異世界でロードアウトを組んで生き残る~FPSゲーマーの転生記~ 作:眼鏡丸
ギルドに帰ってきた俺たちは、依頼の報告を行った。
依頼当初の想定より大きい集落だったことで、追加の報酬ももらえてよかった。
次の武器の購入圏内にCPが達したのは個人的にうれしい。
一人だと報酬が倍だが、単純にあの量はキツかっただろう。
ライカも近接故か同じ考えのようで、ゴブリンの依頼があったらまた行こうかと軽く約束した。
帰り際、ランバートさんに声をかけられた。
「おう、ライカにファイブ。お疲れさん。」
「ランバートさん。どうも。」
「おう、オッサン、お疲れ。」
「ゴブリン、お前らも行ってたんだろ。どうだった?」
「結構大きい集落だったよ、討伐数は100超えてたし」
「そうだな、途中でホブゴブリンも出てきやがったしな」
「ホブゴブリンが…そうか。」
なにやらランバートさんが考え込んでいる。
「どうしたんだ、オッサン」
「いや…ちょっと嫌な予感がしてな。まだ調査段階だから、何かわかったら話す。
特にライカ、お前はこのギルド唯一のゴールドなんだ。何か頼むかもしれんから、その時は頼んだぞ。」
「なんだよ改まって。まぁ、アタシに任しとけよ。」
ライカってこのギルドのトップ冒険者だったのか。いや、あの強さなら納得だが。
「それにファイブも。普段は人とつるまないコイツが、お前とはちょくちょくPTで出かけてる。それだけウマが合うってことは、強さも十分のはずだ。戦力として数えてるから、そこんとこよろしくな。」
「買い被りすぎ…いや、わかったよ。出来ることならやるさ。」
思ったより目がマジだった。
なんかキナ臭くなってきたな。
それだけ言うと、ランバートさんは奥へ戻っていった。
「ま、とにかく今日はファイブのお祝いだ!さっさと行こうぜ!」
確かになんだかんだ夕方すぎ。
手土産を買っていったらちょうどいい時間だろう。
ライカに手土産で前のケーキ屋に寄ると告げると、快くついてきてくれる。
どんなもんがいいかと悩んでいると、保存がきくから焼き菓子の方がいいと提案してくれた。
確かに、詰め合わせにしてもらえば数が足りない、なんてことにはならないだろう。
店員さんに内容はお任せした焼き菓子の詰め合わせを購入し、手土産用に包んでもらう。
準備はバッチリだ。
服は野戦福だし、ライカも装備をつけたままだがまぁ、この辺は仕方ないだろう。
装備のまま飲み食いしている冒険者は結構あちこちで見るしな。
朝、姉妹に聞いていた場所に向かい歩いていく。
というか近くにくればミニマップで反応があるからわかるんだよな。
なぜかユウもレンもミニマップではPT表示のままである。ライカは一緒に行動し始めたりすると緑になる感じだ。
判断が有機的でミニマップの性能が怖くなる。脳みそとか読まれてるのか?
そんなことを考えながら、ライカと今日の依頼やさっきのランバートさんのことを話していると、店に到着した。
「おお!なんだ、メーディアか!」
「知ってるのか?」
「ちょくちょく来るんだよ。堅っ苦しくなくて、メシも酒も旨いから。」
「そうなのか、この格好でもよさそうで安心したよ。」
店構えは結構しっかりしているんだが、ラフな店みたいだ。
さっそく店に入ると、なかなかの繁盛っぷり。
「あ、ファイブさん!いらっしゃいませ!
