村上の徹底的な出題傾向分析と、深夜に及ぶスパルタ指導の甲斐あって、紅院は普通の高校の期末テストをギリギリの安全圏(およそ平均42点)で突破することができた。
留年の危機を回避し、束の間の平穏に胸を撫で下ろしたのも束の間——次は『退魔師学校』の方で、予期せぬ緊急事態が勃発していた。
「……ランキング408位!?」
放課後の部室棟の陰で、紅院は退魔師学校の専用端末に表示されたシーズン更新通知を見て、目を丸くしていた。
これまでは底辺を這いずっていた紅院のランクだが、酒呑組との騒動やサキュバスの捕獲(実際は村上の身も蓋もない説得と交渉による加入)などのここ最近の実績が、学校の自動評価システムによって「大型妖怪の封印および協調化」と過大評価された結果、順位が跳ね上がってしまったのだ。
940位から408位、とんだ大躍進である。
「すごいじゃないか紅院君。キャリアアップとしては上々だよ。評価制度がどんなに大雑把でも、結果として肩書がつくのは悪いことじゃないって、上級退魔師が10位だっけ……まだまだこれからだけど今の結果を喜んでおこうよ」
隣でバインダーを開いていた村上は、淡々と祝辞を述べた。しかし紅院は、青ざめた顔で画面をスクロールしている。
「全然良くないよ村上君! 制度が変わって、ランキングが500位を切った生徒には『実地運用課題』が自動的に発生するんだよ!」
「課題?」
「うん……『式神の雇用資格取得』と『式神との実技契約・運用試験』! これを次のシーズン査定までにクリアしないと、退魔師ライセンスが一時停止されるか、ランクが最下層まで格下げになっちゃうんだって……」
「式神雇用資格……」
村上は紅院の近くに行って、提示された規定ガイドラインの画面を覗き込んだ。そこには『式神の過重労働防止ガイドライン』や『契約時における霊力給与の適正配分』といった項目がズラリと並んでいる。
そろそろ伊達メガネギャグも陳腐になってきたので捨てる頃合いらしい。
「式神って愛玩動物飼養管理士みたいな感覚で資格あるんだ……」
「退魔師業界も昔と違って労働環境の適正化が進んでるんだよ! むやみに妖怪を酷使したらブラック退魔師として告発されちゃうんだから!」
「それは大変健全な傾向だね。契約の明細化と労働者の権利保護は組織運営の基本だ。だが、何が問題なんだい? 資格試験の学科なら、俺がまた対策プリントを作ってあげるよ」
「問題は学科じゃなくて『実技』だよ!」
紅院は自分の手を握りしめ、悲痛な声をあげた。
「式神を従えるには、契約する時に式神の存在を現世に繋ぎ止める『霊力の維持コスト』が必要なんだ! でも僕、見ての通り霊力がカツカツでしょ!? 普通の使い魔や小型の妖怪すら、僕の霊力じゃ3分も維持できずに消滅するか、霊力不足で拒絶されちゃうんだよ……!」
「なるほど。サーバーのスペック(霊力)が低すぎて、標準的なアプリケーション(式神)を動かすリソースが足りないわけだね」
「例えがIT用語で悲しい! でもまさにそうなの! 酒呑童子さんや天狐さんに頼むのは論外だし……(そもそも霊力消費で僕が干からびる)、野良の弱小妖怪を探そうにも、いま僕の霊力だと雀の涙以下の契約給(霊力)しか払えないから誰にも相手にされないよ!」
「低賃金・過酷な労働環境による求人難だね。非常に現実的だ」
村上は納得したように頷いた。
実技試験の期日は目前。霊力が足りず、まともな式神と契約できない以上、紅院の退魔師ライセンス停止は目に見えている。そうなれば、退魔師学校からの支援金も絶たれ、彼の生活そのものが破綻してしまう。
頭を抱えて唸っていた紅院だったが、ふと目の前で冷静にバインダーを眺めている村上の姿が視界に入った。
(……待てよ? 式神って『現世で実在し、主人の指示に従って行動する存在』だよね……?)
(霊力消費がほぼゼロで、言葉が通じて、圧倒的な交渉力と身も蓋もない正論で敵を無力化できる存在が、目の前に……!)
