(ナノカのお陰でタビノに関する情報が増えた、察するにタビノの心は壊れてしまっている状態だ、そして恐らくその壊れた心から己を守る為に今の彼女が生まれたのだろう、となればその壊れた心に向き合わせれば魔女化させられる可能性がある)
「タビノ、君の人生が壮絶だった事は疑う余地は無い、だが何故今の様に考える様になった?」
「そんなに知りたいなら教えてあげる、あれは何時もと変わらない地獄の中だった、妹が病気になって病院に連れて行くためにお金を求めた、大叔母が持って行った祖母の通帳から始まって血縁、知人、バイト先の先輩、とうとうそこら辺を通る知らない人にも求めた、でも誰1人手を貸してくれる人はいなかった」
少女達はタビノの言葉を黙って聞いているが自然と悲しい表情を浮かべる。
「その時に気付いたの、『ああ、皆自分が大事なんだ』って、だから私もそうする事にしたの、気に入った物を手に入れて好きな事をして好きな物を食べて好きな様に生活した、気に入らない物を捨てて嫌いな事を止めて嫌いな事をしない生活をした」
「嫌いな事って…………」
「祖母の介護、家事に料理にバイト」
ミリアの問いにタビノは指折り数えながらそう言う。
「そんな、そんな事したらタビノちゃんの家族が大変じゃないか!!」
「だから?あの人達が私の為に何をしてくれたって言うの?何の役に立ったって言うの?」
「正真正銘のクズじゃん、やっぱコイツを魔女化なんて無理だってヒロっち、さっさと次に行った方が良いって絶対」
ミリアの質問に何でも無い事の様にそう言うタビノにココは心の底から軽蔑した様な様子でヒロにそう言う。
(本当にそうだろうか?確かに彼女には人の心が無い様な発言が目立つがそれは心が壊れている事に目を背けているからだ、そして壊れた心に向き合わせるには)
「確かに君は他人に興味が無いのかも知れない、だがそれは他人へ抱く感情が無い事とは話が別だ」
「抱く感情?」
「そう、君は他人を愛し他人と友好に接する事が出来る。その証拠に私は知っている、前の時間軸で君はミリアと友好的に接していた、ならばそこには何かしらの感情があった筈だ、一緒に居たいと思える感情が」
(有から完全な無にする事は出来ない、完璧に消したつもりでも必ずそこにあった痕跡が生まれる、心だって同じ筈だ、ミリアに向けていたのはその心の破片、タビノが残した心があった痕跡、私はその破片を手掛かりに心の破片を集めタビノに突き付ける!!)
「そんなのただの気まぐれだよ、ただミリアちゃんが気に入ったってだけの話」
「そう、君はミリアを気に入った、それはつまり【ミリアに興味を持った】と言う意味だ、これは君が主張している【他人に興味が無い】と言う事に矛盾している」
「だから何よ?そんなのただの揚げ足取りでしょ?」
「かも知れない、だからもう1つ、私が知っている君の事を話そう、あれは前回の最初の方、マーゴがエマ達を庇い負傷した事があった」
「そう言えばそんな事もあったわね」
ヒロの言葉にマーゴがそう言えばと言う様に声を上げる。
「そしてマーゴの怪我も癒え始め車椅子で動ける様になった頃、マーゴは君に【車椅子を押してくれても良い】と冗談を言った、その時君は明らかに動揺したな、何があっても動じない様な君が、マーゴにそう言われた後は動揺し周りの目も気にせず部屋に引きこもった、その後もマーゴが処刑されるまで君の様子はおかしかった」
(私の予想が正しければこれから言う言葉はタビノのトラウマを抉る言葉になる筈だ)
「タビノ、君は【人の支えになる事】が嫌なんじゃないか?」
「ッ!!」
ヒロの口撃にタビノは初めて目に見える動揺とそして恐怖の色を滲ませた。