トモに時計の針を進められたなら   作:モンコクチョウ

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暴露→心傷

 ジバニャンとトモダチになって数日、オレたちはさくらニュータウンで遊んでいた。ただ他の人達と違うのは、遊び相手に妖怪がいることだ。妖怪達は人間と同じような悩みを持つことがあるようで、これまで他の人達にやってきたようにおてつだいをしていった。幸か不幸かジバニャンを呼ぶような荒事は一切起こらなかったけどね。

 

 そして昨日オレたちは両親に取り憑いていたあのドンヨリーヌとホノボーノに会った。お礼の準備ということでここまで時間がかかったらしい。

 

それでオレたちは2人の妖怪メダルと妖怪ワールド屈指の技術者が作ったポケットをもらった。

 

なんとこれは異空間に繋がっていて同種のアイテムを99個まで持つことができ、中に入れたものの時間を止めることができるというのだ。しかも持ち運ぶ際の重量はポケット1個分という破格の性能である。

 

これは妖怪ワールドでも極僅かな人しか手にすることができない超貴重品らしい。そんなの小学5年生に渡していいのと聞いたらもう既に家族分あると返ってきた。2人の家ってどんな感じなんだろう……。

 

あと乱用すれば製作者が仕込んだ妖術が炸裂するらしい。使いすぎはご用心と忠告を受けた。絶対みだりに使わないとオレたちは心に誓った。こんなオーパーツに仕込む妖術なんて人間に耐えられるとは思わないもん。

 

そして、そのポケットの中に2人の最後のお礼の品が入っていた。それはアッカンベーグルとモグモグバーガー。フミちゃんにも同じものが入っていたのでそれぞれ2個ずつである。パンは2人の好物でバーガーはオレのハンバーグサンドの返礼だそうで、是非2人に食べて貰いたいと言っていた。なおウィスパーの分は無かった。

 

オレはこれを見てフミちゃんに提案をした。これをお昼ごはんに据えて、妖怪の事を一旦忘れてデートしようと。フミちゃんはそれを承諾し、今日はそれで解散した。

 

 

 次の日の9時くらい、さんかく公園に女神と白いオマケがいた。彼女のお気に入りである白いパーカーにポニーテールがとってもキュートな女の子、オレの彼女であるフミちゃんと、頭にソフトクリームを乗っけた白い飛行物体ウィスパー。種族は妖怪で職業は執事という耳を疑う経歴の持ち主だ。今回は背景に徹して貰いたい。

 

「あっ、ケータくん!」

 

花が咲いた。クラスや同級生を超えて魅了する一輪の花。互いに秘密を共有し、心が通じ合っている人が居るからこそ見せる大輪の花だ。この笑顔の全てを知っている人間はオレだけ。フミちゃんの両親やオレの両親は雰囲気から察しているかも知れないけど、付き合う経緯があれだからとてもたどり着けないだろう。

 

「フミちゃんおはよう!よく早く起きれたね。」

 

「うん!今日という日を待ちきれなくて。」

 

花のような笑顔が全てオレに注がれている。その光景を見るたびオレは幸せ者だと感じる。だからオレは感謝を込めて言葉を紡いだんだ。

 

「今日も素敵な笑顔をありがとう。オレの天使フミちゃん。」

 

そう言うとフミちゃんが目を丸くした。なんで??

 

◇◆◇

 

 たすけてけーたくんこわれちゃった。確かにケータくんは小学5年生で年相応に欲望を口にするしはっちゃける事はあるよ?でもここまで気持ち悪い言動をとることは一切なかった。親しき仲にも礼儀ありということでいくらベタベタくっ付いていてもちゃんとTPOとかの範囲内で接してきたのだ。でも今のケータくんはどう?

 

「ずっと眺めていたい、ずっと抱き締めていたい。本当なら妖怪とか学校とかオレたちが側に居る事を妨げるもののない世界にフミちゃんと一緒に飛び込んでずっと、ずーっと愛していたい。」

 

考えた事はある。考えた事はあるけどさ、人が集まるこの公園で言うのはちょっと違うんじゃないかなケータくん???

 

後ちょくちょくワタシとケータくんの思い出を介して褒めるの止めて!一徳寺のくだん像に日焼けしたら大変だとワタシがわら帽子を編んで像に被せた時の一仕事を終えた姿が綺麗とかキウチ山で見つけた傘の石像を2人で一緒に水垢を拭き取った時の真剣な表情が素敵とか言わなくていいから!もうワタシのお顔が真っ赤ッかだよ。肌色のライフはもうゼロだよ!

 

「おやおや文花さん、だいぶ愛されているそうですね~w」

 

殴ってやりたいそのにやけ面。気を取り戻したら覚えておけよ。

 

ケータくんがワタシに対しての思いを吐き出し続けて十数分後、ケータくんの声量がどんどん小さくなって完全に沈黙してしまった。

 

「ケータくん……?」

 

その声にケータくんは反応して、だんだんと顔が青くなる。自分の言った事を覚えているのか物凄く狼狽えて、ついにはとんでもない事を言い出した。

 

「フミちゃん、介錯してくれ。」

 

「介錯しないよ!?ケータくん落ち着いて!」

 

もうてんやわんやである。楽しくなる筈のデートがぐちゃぐちゃだよ……。

 

「これ妖怪の仕業だよね。」

 

たぶん今の声は怒気を孕んでいる。ケータくんの汗から感じるもん今ワタシにビビっているって。でもねケータくん。大好きな人とのデートが台無しにされて起こらない女の子はこの世に存在しないんだよ?怒りで霊感の性能がはね上がり、ケータくんに取り憑いていたであろう妖怪の残滓を追う。どうやらさくら住宅街の河川敷に居るようだ。

 

「さてケータくん。殺りに行こうか。」

 

ケータくんにそう言うと躊躇いながらも頷いた。

 

……ケータくんはワタシの笑顔が素敵と何度も言ってくれたけど、今のワタシの顔は毒々しい花のように危険な感じなんだろうな。……ケータくんに嫌な思いをさせちゃったな……。

 

◇◆◇

 

 やってしまった。オレが場を弁えない発言をしてしまったせいでフミちゃんに嫌な思いをさせちゃった。フミちゃんはオレが提案をしたデートを楽しみにしていたのにも関わらずだ。どこかに行くプランとか練っていない。決めていることはお昼にドンヨリーヌらがくれたごはんを食べることと妖怪達を気にしない事の2つ。

 

それ以外は2人で町をぶらつくという端から見たら何時もの事だと思うけど、フミちゃんは小さい頃から妖怪と不完全ながらに関わっていた故に、オレや家族等の小さい日々が何モノにも代えがたい事だとフミちゃんは思っている。

 

オレにとってもそれは決して忘れてはいけない大切なことで、絶対に犯してはいけない領域だったんだ。

 

今までにこういった事はある。喧嘩してお互い言い過ぎて、辛い思いをして反省し、最後には仲直り。雨降って地固まると言うけど、雨が降っている間は辛いんだよ。雨を降らしたのがオレたちなら何とか堪えれるけど、それが妖怪の仕業で、尚且つ大切な日を邪魔をしたというのなら、

 

ちょっと怒ってもいいよね。




スミマセン。予想以上に長くなったんで分けます。
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