ミツマタノヅチとウィスパーが叫ぶ傍ら、オレたちはトモダチを喚び出す。見た目どおりに動きは鈍重なのか召喚した妖怪の攻撃をそのまま受けた。
しかしミツマタノヅチはびくともしない。特に胴体を攻撃した妖怪は衝撃がはねかえって吹っ飛ばされたり硬直したりしていた。
「ミツマタノヅチの皮はとても硬く厚いようで、どんな名剣を跳ね返すと言われているそうです!」
てことは、体表からダメージを与えることはほぼ無いと考えていいだろう。ただウキウキペディアに倒し方を載っているのかどうか……
「弱点はお口が開くときに出る目玉!頭を疲弊させると口を開いて疲れを逃がすそうでうぃす!」
流石はウキウキペディアとでもいうべきか。先人の知恵と功績に感謝しかない。ウィスパーの解説を聞いたトモダチ達が一斉に頭を狙い始める。妖怪の身体能力は抜群で、ジバニャンを初めとした近接攻撃を主体とする妖怪達は比較的遠い位置にある頭を当てることができた。
「殴って殴って殴りまくるニャ!」
「そういうこった!おら目玉出しな!」
「この程度の高さ、セミ流忍術の敵ではないミンよ!」
ジバニャン、そしてグレるりんとセミまるが果敢に攻める。その猛攻を払うためにミツマタノヅチが舌で攻撃をしようとしたが
「ダラダラ~ん。」
ダラケ刀がスイッチし、舌の攻撃を一身に受け、反撃した。
「ちょっと痛かったトウ……。」
大型妖怪の維持というべきかダラケ刀には相当のダメージが残っていた。暫くは後ろで休んで貰おう。だけどダラケ刀のお陰でミツマタノヅチの頭の1つが疲れきり、舌を出していた。
「トホホ、目玉じゃなかったよ。」
「でも、あの頭で攻撃するのはムーリー。」
弱点の目玉じゃなかったのはトホホギスのいう通り残念だが、ミツマタノヅチがその口から攻撃できなくなり動きも悪くなった。つまり完全には無駄になっていない。
「あと2つの頭のどっちかに目玉があるはずよ!皆頑張って!」
フミちゃんの言葉に気を奮わせるトモダチ達、ミツマタノヅチはそうはさせるかと口から火炎を吹き出す。
「じめ~!?アレに当たったらひとたまりもないよ~!」
「ババーン!(やけどをおったらケータかフミカに払って貰いな!)」
「キズはボク達が治すボーノ!」
火炎放射を受けてやけどをおったトモダチがオレたちの所へ向かってくる。妖怪ウォッチには妖怪による状態異常を治す力がある。1体ずつしかできないから火炎放射を連打されると少し不味い状況になるな。
「あの炎であの妖怪を焼いたらどんな味がするんかのう?」
「キュピ~ン……(ねぇボクを見てそんなこと言わないでくれる?)」
ごめんひも爺、流石に食指が動かないや。ツチノコがスゴい目で見ているからね?
「ああ、いいどんより具合。今なら行けそうジェバーン!」
オレのおはらいを見て気が高ぶったドンヨリーヌがミツマタノヅチに向かって妖気を解放した!
「ドンヨリ砲!」
場をドンヨリさせる塊をミツマタノヅチにぶつける。ドンヨリさせることはできなかったようだが必殺の威力は凄まじく、一気に2つの頭が開いた!
「「目玉発見!総攻撃ー!!」」
オレたちのトモダチが目玉に攻撃を重ねる。その衝撃にミツマタノヅチは体をガクンガクンと震わせた。
「ギョロ!?これはたまらん!」
ミツマタノヅチは全ての口を閉じ、スイッチが切り替わったかのように攻撃を再開する。
「トホホ、多分だけど目玉の位置がわからなくなっているよね。」
戦闘開始前にミツマタノヅチが目玉を3つの頭に入れ換えていた事を思い出す。その力が有るにも関わらず、自らの弱点を同じ位置におき続けるのは考えにくい。
「トホホギスの言う通りだと思う。目玉の位置を変える。これがミツマタノヅチの生存戦略の1つだとオレたちは思うよ。」
それを聞いたグレるりんがこう言った。
「だったらよぉ。全体攻撃でぶっ潰せばあっという間に終わるだろ!」
グレるりんは妖気を解放し、つっぱりメンチを発動させる。グレるりんの行動を見て全体攻撃が可能な妖怪達は続いた。
「その考えに賛成ニャン!ひゃくれつ肉球!」
「拙者も助太刀いたす。みんみん切り!」
必殺技の必殺技の3連打に堪らずミツマタノヅチは全ての口を開く。それを合図としてトモダチ達が果敢にミツマタノヅチへ攻撃する。
「ギョ、ギョロー!?妖怪の数が多すぎるギョロ!?目玉をしまう暇が無いギョロ!!」
ミツマタノヅチは一気に追い込まれた。あの様子からしてまた目玉をシャッフルするつもりだろう。
「そんな暇を与えるものか!」
「ここで終わらせるよ!」
トモダチ達のやる気がクライマックスに達する。このまま勝負ありかと思ったその時、
青と水色の稲妻に包まれた黄色い閃光がミツマタノヅチの目玉を貫いた。
『はっ?』
オレたちは勿論ミツマタノヅチが困惑する。しかし息つく暇を与えてしまい、ミツマタノヅチは目玉をしまう。
「ギョっギョロ!?先程と違う力が溢れ、」
この空間を覆っていた妖気の圧力が増す。だけどこれはミツマタノヅチの妖気が増しているじゃなくて、ミツマタノヅチの力が何かに塗りつぶされている様に感じた。
「ミツマタノヅチが持っていた禍々しい妖気と全然違う。寧ろ神々しい?ワタシたちを一捻りできるような……。」
フミちゃんが自分で感じたことを纏めようとしたとき、ミツマタノヅチが苦しみ出す。
「ギャアアア!!!ワレが塗りつぶされる!ワレがワれで無くなる!?誰か、ダレカタスケ……」
そうミツマタノヅチが言った瞬間、ミツマタノヅチを中心に爆発が起きた。色は先程の黄色い閃光と同じ色の様に見えた。そして爆発が収まると、ミツマタノヅチに異変が起きていた。
体表に黄色い模様が走り、所々から熱気が吹き出して、黄色いオーラが立ち込めている。そして口を開くと、外側から白赤黒の目玉が黄色黒黄色の配色へ変わっていた。そしてミツマタノヅチだった妖怪から無機質な音声が流れる。
そう聞こえた瞬間、その妖怪は一瞬で小学校を火の海に変えたのだった。