ある日、紅院の持つ退魔師専用の緊急連絡端末が、激しいアラート音を鳴らし響かせた。
『緊急通報! 理念市中央地区にAランク妖怪【天狐(てんこ)】が出没! 霊気数値急上昇! 近隣の退魔師は至急現場へ向かわれたし!』
「理念市……僕の出身地じゃないか! 大変だ、すぐに助けに行かなきゃ!」
理念市は、紅院が幼少期を過ごした思い出の街だ。いくら人間を超えた獣級の身体能力があろうと、心優しく気弱な退魔師である紅院は、街が踏みにじられるイメージに顔を青ざめさせ、愛用のリュックを背負って現場へと全力疾走した。
——しかし。
息を切らし、霊符を両手に構えて現場である公園へ飛び込んだ紅院が目にしたのは、恐ろしい破壊の光景……ではなかった。
「……え?」
そこにいたのは、黄金色の美しい九つの尾を持つ、息を呑むほど幻想的な大妖怪『天狐』。
……が、公園の砂場の上で綺麗に正座し、狐の耳をくったりと垂らしてボロボロと涙を流している姿だった。
その目の前に立っているのは、いつもの制服姿でバインダーとペンを手にした村上である。
「いいですか? 『ちょっと人間と仲良くなりたくて街に降りました』なんていう動機が、どれほど無計画でリスキーか理解できますか? そもそも第一印象でそんな巨大な妖力を垂れ流してアピールしておきながら『悪気はありません』は通りません。害虫駆除の業者を呼んでおいて『害虫と仲良くなりたかっただけです』って言い訳するようなものですよ」
「ぐっ……うぅ……す、すみません……そこまでボロクソに言われなきゃいけませんか……?」
「ボロクソではなく事実です。あなたの存在自体が不法侵入と威嚇行為のハイブリッドなんです」
(もうケリがついてた……)
村上の容赦ない身も蓋もない論理(マジレス)の弾丸が天狐の霊気をゴリゴリと削り取り、天狐の九つの尾はすっかり元気をなくしてシナシナになっていた。
「む、村上君……!? もう片が付いてるの?」
「あ、紅院君。遅かったね。なんかアパートの近くで急にでかい狐が『人間どもよ、我が力に尾びれろ!』って叫んでたから、近所迷惑だし怪しいから問い詰めてたところ」
「問、問い詰めてただけでAランク妖怪を正座させてるの……!?今に始まったことじゃないけど退魔師の修行受けてない素人なんだよね……!?」
驚愕する紅院を前に、天狐はすがるような目で紅院を見上げた。
「た、退魔師さん! 助けておくれ! 私は本当に人間に害をなすつもりなんてないんだ! 数百年の封印から解かれて、現代の人間文化……特にアニメやゲーム、カフェというものに興味が湧いて、どうしても人間と親しくなりたくて……っ!でも人付き合いとかよくわかんないから……」
「えっ……人間文化に興味が……?」
紅院は構えていた霊符を少し下げた。
普段の退魔師の教えなら「妖怪の甘言に惑わされるな」と一蹴するところだ。しかし、今の紅院は知っている。アパートでポテチを食いながら缶チューハイを飲む酒呑童子や、猫カフェで「にゃんにゃんパラダイス」の店長として生き生きと働くインキュバスの姿を。
人間社会に適応し、人間と共に過ごそうとする妖怪は確かに存在するのだ。そう思うと、どうしても手を出して封印することは躊躇われてしまう。
「……確かに、話を聞いてあげる余地はあるのかも……」
紅院が心優しくそう呟いた瞬間、隣から冷ややか極まりない視線が注がれた。
「それは甘いよ、紅院君」
「ひえっ」
「『人間と親しくなりたい』? うーん、それまだ俺は納得しがたいんだよね」
