異世界でロードアウトを組んで生き残る~FPSゲーマーの転生記~ 作:眼鏡丸
40mmグレネードランチャー
SCAR-Hの下部レールに取り付けられたそいつから、ポンッという小気味いい音が鳴る。
放物線を描いた擲弾が門扉にたどり着いた瞬間、轟音とともに門扉が吹き飛んだ。
追加でいくつかグレポンを放ち、砦のこちら側の壁を破壊していく。
高所なので、ゴブリンたちが慌てふためいているのがよく見える。
わらわらと砦内部からゴブリンが出てきたタイミングで、ライカ率いる中央突破隊が突撃を仕掛ける。
未だ統率の取れないゴブリンを食い破った突撃は、砦の内部に深く侵入しようかというところで、追加のゴブリンたちに物量をもってして止められたようだ。
ここからは乱戦に入るだろう。
俺はというと、遅れて突撃…なんてこともなく、後方から弓を放つ弓矢隊のところへ戻ってきていた。
味方に当たらないよう乱れている前線の奥へ曲射を行い、ゴブリンの増援を削っているようだ。
だが、今回の弓矢隊の冒険者は合わせて20名ほど。いくら高所有利で削れたといっても正直数がしれている。
砦のほうに目を向けると、建物の二階や三階から弓をつがえるゴブリンたちの姿が見えた。
セミオートにしているSCARでそのゴブリンたちを的確に狙撃していく。
FPSっつーかゲーセンとかにあるガンシューティングだな、こりゃ。
「無限にわいてくるな、こいつら」
そうひとりごちて、顔をあげると弓矢隊の皆様がこちらを見て驚かれてらっしゃる。
ふっ、SCARのすばらしさに見とれていたか。え?銃声がうるさい?すんません、仕様です。
ロンに目をむけると、非常に悔しがっている顔をしている。
駄目だよ、落ち着かなきゃ
中央突破隊に目を向けると、それぞれ善戦しているようだが、やはりそれは各PTの寄せ集め。PT内で連携はできていても、他PTとは連携できず討ち漏らしが結構発生している。今はライカが適時処理しているがこのまま敵の圧力が大きくなれば間に合わなくなるであろうギリギリの状態。
こちらからの援護もしてやろう。
SCARを構えなおし、各PTの討ち漏らしを順次処理していく。
幸い、漏らしたゴブリンは中央突破隊の面々とは離れているため、射線が被ることがない。
また一匹、討ち漏らしが出たところにエイムを合わせ狙撃を行うと、さらに討ち漏らしが出てきた。
これは間に合わないかと思っていると、ゴブリンの脳天に鋭い矢が突き刺さる。
ちらっと発射点を見ると、ロンのようだ。
こちらのやっていることに気づいたか。
風の妖精の力なのだろうか、矢は相当早いスピードで直線的な弾道を描いている。
エルフというだけはあるらしい。
こちらも負け時と狙撃を行おうとした時、砦の奥からさらに増援が現れる。
今度はホブゴブリンだ。
さらに今までの倍近くゴブリンの増援が現れた。
これは不味い。
今までだって結構ギリギリだったんだ。
個々の優秀さではこちらが勝つが、相手は圧倒的物量。
よし、決めた。
「ロン!俺は前線に行く!ゴブリンを一まとめにするよう冒険者たちに動いてもらうから、弓矢隊はそこに積極的に撃ち込んでくれ!」
「何を言っている!その魔道具では前線に向かえまい!」
「武器はこれだけじゃないんでね!」
どうやってやるか、などと説明していては時間がかかりすぎる。
信じてもらえるかは賭けだが、行くしかない。
SCARをしまい、一先ず砦内部へ急行する。
MP5を装備して、苦戦していそうな箇所にとにかく銃弾を撃ち込んでいく。
MP5が弾切れになればSCARを再装備、迫るホブゴブリンをHSで確実に減らしていく。
グレポンで破壊した壁がいい感じに遮蔽になっていて助かったな。
そうしていると、ヘイトがどうやら集まってきたようである。
じゃあやりますか、トレインを。
「みんな、聞いてくれ!一か所に留まって戦うな!
全体で流れるように走りながら戦うんだ!」
そう声をかけ続けながら、ゴブリンたちをトレインしていく。
振り返ると数十にのぼるゴブリン、ホブゴブリンがついてきている。
クソッ、距離が近すぎてグレポンが撃てない。
仕方なくMP5で先頭を削りまた走りだす。
「みんな!ファイブの言う通りにしろ!」
ライカが号を発してくれた。
ライカ自身もトレインを行いながら走っている。
振り返り、槍で少し応戦、またトレイン。
天才だな、近接武器であそこまで綺麗にトレインできる気がしない。
と、ライカとゴブリンが刃を交えトレインがの列が膠着し始めたその一瞬。
ゴブリンの集団めがけて、数十の矢が上空から降り注ぐ。
どうやらロンは信じてくれたらしい。
ライカの負荷が一気に軽くなった。
それを見たほかの冒険者たちも一斉に走り始める。
ある程度まとまると、ある者は大盾で受け止め、ある者は剣で薙ぎ払い、ある者はハンマーで吹き飛ばしていく。そしてそこに弓矢隊からの一斉射撃。
いいねいいね、効率よく数が減ってきたぞ。
俺自身もトレインしながらゴブリンを撃ち、弓矢隊の援護が間に合わないところにグレポンをブチこんでホブゴブリンともども一掃していく。
グレポンの残弾を撃ち切ったところで、ゴブリンの数がかなり減ってきた。
だが、ホブゴブリンがしぶとく残っているな。
やはり弓矢では致命傷にはならないようだ。
俺を追いかけてきているのもホブゴブリンだけになってきた。
MP5をフルオートで撃つが、減り方が甘い。
一度無手の状態で全力ダッシュ。
距離をとったところでSCARを構える。
フルオートでホブゴブリンのヘッドラインを蹂躙していく。
FPSのゲームでは20000キル以上してきた銃だ。
リコイル制御は体が覚えている。
よし、一気に減らせたな。
残りは数体程度、今度はセミオートで確実に処理していく。
そこからは他の冒険者の援護に回る。
確実にホブゴブリンの頭を撃ち抜き、全体の数を減らしていくと冒険者側も戦いやすくなったのか、トレインをやめホブゴブリンへ向かっていく。
ライカは変わらず無双していた。
トレインして固めては、三体同時に薙ぎ払い、さらに三連突きでもう一体を持っていく。
別の個体の攻撃を躱したと思ったら、飛び上がり距離をとってまたトレイン。
激戦ではあるし体力の消耗は激しいが、ついに最後のホブゴブリンを討伐した。
いや、なんか逃げようとしている一体を発見。体格的に大き目のホブゴブリンか。
ステンバーイ、ステンバーイ、ビューティフォー。
落ち着いて狙撃。
こうして、周りには夥しい数のゴブリンの死体が積み重なっている。
1000体くらいいるのだろうが、正直数えることもできない。
冒険者立ちも死屍累々だ。いや、こちらは比喩の意味だが。
戦いのアドレナリンが切れたのか、全力トレインの疲れが一気に来ているようだ。
そういや、ゴブリンキングとやらはいなかったな。
いないよな?
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