり、ライカと協力してゴブリンの掃討戦に移っていたところ、集落で一番大きな家からそれまでのゴブリンとは違うひと際大きな個体が現れる。
「ライカ!あいつは!」
「やっぱりいやがったか!あいつはホブゴブリン!ゴブリンの上位種だ!」
ホブゴブリン。
まぁ、正直イメージ通りである。
サイズは人と同程度。子供サイズのゴブリンと比べると、パワーやスピードは勝る。
だが所詮その程度だ。
剣のような武器を持っているが、銃の前には無力。
制圧自体は簡単だがライカの方に向かっていくため、誤射は気を付けないとな。
3点バーストに切り替え、ライカに声をかける。
「頭を狙う!動きを止めてくれ!」
「あいよ!」
ライカがホブゴブリンと斬り結び始める。
俺はホブゴブリンが出てきたことで色めき立っている残りのゴブリンを掃討していく。
「ファイブ!今だ!」
ライカの合図に目を向けると、足を槍で貫かれたホブゴブリンが動きを止めている。
素早くエイムしてヘッドショット。
しっかりと頭をとらえてホブゴブリンは沈黙する。
「ターゲットダウン、ミッションコンプリートってな。」
「ははっ、なんだそれ。」
「故郷の言葉だよ。」
ついつい口から出てしまう。
しかし、二人での依頼だと気持ちの余裕も段違いだな。
ライカが強すぎるっていうのもあるが、単純に負担が減る以上に余裕があった。
連携らしい連携はなかったはずなのに、不思議だ。
たまにやるフレンドとゲームやって、勝った時のような妙な爽快感。
「さて、あとは討伐部位の回収か。」
「そうだな、そのあとは死体をまとめて焼いたら終わりだ。」
聞くと、このまま死体を残しておくのは良くないらしい。
魔獣が餌にして集まっていき、厄介ごとがさらに増えるのだとか。
ここまでの後処理を含んでいるから、ゴブリンの依頼は実入りがいいという側面もあるんだろうな。
集落も再利用を防ぐために取り壊さないといけないらしい。
ゴブリンの盗伐証明部位は耳とのことで、倒したゴブリンの耳を切っていくこととする。
何気に盗伐証明部位を集めるのは初めてだな。
今まで倒した獲物は納品や素材換金だったりで持ち帰りが基本だった。
やっぱりブロンズランクまでは手軽な依頼が多かったのだろう。
うへぇ意外とグロい…。
軍用ナイフを使って切り落としてはバックパック(インベントリ)にしまい込む。
ライカは集落を壊すほうに回ってくれている。
木とロープ、草などをつかった簡素なつくりなので、槍でロープを切断し解体していっているようだ。
インベントリでまとめた死体を、一か所にまとめて出して、集落の廃材に着火したらそのまま燃え尽きるのを待つ。
山火事にならないように、崖際の草が生えてないところで行った。
廃材のおかげで火力が増していたのか、一時間ほどで死体は燃え尽きた。
その間は採取できるものでもないかとあたりを探していたが、特に目ぼしいものは見つからなかった。
暇だったのか、またライカから銃について色々聞かれた。
他には種類があるのか、どの程度なら貫けるのか、故郷では一般的なのかなど。
冒険者は深入りしないってのがあったと思うんだが、これは仲良くなれた証拠なのかね?
正直銃のことを話すのは久しぶりで、後半はライカが軽く引くくらいには語っていた。
違うんだ、聞いてくれ。ロマンなんだよ、リボルバーは。
きっちりと集落と死体を焼き払ったのを見届けて、俺たちは帰路についた。