村上はいつのまにか着けていた伊達眼鏡をクイッと直しながら、天狐を見下ろした、多分白沢を真似しているのだろう。
「世の中に『理由もなく親切にしてくれる存在』なんてものは存在しません。人間の世界だって裏と欺瞞だらけなんだ。僕の親だって『あなたと仲良くなりたい』って笑顔で近づいてきた人間に怪しい浄水器を三台買わされたんだぞ。見知らぬ奴の『親しくなりたい』は、99%詐欺か勧誘の初期アプローチです」
「自分の家族のトラウマを全部妖怪にぶつけないで村上君! 詐欺関連の人間不信が極まりすぎてるよ!」
「人生の中で当然の警戒だよ。人間すら信じられないのに、なんで突然現れた大妖怪を信じなきゃいけないんですか」
「うぐぐ……っ! 本当なんだ! 信じておくれよぅ!」
天狐が女の子の姿に変化して泣きじゃくる中、村上はバインダーのメモをパラパラとめくった。
「まあ……一応、裏は取ったんだけどね」
「え? 裏?」
「白沢さんにに確認した。この天狐って妖怪、酒呑組の傘下組織に所属してる妖怪で間違いないらしい。『根は悪いやつじゃないけど世間知らずのオタク狐で新人みたいなもの』って白沢さんが言ってた」
「あ、本当に酒呑組の傘下なんだ! 事実だったんだね……!というかAランクですら新人って……」
紅院がホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、村上ははぁーっと深い溜め息をついた。
「でもね、紅院君。事実だからこそ問題なんだよ。こんな無知で警戒心ゼロの妖怪が『人間と仲良くなりた〜い』なんてふわふわした気持ちで街を徘徊してみなよ。人間に害を及ぼす前に、悪質な人間に秒で騙されて利用されるのが目に見えてるよ」
「えっ、騙される……妖怪が人間に?」
「当たり前でしょ。現代の人間社会の悪意を舐めちゃ困る、妖怪なんていうと聞こえはいいけど何も知らない外国人騙すのと勝手は同じなんだから」
村上はポケットからスマホを取り出すと、どこかへ電話をかけ始めた。
「もしもし、白沢さん? 例の新人、確保しました。……ええ、害はないみたいですが、俺から言わせれば頭が弱すぎます。酒呑組の幹部として、傘下の教育くらいしっかりしてください。……あ、ついでに他の酒呑組の若手や、人間社会に出たがってる妖怪関係者も全員集めてください。場所はそっちの広間を借ります、報酬に関しては……」
「え、村上君? 一体何を始めるの……?」
混乱する紅院と天狐を置き去りにしたまま、村上は素早く準備を進めていった。
——数時間後。大江山にある酒呑組の巨大な大広間。
そこには、白沢、酒呑童子をはじめ、天狐や酒呑組の若手妖怪、果てはなぜか連絡を受けてやってきたインキュバス店長まで、ズラリと妖怪たちが集められていた。
舞台の上には、村上がどこからか手配してきた大型のホワイトボード。
スーツを着ているわけでもない、ただの高校生である村上が教壇に立ち、パンパンと手を叩いた。
「えー、お集まりの妖怪の皆さん、静かにしてください」
静まり返る広間。妖怪の王である酒呑童子すらも、村上の雰囲気に押されておとなしく正座している。
村上はマーカーペンを構え、ホワイトボードにでかでかと黒い文字を書き殴った。
『現代の妖怪にこそ聞いてほしい人間の詐欺啓発セミナー』
村上は朗々とした声で言い放つ。
「これより、現代の妖怪にこそ聞いてほしい人間の詐欺啓発セミナーを開始します」
(なんか普通にめちゃくちゃためになりそうな講義が始まった!!)
