TS転生して合法ロリになったので、ヒロイヴHappyEndのために頑張ります! 作:青いカンテラ
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ログインポートを抜けた先は、まさにもう一つの世界だった。
だだっ広いセントラルロビーには、まだサービスを開始してから数時間も経っていないというのに多くのダイバーがひしめいていた。
アニメの中で見たような、様々な格好をしたダイバーたちがいる。ガンダム世界のパイロットスーツは定番として、キャラの私服や衣装はもちろん。
ファンタジー世界にいるようなローブ姿のエルフに、作業着姿の狼人間。軍服を着た二足歩行の猫。眼帯をした腕が機械になっている大男……。本当に多種多様な姿のダイバーたちが、そこにはいた。
「なに? シスター?」
「ちっちゃくて可愛い~」
通り過ぎていった女エルフと女ガンマンの二人組に、営業で鍛えたゼロ円スマイルを添えて手を振ってやると、その二人組は「きゃー」とか言いながら人波に消えていく。
良かったな。今のオレは気分がいいからこれくらいのサービスはするぞ。今のオレはいわゆるシスターの恰好をしていた。ウインプルに収めるために髪型は三つ編みにしてあるけど。
なんか体形も弄れるっぽかったけど、細かな調整とか面倒そうだからそこはノータッチである。後はまあ、アバター視点の位置が変わると酔いそうだしっていうのもあるが。
周りのダイバーたちの恰好を見ていると地味な感じもするが……悪目立ちするよりかはいいだろう。そう思っておく。
それはさておき、だ。GBNが始まったとなれば次はヒロトを見つける必要がある。GPDやってた頃は出会えなかったからな。こっちで本人に会って、フレンド登録をするというのが目標になるか。
とはいえ、初日からこの盛況ぶりだと、特定の誰かを見つけてしかもフレンド登録までするというのは些かどころか骨が折れそうだな……。リミットは原作開始か、それから少し経ったくらいと見るとしても、それほど多くはないだろうし。
「やあ、ユウリ。早速君も来ていたんだね」
「……」
どうしたものかと考えていたら、チャンプがやって来た。しかも、お目当てのヒロトを連れている。こっちから探す前に向こうから来ちゃったよ。
「ユウリ?」
「あ、あはは。よく私だって分かったね、チャ……キョウヤお兄さん。私、こっちだと服装も違うし髪型だって変えてるのに」
「ああ。遠目にも君だとすぐにわかったよ」
「そうなんだ!」
すぐにわかったよ、じゃないんだよ。何でオレだって確信して真っすぐに来てんだよ怖ぇよ。
「それで、そっちのお兄さんは?」
「彼はヒロト。GBNをソロで始めたらしくてね。せっかくなら初ミッションを一緒にどうかなと誘ってみたんだ」
「どうも……。ヒロトです」
「初めまして、ヒロトお兄さん! 私はユウリって言います! リアルの方では模型店の看板娘をしてます! 近くに来たらぜひ立ち寄ってくださいね!」
「え、ああ。そうさせてもらうよ……」
この人との距離が少しある感じは確かにヒロトっぽいな。この少年が後々の未来で過酷な運命を背負うことになるというのだから、世界というのは残酷だ。ま、オレはその過酷な運命の一つを回避したいと思ってるんだが。
……偶然にしても出来すぎているが、何はともかく第一関門は無事突破したと思っていいだろう。後はフレンド登録ができればいいんだが……。焦ることはない。ミッションの後に流れで行けばいい。
ニコニコと営業ゼロ円スマイルの裏でそんなことを考えながら、ミッションカウンターへと向かうチャンプとヒロトの後ろをついていくのだった。
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「これが君のガンプラか……」
「ええ。まだ名前はなくて、調整も……。そちらのキョウヤさんのガンプラ、AGE-2ベースですか? 凄く丁寧に作られてますね」
「そうかい? 実を言えば僕もこの機体を実戦に出すのは初めてでね。細かい調整はこれからなんだ」
和気あいあいと男二人が話している。場所は変わって、格納庫エリア。GBN内で自分のガンプラを見ることができる場所で、他にもステータスチェックや消費したエネルギーの補給、損傷の修理もここで行う。
おそらくGBNでセントラルロビーに次いで多く来ることになるだろうな。
ざっと見て十機くらいは一気に整備できそうなほどに広い格納庫には、今はオレたち三人しかいない。そしてもちろん、並んでいるのもオレたちのガンプラたちだけだ。
「それで、ユウリ……ちゃん……さん……のガンプラは、グレモリーベース、に見えるけど……」
「ユウリでいいよ~、ヒロトお兄ちゃん! この子は元はガンダム・グレモリーだったんだけど、GPDで戦う内に他のガンダムのパーツを付けていったんだ!」
「君もGPDを? その、小さな子供には結構厳しい環境になってたと思うけど……」
