Cyvival / サイバイバル   作:R.C.S.

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03:交流しろ!

 前回の話は、最初のミッションが終わって3日後、達成できなかったプレイヤー6名は脱落された。運営に消されたことを残りプレイヤー88名は翌月迎える寸前まで知らない。

 

 2016年10月31日(月)ニューヨーク10時57分 / ローマ15時57分 / 東京23時57分 次のミッション開始前 チャットルームにて

 

[インポスター]: 2人とも無事でなにより。

[邦雄]: ああ、とりあえずな。

[セレーネ]: ...あの6人、どうしてるのだろう......。

[インポスター]: ああ、そのことなんだが......2人とも、こころして聞いてほしい。ミッション不達成の6人は消された。

[邦雄]: ...まさかな。何かの冗談か?

[インポスター]: その証拠に、誰も彼らのことを覚えてないらしい。身内すらな。

[邦雄]: わかるように説明してくれ。

[インポスター]: 痕跡も残らずってことだよ。荒らされた形跡は一切残っていない。それどころか、参加している事実があったにもかかわらず、プレイヤーの名前がわからない。

[邦雄]: つまり、動かないプレイヤーは死ぬってこと?

[インポスター]: そういうこと。どのような手段で消されたかは把握していないが、プレイヤーとして死ぬという比喩的な意味ではなく、生物として息の根が止まることに違いないだろう。

[邦雄]: ...?

[セレーネ]: じゃあ恋叶さんは...。

[インポスター]: ...この世から消えて、もういない。

 

 死人の話が盛り上がっているところ悪いが、そろそろ時間だ。

 

 2016年10月31日(月)ニューヨーク11時 / ローマ16時 / 11月1日(火)東京0時

 

[ゲームマスターCy]: 話題になっているところだが、次のミッションのお知らせだ。ファーストミッションをこなせたプレイヤーの皆さん、見事クリアできたな。動かないプレイヤーは死ぬ、ここまで言えば動かずにはいられないプレイヤーが少なからずいるようだが、次のミッションへとまいろう。

[インポスター]: 話はまだ終わっちゃい...。

[ゲームマスターCy]: 今回のミッションは、他のプレイヤーの助けがなければ難しい。そこでだ、他のプレイヤーとの交流がなによりも重要。ミッション進捗画面を見よ。自分たちがミッションをどこまで進んでいるか、一目でわかるようにしておいた。ミッション達成目標は"2人以上の他のプレイヤーとの交流"だ。どんな赤の他人だろうとも"仲良く交流"してもらう。期限は11月23日23時59分まで達成せよ。では、幸運を祈る。

 

 いつものようにミッション開始告知。ぱーっと現れてぱーっと下がる。質問は一切受け付けない。それゆえに他のプレイヤー達は動き出すどころか、消えたプレイヤーのように動かない者も少なくはない。

 

[インポスター]: ...生きたければ動けってことか。言われなくてもそうする。仕方ないことだが、動かなければ死ぬ。

[邦雄]: そんなの無理だろう...。交流を強要するようなものなんだし、知らない人との交流はちょっと...。

[インポスター]: 期限は23日までなので、そう急かす必要はない。今日は遅いだろうだし、休もう。

 

 「インポスター」は退室する。残る2人は何の一言もなく退室する。言いたいことはない、それだけだ。

 

 11月1日(火)ローマ9時47分 / 東京17時47分

 

 授業中にモヤつく「邦雄」。

 

[邦雄]: ...他のGiocatore(ジョカトーレ)か。親玉の娘とボディーガードでは日本人との交流がうまくいかずと聞いたが、僕に見知らぬ日本人との交流はうまくいくかな...。

 

 手元のタブレットのアプリにタップして、電子世界の繁華街に潜る。

 

[ダーリン]: エリオ?

 

 非プレイヤー(第三者)の目から見ると、「邦雄」の姿はどこにもいない。タブレットの画面から大きな手に引きずりこまれる光景を見ることさえ不可能なままだ。

 

 電子世界の繁華街に日本人プレイヤーが多数いる。誰かと通話している「女探偵」に声をかけてみる。

 

[邦雄]: おーい、そこの君。早速だが僕と交流してくれるか?

 

 「女探偵」は振り向き、「邦雄」に接近して交流する。

 

[女探偵]: こんにちわ、私は高校生探偵です。ところで、何か黒っぽいものが集っていませんか?

 

 ここは電子世界なので、黒っぽい何かが集ってくるのは当然のこと。その正体は、「Cyvival」の「エネミー」で、ゲームのエネミーらしくプレイヤーを襲う習性がある。「邦雄」の周囲に「エネミー」が異様に集っているのはおそらく、「エネミー」を引き寄せる体質か何か...否、そのようなアイテムを持っているかもしれない。

 

[邦雄]: そういえば、僕のInventario(インベンタリオ)に、Nemico(ネミコ)を引き寄せるArticolo(アーティコロ)があったな。これが原因で集っているのか。ならば、振り切るしかないか。さあ、撒くぞ。僕についてこい!!

