【リメイク】僕はげきからマホイップと世界を巡る   作:三笠みくら

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長いです


げきからマホイップ、誕生

 

マホミルをゲットして、僕は無敵になった。家で怒鳴ったり殴ったりしてくるおじいちゃんはいないし、スクールに行く時は留守番してもらってるし!マホミルと辛いものを一緒に食べる幸せ……より美味しいね!!

 

そんな日々を繰り返していたある日のこと。僕はマホミルの異変に気づいた。

 

 

「なんか……赤くない?」

「ほみ?」

 

 

マホミルのクリーム色の体が、ほんのり赤いのだ。マホミルは元気にマトマのみスナックを食べているし、ポケモンセンターに行っても健康だから異常はないんだろうけど。

 

 

それからしばらく経って、僕にとっての運命の日がやってきた。

 

 

「じゃじゃーん、マホミル!」

「ほみ?」

「進化するのに必要なアメざいくだよ、今日僕は、きみを進化させます!」

「ほみゃ〜〜!」

 

 

僕の部屋に並べられた、いちご、ハート、ベリー、スター、よつば、おはな、リボンのアメざいく。

 

僕は今日という日のためにガラルのお菓子屋さんやカフェを巡っていたんだ。マホイップに進化するために必要な飴細工は、普通のものじゃない。形、ツヤが完璧じゃないと進化できない。原理は不明だけど、種としてのこだわりがそうさせるのでは、とされている。

 

ともかく!完璧な飴細工を、7種!これらを集めるのは骨と心が折れそうになった。僕ほんとに頑張ったからね。なぜそこまでって?もちろん、マホミルには進化する時後悔してほしくないからね!それに飴細工はともかく、フレーバーはもう決まってるから。飴細工は選ばせてあげようと思ったんだ。

 

 

「マホミルはどのアメざいくで進化したい?」

「ほみ〜……ほみ!」

「リボンアメざいくか、いいね!それじゃあそれを持ってボールに入って……」

 

 

回る時間の長さと方向によって、マホミルは違うフレーバーのマホイップに進化する。だけど今回はかわいいルビーミックスにするつもり。10秒くらい回って……できた!

 

 

「よし、出ておいでマホイップ〜!」

 

 

ラブラブボールから、マホミル改めマホイップが姿を見せる。リボンアメざいくに、赤いホイップの体。……ん?赤いホイップの体?

 

 

「赤っ!??!」

 

 

体が赤い!!どうして、何があった?おかしいぞ、僕のマホイップデータベースにこんなのない……と、とりあえずポケモンセンターだーー!!

 

 

 

……ポケモンセンターに連れて行ったら、ジョーイさんも困惑していた。そうしたらマホイップに詳しい研究者さんとか科学者さんとかが集まって、ああじゃないこうじゃないと議論を交わしている。

 

……どうしよう。やっぱり、マホミル時代に体がほんのり赤くなってたのは気のせいじゃなかったんだ。マホミル…マホイップの体がおかしくなっちゃってたら、トレーナーである僕の責任だ。

 

 

「なんだい、ずいぶん騒がしいね」

「ポ、ポプラさん!?」

「おや、あんたがこのマホイップのトレーナーかい?なかなかにピンクな子じゃないか」

「あの……マホイップは、大丈夫なんでしょうか。」

 

 

今にも泣き出しそうな僕の頭に、ポプラさんはぽんと優しく手を置いてくれた。さすがフェアリージムリーダー歴70年、貫禄と安心感が違う。

 

 

「なあに、大丈夫さ。あたしに任せておきな。ガラルであたし以上にフェアリーに詳しい女はいないからね」

「はい、ありがとうございます……!」

 

 

ポプラさんも加わった有識者会議。しばらく別室での会議や実験が続き、やがてポプラさんが出てきた。

 

 

「…あんた、辛いものは好きかい?」

「え?はい……マホミル、マホイップも辛いの好きで、よく食べてます!」

「なるほどね……いいかい、よくお聞き」

 

 

「あんたのマホイップはね……ほのお・フェアリータイプになってるのさ」

 

 

「………はい?」

 

 

ほのお・フェアリータイプ?なんで?マホイップってフェアリータイプ単体だよね?というかそれが赤い体になったこととなんの関係が……?僕が混乱していると、ポプラさんが僕をマホイップのいる別室に通してくれた。

 

 

「クリームの成分を調べた結果、それはもうとんでもなく辛口のフレーバーになっててね。辛いものをたくさん摂取した結果、クリームのフレーバーも辛口になってほのおタイプも追加された…というのが現状の仮説さね」

 

 

なんということでしょう。辛いものの食べすぎでフレーバーが変わるだけならともかく、ほのおタイプまで追加されるなんて。これがポケモンの不思議な力ですか。確かに毎食辛口のポケモンフードとか辛口カレーとか食べてたけども。

 

 

「マホイップはもともとマジカルフレイムを使えるから可能性はあるとされていたんだけど……まさかこの目でその姿を見られるとはね」

「ポプラさんでも初めて見るんですね…」

「いやあまったくですね!これは大発見ですよ!」

「まずは学会で発表しなければ!マスコミへの触れ込みも……」

 

 

呆然とする僕を置いて、研究者さんたちははしゃいでいる。どうしよう、すごい事態になっちゃったぞ。

 

 

「ほみ……」

「マホイップ…」

 

 

マホイップを抱きしめると、ほんのり鼻をつく辛い香りがした。なんだか不安だけど、大丈夫、かな……?