言い淀むヒロト。まあ、言わんとすることはわかる。GPDはとにかく金が掛かる。なんせ実機バトルは実際にガンプラ同士を戦わせる都合、ダメージを受ければそのまま損傷になるのだ。
その損傷が例え小さくても、放置していれば次のバトルではその傷が元で致命傷になるかもしれない。だから、GPDはバトルの後にガンプラを直す手間が掛かり、そのために予備のパーツや直すための道具が必要だった。
その予備や修復に使うパーツ、というのがネックで、一般販売されているキットならパーツ取り用に何個も買うことができたが、これがプレミアム財団Bや何かのイベント限定品になるとそうはいかない。
結局は再販を待つか、割高なフリマサイトで入手するかになってしまう。そんなレアキットを実機バトルに出すなよ、と言われればそれまでだが……。俺がお前を作ったのは、棚に飾っておくためじゃねえ! というファイターは案外多かったわけだ。
ま、一般販売されてるキットでも数が嵩めばそれだけ財布を圧迫するし、改造しているとなればなおさら色んなキットを買い漁ることになり、出費が高くなる。
ヒロトもGPDプレイヤーだから、ハードルの高さというのは分かっていたのだろう。特にオレみたいな子どもとなると……。中身は立派に成人してるんだが、見た目はどうしてもな……。
本当にこの男はそういうところが優しいというか、損をするような性格をしていると思う。
「大丈夫、家が模型店だからガンプラはたくさんあったし、おじいちゃんにも色々教えてもらってたから!」
「そうなのか……」
「ああ。彼女の祖父は素晴らしいビルダーでね。僕も多くのことを彼に教わったんだ」
「そんなに凄いなら……。俺も一度会ってみたいですね……」
「是非とも実際に店に来てみてほしい。彼女のおじいさんが手がけた作例も素晴らしいものばかりだからね。……と、ただの常連客でしかない僕が言うことでもないか」
「ははは」と笑うチャンプ。確かにただの常連客ではあるが、それだけ熱意をもってくれるのならこっちとしても嬉しくはあるけどな。
「おっと、随分話し込んでしまったな……。それでは、そろそろミッションに行くとしようか」
「そうですね」
「うん! 行こう!」
それぞれの機体に乗り込むと、自動でカタパルトへと運ばれていく。GPDだとプラネットコーティングを施された後にフィールドへと飛び込んでいくだけだったからな。
こうしてカタパルトからの発進ができるというのはそれだけでも感動ものだ。カタパルト接続、進路クリアー。発進タイミング譲渡完了……。
ガンダム好きならば誰もが一度は夢見るだろうそれを、大きく声を出して言う。こういうのは恥ずかしがったら逆に恥ずかしさが増すだけだからな。勢いが大事だ。
「……ユウリ、ガンダム・グレモリーミスクレニアスで行きます!」
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発進してゲートを潜った先は、コロニー内部だった。それも、サイド7。
今回選んだのは、いわゆる1ftガンダムと呼ばれる初代をモチーフにした戦闘ミッションだ。
コロニー内に侵入した敵のMS、ザクを撃破せよというシンプルなもので、今も連邦のV作戦で開発されたMSのパーツを破壊しているザク六機が見える。
少し多い気もするが、こちらの人数に合わせて敵の数も調整されているのだろう。
「どうやらこちらには気づいていないようだね」
「低難易度のミッションだし、攻撃するまでは気づかないのかも」
「それなら、先制攻撃で数を減らそう……」
ヒロトのガンプラ……まあ、コアガンダムだ……がスプレーガンを構える。敵まではそこそこ距離があるが、十分射程圏内らしく、放たれたビームはザクの胴体を貫いて沈黙させる。さすが、ナイスキル。
そして、味方がやられたことで残りのザクたちもこちらに気づいた。グポォンとモノアイを光らせて、ザクマシンガンを向けてくる。
「さて、僕も仕掛けるとしようかな」
AGE-2のカスタム機がストライダーモードになって高速で接近。ビームバルカンでけん制しつつ、通り過ぎたところで変形。ハイパードッズライフルマグナムの連射でザク二機を瞬時に撃ち抜き撃破して見せる。
チャンプからすれば、低難易度のNPDくらいはなんてこともないか。さて、オレも突っ込むとするか。右腕にマウントしていたクロスメイスを手に取り、担いでブーストを吹かして突撃する。
ザクが慌てたようにマシンガンを撃ってくるが、強固なナノラミネートコートを貫くには全く威力が足りない。カンカン、と硬質な音と共に弾を弾きながら前進し、クロスメイスの距離に入ると同時に振り抜く。
大質量がぶつかる音と、装甲を叩き潰した確かな手応え。頭から胴体までを大きくひしゃげさせたザクが、その場に倒れ伏した。残っていた方もクロスメイスで叩き潰せば、ちょうどヒロトが最後の一機にビームサーベルを突き立てていた。
