レイアの提案の翌朝、少女達は大半がレイアの劇の提案を受ける事にしそれぞれ役割を分担して作業する事になった。
レイアは当然タビノも誘ったが
『面倒臭いから私はパス、まぁ、観客役くらいならやってあげても良いよ』
とこんな感じの返答だったがレイアは諦めず何とかタビノも劇に絡ませようと
『じゃあせめて劇の演目を決めてくれないかな?観客と言うのなら観客が見たい劇をしなければ意味がないだろうからね』
こんな事を言いタビノは暫く劇の演目に頭を悩ませ何か良い題材の物でもないかと【収納】を漁り始める、すると出てきたのはとある作品のDVD
『これは?確かかなり昔の物だが凄く人気のある作品では無かったかな?』
『父が好きだった作品、こう言ういかにも男の人が好きそうなのが好きだった、車とかバイクとか野球とか、怖い話とかも、父の物は持って行かれたか祖父の家に置いてきたか生活費の足しになったかでもう残ってないと思ってたんだけど、そっか、私まだ持ってたんだ』
『タビノくん……………………なら演目はその作品にしようか?幸いにも私も良く知っている作品だからね』
タビノはレイアの言葉を聞きながら手の中のDVDケースを見る。
『……………………そうだね、そうしようかな』
そうして演目が決まりレイアはウキウキで手伝ってくれる少女達に演目を共有した。
それから数日後、タビノは娯楽室に来ていた。
機材を確認しタビノのDVDを読み込ませれば映画が再生される。
そこにミリアとアンアンが共に現れ役の研究の為に一緒に映画が見たいと言うので許可する。
話の内容はなんてこと無い何処にでもあるような普通の洋画、主人公が居て何かしらの悪の組織が世界の危機を企て世界を守るついでにヒロインも救う、そんな話。
そこにヒロが現れ劇で何をするのか尋ねてくる。
「ああヒロちゃん、おじさんはこの悪役の役に大抜擢されてしまってね」
「【吾輩は脚本担当である】」
「脚本?これをこのままやるのではないのか?」
「【これはCGありきの演技だ、そんなもの無い舞台でそのままは使えない、だから吾輩が手を加える】」
「そうか、健闘を祈る、タビノは…………さしずめ観客と言った所か」
「正解」
タビノのそんな言葉とその後ろで劇について盛り上がっている2人をその場に残しヒロは娯楽室を後にした。
その後もタビノが娯楽室でその映画を見ていると不意にミリアが隣に座って来る。気が付くとアンアンは部屋から居なくなっていた。
「…………この作品良いよね、何ていうか、おじさんは凄く好きだな」
「…………そう、私は良く分からない」
「そっか」
それから暫くは2人して黙って映画を見ていたがタビノが口を開く。
「父はこの映画が好きだったらしい」
「らしいって?」
「私は父の事を何も知らない、知ろうとしなかった。自然と記憶している事だけで十分だと思ってた、何時でも聴く機会があるって、当たり前にある物だと思ってたし何時でも知りたい事を聞けると思ってた」
「そうだね、身近にある物のありがたみは失って初めて気付くって言うもんね」
「……………………でも、それは父を見殺しにした言い訳にはならない」
「え?」
「父の事はもう殆ど覚えてないけど、1つだけ覚えてる、父は心を病んでて入院が翌日に控えてた、深夜に目が覚めた、扉は閉まってたけど誰かが廊下を歩いてる音が聞こえた、多分父が、私は気にせず眠た、翌朝父が死んでた、後悔とかそう言うのじゃ無いけど今でも時々思う、あの夜、廊下を確認してたら、扉を開けていたら、父の自殺を止めていたら、今でも4人で仲良くあの家で暮らせてたのかって」
「タビノちゃん」
「……………………ごめん、忘れて」
ミリアはそう言ってその場を去ろうとするタビノの手を掴み無理矢理膝枕すると優しくその頭を撫でた。