異世界でロードアウトを組んで生き残る~FPSゲーマーの転生記~ 作:眼鏡丸
さて、翌朝。
昨晩、姉妹に10日分の家賃として銀貨3枚を渡し、残金は8000CPほど。
端数は肌着や下着を買ったりしたのでもう数えない。
この8,000CPだが、結論から言うと
野戦服+アーマーセット 2,500CP
ヘルメット 1,000CP
軍用ブーツ 1,000CP
P2000の弾倉×2 2,000CP
9mm弾薬50ヶ入 500CP
ホルスター 500CP
計7,500CPを消費し、残るは500CPである。
今日のライカとの依頼は十中八九戦闘が絡むだろうし、リグのポケットにも余裕があった。
自然環境の中でいつまでもスウェットパーカーじゃな、と思っていたところだ。
見た目もテロリストを卒業し、かなり現代兵士っぽくなった。
ちゃんと値段を確認してわかったのだが、弾薬に関しては安くて助かった。
よっぽどのことがない限り弾薬不足で戦えません、みたいな事態にはならなそうだ。
姉妹には驚かれたが、これが故郷の防具なんだと説明しておいた。
防具なんてヘルメットとブーツくらいだが、戦闘時の装備と考えると似たようなもんだろ。
さて、ナイフも胸元に装備し、ホルスターも腰へセットした。
バックパックも背負い準備は万端である。ちなみに水は水筒分だけにした。
え、SMGは、って?
HAHAHA、解禁されていた種類のなかで最も安かったのがPPSh-41。
第二次世界大戦時の銃だが、現代でも使用される名銃だ。
それでも80,000CP
全っ然足りなかった。
しかも今のラインナップでは本命はMP5。
こちらは160,000CP
もはや雲の上である。
いや、家賃を差し引いて薬草をあのペースで20日間と考えると、そこまで非現実的な額ではないんだけど。
それにしても、予備マグが4個もあるのは安心感があるな。
消耗品だからいずれはなくなるし、弾込めは小まめにやらなきゃならないんだが、それでも50発越えの弾は一度の依頼ではそうそうなくならないだろう。
そうこうしていると、ギルドの入り口に青い髪たなびかせ、槍を装備した長身の女性、ライカがいるのが見えた。
一人で気ままに討伐系の依頼を、と思っていたがどうやら叶いそうにない。
「おはよう、ライカ」
「おはよう!ファイブ!今日は昨日にもまして妙ちくりんな恰好をしているな!」
昨日も妙だと思ってたのかよ。いや、この世界基準で考えると変か。
たしかに現代兵士の装備はこの世界だと浮くだろうが、信頼度は段違いだからな。
ライカも胸当てと太ももあたりには防具をしているが、かなりの軽装備。
動くことを重視しているのだろうが、7.62とかなら余裕で貫けそうだ。
「ハハハ、浮いている自覚はあるが、故郷の防具でね。一番しっくりくるんだ。」
嘘ではない。どこの軍の、なんて詳しいことはわからんが見た目は標準装備のはずだ。
「あぁ、そういえば旅人ってオッサンが言ってたっけか。
ま、戦えるならなんでもいいぜ!」
まったく、朝からハイテンションなことよ。
あぁ、そういえば気になっていることがあるんだった。
「依頼なんだが、どうすればいい?
昨日も言ったように、俺のランクはブロンズ3だからゴールドのライカとは同じ依頼を受けれないんじゃ?」
そう、依頼のランク制限だ。
「ああ、そのあたりは心配しないでいい!