 

 2人は迫りくる「エネミー」を振り切るために全力で走る。十分距離をとりながら全力で逃げ、「エネミー」の見えない場所に隠れる。

 

[邦雄]: なんとか撒いたな......。これで親愛度上がったかな。

 

 まずは1人目との交流に成功。もう1人を交流の輪に入ればミッション達成だ。

 

[邦雄]: 残るは1人だけ。彼女の電話相手はわからないが、こっちの方へ来てくれるなら好都合。レベッカにミッション進捗を伝えないとな。エネミーがまた来るのも時間の問題だ、急いでくれ...!!

 

[女探偵]: じゃあ他の交流対象者、あなたの後ろの人なんかどうだろう?

[邦雄]: あっ、あの人?

 

 「邦雄」の背後に「男子高校生」がいる。ここでじっと立っているうちに近づいてくる「エネミー」。

 

[邦雄]: そこのあんた、さっさと僕と交流しろ!!何をしているんだ?さあ早く!!

 

 「邦雄」が持っているアイテム「ダークディスク」の効果で迫りくる「エネミー」。接近するとともに多数の「エネミー」に囲まれる。

 

[男子高校生]: え、あ?俺でよければ別にいいけど...!?

[邦雄]: 僕は先ほど女探偵と交流したからな。

 

 3人目が交流の輪に入ったことでミッション達成...そのような形で一応......。

 

[邦雄]: じきに電話相手が駆けつけて来る。Nemico(ネミコ)を寄せ付けるArticolo(アーティコロ)を持つ僕は2人から離れねばな......。

 

 「邦雄」は2人を守るために距離を取り、タブレットを掲げて「エネミー」を誘導する。

 

[邦雄]: おーい!!あんたらのCibo(チーボ)はここだ!!どこからでもかかってこい!!

 

 「邦雄」は多数の「エネミー」を引き付けて、2人から完全に離れたのち即座にログアウトし、電子世界の繁華街を脱出した。

 

 ローマ10時30分(東京18時30分)、現実世界の学校「ピアネータ・スクオーラ・ギァッポネーゼ/Pianeta Scuole Giapponesi」にて「邦雄」のタブレットから本人が飛び出る。

 

[ダーリン]: エ、エリオ!?

[邦雄]: 悪い、色々あってな......。

[ダーリン]: またあのゲームのこと?

[邦雄]: うん。

[教師]: 授業中だぞ2人とも。

[邦雄]: Scusa(スクーザ)...。

 

 2016年11月1日(火)東京21時32分

 

[インポスター]: さて、他のプレイヤーを探し出し、交流するとしよう。私の役目は助っ人だからな。

 

 電子世界の繁華街ではなく、現実世界のどこかの交差点でプレイヤーを探している。

 

[インポスター]: プレイヤー発見っと。なぜなら、このゲームのアプリ内の地図で把握できるからだ。さてと、そこの女子高生。Cyvival(サイバイバル)のプレイヤーなんだろう?お互いミッション達成したい身なんだし、私と交流しようよ。

 

 他のプレイヤーとの交流を図る「インポスター」。「女子高生A」のほかに同行者が1人「女子高生B」。

 

[インポスター]: もう一人がいるとは、割とすぐに達成できそうだ。

 

 それともう1人の同行者「警察捜査課の刑事(デカ)」がいる。

 

[インポスター]: ということは...交流の輪に入ったことでミッション達成かな。私を入れて3人以上...ちょうど4人か。うん。

[女子高生A]: 簡単に終わっちゃったな。人数多いのっていいよな。

[インポスター]: それに、君とそこの君、その刑事(デカ)が交流の輪に入ってくれたおかげかな?私で良ければ一緒におしゃべりしよう。とりあえず、場所を変えよう。

 

 交差点付近を離れ、人気(ひとけ)の少ない場所に移り、4人そろって電子世界の繁華街に潜る。

 

[インポスター]: さて、どこから話そう。自己紹介から始めたほうがいいかな。

 

 うまいこと交流できてるようでなによりだ。大雑把な「邦雄」よりちゃんとしている。ミッション達成は「邦雄」に続き2人目。

 

 2016年11月1日(火)ニューヨーク10時41分 / 東京23時41分

 

 他の2人より出遅れた「セレーネ」は、電子世界の繁華街に潜り込む。なぜなら、プレイヤーの大半が日本人だからである。

 

[セレーネ]: ......交流しろと言われても、エリオくん以外の知人はいないし。ナビゲーターこと秘書に聞いても、自力で交流しろという返答だった。仕方なく電子世界のとこで赤の他人を探すことにした。どうにかして、目立つべく爆音で交流してくれるプレイヤーを集めてみよう。

 

 「セレーネ」は左腕につけているタブレットをつっつき、音楽を鳴らす。

 

[セレーネ]: 誰でもいい、どうかあたしを!!あたしの相手を!!あたしにかまって!!

 

 大音量で音楽を流すとともに大声で呼びかけているものの、次の日もその次の日も電子世界の繁華街に潜り込み、同じことを繰り返しても誰も相手にしてくれないまま11月5日まで経った...。「セレーネ」は不幸なヒロインなのか?悲劇のヒロインになるのはまだ早い。

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