あれ、ライカさん?」
「レン、お疲れ様。ライカは今日依頼で一緒でな。」
「おう、レンちゃんお疲れ。せっかくのお祝いだからってついてきたらここでびっくりしたぜ。」
「そうだったんですね!ライカさんならわかると思いますけど、2階の奥の部屋で待っててください。私たちももうすぐ上がりなんですぐ行きますね!」
繁盛しているのに大丈夫なのかと問えば、ちょうど夜からのメンバーと交代の時間なんだそうだ。
シフト制なのね。
ライカについていきながら二階にあがる。
どうやら二階は個室スペースのようだ。
いくつか個室があるなかで、言われた通り奥の個室へ向かう。
ライカに半ば強制的にお誕生日席に座らされる。
いや、端っこでいいから…
そんなこんなをしていると、着替えた姉妹が入ってきた。
「お疲れ~ファイブ。ライカさんも久しぶり~」
「おひさ。」
「うへぇ~つっかれたぁ。なんで今日に限ってこんな忙しいのよ…」
「冒険者の人多かったし、なにかいい依頼でもあったんじゃないかな?」
「ファイブ、そこんとこどうなのよ。」
「どうなんだろうな?いつも適当に依頼を選んでるから」
「はぁ、適当ねぇ…こんなのがシルバーランクで大丈夫なのかしら、ギルドは。」
「お姉ちゃんっ!今日はファイブさんのお願いなんだからそういうこと言わないの!」
「ハハハッ、ユウとレンは相変わらずだな。」
ライカからしてもこの姉妹は安定してこの感じなようだ。
「あ、ファイブさんもライカさんも飲み物決まったら言ってくださいね。」
「あぁ、俺はビールでいいや。ライカは?」
「あたしもビールで。」
「はーい、お姉ちゃんは果実水だよね?マイクさんたちに伝えてくるね!」
「レン、ありがと~。」
「なんか働かせてるみたいで悪いな。」
「まぁ、大丈夫よ。そのうち誰か上がってくるでしょうし。」
とレンも戻ってきてしばらく、それぞれの飲み物が手に渡った。
「それじゃ、ファイブのシルバーランク昇格を祝して乾杯!」
「「かんぱ~い!」」
「ありがとな、3人とも」
ちなみに乾杯の挨拶はライカだった。
声の通りがいいのでなんだか元気になる。
料理は姉妹が頼んでいてくれたらしく、次々と運ばれてくる。
ライカとも仲がいいようで、ギルドでのことや依頼中の俺の様子、逆に普段のことなどを肴に盛り上がっている。
女三人よれば姦しいとはまさにだな。
あ、おい、ライカ。それは俺の狙ってた肉だ。
ある程度腹もいっぱいになったところで、デザートが運ばれてくる。
今まで給仕で来てた人とは変わって、コック服のイケオジが運んできた。
「お、マイクのオッサン!久しぶり!」
「ライカちゃん久しぶりだね」
ライカは年上の男性みんなおっさん呼ばわりなのだろうか。
「君がファイブ君だね。ユウとレンから話は聞いているよ。
ライカと仲がいいってことは悪い人じゃないみたいだから、これからも二人をよろしくね。」
「い、いえ、こちらこそお世話になってばっかりで。あの、これよかったらつまらないものですが…」
「ありがとう。外国からの旅人って聞いていたけど、礼儀もしっかりしているようで何よりだ。」
なんだろう、マイクさんからすごい圧を感じる。
顔は笑顔なんだが目が笑ってない。
「それじゃ、ごゆっくり」
マイクさんは給仕を終えると去っていった。
なんだろう、怒らせてはいけないタイプだ、あれは。
「…ごめんなさい、ファイブさん。ファイブさんのことを話すと、マイクさんかなり警戒していたみたいで。今日も悪い奴だったらスープのダシにしてやるって言ってて…」
人知れず命の危機だった件について。
いや、どう考えても社会的体裁が悪いのは俺のほうだ。マイクさんの方が常識人まである。
「まぁ、事情があるとはいえあんまないわなぁ。旅人と三人暮らしって。」
「そんな気にすることないのにねぇ、宿屋みたいなもんよ。」
気にするだろ、普通。気にしろよ、ユウ。
「そ、そうだよねぇ。まったく気にする必要ないよねぇ」
レンはなぜ焦っている?そしてなぜこちらをちらちら見る?
「はぁ…まぁ、当人同士がいいならいいんじゃねーの。」
ライカは呆れた顔で酒をあおっている。
「二人にはいつも助けてもらってるよ。」
なんだか絶妙な空気になったので釈迦になった気分でデザートを食べる。
うん、甘すぎなくておいしい。