虫取り→?????
「じゃ~ん!」
緑の服とヘッドフォンが目を引く小柄な男の子がそれを見せる。色とりどりのキレイな虫が並んだ箱だった。なかなか見慣れない虫で一杯のため、白いパーカーにポニーテールがかわいらしい女の子と赤色に白い星マークのTシャツの男の子が目を輝かせる。
「すご~い!キレ~い!」
「うわ~すごい!これどこで捕まえたの!?」
緑の服の子、[カンチ]が待ってましたといわんばかりに話し始めた。どうやら別荘の森でレアな虫を集めたらしい。
「まっ捕まえたのはおれだけどな!」
青い服をきた大柄な子、[クマ]がそういった後、2人に話す。
「2人の自由研究は昆虫採集だろ?」
そう2人の自由研究は昆虫採集である。因みに内容は一切打ち合わせていないので内容が被るのは極々まれである。
「え?あっうん。そうだけど。」
「夏休みのプリントで手一杯で虫の1匹も捕まえていないだろ!」
全くもってその通り。この2人は昨日まで死にものぐるいで鉛筆を走らせて残す宿題は自由研究と日記である。ただ年々難しくなっていく宿題に圧倒され、一週間かかってしまったのだ。
「先に終わらせたオレがオススメの虫を教えるぜ。庭の石をどけたら居るダンゴムシとかどうだ?」
一瞬でも同じクラスのトップ2人を抜いた快感からかクマとカンチが笑いだす。
「まさか2人に出し抜かれるなんてね……。」
こればっかりはスケジュールの差だ。だから抜かれたことに関してはしょうがないのだと、ポニーテールの女の子フミちゃんが呆れていると、
「別に別荘とか行かなくてもレアな虫を捕まえられるし!」
成果物は別であると、赤いTシャツの子は言った。彼、ケータは小学5年生。好きな女の子の前には背伸びしたい年頃なのだ。
「ちょっと、ケータくん!」
未来の旦那さんが変なことを言い出した。それを止めようとしたがもう遅い。
「ほーう。じゃあどんな虫を捕まえるんだ?」
「良かったらボクたちに教えてほしいね~。」
おちょくりにおちょくる。もうこの流れは止めようがない。
「そ、それは秘密だよ!最初から教えていたら2人を驚かせないじゃないか。」
地味にハードルを上げる。茨の道をいくケータを見てフミちゃんは頭を抱えた。
「へへっそれは期待が大きいな!待っているぜ~。」
「待っているぜ~。」
そう言って昆虫採集先行組の2人は去っていった。
「ケータくん。」
夏場にしては少し冷えるような声でアホな旦那さんに呼び掛ける。
「え……えっと、フミちゃん。ごめ……」
「当てはあるの?」
「はい?」
「だから虫を捕まえる当てはあるの?」
「……無いです。」
はぁとため息を吐いて自分の昆虫採集に赴く場所を告げる。
「おおもり山に行くわよ。あそこなら自然がいっぱいだから。レアな虫も沢山いるでしょ。」
そう言ったら彼女はさんかく公園を後にした。
「後この間までお部屋の中に居たからお外でデートしたいし。」
昆虫採集がデートになるのかわからないが男女が一緒に行動するのはデートのそれである。ケータの耳にもバッチリ聞こえたため顔が赤くなった。
◇◆◇
オレはフミちゃんと一緒に昆虫採集、いや昆虫採集デートを行っていた。いちおう夏休み3日にオレの家にフミちゃんを招いて勉強会をしたけど勉強が捗るばかりで一切の気が抜けなかった記憶がある。だからこそ宿題のあれとはいえデートって言いきってくれたフミちゃんに感謝している。実際レアな虫を探しているフミちゃんはイキイキしていてオレも嬉しくなるんだ。
「ケータく~ん。虫見つかった~?」
フミちゃんが御神木に繋がる階段を駆け上がる。オレは神社周辺の草木から虫を探していたため、神社で落ち合うことにしたのだ。
そしてその成果は、オレはミンミンゼミ2匹とヒグラシ1匹とカミキリムシ1匹。
フミちゃんはミンミンゼミ1匹、アブラゼミ2匹、アゲハチョウ1匹だった。
「レア度はヒグラシとアゲハチョウが同じくらいだね。」
「クワガタとかカブトとかいれば良いけど夜に出やすいみたいだからね……。」