 

 

それから。マホイップの新種…「げきからフレーバー」が発見されたと世間で大々的に発表された。連日取材を受けて僕もマホイップもヘトヘト。

 

 

「アマネさん!一体どうやってげきからフレーバーを発見したのですか!?」

「甘いものが好きなマホミルに無理やり辛いものを食べさせて進化させたと言われていますが!?」

「クリームポケモンであるマホイップを辛口に進化させたことに批判的な意見もあります、どうお答えですか!?」

 

 

……なんというか、心ない取材も多かった。それだけでも結構疲弊したんだけど、テレビ出演や企業からの仕事のオファーもあって、大忙しになった。内容は大抵同じで、必ずインタビュアーやカメラさんの好奇の視線を向けられる。スクールには行けなくなったし、家にまで取材しに来るから実家の料理店も閉めざるを得なくなった。

 

外に出れなくなった。一歩外に出れば周囲の人が僕を見てヒソヒソするのが聞こえてくるし、変な人に絡まれるのも増えたから。

 

部屋でマホイップと触れ合いながら、ふとテレビをつけた。そこには、僕をいじめている彼女の姿があった。マホイップの新種を発見した少年の「友人」として、取材を受けていた。いつもの悪辣さが嘘のように、にこやかに取材に応えていた。

 

 

それがなんとも気持ち悪くて、憎たらしくて。

 

 

部屋にこもって多分数日。ポプラさんがうちにやってきた。相変わらずの優しい微笑みで、なんだか安心した。

 

 

「……メディアどもが騒いで、大変だろう。目の下のクマも酷いし……眠れてないんだね」

「そうですね……」

「これに関してはあたしにも責任がある。あんたをしっかり守ってやれなかった」

「そんなこと…ポプラさんは悪くないですよ」

「そうかい、優しい子だね。それで今日あたしが来たのは……これを渡すためさ」

 

 

ポプラさんが手渡してきたのは、航空券?ガラル発、パルデア行って書いてある。

 

 

「ガラルはうるさいからね、ほとぼりが冷めるまでパルデアにでも行くといい」

「パルデア……いいんですか?」

 

 

パルデアは僕でも知ってる。ガラルから離れた地方で、辛口の料理が美味しいって聞いてるぞ。こんなものをわざわざ用意してくれるなんて…やっぱりポプラさんはちゃんとした大人だな。

 

 

「もちろん。その間はあたしらがメディアどもをなんとかしておくからね」

「お母さん……」

「うん、行ってきなさい!今のガラルじゃアマネも過ごしにくいでしょ!」

「お父さん……」

「大丈夫、アマネが好きなようにしなさい」

「で、どうする?」

「……行きます、行かせてください!」

 

 

こうして、僕はパルデアに逃避行することになった。色々準備をして、その日のうちに空港にレッツゴー!!なんかもう色々疲れてたから逆にハイテンションになってたな。

 

空港で両親に見送ってもらって、飛行機に乗り込んだ。飛行機はまさかのファーストクラス。ポプラさんパワー恐ろしや。

 

 

「ふう……ようやく一息つけるね」

「ほみ……」

「マホイップも…ごめんね、今まで大変だったでしょ」

「ほみ、ほみ!」

「うん、そうだね。キミと一緒なら大丈夫だ」

「ほみ!」

「……ってそうだ、大切なこと忘れてた!マホイップに進化したら、ニックネームをつけようと思ってたんだ!」

「ほみ?」

「名前は……フラン!ルビーミックスの予定だったからフラン。げきからフレーバーになっちゃったけど…いいかな?」

「ほみ、ほみ!」

「ふふ、良かった。それじゃあ、寝ようか……」

「ほみぃ……」

 

 

体を寄せ合いながら、一緒に眠る。ほんのり香る辛い匂いともっちりしたほっぺの感触が、僕を落ち着かせてくれた。

 

 

 

 

 

 


 

 

「アマネ、アマネ……?どうして出ないの……?」

 

 

ある家の部屋の隅で、少女は嘆いていた。最愛の彼にメッセージを送るも、既読がつかない。すぐに見るよう言い聞かせているから、いつもならすぐ返信するはずなのに。

 

それどころか、電話をかけても繋がらない。電話番号が間違っている?あり得ない。となれば考えられるのは一つ……

 

 

「……アマネが、わたしをブロックした?」

 

 

少しの沈黙のあと、彼女はにたりと笑った。その目には、狂気が宿っている。

 

 

「あり得ない、あり得ないわ。きっと何かがあったのよ。スマホの不具合?それともアマネが正気を失った?なんでもいい、どうでもいい……早くアマネに会って、なんとかしてあげなきゃ。最近様子がおかしいから変だと思ってたけど、マホイップ…雌に誑かされてたのね。挙句新しいフレーバー発見でメディアも無駄に騒いで…疲れて当然だわ、わたしがなんとかしてあげないと。アマネにはわたしが必要なんだから、アマネにはわたしがいなきゃだめなんだから……」

 

 




アマネ
辛いもの好きの男の娘。マホイップの新フレーバー発見でマスゴミやメディアに追い詰められた。のでパルデアに逃げた。

マホイップ げきからフレーバー
辛いもの好きのマホミルが 辛いものを食べ続けたことでクリームのフレーバーが激辛になった。クリームはとても辛く 普通の人が舐めると痛みで悶絶する。目に入るとしばらく痛みでのたうち回った末最悪失明する。

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