一番後ろの席で見守っていた紅院は、思わず心の中で激しくツッコミを入れた。
「いいですか、妖怪の皆さん」
村上はホワイトボードをコンコンと叩く。
「数十年前、数百年前に封印された皆さんは戦国時代の基準……『人間=弱くて怯える存在、あるいは強大な力を持った1個人』だと思っているかもしれない。しかし現代において、一番恐ろしいのは霊力でも妖怪でもなく『悪意を持った人間のシステム』です」
天狐が恐る恐る手を挙げた。
「あ、あの……私はただ、人間に『狐の恩返し』みたいな感じで親しくなりたいだけで……妖怪って童話とかよくあるし……」
「はい、そこ! それが一番カモにされる思考パターンです!」
村上は即座に指を指した。
「『恩返しがしたい』『人に感謝されたい』。そのピュアな善意は、悪質な情報商材屋やマルチ商法の絶好の標的です。『あなたもこの水晶を買えば、もっと人に感謝を届けられますよ』『このセミナーに入れば人間と親しくなるコミュニケーション術が学べます。今なら入会金30万円』。……天狐さん、あなたなら払いますね?」
「ハッ……!? は、払ってしまうかもしれない……! 『人間と親しくなれる』って言われたら……!」
「ほら見ろ! 一発で破産です!」
広間の妖怪たちが「おおお……」「人間恐ろしい……」とどよめき出す。
「さらに酒呑組の皆さん! 貴方たちのように力だけが自慢の武闘派妖怪も危ない!」
村上は酒呑童子の隣に座る強面の鬼妖怪たちを睨みつけた。
「『名義貸し』って言葉を知っていますか? 『ちょっと名前を借りるだけで月に十万あげるよ』と言われてサインしたら、気づいた時には反社会的勢力の闇バイトの受け子に仕立て上げられ、警察に逮捕されるのは貴方たちです。妖怪だから逮捕されない? 甘い! 現代の防犯カメラとマイナンバー社会を舐めないでいただきたい!」
「な、なんだと……!? 闇バイトだと……!?」
「名前を書くだけで金がもらえるなんて、うまい話だと思っておったのに……!」
巨体の鬼たちが青ざめてガタガタと震え始めた。
「そこの酒呑さん!」
「は、はいっ!?」
一応社長枠であるはずの酒呑童子が思わず背筋を伸ばして返事をする。
「貴方の部下もです! 白沢さんが知識が豊富だからとタカを括っていると、『未公開株のインサイダー情報』とか『仮想通貨の確実な値上がりノウハウ』とかいう話に『自分なら裏が取れる』と過信して突っ込み、数億の妖力を一瞬で溶かすことになります! 詐欺に一番引っかかるのは『自分は賢い』と思っているインテリなんです!見ていないからこそのハラハラ感とか感じてそう!!」
「ぐはっ……!? ズボシすぎる……私としたことが、少し投資に興味を持ち始めていたところを……!」
「えっ貴方ギャンブル狂ったあまりついにそこまで?うちの会社の資金はやめてくださいよ?」
酒呑童子が胸を押さえて崩れ落ち、白沢が信じられないような目をみる。
「いいですか皆さん!」
村上はホワイトボードに大きく【うまい話はない】【確認・疑う・相談】と書いた。
「人間に化けて街に出るなら、まず『自分はカモにされているかもしれない』という疑いを持ってください。怪しいと思ったら即座に警察、あるいは僕に相談すること! いいですね!?」
「「「はいっ!!!!」」」
大江山を揺るがすような、妖怪たちの揃った返事が響き渡った。
講義を終え、汗を拭う村上の元へ、天狐が涙目で歩み寄ってきた。
「む、村上様……ありがとう……! 私、もしあのまま街に出ていたら、人間に騙されて毛皮を売られていたかもしれません……! これからはしっかりと勉強して、正しく人間と親しくなります!」
「分かればいいんだよ。……まあ、本当に人間と友達になりたいなら、まずは詐欺に遭わない基礎知識をつけてから出直しなよ」
