異世界でロードアウトを組んで生き残る~FPSゲーマーの転生記~ 作:眼鏡丸
その後。
ヘトヘトになった冒険者たちでは、さすがにこの量の死体を片付けるのは無理だということで、弓矢隊の一部に後処理要員を派遣してもらうようギルドへ伝えに戻ってもらった。
一応周りを警戒するが、周りに魔獣の気配やミニマップへの反応もない。
大規模な戦闘だったからな、こわ、近寄らんとこってなったんだろう。
待っているうちに、町に残っていたブロンズ冒険者たちが沢山来た。
また、ギルドの調査員も来ている。この規模の集落は珍しいため、詳細な調査が必要なそうだ。お疲れ様だな。
その中の一人に聞いたのだが、ゴブリンたちの死体の後始末は行うが廃砦はそのまま残すらしい。
それは再利用の可能性が…と思ったが、どうやら最近周辺国の情勢がキナ臭いらしく、砦として再利用するそうだ。
人が常駐するのなら危険は減るか。
しかもちゃんと訓練された兵士だろうし。
そういえば、今まで目の前のことに集中しすぎていて、ここがどういう国なのかとか文化とかあまり知らない気がする。
機会があれば誰かに聞いてみてもいいかもしれない。
気軽に聞けそうなのがライカとユウとレンという怪しい手札しかないところは問題だが。
ランバートさん?これからは忙しそうだから邪魔するのもな…
一応俺たちは後処理をしてくれるブロンズ組や調査員の護衛で残ることとなっている。まぁ、ブロンズ組が来るまでも何もなかったしほとんど形だけだが。
砦にあった監視塔に上って、周囲の景色を眺める。
見渡す限り森、山って感じだな。川もあるみたいだ。
死体を集め終わり焼き払う工程に入ったのだろう。煙がもうもうと上がっている。
幸い風向きのおかげで監視塔で一酸化炭素中毒になる心配はなさそうだ。
おざなりな見張りを続けていると、ライカが上がってきた。
「ここにいたのか、ファイブ。」
「ん?ああ、特にやることもないしな。一応見張りだよ。」
「ハハ、マジで一応だな。」
「野生の本能がマトモに働くなら、近寄ってこないだろ。」
「そりゃそうだ。しかし、今日は大活躍だったな。」
「そうか?最初は後ろから撃ってただけだし、ライカの方が大活躍だろ。」
「いや、アタシも結構やったけど、最終的な大金星はファイブじゃないか。」
「んん?大金星??」
「なんだ、聞いてないのか?ファイブが最後に仕留めたアイツ、ゴブリンキングのなり立てだったみたいだぞ。」
どういうことだってばよ。
聞くと、ゴブリンキングはホブゴブリンの中でも優秀な個体がなるらしい。
そうして、他のホブゴブリンよりも体格が大きくなり成熟をした状態が完全体のゴブリンキングだ。完全体は3m以上あるとか。
そして最後に逃げ出そうとしていた個体。
少し大きいホブゴブリンかと思ったら、ゴブリンキングなりたての個体だったとのこと。
これを逃がしていれば、また大軍勢をつくることもあり得るそうで、ラッキーとはいえギルドからは功労者認定されているらしい。
「ほう、ボーナスでも出るのかね。」
「さぁ?オッサンの気分次第だと思うが、追加報酬くらいは出るんじゃねぇの?」
「だといいけどな。」
ちなみに、人間がいた痕跡は見つかったものの、生きている人間は見つからなかったらしい。砦を隅々まで調べてはいなかったが、ミニマップに何の反応もないからやはりそうだったか。わかってはいたが…そもそも攫われていないというパターンではなかったらしい。
「そろそろ終わるみたいだぜ、アタシたちも下りよう。」
「そうするか、こんなところに置いてかれるのはごめんだ。」
監視塔から降りて、帰る準備を始めている冒険者たちと合流する。
死体の焼き払い自体は問題なく終了したようだ。
冒険者全体から隠し切れない疲労感があふれ出ているが、依頼達成と帰路につけていることで表情はそれぞれ晴れやかだ。
帰り道で何人かの冒険者にうちのPTに入らないか、その魔道具はどうなってるんだ、売ってくれたりしないか、などと話しかけられた。
銃については説明をぼやかしつつ、売却はNGを出しておいた。そもそも弾の補給やら整備やらはどうしようもないだろうしな。
PT参加については機会があれば参加してもいいかもしれないと思い始めている。
それでも自分の能力の特異性や、銃の存在を考えると難しいかもしれないので、当たり障りのない返事に留めた。
この町に居続けるかどうかもわからんしな。姉妹に捨てられれば根無し草である。
いや、多分稼いだ金で部屋くらいは借りれるだろうけど。
別の町へ行きたい、とまでは思わないが興味は多分にある。長期依頼とかにかこつけて行けたりしないだろうか。
意外だったのはロンが話しかけてきたことだった。
同じ遠距離担当としてそうとう興味を持ったらしい。
相変わらずいけ好かない感じではあったが、険のある様子はなくなっていた。
謝罪とかはなかったのであれは天性のプライドの高さだろう。確かに、エルフってそんなイメージあるな。
行きとはうってかわって、冒険者たちとやいのやいのと話しながら歩いているとグルダの町が見えてくる。
実力が認められたようで嬉しい。
ゲームでフレンドになってほしいと誘われたり、チームに入らないかと誘われた時のようなあの気持ち。
気づけば周りの冒険者たちと同じく、体は疲れているのに顔は笑っていた。