よっぽど危険な依頼以外は、ゴールドランクが監督責任を負うって前提なら一緒に受けることに問題はないからな!」
なるほど、キャリーしてもらって依頼を受けることは可能なわけだ。
正直実力に見合ってないキャリーはするのもされるのも趣味じゃない。
周りの実力についていけなくて、後々困るのはキャリーされた側になるからな。
だが、ここでゴールドランクとはどれくらいのものなのかと知っておくのも悪くない。
目指す先は見ておくべきだ。動画で立ち回りとか勉強するのと一緒だな。
「そうか、それなら依頼の選定はライカに任せるよ。
知ってるかも知れないが、使用武器はナイフと遠距離用の魔道具。
遠距離魔道具はそこそこ威力はあるが、鉄とかの硬さだと貫通はできないな。
ナイフはサブで、緊急用って感じだ。」
「ほーう。そのサブでオッサンをぶっ殺したわけだ。」
「だから殺してないっての。」
「アッハッハッハ!」
ライカのキャラと、現代兵士の格好の時点で目立つんだから、このうえ物騒な噂みたいなキャラ付けはやめてほしいところだ。
まわりまわってユウやレンにも迷惑がかからないとは限らない。
二人でギルドに入り、ライカとともに依頼が並んだボードを眺める。
文字が読めないのでさっぱりわからんが、ライカはいくつか注視したうえで、一つの依頼を持ってきた。
「これなんかどうだ。」
「あー、すまん。この国の文字が読めなくてな。内容を説明してくれると嬉しい。」
「お、そうなのか。
もちろん討伐依頼で、対象はグラスリザード10匹。
グラスリザードについての知識は?」
「いや、全く。」
「そんなんでよく旅なんてできたな。
しやーねぇ、説明してやるよ。」
聞いた情報をまとめると、生息地は草原地帯、体長は1.5~2mほどでライカの主観では動きはそんな早くないとのこと。ほんまかいな。
3~4匹ほどの群れを作り、討伐のしやすさにしては買取価格がいい。
注意点は前足の爪と牙に麻痺毒があるらしく、即命に関わるようなことはないが毒の摂取量によっては後遺症が残るらしい。
リスクはもちろんあるが、P2000の射程で倒せない相手ではないだろうと判断し、ライカの提案を承諾する。
何より稼ぎ効率が高いのはいい。
ちなみに、討伐ノルマが少ない依頼だと、報酬金は落ちるがブロンズでも受けられるみたいだ。
「んじゃ、二人でカウンター行くぞ。
即席だが、パーティ登録しねぇとな。」
ちなみに取り分は俺の活躍を見て決める、とのことだ。
まだライカ人となりを知っているわけではないが、ここまで話した感じではそんなに阿漕なことはしないだろう。
受付でパーティ登録とライカと俺のギルドカードへ依頼の登録を済ませ、出発だ。
パーティを組むと行った時の後輩っ子受付嬢ーナタリーと言うらしいーの驚いた顔が印象的だった。
確かにライカは共同作業なんてできなさそうな雰囲気あるもんな。組織人ではない、絶対に。
目的地は草原、森を抜けなければならない。
門を抜け道すがら、ライカは美味い店や武具屋なんかの情報を教えてくれた。
面倒見のいい一面を知れた。
あと、ライカが年上だったことは驚いた。俺より2つ上の26歳とのことだ。
女性に年齢を聞くのはご法度かと思ったが、ライカには関係ないらしい。
敬語を使おうとすれば、結構不機嫌に怒られたので今までの口調を継続する。
森へ差し掛かったあたりで、気になることを聞くとする。
「そういえば、ライカは槍を使った近接が主体で間違いないよな?
実際にグラスリザードと出会ったときの戦い方はどうする?」
「戦い方はそれであってるよ。他の槍使いよりちょっと機敏に動くくらいだ。
んー、そうだな。あんまり考えてなかったが、ファイブの魔道具で初手の奇襲、そっから残りはアタシがやってファイブはその援護ってのはどうだ?」
それって初手以外行き当たりばったりって意味じゃありませんかねぇ。
とはいえ、他に手も思いつかない。
これがFPSの4人PTなら即席でも持ってる銃に応じて攻め方は決めれるんだが。
ここは先人の言葉を信じよう。
「それで構わない。ただ、奇襲の距離は近接ほど近くないかも知れないが問題ないか?」
「向かってきたらぶっ飛ばす。向かってこなくてもぶっ飛ばしにいけばいいだろ!」
「脳筋じゃん。」
ほんと見た目とキャラがあってないわ、この人。
ちなみにライカはその身長の高さとまとってる雰囲気を除けば、きりっとした感じの美人である。風紀委員長とか、デキる女上司とかそんな感じ。
なんかこの世界、顔面偏差値高くないだろうか?
ユウとレン、それに受付嬢の二人も美人・美少女といって差し支えないし。
ちなみにフィオナさんは巨乳だ。
それはさておき、他に有効な作戦も思いつかないのでライカの案を消極的採用。
草原まで歩みを進めることとなった。