「はいっ!」
感動的な(?)雰囲気が包む中、紅院は呆然と村上を見つめていた。
「……村上君」
「ん? なに紅院君」
「僕、君が退魔師になった方がいいんじゃないかって本気で思い始めてきたよ……。霊符も暴力も使わずに、大妖怪たちの悪意も油断も全部言葉で叩き潰して、しかも改心させちゃってるんだから…………いやダメだ退魔師は、なんか退魔師としても方向性が斜め上すぎて」
「何を言ってるの。俺はただの高校生だよ」
村上はバインダーを鞄にしまいながら、心底嫌そうに吐き捨てた。
「こんな面倒くさい講義をするくらい覚えられたのも、全部両親が詐欺に引っかかりまくったせいなんだから。俺としては早く平穏な日常に戻りたいのに、なんで俺が妖怪の防犯指導員みたいになってるんだろう」
「……村上君の平穏への道は、まだまだ遠そうだね……」
苦笑いする紅院の横で、セミナーのノートを必死に取る妖怪たちの熱気は、しばらく冷めそうになかった。
何より紅院は、妖怪達が復活しても今後の情勢がめちゃくちゃ不安だな……という気持ちになった。
「それでね、俺思いついたことがあるんだ」
「どうしたの村上君、やぶからぼうに」
「妖怪の派閥は山ほどあって、退魔師達もまだ実力が足りなくて、旧・御三家とか四大派閥とか山ほど面倒なものが多いじゃん?だからさ」
「俺達が一つの勢力として友好的な妖怪をまとめるんだよ、名付けて紅院軍」
「……で、具体的にどうやってその『紅院軍』とやらを作るつもりなんだい、村上君?」
大江山の大広間で行われた『詐欺啓発セミナー』が熱気冷めやらぬままお開きとなり、妖怪たちがぞろぞろと退場していく中、紅院は引きつった笑みを浮かべながら村上に尋ねた。
「言うのは簡単だけどさ。僕たち、そんな大層な組織を作れるような人脈なんて……」
「人脈なんて大袈裟なものはいらないよ。要は『こちら側の利害と一致する味方』を増やすだけだから」
村上はホワイトボードの文字を消しゴムでサッサと消しながら、事もなげに言った。
「とりあえず、第一候補としては人間社会に馴染みたがっている妖怪や、個人で活動している独立系の妖怪だけど。人間の協力者も集められれば最高ってところで……」
そこで村上はピタリと手を止め、遠い目をした。
紅院もまた、何かを察したように気まずそうに視線を泳がせる。
二人の間に、重苦しくも甘酸っぱい(?)沈黙が流れた。
「……僕達お互い分かっていることではあるんだけど、人間の友達いないもんね……」
紅院が絞り出すような声で呟いた。
「当たり前だよね。俺は実家が怪しい浄水器や謎の絵画をかわされまくったせいで、人間関係の初期設定が『全員潜在的詐欺師』になってるか、。LINEの連絡先に登録されてる人間なんて、家族と学校の緊急連絡網と……あと紅院君くらいる」
「僕だって幼少期から山奥で親に地獄の退魔修行させられてたからそっちの学校でも浮いてたし! 退魔師学校の方でも成績悪い上に『あいつ急に丸太持ち上げて丸鋸みたいに振り回すから怖い』って言われて友達ゼロだったよ! 物理的にも社会的にも孤立してるんだよ僕たちは!!」
「威張って言うことじゃなくない?。物理ゴリラ退魔師と人間不信高校生がタッグを組んだところで、人間の友達なんて増えるわけがないとは思うよ」
「自分で言い出したのに身も蓋もないよ!!」
紅院が頭を抱えて叫ぶ。
そんな二人のやり取りを、セミナーの片付けを手伝っていた天狐が首を傾げながら見ていた。
「あのぅ……村上君、その他。人間のお友達はいなくても、私でよければ『紅院軍』の一員になりますよ? 村上様の講義、すごく勉強になりましたし!」
「今僕のことその他って言った!?」
