TS転生して合法ロリになったので、ヒロイヴHappyEndのために頑張ります! 作:青いカンテラ
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「ハァ……ハァ……」
【速報】チャンプ、めちゃ強い。
ほんとにGPD初心者か? 経歴詐称してないか? そう思ってしまうほどに、チャンプの動きは凄かった。
いや、オレも結構長くGPDでガンプラバトルして来たけど、GPDを初めて触るのにこんなに強いやつは初めて見た。さすがはGBNで不動の一位になる男。
筐体の上に転がるガンプラを見る。半壊したAGE-1と
これがレンタルを兼ねた作例のガンプラを使ってのバトルだというのが、少しもったいないが……まあ、初めてのガンプラバトルなら十分か。
「……どうよ、お兄さん。ハジメテのガンプラバトルは?」
「あ、ああ……。凄くドキドキして、ワクワクしたよ。なるほど、これはみんなが熱中するわけだ……」
手を握って噛み締めるように言うチャンプ。ようこそガンプラバトル沼の入り口ってなもんだな。未来はどうあれ、ハジメマシテを頂いたのはオレってことになるのか。
……なんかこう言うといかがわしさがあるが、実際はいたってKENZENである。やったことなんてガンプラで戦ってただけなんだから。
「しかし……君は、バトルをしていた時とはまるで別人のようだね。あれが本来の君の姿というわけかな?」
「へぇっ!? あ、あはは、私、気持ちが高まると性格が変わっちゃうってよく言われるんだ……!」
ついさっきまでの自分を思い出して、慌てて猫を被りなおそうとするも完全に手遅れだった。
はあ、客の前では可愛い看板娘のユウリちゃん、で通してたんだが……まあ、こっちから乱入したとは言え、チャンプ相手のガンプラバトルに高ぶるなっていう方が無理な話だしな。
「……ああ、そうだよ。
「それは褒められている……と受け取っていいのかな。いや、でもそうか……。薄々感づいてはいたんだけど、君は猫を被るのがかなり上手なようだね」
「それこそ褒めてんのか? まあいいけど」
チャンプのイケメンにしか許されないスマイルから目を逸らして、さっきのガンプラバトルで壊れたAGE-1とガンダムを手に取る。
損傷は頭と腕が吹っ飛んで、胴体にも大きな傷ありと。まあ使えるパーツは回収してジャンクボックス行きだな。
残っている部分で使えそうなパーツはどこかと見ていると、チャンプがすっと手を挙げて口を開いた。
「そのガンプラ、よければ譲ってもらえないだろうか。もちろんタダとは言わない」
真剣な表情をしていた。それが好奇心や冗談などではないというのは、目を見ればわかる。
「いや、欲しいってんなら別に構わねえけど。……理由を聞いても?」
「そうだね……。記念、かな。僕の初めてのガンプラバトル、共に戦ってくれたガンプラを労うために手元に置いておきたくなった……。それが理由では、ダメかな?」
よくある、と行ってしまえばそれまでだ。けど、このままバラされてジャンクボックス送りにされるよりかは、いいと思った。傷ついたAGE-1を受け取ったチャンプの手は、少し震えていた。
「すまない……。ガンプラバトルは楽しくて、高揚するのと同時にガンプラが壊れてしまうことが少し怖いとも感じてしまってね……。こんな僕をおかしいと思うかい?」
「いや。それが通常の反応ってやつだよ。オレも最初はそうだった。実機のガンプラバトルを初めてした時、小遣い貯めて買って、やっとの思いで作ったガンプラがスクラップになって……。怖いと思った。その日は眠れなかったくらいだ」
困ったような表情で言うチャンプに、オレはガンプラバトルを初めてした時のことを思い出していた。
前世ではテレビ越しに……アニメの中の出来事として見ているしかできなかったガンプラバトル。それを女に生まれ変わったとはいえ、実際にすることができる。
