【リメイク】僕はげきからマホイップと世界を巡る 作:三笠みくら
僕がホテルで起きて、フランとスコヴィランにごはんをあげていた時。メロコちゃんから電話がかかってきた。
「もしもしメロコちゃん?どうしたの?」
『おう、おはよう。アマネさえ良ければなんだけどよ…』
なんだろう、観光スポットにでも連れていってくれるのかな?
『一緒に、カチコミ行かねえ?』
「……なんて?」
あまりに物騒極まりない単語に、僕は思わず聞き返した。普通に生きていたらカチコミなんて聞かない単語だもの。詳しいことは別の場所で、と言われたので指定の場所に行くと……
「よく来たな」
「……どなた?」
オルティガくん、ピーニャくん、ボタンちゃんと……見知らぬ3人がいらっしゃった。どなた?
「オレだよオレ、メロコだ!そうか、このカッコは初めて見せたな」
「ええ、メロコちゃん!?すごくカッコよくなってる!」
「そうだろそうだろ、もっと褒めろ」
「じゃあ、こっちは…」
「わたしはビワだよー、あんまり変わってないけどね」
「何もかも違いますけど…」
「拙者はシュウメイでござる。この衣装は、皆のスター団としての正装にて」
「スター団としての?じゃあ、わざわざ着替える理由があるってこと?」
「正解!これを見てよ」
ピーニャくんが見せてくれたパソコンには、ヘルメットを被ったスター団らしき生徒たちがたむろしている映像が映っている。でもその映像にあるロゴマークは……スター団のロゴにバツをつけたもの。
「もしかして、これって」
「ああ。新生スター団どものアジトだ」
「じゃあカチコミって…」
「こいつらをぶっ飛ばすんだよ、これ以上スター団の名前を勝手に使われちゃ困るし」
「それって…大丈夫なの?警察沙汰になったりしない?」
「大丈夫!もうアカデミーの先生たちには話つけてるから!」
「いじめへの抵抗が発端とはいえ、スター団によって迷惑をかけられた民がいるのも事実……拙者たちが責任を持って、新生スター団を止めるでござる」
「とはいえ戦力は欲しいし、今いるスター団員みんなに声かけてたんだ」
「え、待って戦力?僕、バトルとかしたことないんですけど……」
気まずくそう言うと、全員から「何言ってんのこいつ」みたいな顔で見られた。いやまあ普通はそうなんだろう。ただ僕はフランをバトルさせるなんて考えたくないし、スコヴィランもまだ捕まえたばかりだし……というか単純に、バトルへの苦手意識が強いんだよね。
「何それ、トレーナーズスクール行ってたんじゃないの?」
「実技はからきしで……」
「うーん、そういうことなら回復をお願いしてもいいかな?カチコミってなるとどうしてもポケモンの体力は減っちゃうし」
「うん、それなら任せて!キズぐすりとかはいっぱい持ってるから!」
「じゃあうちと一緒だね……うちも後方支援やるから」
こうして僕はボタンちゃんや数人のスター団員のみんなと一緒に、回復や後方支援を担当することになった。モトトカゲを走らせて、着いたのはげきりんの湖。どうやらここに新生スター団はアジトを勝手に設置しているらしかった。
『あ、あー。新生スター団ども!!オレらがお前らの腐った根性叩き直してやる!!覚悟しろ!!』
メロコちゃんの宣戦布告によって、仁義なき戦いが幕を開けた。新生スター団たちとスター団たちがもみくちゃになって、ポケモンバトルをしている。でも力の差は歴然で、新生スター団たちはすぐに逃げ出した。
「ボス、助けてください〜〜!!」
「……チッ」
奥のテントから出てきたのは……ガタイのいい、褐色の爽やか男子。イケメンだけど、性格の悪さが滲み出ている。
「スター団のボスの皆さん、ここまでやってくるたあ必死だな」
「……やっぱり、先輩だったか」
「よう、ピーニャ。ああ、あの時はよくもやってくれたな。いじめだなんだと騒いで……おかげで色々大変だったんだぜ?」
「んだと……!!」
ボタンちゃんの調べたところ、新生スター団のボスは、かつてアカデミーでいじめを行っていた生徒の1人だった。スター大作戦の時にほとんどのいじめっ子は退学したけど、彼や少数のいじめっ子はアカデミーに残っていたんだ。そして彼はスター団に逆恨みをして、スター団に不満を持つ本物の不良たちを吸収して新生スター団を作った……らしい。
「元はと言えば、お前らが弱いのが悪いんだろうが。そのくせ偉そうにボスだのなんだの……気に食わねえんだよ!!」
「……だったら、正面から戦いなさい。スター大作戦の時に逃げたあなたが言っても、なんの説得力もない」
「ああ。だから正面から潰してやるよ……ヘイラッシャども!!」
その瞬間、湖から大量のヘイラッシャたちが!!僕たちスター団は、すっかり囲まれてしまった。
「なっ……!!」
「あの時、お前らが改造車でやったみたいにしてやる!意外と簡単だったぜ?頭の悪いヘイラッシャを飯で懐柔するのはな!」
「クソ……」
「ああ、悔しそうだな?そりゃそうだ、お前らスター団ボスはみーんなヘイラッシャと相性が悪いんだからな。だからげきりんの湖をアジトに選んだんだ。しっかり負けてくれや!!」
どうしよう。このままだと大量のヘイラッシャにスター団のみんながやられてしまう。でもどうやって助ける?こんな大勢に勝てる手段なんてあるのか?そもそも僕ひとりがなんとかできる問題じゃ………ボールが、揺れてる?
