TS転生して合法ロリになったので、ヒロイヴHappyEndのために頑張ります! 作:青いカンテラ
-21-
「てぇぇぇりゃあ!」
スマートメイスを持ったグレイズが、ザクに向かって突撃する。それに反応したザクがマシンガンを撃つが、グレイズは半身になって被弾面積を減らしつつ勢いのままにスマートメイスをその頭部へと叩き込む。
「肉は叩いて柔らかく!」
頭部を破壊されて動きが鈍ったところにすかさず二打目、三打目と打ち込んでいく。正直ザクは叩いても柔らかくはならないと思うが……。そもそも肉じゃないし……。というツッコミは飲み込んでおく。
「クーファ、後ろ!」
「おっと……!」
狙ってきた他のザクを、別のグレイズがライフルでけん制。その隙に、さっきのザクを撃破したメイス持ちがそちらへと向かっていく。
オレは今、リリアとクーファのELダイバー二人のバトルを観戦モードで見ていた。GBNにいる以上はガンプラがある方がいい。
そのために、二人がどういう戦い方をしてどんな武器が得意なのかを知るのは大事なことだ。そんなわけで、グレイズに用意した武器をいくつか持たせてバトルミッションをこなして貰っている。
今戦っているのは、もはやお馴染みとなったサイド7のミッションである。敵として出てくるザクは程よい強さをしているし、これといって癖もない敵だ。武器を試すにはちょうどいい。
「緑の豆はこん棒でハンゴロシ!」
「さっきから言ってるそれ物騒すぎない?」
……ここまでの戦闘を見ていて、リリアとクーファのそれぞれ得意とする武器は分かってきた。
リリアは射撃系の武器を好む傾向があり、そして射撃に集中しているときは足が止まっていることが多い。どちらかと言えば後ろに控えて、援護に回っている印象だ。
そしてクーファは逆にガンガン前に出ていく。メイスやバトルアックスといった武器をよく使い、ライフルなどの射撃武器はあまり使わない。肉を叩くだのこん棒でハンゴロシにするだ言っているのは、クーファが料理に関することに強い興味を示すELダイバーだからだろう。たぶん。
「これで最後デスカネ?」
「そうみたいだね」
最後のザクをスマートメイスで滅多打ちにするという、蛮族みたいな倒し方をしたところで【Mission Complete!】と表示された文字を電子音声が読み上げる。
バトルを重ねるごとに慣れてきたのかクリア時間が短く、そしてダメージは少なくなっていた。NPD相手で動きがパターン化しやすい、というのもあるだろうが……二人ともバトルの才能があるようで何よりである。
「お疲れ様。それじゃあ、格納庫で振り返りしようか」
「はーい」
「了解デス!」
格納庫に移動すると、ミッションを終えた二人が先に待っていた。
「二人とも、まずはミッション攻略お疲れ様。それで、どうだった? 色んな武器を試してもらったけど」
「うーん、わたしはライフルとか……バズーカとか……。そういうのが使いやすいと思ったかな。バトルアックスとかは苦手かも」
「アタシはスマートメイスがよく手に馴染む感じがして好きデスネ! ライフルは肉を叩いている感触がないデスネー」
そう言ってぶんぶんと腕を振るクーファ。MS相手に肉を叩く感触とか言ってるのもだいぶ変だが……まあ、そこはクーファの個性ということで置いておこう。
「バトルを見てた感じ、リリアは後方支援タイプ、クーファは前衛タイプっぽいな。それならガンプラもそれに合わせていくか」
「ガンプラ! ということは、グレイズは卒業ということデスネ!」
「そうなるな。どのガンプラを使うかは後で決めるけど」
「ガンプラかあ……。ユウリが作ってくれるのよね? なんだかとっても楽しみ!」
そんなに楽しみにしてくれるなら、オレとしても気合が入るってものだな。
「はあ、バトルしたらお腹すいちゃった。何か食べに行こうよ!」
「それならアタシが腕によりをかけて料理するのデスヨ! 早速
GPD内のデータを食べ物や食材に変換する変換ツールをジイちゃんが作ったことで、クーファはよく料理を作っている。
「ちなみにだけど、メニューは……?」
「今日はジャブローで採れた木のマカロニに、砂漠の砂の粉チーズをかけたグラタンなのデス!」
「木も砂も食べ物じゃないとお姉ちゃん思うなー!」
「大丈夫、ゲンロウタ印の変換ツールデスヨ!」
そのままログアウトしていくリリアとクーファ。元になっているものはともかく、意外と普通に食べられるものになっているらしい。これでMSを食べ物にしだしたらDUSTの世界観だな……。
-22-
その日もいつものように店番をしていた。ジイちゃんの助力もあり、デカール製作の方は少しずつだが着実に進んでいる。
今の目標としては、GPDの筐体の外でもガンプラを動かせるようになることだ。ELダイバーのマテリアルボディが、GPDのプラネットコーティングによって動く以上はクリアしないといけない課題である。
まあ、それ以外にもリリアとクーファがGBNで乗るためのガンプラも作らないといけないんだが……こちらも現在保留中だ。いざ二人に合わせたガンプラを、となると色々悩んでしまってな。