「あら、アタシも一口乗ろうかしらプリンちゃん」
隣で優雅に紅茶を飲んでいたインキュバス店長が、妖艶に微笑みながら口挟む。
「にゃんにゃんパラダイスの平和を守るためでもあるし、何より頑張る男の子を応援するのはアタシの『好き』だからねぇン」
「店長さん……! 天狐さんも……!」
紅院が感動の面持ちで二人を見つめる。
現状の「紅院軍」の構成メンバーは、元Aランクのオタク狐と、猫カフェを経営する夢魔の店長。退魔師の組織としてはあまりにもカオスだが、一応の「第一歩」ではあった。
だが、紅院はふと疑問に思い、村上の顔を覗き込んだ。
「……ねえ、村上君。前々から思ってたんだけどさ」
「何?」
「村上君って、基本的には『面倒くさいことには関わりたくない』『平穏な日常に帰りたい』ってスタンスじゃない?まあ一般人としては普通の観点だよ? なのにどうして今回は自分から『紅院軍』なんて勢力を作ってまで、妖怪たちの陣取り合戦に首を突っ込もうとしてるの?」
紅院の問いかけに、村上は消しゴムを置き、伊達眼鏡のフレームを静かに押し上げた。
その瞳には、いつもの呆れ顔とは異なる、冷徹なまでの鋭い光が宿っていた。
「……リスクヘッジってやつかな、紅院君」
「リスクヘッジ?」
「この間に酒呑童子から聞いた『四大派閥』の話を思い出してよ」
村上は指を折りながら解説を始める。
「まず酒呑組。頭領が酒と怠惰に溺れた重度のダラ幹部で、白沢さんがいるし鬼は強いけど組織の統率力はゼロ。実質的に俺たちのコントロール下にあるようなものですから、直接的な脅威にはならない」
「酒呑さんが聞いたら泣くよそれ……(まあ事実だけど)」
「次に『二百四拾族』。八尺様を筆頭とした暴走族気取りの武闘派集団だけど、所詮は単細胞の珍走団です。暴走行為や騒音被害なら警察に通報すればいいし、力任せに襲ってきても紅院君の『反射的な物理暴力』で返り討ちにできる気がする」
「僕のトラウマを戦闘力としてカウントしないで……!というか出来れば暴走族とも八尺様とも戦いたくないよ……」
「そして『百鬼夜行』。ぬらりひょん率いる最古参で、実態は勝手に家に上がり込む迷惑ジジイの集まりです。住居侵入罪と不退去罪で法的措置をとれば終了かな」
「妖怪を法律で殴ろうとするの村上君くらいだよ、多分その人ラスボスだから」
「ですが……最後の一派だけは話が別」
村上の声のトーンが一段低くなった。
「——『百物語』。この組織だけは、明確な『実体』が見えないし、俺が一番相手したくない存在だよ」
「……!」
「酒呑さんが言うには彼らが扱っているのは怪情報、都市伝説、ネット上の噂、そして人間の恐怖心そのもの……要するに『情報』です。武力や妖力で殴り込んでくる相手なら、紅院君の筋肉や霊符で迎撃できるけど、フェイクニュースや悪質な噂、SNSの拡散力を使って裏から社会を操作する相手には、単体の物理的パワーは無力だよ……それは俺達人間もよく多用する強力な手段だからね」
村上はポケットからスマホを取り出し、画面を見せた。
「考えてもみて。もし『百物語』が本気を出して『退魔師の紅院は実は凶悪な連続通り魔だ』とか『あの高校には妖怪を操る悪魔がいる』といった怪情報をネット上にばら撒いたらどうなる? 警察やメディア、一般人が一斉に俺たちを敵視し、社会的抹殺を図ってくる。……俺が最も恐れているのは、そういう『見えない悪意のシステム』だよ……そして、それだけのことが復活してすぐに出来るくらい賢い妖怪がいないって、言い切れる?」
紅院は息をのんだ。
ただの霊力のぶつかり合いだと思っていた妖怪たちの勢力争いの裏に、そんな恐ろしい現代的脅威が潜んでいるなど、考えもしなかったからだ。