「フラン……」
……そうだ、スター団のみんなは、僕を受け入れてくれた。だったら……ダメ元でもやってみるべきじゃないのか!そうと決まれば。僕は、ヘイラッシャたちに囲まれているボスたちみんなのところに走った。
「アマネ!?何してる、オマエは逃げ…」
「フラン!!ホットクリーム、回転しながらいっぱいお願い!!」
フランを空中に投げる。空中でフランが回転しながら……クリームをヘイラッシャたちに向けてばら撒いた。クリームは見事にヘイラッシャたちの口の中に入り……
「「「ギャアアアア!!!!」」」
「な、ヘイラッシャども!?待て、なんで逃げる!?」
激辛クリームに耐えられるわけもなく、ヘイラッシャたちは湖の中に逃げていった。あとは……わかるね?
「……ナイスだぜ、アマネ」
「これで終わり?とっておきも意外とあっけないね」
「な、な……」
新生スター団のボスは、あまりの衝撃に腰を抜かしていた。まあ、普通あの量のヘイラッシャが一気に逃げるなんて考えないよね。
「おい、誰か!お前ら、スター団のボスどもを倒せ!!金ならくれてやるから!」
「無駄でござる。すでにポリスは呼び出し済み。金で釣られるようなメンバーとは……なんとも薄い繋がりでござるな」
「クソ、クソ!!お前……お前のせいだ!!訳のわからねえことしやがって!!卑怯な手を使ったんだろ、このクソ野郎!!」
「……卑怯なのはどっちだ、人を傷つけて、反省もしないで……そんなの、痛い目にあって当然だ!!」
「〜〜〜〜!!」
「シュウメイ」
「うむ。ベトベトン、げっぷ!!」
ベトベトンの臭い息が当たって、ボスは悶える。その隙に警察がボスを拘束して、呆気なく終わりを迎えた。
「ありがとうな、アマネ。お前が立ち上がってくれなきゃ、オレたち今頃全員やられてたぜ」
「えへへ……無事でよかった」
「それにしてもどんな忍法を使ったのでござるか?大量のヘイラッシャを一撃で沈めるとは……」
「大したことはしてないよ、ただ激辛なクリームを口に入れただけ。ねーフラン」
「ほみ、ほみ!」
「ああああ!!お前、お前のせいだぁぁ!!エンニュート!!」
「えっ……」
「アマネ、危ない!!」
ボスが、いつの間にかエンニュートを繰り出していた。エンニュートが、僕に襲いかかってくる。でもダメだこれは、避けられな__
「イルカマン、ジェットパンチ!!」
「ギャア!?」
どこからともなく、ヒーローみたいなポケモンが現れた。赤くて大きいモトトカゲみたいなポケモンが、上から降りてくる。
「大丈夫だった?」
「はい、ありがとうございます…」
「ごめんねボタン、遅れちゃって!でももう大丈夫……私が来た!!」
「……決めたとこ悪いけど、もう全部終わったよ。アオイ」
「ウソぉ!?」
三つ編みが特徴的な、明るい女の子。アオイちゃんが参上した瞬間だった。
新生スター団ボス
かつてアカデミーでいじめを行っていたいじめっ子のひとり。スター大作戦の際は真っ先に逃げた。しかし家の都合もあり退学することはできず、針の筵の中アカデミーに通っていた。次第にスター団への恨みが増していき、スター団の脆さを利用してボスたちに復讐しようと画策した。