「無事に魔女のなれはてになりましたので、彼女は永遠の牢獄に閉じ込めます」
ゴクチョーがそう言うと同時にアンアンの処刑台は地下に消えて行き少女達は牢屋に戻された。
その翌日もエマはめげずに脱獄しようと提案するが気球の破壊と2回目の裁判を終えた少女達にそんな気力は残っておらず完全に結束力は失われた。
更に悪い事は続きエマは熱を出し体調を崩した。
そんな少女達にとって悪い事が続く中でタビノだけは変わらず呑気に食っちゃ寝していた。
それから更に日にちが経ちエマの体調も回復しエマ達はピクニックと称して花畑に来ていた。
その中にはメルルに連れられたナノカの姿もあったがハンナ手製の敷物の上でぼんやりしているだけだった。
「ナノカちゃん、その、大丈夫?」
エマは思わずナノカに声を掛けるとナノカはゆっくりとエマの方を向く。
「その声は桜羽エマね」
「う、うんその、ボーッとしてたみたいだから」
「ええ、確かにそうね、ただ風を感じてたの」
「風?」
「ええ、肌に触れる風、その音、そして運ばれて来る花の匂い、そういう物をね」
「ああ〜、目が見えないからそういう物を敏感に感じる様になったんですね!!」
「ちょっ!!貴女もう少しデリカシーをお持ちなさい!!」
いつの間にかハンナとシェリーも話を聞いており遠慮の無いシェリーにハンナがそう喝を飛ばしていた。
「良いのよ、それにこれは、半分は自業自得の様な物だもの」
そんな光景を聞きながらナノカはそう言い自身の目に触れる。
「そ、そんな事…………」
「気を使わなくて良いわ、実際その通りなのだから」
「そう言えば、ナノカさんの目的って何だったんですか?」
「……………………姉の仇を取ろうとしていたの」
「お姉さんがいらっしゃったんですの?」
「ええ、姉もここに囚われた、だから仇をうちに来た、そのつもりだったのだけれど、私は間違えたみたいね」
ナノカはそう自傷気味に笑いシェリーの提案で互いの外での環境を話す流れになり神妙な空気のままピクニックを終えた。
それから暫く経ちメルルを経由してナノカがある場所に案内したいと言われエマ達はナノカと共に倉庫に来ていた。
「ここに大量の食料がある筈よ、この前【幻視】で見えたの」
「その目でも【幻視】は使えるんですね」
「ええ、私も使えるとは思って無かったけど問題なく使えたわ」
ナノカがそう言いエマ達は倉庫の中を見回す。
「えっと…………」
「何もありませんね」
「ッ!!そんなバカな!?」
言い淀むエマに変わってシェリーがそう言いナノカは信じられないと言う声を上げる。
「ん?皆ここで何してんの?」
そこに声を掛けたのはタビノだった、その手には空いた缶詰とフォークが握られておりその中身を咀嚼している。
「た、タビノちゃん?」
エマの言葉にナノカが反応し無意識の内に一歩後退る。
「貴女、こんな所で何をしてやがりますの?」
「ん?たまたま見つけたから何か無いかと思ったら色々あったから全部頂戴してた」
「もしかして、ここにあったものって」
「うん、私が貰ったよ?」
何でも無い事の様に言うタビノにハンナが声を上げる。
「そ、それ私達にも分けて下さらない!?もうあの酷い食事は嫌ですわ!!」
「え?ヤダ」
当然の様にハンナの言葉を拒否する。
「そんな!!貴女何処まで自分勝手な…………」
その先の言葉は続かずハンナの代わりにメルルが前に出る。
「あ、あの、タビノさん、物資の中に砂糖や小麦粉はありませんでしたか?」
「え?あ〜、確かあったかも?」
「わ、私と取引しましょう!!物資を分けていただければ甘いお菓子を提供出来ます!!クッキーにビスケットに物によってはキャラメルやケーキなんかも!!」
「お〜、それは魅力的かも、そう言えば最近甘い物食べてないな、良いよ、分けてあげる、取り分は7:3ね、勿論私が7」
「はい、それで構いません!!」
「じゃあ取引成立って事で、楽しみにしてるよ、メルルちゃんの甘味」
タビノはそう言うと適当な食材をメルルに渡し自身はその場を後にした。
「め、メルルさん貴女凄いですわね、あのタビノさんから物資を得るなんて」
「そ、そんなそんな、その、タビノさんはずっと得があれば話を聞くと言っていたので、私が提供出来る物をタビノさんに持ち掛けただけで、兎に角上手く言って良かったです」
「兎に角これで少しはまともな食事が出来るかも、本当にありがとうメルルちゃん」
こうしてエマ達はまともな食料を手に入れ再び牢屋敷に戻った。