その時の興奮は、それはもう凄いものだった。親に貰った小遣いを握りしめて、ガンプラショップでガンプラを買って、製作スペースで組み上げて、いざ初めてのガンプラバトルへ……。
結果は、それはもう酷いものだった。明らかに初心者を嬲るのが趣味です、みたいなクズ野郎にボコボコにされたのを覚えている。
オレの初めてのガンプラバトルはその時、あまりにも苦い初陣で幕を閉じることになったんだ。その日は本当に怖くて、悔しくて、夕飯も喉を通らなかったほどだ。もちろん眠れたりなんかしなかった。
「けど、思ったんだ。このままじゃ終われねえって。ぶっ壊れたガンプラの無事だったところを使って、次のガンプラを作って……バトルして、壊れても直して、それでまた次のバトルをする。そうしているうちに、ガンプラバトルが楽しいと思えるようになってた」
オレが他の子どもたちと違うところがあったとすれば。それは、ボコボコにされてもタダでは終わらなかったという点だろう。
ガンプラを作って、壊されても直して、また戦って壊して……。それを繰り返すうちにバトルの実力も、ビルドの腕前もメキメキ上達していった。あのクズ野郎にもリベンジを果たした。
オレのことをそこら辺のガキどもと同じだと見下してたアイツのガンプラをぶっ壊してぶっ倒してやった時、心の底から楽しいと感じた。思えばあの体験があったからこそ、オレはGPDを続けられたのだと思う。
「ガンプラバトルは……GPDは、確かに戦えばガンプラが壊れる怖さがある。けど、壊れてもまた直して、作って、そうやって自分だけのガンプラにしていく面白さっていうのがあるんだよ。だからアンタも……そのガンプラを労って棚に飾ってやるのもいい。けどいつかは、アンタだけのガンプラにしてやってくれ」
まったく、ガラにもなく長々と語ってしまった。自分でもびっくりだ。……ただ、ガンプラバトルで壊れたガンプラをトロフィーのように飾るだけで終わらせてしまうのはもったいないと、そう思ってしまってついつい熱くなってしまったのも、確かだった。
「壊れても、直して作る……。そうか、わかった。約束しよう。僕はいつか、このAGE-1を新たな姿に生まれ変わらせてみせると」
手の中にある壊れたAGE-1に宣誓するように、約束を固く結ぶように、チャンプはそう言った。
まったく、義理堅いというか真面目というか。……けど、こういうところが多くの人を惹きつけるのだろう。
「はは。その日が来るのを楽しみにしてるよ」
「やあ、また来たよ」
「うわ出た」
大将やってるかい? みたいなノリでドアをくぐって来るチャンプ。あれからちょくちょく店にやって来ては、すっかりと常連になってしまったのである。
「おう、ユウリよぉ。客を邪険にするものじゃあねえぞ」
店の奥からのっそりと顔を出すジイちゃん。そんなジイちゃんに向かって、チャンプは頭を下げた。
「ゲンロウタさん。この間は塗装の相談に乗っていただきありがとうございました。おかげですごく勉強になりました」
「おうよ。あんたも模型のことで困ったらいつでも相談に来な。向上心のあるやつにゃあ、俺の技術ならいくらでも教えてやるからよ」
「はい。ありがとうございます」
なんかいつの間にかジイちゃんとチャンプが仲良くなってるしさあ。いや、いいんだよ。いいんだけど。
チャンプはヒロトと繋がりができるかも知れないから、こうして仲良くしておくに越したことはなんだけどさ。
店に来るたびにGPDの筐体チラ見するのやめてほしい。ガンプラバトルするたびに強くなっていってるのわかるんだもん。なんかヤベーもん育ててる気分になるんだよ。
いや、実際にヤベーもんが育ってるんだろうけど。オレの目的はあくまで未来のヒロイヴ悲劇回避だというのに。どうしてこうなった……!
―――To Be Continued