ミツマタノヅチを倒したオレとフミちゃんはオレの家で思いっきりだらけた。一緒にお菓子を食べたり録画した互いの好きな番組を見たりと家の中でできる事をやって羽を伸ばした。
そして次の日、オレたちは団々坂の時計屋に向かっている。どうしてかというと、
「今後の戦いに備えるため、もっとランクの高い妖怪とトモダチになるべきです。しかし、今の妖怪ウォッチのランクではランクの高い妖怪を見つけることすらできません。ですので、妖怪ウォッチの性能を上げるべく時計のチョーシ堂に行きましょう!」
ということだ。尚ホノボーノとドンヨリーヌ、ジバニャンを見つけられたのは精神が不安定だったり疲れたりして、隠れる力が弱まっていたのが理由で、万全な状態なら発見できなかったらしい。
強い妖怪ほど身を隠すのが上手いというのはどの妖怪にも当てはまるということで、これから先トモダチになる妖怪も、さくらニュータウンやオレたちを狙う強敵達を相手にする為に必要だとウィスパーが言った。
オレたちとしては全くの異論はないため、チョーシ堂に向かうことにしたんだけど、これ普通の時計じゃないよね……対応できるかな?
「ようこそチョーシ堂へ。いったい何の用だ?」
チョーシ堂の扉を開けると、赤いニット帽と髪型のシルエットが強烈なお爺さんがそこにいた。チョーシ堂の店主であろうこの人にオレたちは妖怪ウォッチを見せる。
「それは妖怪ウォッチ!しかも2つか。なるほどそれで白い妖怪もついているのか。」
「っ!?お爺さんウィスパーが見えるの?」
「あったりめぇよ。何を隠そう、このワシも妖怪だからさ。」
フミちゃんの疑問に店主のお爺さんが自分を妖怪だと明かす。妖怪の中には人間社会に溶け込んで生活している者もいるとのことだ。確かに人間社会に明るい妖怪が時計屋をやっているならば、妖怪ウォッチの強化できるといっても何にもおかしくない。
しかも、ウィスパーが店主のお爺さんの一族が妖怪ウォッチの開発に関わっていると補足したのだ。
今ではヨップル社という妖怪の会社が全てのウォッチの製造、開発をしているが、60年前にできた試作型や、それを現在の妖怪ウォッチへと昇華できたのは時計のノウハウがある彼らの協力無くしてできなかったという。お爺さんはワシらが勝手にやったことだと笑っていたけど、妖怪ウォッチのランクアップにこれ以上の適任は居ないとオレたちは喜んだ。
「妖怪ウォッチのランクアップか、良いだろう。ただし今からいう3つの材料を取ってこい。ウォッチランクを上げるのに使うからな。」
そういってお爺さんはウォッチランクを上げる軽い試練だとオレたちにお使いを頼むのだった……。
◇◆◇
「ケータくーん、見つかった~?」
「いや~、此方ははずれ~。」
ワタシたちは最後のパーツである歯車を手に入れるため、竹林のおんぼろ屋敷に来ていた。おんぼろ屋敷というだけあって中は妖怪達で溢れていて戦闘に事欠かない。その分トモダチになった妖怪はいるけどね。
ちなみにみちび鬼の力を借りれば良いんじゃないかなとメダルを使ったんだけど都合が悪いみたいで喚ばれ無かった。人海戦術を使おうにもここの妖怪に各個撃破されては困るから、ワタシとケータくん、ジバニャンとツチノコ、そしてウィスパーの5人で回っている。
「この間の疲れ、抜けきって無いんですけど……」
「キュピ~ン。(まあ疲労状態の訓練と考えたら、多少はね?)」
「あーた達、疲労困憊の状態で手伝ってくれるトモダチ妖怪に感謝しなさいよ?」
「「わかってる~。」」
本当に来てくれて感謝している。屋敷というだけであって広さはかなりあるし、おんぼろなのもあって足元に注意しないといけないところもある。さらにここの妖怪に手を加えられているのか、からくり屋敷になっていて仕掛けがいっぱいだからより探索に時間がかかるのよね。
「ふーむ、ここまで見つからないとなると、誰か持っているかもしれませんね。」
「でもここに居る妖怪達とお話したけど、歯車のありかを知らんやつばっかりニャンよ?」
「となると必然的にその妖怪達が行けない場所にあるってことだよね。」
「てことは今のところワタシたちが行ってないのは、この扉の先かなぁ。」
この屋敷をぐるぐる回り、ときにここの妖怪に話を聞きながら探索して、ワタシたちは鍵のかかった扉の前にいた。
回った場所に無いならまだ行ってない場所にあると考えるのは自然なことだが、一方通行の扉とかで見落としがないかと何回かぐるぐるしないといけなかった。
でも見つからないと思った今鍵付きの扉を開くことを決意する。ケータくんが鍵を使って意外とスムーズに扉を開くと、苦しそうに眠っている二体の鼻の長い紫色の妖怪がいた。
「うぅ……ぐぅぅ……」
「こないでぇ……美味しくないよう……」
怖いなにかに追われる夢でも見ているのか、この子達の震えようにワタシも体を震わせる。
小さい頃、ウィスパーが居なかったから野良の妖怪が彷徨いて、その妖怪達が出すラップ音等が理由で夢見が悪かったのよね。怖い夢を見るたびにケータくんに泣きついて、大丈夫だよとか色々声をかけてもらったことがあるけど、それでも悪夢の恐怖はずっと付き纏うわけで、あの時を思い出しては震えることもあるのだ。
「フミちゃん大丈夫?この子達を見て思い出しちゃった?」
ワタシはコクンと頷くとケータくんは軽く抱き締め、慣れた手付きで背中を擦ったり、オレがココに居るからねって優しく声をかけてくれた。やっぱりこういう時ケータくんは頼りになるな。
そしてケータくんはウィスパーに合図を送っていたのか、ウィスパーは寝ている妖怪の解説を始める。
「この妖怪達はバクと呼ばれる妖怪です。本来なら悪夢を食べる妖怪ですが、どうやら悪夢にうなされているようですね。」
医者の不養生みたいなものかな?妖怪も生きているからこういうこともあるよね。
「怖い夢を見ているなら起こしてあげた方がいいよね?無理に見続けるものじゃないし。」
ケータくんがそう言うとウィスパーは頷き、ワタシたちは2体のバクを起こす。すると二体のバクから剣呑な雰囲気が漏れ始める。
「妹を食わせん、食わせてなるものか~!」
「姉さんに手を出すな!手を出すならお前を食ってやるバク~!」
そう言ってバクの姉妹は襲いかかってきたのだった。
戦闘は次回に持ち越しです。