終わり良ければ全て良しと言うべきか、ワタシとケータくんとのデートは無事に終わった。お昼寝が終わった後にやったことは他愛ない話をしながらまた明日とお家に帰っただけ。端から見たらデートらしい事はしていないと言うけど、ワタシ達物欲は薄い方だし、華美な場所を好む方じゃない。もちろん欲しい、行きたいという場所はあるけど今すぐじゃなくて何時かだからそういう気分になれなかった。
後ケータくんと一緒になれるなら余程酷いことが起きない限りどんな場所でも幸せだなって思うから。ケータくんも同じだよと言ってくれて嬉しかった。
いろいろあったデートが終わって次の日ワタシ達は、妖怪のトモダチを増やして回った。妖怪の事をよく知るために必要なことだし、バクロ婆が言っていた不審な妖気に備えなくてはならないからだ。
また新しくトモダチになった妖怪達が、変な妖気を出そうとしている妖怪と、それを防いでいる妖怪が居ると言っていた。なら防いでいる妖怪は味方なのかなと思ったけど、変な妖気を出そうとしている子の敵であってワタシ達の味方じゃ無いんだよね。トモダチになりたいなとは思うけど一先ず様子見かな。
さて、妖怪とトモダチになる経緯の1つに妖怪のたのみごとやおてつだいしたんだけど、当然人間にもそういうのがあるんだよね。ヨカコーラを小さい子に買ってあげるという軽いものから、保育園の先生に害している妖怪を倒すというハードな事まで十件十色。ケータくんと協力しながらたのみごとをこなしていった。トモダチ妖怪の経験にもなるしね。
今日はどんな妖怪に会えるのかな~とウィスパーと町を回っていると住宅街付近で2人の男子高校生を見かけた。興奮しているからかその会話がワタシ達の耳に入る。
「なぁ嘘じゃねぇよなあの姿!」
「間違いない、ニャき元ニャすし先生がプロデュースするアイドルユニット、ニャーKB48!その絶対的センター、フササさんのオフ姿!」
「だよな!おまえも見たよな!その圧倒的なオーラ隠しきれねぇって!」
どうやら有名なアイドルがこの近くに居るようだ。姿を見て興奮しているくらいなら、ギリギリセーフかもしれないが、2人はとんでもない事を言い出す。
「オレ、フササさんにサインを貰う!そしてクラスの連中に自慢するんだ!」
「オレはツーショットを撮って貰う!一生もんの家宝にしてやる!」
アウトだ。ゴリゴリアウトだ。アイドルだってオフとかプライベートで息抜きしたい時はあるのにこんなところまで追ってこられたら困るし怖いよ。ワタシはそれを何とかしようと、この間ウィスパーから貰った妖怪大辞典からメダルを取り出そうとすると、どこからか声が響いた。
「ふざけるニャーーーーーーーーー!!!!!!」
その声の方向を向くととても気が立っているジバニャンと、ジバニャンについてきたであろうケータくんが居た。
「ケータくん。どうしてジバニャンが此処に?」
そう聞くとケータくんは説明を始めた。
「なんかジバニャンがとても嫌な予感がすると言って交差点を飛び出していったんだ。それを追いかけていたらこんな状態だよ。」
説明を聞いた後ジバニャンにどうしてそんなに怒っているのと聞く。だけどジバニャンははぐらかすばかりで言及しようとしない。そんな時ジバニャンの死角からバクロ婆が飛んできて、ジバニャンに取り憑いた!
