【リメイク】僕はげきからマホイップと世界を巡る 作:三笠みくら
メロコちゃんとボタンちゃんに連れられて、オレンジアカデミーまでやってきたけど……地獄の階段、マジでやばい。2度と上りたくない。でもエントランスはすごく広くておしゃれで、本がいっぱい。これが歴史ある学校の重みかぁ。
2人と一緒に空き教室に行くと、スター団のみなさんがもう座っていた。
「メロコちゃん!大丈夫だった?新生スター団に絡まれたんでしょ?」
「ビワ姉は相変わらず心配性だな、オレが負けるわけねえだろ」
「どうだか。そんな自信過剰だから足元掬われるんじゃねーの?」
「んだと!!」
「まあまあメロコ落ち着いて。オルティガもいちいち煽らない!」
「して……そちらのピンクな御仁は?」
みなさんの視線がこちらに向く。うっ、視線が痛い……
「こいつはアマネ。オレが新生スター団に絡まれてる時に助けてくれたんだ。見た目の割に根性あるやつだぜ」
「初めまして、アマネです…」
「そっか、僕はピーニャ、よろしく!初対面の人を助けるなんてなかなかできないよ、すごいね!」
「ふーん、まあまあカワイイじゃん?オレはオルティガ。」
「拙者はシュウメイと申す。それにしてもなかなかフェアリーな…ふふ」
「わたしはビワ!よろしくね、アマネちゃん!」
「オレらが本物のスター団だ、どうだ、すげえだろ?」
「本物の、って……やっぱりあの新生スター団とかは偽物なんだ」
そう言った途端、スター団のみんなの表情が曇る。何か事情があるのかな。
「……どうするボタン」
「うん……話したほうがいいと思う。メロちゃんの友達なら、いい」
そこから、みんなはぽつぽつと語り出した。もともとスター団は、アカデミーでいじめられていた生徒たちが作ったものであること。ここにいるみんなもいじめられていて、それに黙っていられなかったボタンちゃんがみんなを集めて、いじめっ子たちを追い出したこと。けれど次第にスター団の規模は大きくなっていって、スター団にいじめ目的で入団するような生徒も増えてきて……スター団のイザコザが解決すると、本物の不良生徒が新生スター団として暴れるようになったことを。
「……そうだったんだ」
「ごめん、重い話だったでしょ」
「ううん、そんなことない。みんなはすごいね、自分を傷つけた相手に正面から立ち向かったんだ」
「そうだね……相手はただ逃げただけだけど、それでも僕らがやらないと変わらなかった。」
「とはいえ今も問題はあるけど。新生スター団うざいし」
「だが拙者たちは志を共にした仲間……出会えたことだけは感謝でござる」
……すごいなあ。ただ逃げることしかできなかった、僕とは大違いだ。それに仲間もいる。いいなあ。
「じゃあ、みんな友達なんだ」
「当たり前じゃん、友達いないの?」
「こらオルちゃん!冗談でも言っていいことと悪いことが…」
「うん。いたことないんだ……友達」
「………え?」
「まあ家庭環境の問題とか、トレーナーズスクールでのいじめとかで……かれこれ友達いたことない、かな…」
しまった、うっかり言ってしまったけどこれ結構言っちゃダメなやつだったのでは?僕にはフランがいるから大丈夫なんだけど……
「……ごめん、変なこと言って」
「あ、いや全然!!気にしないで、僕には相棒がいるし!!」
「どいつだ?」
「え?」
「オマエをいじめたやつだよ!!どんなヤツだ、オレが燃えカスにしてやる!!」
「うわぁメロコちゃん落ち着いて!!」
「落ち着けるか!!ていうかオマエはなんでそんな平気な顔してんだよ!!理不尽に傷つけられたなら怒って当たり前だろうが!!」
「え、うーん……相手が理不尽すぎたから、かなぁ…」
「……というと?」
「家庭環境は…まあ今はもう解決したからいいんだけど、スクールの方はねえ、なんていうか……人の形をした怪物というか、話が通じないんだよね…」
「だからって……!!」
うん、これはもう見せた方が早いな。僕は上着を脱いで、手首を見せた。両方の手首には、切り傷が複数。
「ひっ……え、これってリスカ…」
「あ、自分でやったわけじゃないよ!スクールの子にやられたんだ」
「………」
「あとは……」
髪を上げて、右耳を見せる。右耳の耳たぶにはピアス穴。
「ピアス穴?」
「これも勝手に開けられたの」
「………」
「ちゃんと消毒とかはしてくれたけどね…」
「いや、そういう問題じゃないだろ……」
「他にもいっぱいあるよ。もうどれくらいやられたか覚えてないや。だから長袖の上着とかタイツとかで隠す必要があるんだよね。こういうことを嬉しそうにやるし、僕が抵抗しても全然聞いてくれないし。僕の実家も抑えて脅迫してくるし……」
「か、怪物すぎる……本当に人間なの?」
「どうだろうね」
「……そいつは、今何してんだ?」
「今は…どうしてるんだろう?パルデアに行く時に連絡先は全部ブロックしたし、パルデアに行くことも言ってないし……実家はお母さんがいるから大丈夫だと思うんだけど」
「……おかしいだろ…」
「!?」
小さな声が聞こえて振り向くと、メロコちゃんが泣いていた。な、どうして?!
「なんで…アマネみたいないいヤツがこんな目に遭って、傷つけたヤツがのうのうと過ごしてるんだ……おかしい、おかしいだろ……!!」
「メロちゃん……」
「オマエもオマエだ!!いくら相手が頭おかしいヤツでもな、自分が悪くないのに傷つけられたなら怒らなきゃならねーんだ!!なに諦めて相手の好き勝手させてやがる!!そういうやつはつけあがるだけだぞ!!」
「あ、ごめ……」
「謝るんじゃねーー!!いいかアマネ、オマエは悪くないんだ。自分を理不尽に傷つけてくる相手には怒っていいんだ。つーか怒れ!!わかったな!!」
「あ、はい!!」
「よし!!じゃあオマエも今日からスター団だ!!」
「うん……え?」
しれっとスター団に入れられている!?まあ、いいことなのかな?
「スター団ならオマエをひとりにはしないし一緒に戦ってやる!どうだ、いいだろ!」
「迷惑じゃないかな……」
「な訳ないじゃん!カワイイ枠が被るのはアレだけどまぁ許してやるよ」
「そうそう!一緒に戦う仲間がいれば心強いっしょ!」
「であればこちらを……スター団のサングラスでござる」
「大丈夫、なにがあっても守ってあげるからね!」
「うん、うちもOK!」
…みんな優しいなあ。僕の周りにこんな優しい人たちがいるなんて。前じゃ信じられないだろうなあ。
「よし、そうと決まればお菓子パーティ開催だ!アマネの加入祝いも兼ねてな!」
「え、いいの?」
「いいってば、めんどくさいなぁ。高いお菓子あるんだから味わって食えよ!」
「やった、いただきます!」
「それじゃあジュース持って、かんぱーい!」
「「「かんぱーい!!!」」」
それから僕はスター団のみんなと一緒にお菓子パーティを楽しんだ。ジュースにスナック、ケーキまであって色とりどりだったなあ。
「あ、激辛スナックなら僕持ってるけど!」
「しまえ」
「そんなあ」
アマネ
いじめというか傷害の被害者。なんかもう諦めの境地。
メロコ
アマネの代わりに怒ってくれた。いい子。
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