流石に門限を破って夜の山に登る勇気はない。危険だし、バレたら面倒だからだ。なら昼の内に捕まえるだけ捕まえるかと2人で御神木に繋がる階段を降りると、御神木への立ち入りを禁止する看板が外れていた。
「あれ?フミちゃんここって看板があったよね?」
「うん……。なんならワタシがここで虫取りをしていたとき看板があったよ。」
明らかに何かがおかしい。本来ならここで引くのが正解だろう。でも視界の端に出たレアな虫が御神木の方へと飛んでっていったんだ。
「あっ!待って、レアな虫!」
オレはフミちゃんの手を引いて奥へと駆け出した。
「ちょっ、大丈夫なの!?ケータくん!?」
不思議とフミちゃんの声は聞こえなかった。そしてオレたちはたどり着いてしまったんだ。
不思議なガシャガシャがおかれた御神木に。
「これが御神木……。良く見るのは初めてだな……。」
そう感想を漏らしているとフミちゃんが震えているのに気付く。
「フミちゃん!大丈夫!?」
顔が青く息が絶え絶えのフミちゃんをみてオレは背中を擦ったり安静な体勢をとらせる。するとフミちゃんが話し始めた。
「あれは、今までとは違う……!濃い、ただひたすらに濃いナニカの気配……!」
ナニカ。それはフミちゃんが見たり聞いたりすることができる人ならざるものの総称。フミちゃん曰くナニカが行動する度に人間の身にいろんなことが起きるらしい。実際これまでの生活でナニカによる活動をフミちゃんを介して度々見てきた。その兆候を感じたり、それによる不祥事が起きる度にフミちゃんは恐怖を感じてきた。でもオレの周りにはそれがほぼ起きないようで一種のシェルターとして関わることも珍しくない。彼女の不安を和らげるのも、彼氏の役目だと思うから……。
「オレの力は上手く働いていないようだね。なぜだかわかる?」
フミちゃんは呼吸を落ち着かせて原因を探る。
「気配がまぜこぜになっている。大きいのと小さいのと色んなが、あのガチャ玉のように。」
「ナニカの気配が足し算のように膨れ上がっているってことだね?」
フミちゃんはコクンとうなづく。てことはあのガシャガシャはフミちゃんがいうナニカに関係があるのか?
『いれろ……いれろ……』
「「!!!!!!!!」」
「ケータくん!今の声……!?」
「うん!オレもハッキリ聞こえたよ!?」
今までない現象だ!フミちゃんはナニカが発する音は聞こえたというけど、いずれも人間に聞き取れる言語じゃなかった!
『いれろ……いれろ……いれろ!いれれば……いれずんば……』
いれろ?つまりこのガシャガシャにお金を入れろってこと?
「ケータくん……」
フミちゃんがオレの服を握りしめている。ナニカの機嫌を損ねたらどうなるかをよく考えるフミちゃんだからこそこんな状況なのだろう。
正直に言うと、こんな意味不明なガシャを回したくない。でもフミちゃんを苦しめているナニカのことがここにあるのなら!未来の旦那さんとしてここは引くわけにはいかない!
そう思ってオレは財布の中にある唯一の硬貨である百円を取り出そうとすると、
「待って。」
フミちゃんが待ったをかけた。そうした後何と自分の百円を取り出した!
「フミちゃん!?それって……」
「ワタシだって怖いよ……。下手したらケータくんが死んじゃうかもしれない。でもケータくんがワタシの為に身を削るというならワタシも奮い立たないとダメじゃない!」
そう言ってオレの前に立つと、
「ワタシは勇気の半分、ガシャを回す勇気をあげるから、ケータくんはその半分、ガシャ玉を開ける勇気を頂戴……!」
……そこまで言われたらもう引き下がれない。オレは頷き、あの日の約束について再確認すると、フミちゃんはガシャを回しはじめた。
「出てきたわ……。はいケータくん。」
出てきたガシャ玉は黒と灰の二色の石みたいだった。オレはその境界線をまわすようにガシャ玉を握る。
「ぐっ……これは硬い……!」
やがて境界線がズレ、ガシャ玉が開くと、とてつもない光がガシャ玉から飛び出した!
「「うわっ!」」
オレたちは驚いて尻餅をつく。
そうして出てきたのは真っ白な体に青唇の幽霊だった。
「
?????=ウィスパー
尚、出てきたのはアニメ、2以降のポンコツのよう。