追放ニート侍~もしもパーティーを追放されたのが本当に最低の屑だったら~   作:RYUZEN(孔明)

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第84話  相変わらずのサボり

 それからスライム討伐へ向かう最中、一行は七体のはぐれオークと遭遇した。

 獣臭さを放ちながら人間の女を下卑た目で見てくるオークに、ルシフェラは不快感を隠せなかった。

 

「これがオーク。噂にたがわぬ醜悪さ」

 

「では我々はお嬢様の護衛に専念するので、対処してください」

 

 エレーナが言うとマイケルが小さく頷く。

 しかしマイケルたちデイリー・ペースはついこの間、再び三級冒険者パーティーに昇格した腕利きで、紅の足音もまたトップクラスの実力者揃い。オークの巣穴攻略ならまだしも、はぐれオーク七体程度に作戦をたてるまでもなかった。

 ルサルカが錬成魔法で鎖を出現させオークたちの動きを止めた後で、

 

「すべて爆ぜよ(ボンブス・ウンプラエ)!!」

 

 ミラの爆発魔法が炸裂して、オークたちが一撃で粉微塵となった。というより破壊力があまりにも強すぎて周囲に炎が散ったためルサルカが放水魔法で鎮火することになった。

 

「な、中々やりますね。どこかの魔法学校で魔法を学んだ口ですか?」

 

 帝都でもあれだけの爆発魔法は中々お目にかかれるものではない。エレーナが驚き半分感心半分でミラに訊ねた。

 

「学校なんてものに通えるような身分じゃありませんよ。私、取柄が火力だけだったから、それだけを集中して伸ばしただけです」

 

「あまりにも一点特化すぎるのは駄目ですけど、なにか一つこれはって強味がないと冒険者としてやっていけませんからね」

 

 マイケルが続けて言う。

 

「(やっぱりあれも君の指導かい?)」

 

「(火力という長所を伸ばせと言っただけで、爆発だけを極めろと言った覚えはないのだがな。それにあそこまで伸びるとは思わなかった)」

 

 ルサルカとヘイザの二人はミラのバカみたいな爆発魔法の火力を見てコソコソと囁きあっていたが、ルシフェラはそれに気づきはしたが内容までは聞き取れなかった。

 それから道中で十回も魔物と遭遇したが、

 

「鎧を装着し、七色のメリケンサックを装備した俺に死角はねえ! おらぁあああああああああああああ!」

 

「四属性同時砲撃!」

 

「師匠直伝の連続突きだぁあ!」

 

 以前キャラバンの護衛任務で共闘した経験を活かし、マイケルの指示のもと効率よく撃破していった。直接戦闘に参加しないキクコとペネロペの僧侶組もサポートで全員が八面六臂の大活躍だった。

 

「フレーフレー! キ・ク・コ! 頑張れマイケル! 凄いぞ皆!!」

 

 そう応援するばかりで何もしない弱冠一名以外は大活躍だった。

 

「いやあ。今日は運が悪いでござるなぁ。スライム退治のはずが、オークやらなにやら11回も魔物とエンカウントしちまったでござるよ。だが拙者たちの美しい連携のお陰で、無事にスライムのいる洞窟まで辿り着けたでござる!」

 

「貴方はなにもしてないじゃないですか」

 

 エレーナは冷たい視線で指摘する。

 マイケルたちはもう言っても無駄であることは重々理解しているので何も言わなかった。

 しかしここでルシフェラが口を挟む。

 

「……これが最後なら、貴方の強さも見ておきたいですね。この洞窟での戦いは、貴方も戦ってみてくれませんか?」

 

 正体不明の郷愁を感じさせるヘイザ・アッシュブレードという男。資料で見たところによれば『紅の足音』のリーダーで、実力だけなら一級冒険者クラスだという。彼がどういう戦い方をするのかルシフェラは見ておきたかった。

 

「嫌でござる」

 

 しかしヘイザはあっさりルシフェラの頼みを拒絶した。

 

「き、貴様! お嬢様に対してなんてことを! 無礼だぞ!」

 

「いやぁ、スライムと剣術は相性がさほどよくないでござるし~。お嬢は拙者の依頼人であって主君ではないでござるし~。ともかく拙者は引き続きお嬢様の護衛に専念するでござるよ~」

 

 ルシフェラが皇帝としてここにいたら、強引に命令することもできた。だが今のルシフェラはただの帝国のお嬢様のルシアである。こうもはっきり拒絶された以上、無理強いすることはできなかった。

 

「はぁ、そんなに嫌ならもう構いません。では行きましょう」

 

「待ってくれでござる。結果的にこの道中で魔物退治の実演は十分に見たでござろう? ならこんな洞窟には入らず、外で待っておられたらどうかな? もしも戦闘の余波で洞窟が崩落でもしたら一大事でござろう」

 

 ヘイザがちらりとミラに視線を向けながら言った。

 

「どうしたの? 私のほうを向いて?」

 

 ミラは不思議そうにしていたが、一行にはオークを爆散させた大爆発の光景がフラッシュバックした。

 

「認めるのは癪ですけど、その可能性はないとは言い切れませんね」

 

 嘆息しながらペネロペが言った。

 

「ルシア殿。十分にリスクは負われたでござろう。これ以上リスクをしょいこむ必要はあるまい」

 

「……そうですね。貴方の言う通りです。私はこの洞窟の外で待っていましょう。エレーナもいいですね?」

 

「…………はい」

 

 こうしてスライムの生息する洞窟へはマイケルたちだけで入ることになった。

 ルシフェラとエレーナたち護衛の近衛、そしてヘイザが洞窟の外に残った。

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