械劫都市のライオット   作:K+#ガソ林

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第六話 ユグノーの支配者

 メカスーツ、シェイクスピア…。周りにいるメカスーツへエネルギーを分散・集約できる機能を持つジョイント型メカスーツだ。

 エネルギーを固形化することができる。

 エネルギーにはプログラムが仕込まれており、攻撃用、回復用と分けることも可能だ。

 取り巻きはユグノー安全保障がセキュリティから購入した警備用重装機クラブ6名と、その下位のメカスーツ、射撃援護機アロー4名。数合わせの作業機ハンド3名で構成されている。

 とはいえ、メカスーツの戦闘で過剰な火力は無駄になりやすい。防御力が低いメカスーツでも戦闘で役に立たないということはない。

 

「撃て!」

 

 物質化されたエネルギーが銃の形を取り、ユグノー安全保障の人員各々に配布される。無手であろうとも即座に武装が可能だ。

 

「遅え!」

 

 メカスーツ、アキレウスの俊敏性ならば、多少の弾幕は避けられる。向かってきた弾丸はバルムンクで切り払えば無害化できる。

 取り巻きを1人2人と無力化していくシノ。メカスーツ殺しのエネルギーが機体を溶かす。大部分の損壊を察知した機体は致命的なダメージを受けたと勘違いして爆散する。

 

「く、クラブが全滅…!」

 

「散開しろ!小回りを効かせるんだ!、」

 

 装着者のダメージ回避のための安全機能を逆手に取った戦略だ。警戒した面々はローラーを巧みに使い、位置を変えながらライオットへ攻撃を続ける。

 

「撃ち続けろ!」

 

 これ以上の損耗を回避するため、シェイクスピアがアキレウスの前に立ちはだかる。

 エネルギーの剣を振りかぶる。ライオットはバルムンクにて受けるが、突如としてアラートが鳴る。

 

『脚部故障。』

 

「!?」

 

 エネルギーの固形化は全身から可能だ。シェイクスピアの足から発射されたエネルギーがアキレウスの脚部を故障させていた。

 重苦しい鉄となった足パーツが動きを阻害する。

 高性能アシストがついたメカスーツというのはその分リスクもあるのだ。

 動きが鈍くなったライオットは射撃の雨を受け、万事休す───。

 

「射撃止めろ!…ライオット。」

 

 倒れ伏したライオットを見下すミラ・ルイス。

 

「もう一度聞く。ルドメイ。そのスーツケースを渡したまえ。」

 

「……わかった。」

 

 後方で待機していたルドメイはミラへスーツケースを渡す。

 

「…受領した。我々の任務は終わりだ。手荒な真似をしたこと、許してくれとは言わないが…。」

 

 50万クレジットほど、ルドメイのIDパスへ振り込まれる。

 

「これで動乱が終わるまではユグノーで暮らせるはずだ。」

 

「…。」

 

「撤収するぞ!」

 

 負傷者を回収し、ユグノー安全保障は引き上げようとする───その時だった。

 

「雑な仕事だ。」

 

 冷たい。

 指に当てられた刃のような。

 じんわりと焼けつく傷口のような───鮮烈な、冷たさを持つ声。

 

「ユグノー安全保障。問題はスーツケースの中身だ。箱だけ持ってこいとは言っていない。」

 

「───ライオット!逃げるぞ!」

 

「わかった。」

 

 地下都市の天から降りる青い天使───サン・シェード。

 

「ユリウス・テクノ…!しかし!指示には…!」

 

「君と問答している暇はない。評価を更新したければ協力せよ。───フィリア・ルドメイを捕縛する。」

 

「…っ隔壁を要請します。司令部!」

 

──────

 

 地下街の隔壁が、ルドメイとライオットの逃げ道を塞ぐ。

 

「指示を誤解し、申し訳ありませんでした。…ユリウス・テクノ新議長。」

 

「形だけだろう。ミラ・ルイス…。後で君の行動については調べさせてもらう。」

 

「……対象、ライオット及びフィリア・ルドメイ。ユリウス議長を援護しながら捕縛せよ!」

 

 敵にはあのユリウス・テクノとミラ・ルイス。また、ユグノー安全保障の人員5名。

 対し、アキレウスの足部外装をパージしたライオットと、戦闘力が未知数のルドメイ。

 戦況は絶望的だ。

 

「…さすがに、これは無理があるぜ。」

 

「らしくないな、ライオット。」

 

「…シェイクスピアをどうするつもりだ?」

 

 シェイクスピアの能力は外装で受けても、注がれたエネルギーがメカスーツに侵入、情報化されウィルスとなって機体を侵す。

 これにアキレウスは耐えられない。

 生身のシノであれば対処できないこともないが、その場合は銃火器に無力となり、取り巻きに倒される。どうしようもない。

 

「問題ない。対処する。」

 

「…ようやく、お手なみ拝見ってとこか。」

 

「ライオット、お前はサンシェードを。奴の羽はエネルギーを吸収するが、バルムンクのエネルギー、ソリッドレイなら負荷を負わせられる。たくさん食わせてやれ。」

 

 イモータルが形を変える。

 漆黒、鋭角、光沢───それは、あのスーツケースのメカスーツの、真の姿。

 何者にも侵されない、強固にして絶対の信念を体現する。

 

(無理をさせる。すまない。)

 

「───行くぞ、ペルセポネ。」

 

 ペルセポネの周りを黒い稲妻が奔る。

 冥界の女王の名を冠する機体が、地底に降臨した…!

 

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