さてどうするかなと考えていると、来客を知らせる電子音が鳴った。
「いらっしゃいませー!」
来店したのは、黒髪の少年……リアルの方のヒロトだ……だった。彼は入り口横の棚を見て「これは、すごいな……」と小さく呟くとこちらに向かって歩いてくる。
「あの、クジョウ・キョウヤって人に、ここのことを聞いて来たんですけど……」
「……もしかして、ヒロトお兄ちゃん?」
オレとしてはリアルの方の姿も知ってはいるが、一応今気づいたかのようにしておく。
「君は……」
「私はユウナギハラ・ユウリ。GBNだとユウリってダイバーネームで遊んでるよ!」
「ほら、このガンプラ!」と、カウンターの下からグレモリーを出す。ヒロトはグレモリーとオレの顔を交互に見ると、納得したように「なるほど……」と呟いた。
「……俺はクガ・ヒロト。キョウヤさんに、休みの日に遠征するならどこがいいか聞いたら、ここの住所が送られてきたんだ」
まさか遠征先としてヒロトの方から来てくれるとはな……。GBNの方で知り合えたのもチャンプのおかげだし、ナイスチャンプと言っておこうか。
「ここって個人経営の店……だよな? 結構品揃えがいいんだな」
そう言って店内を見回す。このショップユウザキはジイちゃんが始めた店だが、品揃えについては他の個人経営のところよりもいいとハッキリと言える。
さすがに売り場面積や財団Bからの直販という圧倒アドバンテージのあるダムベーには劣るが……街角の模型屋としては抜きん出ているはずだ。
「おじいちゃんの伝手があってねー。他にも塗料とか、GBNでも使えるデカールもあるからから、よかったら見ていってね!」
「デカールか……。確かに色々あるな」
カウンター横に置いてあるデカールコーナーを見るヒロト。これはGBNにも出資しているGHCがライセンスを取って販売している正規品だ。
大半はダムベーとか量販店に卸されてるもので、うちみたいな個人経営のところにはあまり置いてないらしい。これを求めてやってくる客もいるんだよな……。
他にはないものもここにはあるってことで。例えばそれは……。
「これは……特殊効果再現用のデカール……?」
ヒロトが手に取ったものがまさに、他にはないものだ。GBNで使える特殊効果再現用のデカール。
ガンプラに張り付けることで、スキャン時に様々な特殊効果を付与することができるという代物である。
実はこれダムベーでしか売っていない新商品なのだが、ジイちゃんはどこから仕入れてきた。
伝手があるっていっても、それ本当に正規ルートか? と疑いたくなるが……いやまあ、正規の仕入れルートなんだろうけど。さすがに。
「あ、それは新しく入荷したものだよ。それをガンプラに付けてスキャンするとね、GBNでそのデカールに応じた特殊効果が使えるようになるんだって。元々はGPDにもあったものを、GBNでも使えるように転用してるらしいよ」
「……EXAMとか、ゼロシステムみたいな?」
「そうそう。他にもピンポイントバリアとかね」
これも安心と信頼のGHCのライセンス商品である。ちゃんと公式マークも付いている。
「こっちは特殊エフェクトのデカールか……懐かしいな。GPDの頃は特殊エフェクトで派手にバトルをするっていうのが流行ってた時期もあったっけ……」
しみじみとした表情で呟くヒロト。お、その頃を知っているか。となると結構GPD歴は長そうだな。
派手なエフェクト使ってガンプラバトル。環境機だコスパだなんだと気にする必要もなくて、みんな思い思いのガンプラを使っていたっけ。GPDは正直あの頃が一番楽しかったかもな。
「えっと、それじゃあこれとこれを……」
「はーい、ガンプラ一つと……」
それから店の中を巡ってヒロトが持ってきたガンプラに、つい手が止まる。
「どうかした?」
「あ、ううん。
全身が白くて、背中に大きな輪っかのような装備を付けたそのガンプラ。それはガンダムSEEDの外伝作品に登場する、外宇宙探査用のMSであり、その特殊機能は原作終盤においてヒロトの大きな助けとなった。
正確には、その機能を持つアーマーだが……。
「確かに、このガンプラは戦闘向きじゃないし、見た目もあまり強そうな感じはしないよな……。でも、これでいいんだ。俺は……ある人と約束したから。いつか、GBNの宇宙の果てまで行こうって……。これは、そのために必要なものだから」
それとは、イヴと交わした約束だろう。いつか二人で、GBNの星の海を越えて行ってみたいという。
「そっか……。なら、私も頑張らないと……」
「頑張るって?
「ううん、こっちの話! お買い上げありがとう、ヒロトお兄ちゃん!」
「ああ。機会があれば、また来るよ」
買い物袋を提げたヒロトの背中に手を振って見送る。優しい顔で穏やかに約束を口にしたヒロトのためにも、そんな彼と共にいたいと願ったイヴのためにも、オレもできることをしなければ。
気持ちを新たに、そう思うのだった。
―――To Be Continued