「オレっちはニャーKB48のガチファン!知らんお前らに説明するとニャーKB48とはニャき元ニャすし先生が手掛けるアイドルユニットで今最も熱いアイドル!オレっちは今四桁は居る会員のうち会員番号は7番の古参of古参!部屋はグッズでいっぱいで、セクシー写真集は全巻コンプリート!そして寝るときはメンバーの最推しであるフササさんのポスターを眺めて眠っているニャン!!!」
グッジョブよバクロ婆。お陰でジバニャンが怒っている理由がわかった。大好きなアイドルでそれも最も好きなフササさんのプライベートが侵されようとしているのに怒っているのだ。そう聞くとジバニャンは鬼気迫る勢いで、
「アイドルだって人間ニャン。トイレにも行くし、時にはルールを破ってしまうニャン。でもファンなら、心からその人を応援したいなら、守らなきゃいけないルールはある筈ニャン!奴らはそれを犯そうとしている!握手会にいって、手を握られたら手を洗わないことで鍛えた拳を味わわせてやるニャン!!」
ジバニャン最後で台無しだよ。言いたいことは言い終わったのかバクロ婆が離れてジバニャンの顔が青くなる。
「今日の話は無かったことに……」
「できるわけ無いよ。ねぇケータくん?」
「そうだね。猫の地縛霊ってアイドルとか見るんだ……。」
ワタシ達はそう言うとジバニャンの羞恥心が爆発して泣きながらその場を去って行った。
「アイドルとかわからないけどフササさんが心配だ。あの2人に捕まったら何されるかわからないよ。」
ケータくんの言う通りだ。フササさんはせっかくの休日を満喫しているのにそれを邪魔されたら嫌な気分になるだろう。そう思ったワタシ達は男子高校生を止めようとしたらもうその場に居なかった!
「ここまで時間が経っていたら探しに行くのが道理ね……。」
マズい。3人の行方がわからないから何処に行けばいいかわからない。そんな時ケータくんがある提案をした。
「妖怪の力を借りよう。今のオレたちならどんな場所でも導けるのも、アイドルに会う幸運も呼び寄せられる!」
ワタシはハッとする。そうだ。今のワタシ達なら不可能は無い!
「オレは高校生達を追う。フミちゃんはフササさんを頼む!」
ワタシは頷くと妖怪大辞典からメダルを取り出す。ケータくんも同じようにメダルを取り出してトモダチの名前を叫ぶ!
「オレのトモダチ!出てこいみちび鬼!」
「ワタシのトモダチ!出てきてツチノコ!」
「「妖怪メダル、セットオン!」」
召!喚!
ウォッチから魔方陣が出て音楽が流れる。2色の魔方陣と2つの音楽によってカオスな空間が生まれた。そしてワタシは幸運を呼び寄せるヘビの妖怪であるツチノコを、ケータくんは大きな手であらゆる場所へ導くみちび鬼を喚び出した。
「みちび鬼!お休み中のアイドルを狙う2人の男が居るんだ!案内してくれる?」
「まっかせってよ~。」
「ツチノコ、しばらくワタシの側に居てくれる?」
「キュピ~ン♪(いいよ~♪)」
そこから二手に別れて捜索する。もっともケータくんは確実だけどワタシはそうじゃない。ならみちび鬼を喚べばよかったんじゃないかと思うけど、みちび鬼の力を使うと偶然を装い難くなり、フササさんの負担が大きくなる。ならツチノコの力を使ってたまたまアイドルに会うという確率を上げた方がいい。そしてツチノコの笑顔には癒しの効果があるためフササさんの負担が最小限になると思ったのだ。
そうして探していると住宅街のヨロズマート付近で声をかけられた。
「あ、あの、助けてください!怖い2人組の男の子に狙われているんです!」
薄い茶髪のロングヘアが特徴的で眼鏡で隠れているけどとても顔の整った女性。地縛霊の猫を魅了するのも納得する風貌をした、正真正銘のアイドルがそこにいた。
「いきなり頼んでよかったんですか?貴女を狙っている人かもしれませんよ?」
会ってすぐの人を信用できるのかと彼女に質問すると、
「問題ありません。人を見る目に自信があるので!貴女とあの2人をつけている男の子には味方!って雰囲気を纏っていますし信頼できます♪」
