シェリーの事件から数日後、タビノはメルルの作った無数の甘味を堪能しすっかりご機嫌になっていた。
その反面、他の少女達は機械の様にただ粛々と日々を過ごし意気消沈していた。
最早彼女達に脱獄の希望は無く出られると言う希望を抱く事すら出来ないでいた。
そんな日々がどれだけ続いたか、ある日、タビノがゲストハウス前を通るとエマが意を決した様な顔で【水精霊の間】に入って行くのが見えた。
ただ目的も無くゲストハウスに入るだけの顔には見えず何かあるのかと気紛れに興味を持ったタビノはその後に着いていき中に入る。
そこには丁度隠し階段を見つけたエマが階段を降りていく所でタビノもその後に着いていく。
2人の前に現れたのは古い作りのエレベーターの入口。
「これは…………」
「エレベーターみたいだね」
エマはここで漸くタビノに気付き勢い良く振り返る。
「た、タビノちゃん!?」
「やっほ~エマちゃん、何か面白そうな物見つけたね」
2人はエレベーターに乗り込みエマは下降ボタンを押した。
エレベーターが止まり扉が開くとまた別の扉があり2人はその中に入る。
そこにあったのはまるで研究室の様な部屋、古いがそこには確かに電子機器も混ざっていた。
「調べるのは良いけど機材は触らない方が良いよ、下手したら閉じ込められるとか壊したから懲罰房行きとかあるかも知れないから」
タビノの言葉にエマは臆したのか機材に触ろうとしていた手が引っ込み代わりにその手で無造作に積まれた名簿に手が伸びる。
そこには知らない名前が無数にあり直ぐに過去の物だと分かる、しかしそこには唯一知っている名前が載っていた、その名は【黒部ナノカ】
「ナノカちゃん?」
「ねぇ~私そろそろ帰るよ?もうすぐ外出禁止時間だし懲罰房とか入りたくないから」
タビノの言葉にエマもハッとし慌ててタビノの後に続いてその部屋を出てエレベーターに乗った。
「ねぇ、タビノちゃん、明日も僕と一緒にあの部屋…………ううんあの部屋の奥まで全部一緒に探してくれないかな?」
エレベーターの中でエマはタビノにそう願う。
「前にも聞いたけど、それ私にどんなメリットがあるの?まずはそこからだよ」
「………………………………」
タビノの言葉にエマは何も答えずエレベーターが止まり扉が開く。
タビノはエマの返事を待たずにエレベーターを出る。
「僕の」
その時エマが言葉を発しタビノはエマの方を見る。
「僕の事を好きにして良い権利、それが君が手にするものだよ」
「続けて」
「君の言う事を何でも聞く、君の命令にもやる事にも逆らわない」
「つまり私に永遠に服従する、と?」
「そうだよ」
「その意味わかって言ってる?私が【死ね】と命じればエマちゃんは死なないといけないし【殺せ】と命じればその人を殺さないといけない、君にそれが出来るって?」
「……………………うん」
「………………………………私、人の言葉は信用しないの、だから行動で見せて」
タビノはそう言うとエマに何かを囁く。
「え!?そ、そんな事するの!?」
「嫌なら別に良いよ、話はここで終わり」
「〜〜〜〜〜〜〜!!わ、分かったよ!!」
エマはそう言いタビノと共に牢屋敷に戻った。