うーん、低難易度とはいえなんかあっけなかったな。少し物足りない……と思っているとレーダーが新たな機影をキャッチした。
『ジーンめ、先走ったか……』
お代わりとしてやって来たのは、角付きの赤いザクと、ノーマルのザク。先頭にいるのはシャアのザクだろう。
残りは名無しの部下たちってところか。さっき撃破したのと合わせて計十二機になるか……。まさに大部隊と言ってもいいくらいの数だ。これが本気でV作戦を潰すために持てる戦力を差し向けてきたジオンか。
『見せてもらおうか。連邦軍のMSの性能とやらを!』
『隊長は羽根つきを。小さいやつは自分がやります!』
『そうか。そちらは任せたぞ、デニム』
おお、馴染みのセリフに加えてオリジナルの掛け合いまでするのか。GBNはNPDにAIが入っていて、その場の状況に応じた特殊セリフを喋るらしいが、実際に目にすると少し感動するな。
「これは……」
「どうやら、条件を満たすと発生するシークレット要素のようだね。二人とも、まだ戦えるかい?」
「大丈夫です。まだいけます」
「うん! 私も少し物足りないなって思ってたところだよ!」
シャアはチャンプに、デニムのザクはヒロトの方に。そして残りはオレの方へと向かってくる。
相手がネームドじゃないのは少し残念だが、これから先イヤというほど相手にすることになるだろうからここは譲っておこう。
「さあ来い……このオレとグレモリーが相手をしてやるよ……!」
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『ミッションクリアおめでとうございます! こちらシークレットボーナスです!』
ミッションを終えてセントラルロビーに戻って来ると、受付のNPDがお祝いの言葉を言ってくる。
あ、やっぱりあれってシークレットだったんだな。ネームド二人とはいえ低難易度だからかチャンプとヒロトは危なげなく倒してたけど。
オレもザクに囲まれたが、問題はなかった。これで難易度が上がってくればまた別なんだろうけどな。
「おや……。どうやら僕たちが最初のシークレットクリアらしい」
「それは、ちょっと嬉しいですね」
オレたちが最初か……。それだけ他のダイバーたちは苦戦してるってことか……いや、チャンプたちが倒すのが早すぎただけか。どっちにしても初めにシークレットを獲得したと言うのは嬉しいものだ。
「さて、僕はもう少しミッションをしようかと思うんだけど、君たちはどうかな?」
「俺は……フリーエリアを見ようかな。先行PVで見た時から気になっていたんで」
「私はお店があるから。そろそろログアウトするね!」
「ああ、そうだ。せっかくだしフレンド登録しておこう。また会うことがあればミッションだけでなく、バトルもしたいからね」
本音は後半の気もするが……。そこにツッコむのは野暮というものだろう。三人ともにフレンドコードを飛ばしあって、オレのフレンド欄にチャンプとヒロトの名前が並ぶ。
初GBNでヒロトと会ってフレンドコードも交換できるとはな。まさにチャンプ様々といったところか。
「それじゃあ、俺はこれで……」
「また会おう、ヒロト」
「またねー、ヒロトお兄さん!」
人波に消えていくヒロトの背中を見送り、完全に姿が見えなくなったところで……被っていた猫を外す。
「……オレは落ちるけど、キョウヤお兄さんはミッションしていくのか?」
「そのつもりだよ。少しでも機体を動かして、慣れておきたいからね」
慣れておきたい、ねえ……。今日だけで中級ミッションくらいまでは全部攻略してそうだな。ミッションがいくつあるか知らないけど。
「ミッションするのはいいけど、程々にな。店からログインしてるんだから」
「わかっているとも。キリのいいところで切り上げてログアウトするよ」
そう言って、ミッションカウンターへと向かうチャンプ。オレはコンソールを開いてログアウトボタンを押した。
リアルへと戻って来たオレは、ゴーグルを外して「ふぅ」と息をついた。目的だったヒロトと会えたし、フレンド交換もできた。フリーエリアに向かった彼は今頃、彼女とは出会えているだろうか……。
少しだけ不安はあるが……。大丈夫だろう。そう自分に言い聞かせる。ヒロトがGBNを続けるなら、そのうち顔合わせをする機会も来るだろうしな。
「ねぇヒロト。このミッションとかいいんじゃない?」
「……確かに、難易度的にはよさそうではあるけど……」
一か月後。GBNにログインするとミッションカウンターでミッションを見ている二人組の後ろ姿を見かけた。
一人はヒロトと、そしてもう一人は……長い金髪を二つに分けている白いドレスの少女だった。
この一か月の間、ヒロトが度々GBNにログインしているのは確認してたんだが……どうやら無事、彼女と出会えたらしい。
声を掛けようかとも思ったが、やめておいた。今の二人の間に入っていくのは、野暮だと思ったからだ。
二人が会えた。そしてGBNを楽しんでいる。今はそれが分かったところでヨシとしておこう。
―――To Be Continued