アイドルは多くの人を相手にするからだろうか。並みならぬ観察眼で信頼されてしまった。だけど都合がいいので彼女の要望を聞く。
「でも2人を撒いても別の誰かが追ってくるかもしれない……。せめて今日だけでものんびりしたいのに……。」
先ほどと一転して弱々しくなる。そして彼女の願望が漏れでた。
「プロデューサーが褒めてくれたオーラと言うんですかね。こういう時邪魔するのやめて欲しいな……。せめて今日だけでも地味な感じにしてくれるとありがたいのに……。」
地味。その単語を聞いてある妖怪を思い浮かぶ。そしてその妖怪はワタシのトモダチだ。これならいけるかも。
「大丈夫です。こういう時にとても効くおまじないがあるんです。」
おまじない?と彼女が首を傾げるとワタシは頷いて、準備をするためちょっと待ってくださいと伝えた。
「ワタシのトモダチ!出てきてジミー!妖怪メダル、セットオン!」
取り憑いた存在をとにかく地味にする妖怪、ジミーを喚び出す。忍者の装いをしたこの子に今の状況を伝え、協力してもらう。
「遂に恩を返す時でござるな。」
そう言うとジミーはフササさんに取り憑いた。パッと見て印象は変わらないけどあの2人に効くかどうかが問題だ。ワタシはケータくんに合図すると、みちび鬼があの2人を先導し始め、こちらに向かってきた。
「わわっ?!来ちゃったよ~!」
ある程度近づいてみちび鬼が姿を消すと、男子高校生はこちらを見つめた。
「どうだ居たか?」
「いや、やけに可愛いちんちくりんと地味な女だけだ。フササさんじゃない。」
「そうか、他の場所を探すぞ!」
そう言って2人はこの場を後にしたのだった。
「スゴいスゴい!このおまじないよく効くんだね!目の前に居たのに気付かなかったよ!」
彼女は興奮してワタシに抱き付いた。思った以上に力が強くて息が苦しくなる。
「あっそうだ向こうにいるボク!そう赤いTシャツを着た君!君も頑張ってくれたんでしょ?お姉さんがハグしてあげる!」
それを聞いたケータくんは近づいて、ワタシと一緒にハグされた。ケータくんがいい感じに負荷をおってくれる為か圧迫感は先ほどより軽くなった。それから数十秒抱かれ続け、満足したのかワタシ達を解放すると彼女はお礼を述べた。
「本当にありがとう!お陰で今日は楽しく過ごせそうだよ!これ、お礼ね!」
彼女はお礼としていやしの天使ちゃんとまもりのおふだを差し出した。ワタシ達はそれを受け取ると最後にとんでもない事を言い出した。
「笑顔が素敵なヘビの子、右手が大きい子、おまじないの忍者といった、ワタシ達が見えるお友だちによろしくね!」
そういって彼女は去っていった。
「ねぇケータくん聞いた……?」
「うん聞いたよ……。」
まさかの事実フササさんは妖怪が見える人だった。しかもウォッチなしでハッキリと見えるのだ。ツチノコとジミーはこれに震えている。
「術を仕掛けた者がバレてしまっては忍者の肩書きが泣くでござるよ。」
「キュピ~ン……(ボクは隠れるのが下手だからあんまり関係ないけどね……)」
フササさんのプロフィールを知っている訳じゃないけど大人になっても視える人はああいう人なんだと直感した。でも1つ言えることは、
「ジバニャンよかったね。応援している姿を見てくれているもん。」
「オレたちがバラすのは止めておこうか。こういうのは自分が気付くのが一番いい。」
トモダチを取り囲む恵まれた環境と、遠い未来妖怪が見えなくなる大人の時、2つの事を思いながら、ワタシ達は彼女が去った方向を見つめるのだった。
悲報☆ジバニャンドルオタだと暴露する
尚察している方がいると思いますが、これの元ネタは初代のたのみごとである[アイドルの悩み]です。
このエピソードを本編に組み込んだ理由はただ1つ、達成に妖怪が必要になるからです。
(このクエストはジミーが必要)
初代限定ですがこうやって妖怪が必要になるたのみごとは、各章の段階に応じて本編に組み込みますのでよろしくお願いいたします。