追放ニート侍~もしもパーティーを追放されたのが本当に最低の屑だったら~   作:RYUZEN(孔明)

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第46話  四人目

 ヘイザとルサルカが鬼ヶ島から戻ると、キクコの説教が待っていた。

 

「あれだけ入念に下準備して、付近の町や村から協力をとりつけて、二人だけで鬼退治成功しちゃいましたってどういうことですか!?」

 

「二人だけで倒せたなら、最初から俺たち全員で突撃してたら楽に勝てたじゃん」

 

 ジャックが冷静に指摘する。

 ヘイザとルサルカの二人だけで勝てたのは、鬼の片割れである禍風を不意打ちで即殺することに成功したからなのだが、それでもジャックとキクコの二人を最初から同行させていれば楽に勝てただろう。なのでヘイザは二人の追及を否定しなかった。

 

「いやぁ。たまたま刀が偶然、急所に入ったから倒せただけで、そうでなければ死んでいたよ。そうだろう、ヘイザ?」

 

「ま! 運も含めて拙者の実力ってやつでござるよ! ははははははは!」

 

 調子に乗り切ったヘイザは大口を開けて笑った。それに暗い顔をするのは、本来なら一人で鬼ヶ島に挑む筈だったコンラートである。

 

「…………結局、僕は何もできなかったな」

 

「い、いえ! コンラートさんもお使いをしたり、雉が偵察に役立ったり、近隣の村との交渉を頑張ったじゃないですか!」

 

 キクコはフォローするが、そんなことは焼け石に水である。コンラートの表情が更に暗くなる。

 

「でも僕じゃなくてもできたことだ」

 

 コンラートの言う通りである。コンラートが役立ったのは雉(サンダーバード)のキジーを使った空からの偵察くらいである。そのくらいなら浮遊できるキクコでもやれただろう。

 

「ま、言わんとしてることはわかるよ。替えが利かないからこその英雄だからね」

 

「レディ・ルサルカ。貴女は英雄について含蓄があるようだ。なら教えてくれ! どうやったら父みたいな英雄になれるんだい?」

 

「僕が欲情するほどの英雄となると難しいね。でも君が満足するだけの英雄ならば、既になってるんじゃないかい?」

 

「え、それはどういう……」

 

 コンラートが疑問を口にすると、現れた大勢の民衆が彼を取り囲んだ。

 

「あ、コンラートさん! 近隣の村の村長です! この度は鬼を討伐していただき、感謝に耐えません! これで夜も安心して眠ることができます!」

 

「流石はドン・ルチアーノのご子息! 英雄の子は英雄ですね! ご立派です!」

 

「コンラート様! サインを下さい!」

 

 民衆は口々に鬼ヶ島打倒の英雄、コンラート・グラシャラボラスを称える。

 

「待ってくれ! 鬼を討ち取ったのは僕じゃなくて……」

 

「そのとーり! ここにおわすコンラート・グラシャラボラスこそ邪知暴虐なる鬼に義憤し、我らの力を結集することで、鬼を討滅せしめた立役者! 鬼殺しの英雄でござる!」

 

「コンラートさんがいなければ、他の冒険者が鬼を討伐するまで、三か月以上はかかっただろうなぁ。そしたらこの近隣の村は全滅してたかもなー」

 

「よ! コンラートさん、大陸一!!」

 

 ヘイザとジャックとキクコが揃ってコンラートをおだてあげる。コンラートは感動したようにヘイザ達に視線を向けた。

 

「君たち……」

 

「ああ、それとコンラート。お主のことは好きになれんが、それなりによく働いたのでその分だけ助言するなら」

 

 ヘイザは少しだけ真面目な表情をすると、

 

「お前が勇敢に死んで喜ぶ者などおらんぞ」

 

「っ!」

 

「あまり自分の命を安く勘定するなよ」

 そう忠告した。

 

 コンラートは不真面目を絵に描いたようなヘイザからそのような事を言われたことに面食らっていたが、少しすると神妙に頷いた。

 

 

 

 鬼ヶ島攻略を終えた後、ヘイザ達は依頼人であるルチアーノの下へ戻って報告を済ませていた。ヘイザからの報告を受けたルチアーノは満足そうに頷くと、重量のある金貨袋をテーブルに置いた。

 

「ご苦労だったな、約束の報酬の大金貨100枚だ」

 

「これに加えて鬼退治の報酬がギルドから出るでござるから、がっぽがっぽでござるな! 当分緋桜のところに毎日通いつつ、酒を浴びるほど飲めそうでござる!」

 

 金貨袋を懐に入れつつ、ヘイザはテーブルの茶菓子とお茶をぼりぼり貪った。キクコが「失礼ですよ!」と咎めるがヘイザはどこ吹く風である。ルチアーノもそれを気にした風もなく口を開いた。

 

「ヘイザ・アッシュブレード。お前の実力は知れたし、今後も何か依頼するかもな」

 

「いやぁ、これっきりにして欲しいでござる」

 

「そう言うんじゃねえよ」

 

 拒絶されたルチアーノは笑みを深めると、蛇の舌のような誘い文句を続けた。

 

「俺はゴドリックとは違う。あいつにとって独立戦争は終わったものだが、俺にとっちゃまだ終わっちゃいねぇんだよ……」

 

「ぷはーっ! 金持ちのとこのお茶菓子は美味いでござるなぁ。じゃあ拙者達はこれで」

 

 ヘイザはルチアーノの誘いを完全に無視すると、適当な挨拶をしてそのまま帰っていった。その背を見送るルチアーノは、ずっと探し求めていたお宝をやっと見つけた探検家のような顔をしていた。

 

 

 

 後日。アダムズ市の冒険者ギルドにて、ヘイザ達のパーティーに来客があった。

 それは鬼ヶ島攻略で共闘したルサルカである。

 

「改めて自己紹介を。僕はルサルカ。君たちのパーティーに入れてくれないかい? やっぱり僕、君の隠してる大事なものを見たくてたまらないんだよ」

 

「帰れ」

 

 こうしてルサルカが無理やり仲間に加わった。

 

 

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