紅院の目が怪しく光り出した。
村上はピクリと眉を動かし、危険を察知して一歩後ずさる。
「……紅院君。急に嫌な視線を向けるのはやめてくれないか。コンプライアンス的にハラスメントの領域に入りかけているよ」
「お願い村上くん! 代わりに式神になって!」
紅院は勢いよく村上の両手を握りしめ、必死の形相で叫んだ。
「……」
村上は静かに紅院の手を振り払い、ポケットからハンカチを取り出して手を拭いた。そして、今までで最も冷ややかな視線を紅院に向けた。
「退魔師学校にも替え玉試験の概念存在するんだ」
「替え玉じゃないよ!? 正式なパートナーとしての契約だよ!」
「言い方を変えても根本は同じだよ。俺は生身の人間であり、高校生だ。霊体でもなければ妖怪でもない。人間の受託者を『式神』として登録するなんて、労働基準法以前に人権保護の観点からアウトじゃないの?」
「でも退魔師学校の規定には『主人の霊力によって維持され、主人の命令に基づき戦闘または補助を行う契約存在』としか書かれてないんだよ! 人間を対象外とする明記はない……はず!」
「法の網目を突く悪徳弁護士みたいな解釈をやめなさいよ」
村上はバインダーで紅院の額をポコンと叩いた。
「焦る気持ちは分かるけど、そもそも俺が式神になったところで俺には霊力がない。実技試験で『式神の霊的威圧を見せろ』と言われたらどうするつもりだ? 俺が面接官に『労働安全衛生法に基づき過度な威圧は控えさせていただきます』とマジレスして終わって君の退魔師人生に関わることになるよ」
「あ、それ面接官のメンタルが折れて合格になるかも……」
「合格の基準がおかしいよ。それに、俺が君の式神(従属関係)に入るということは、俺の指揮命令権が君に移るということだ。リスクマネジメントの観点から言って、主導権を君に渡すのは組織運営上、極めて危険だよ」
「僕、主導権なんていらないから! 全部村上指示役でいいから!」
「主従関係が逆転している式神契約なんて前代未聞だよ」
村上は溜め息をつき、鞄を整える。
「……まあ、やってみ?よ。君がライセンスを剥奪されて路頭に迷うと、俺の『平穏な高校生活防衛計画』にも支障が出る」
「えっ!? 協力してくれるの!?」
「勘違いしないで。『俺が式神になる』というよりは、『俺が契約書の作成と法務手続きを代行し、試験官を論理的に納得させる業務委託(外部顧問)契約』として立ち会うだけだよ。名目上、俺を式神として登録可能にするための特例規約(法的レバレッヂ)を組み立てる」
「それ実質、僕が村上君を式神として召喚するフリをするってこと!?……いやまあ、やることとしてはそうす?しかないんだけど!」
「ルールを破るのではなく、ルールの解釈をこちら都合に拡張するんだよ。これぞコンプライアンス・ハックだ」
村上はバインダーに新しい用紙を挟み、冷酷かつ緻密な笑みを浮かべた。
「人間を式神として登録する『雇用型パートナーシップ協定』。そして霊力消費ゼロで機能する『純物理・法的交渉型式神』。……いいだろう、退魔師学校の実技試験官たちに、現代社会の労働契約の厳しさを教えてあげよう」
「試験官を脅しに行くみたいな言い方やめて!? でもありがとう村上君!」
こうして、霊力ゼロの退魔師と、式神(仮)として試験に挑む超・現実主義者の高校生による、前代未聞の『式神雇用資格・実技試験ハック』が始まろうとしていた、
——
……そして、この実技に参加する為に、紅院は退魔師試験用の資料をまた書くことになるのだが、いかんせん直前まで一夜漬けにするレベルの勉強をしていたので目がとろとろにぼやけてめちゃくちゃ眠くてしょうがない。
書くうえで色々確認した上で5時間くらい寝かした後に紅院を起こした。
「あれ、僕もしかして寝てた?」
「寝てたっていうか寝かした、連続で試験なんて想定してないから休ませておいたほうがいいと思って充分な睡眠を取らせた」
「いやそれもそれで困るよ!あとちょっとの間に試験を済ませるための手続き書かないといけないのに……!」
「ああそれに関してなんだけど……俺が一通りまとめて大事そうなところだけ要約しておいたから」
村上は起きて早々に紅院の寝覚めがいいように水を飲ませた後に資料を置く、まるでソシャゲの利用規約みたいにびっしりと書かれているがこれでもまだ要約されているんだから退魔師は複雑だ。
それだけじゃない……もう一個オファーがかかっていた。
「見てみたらなんか紅院君にオファーがかかってたよ、上級退魔師試験」
「上級退魔師試験!?えっ本当に!?」
上級退魔師試験、それは式神雇用資格どころではない……これが合格したらランキングが一気に最低10位にまで跳ね上がることになる、紅院は別に1位になりたいわけではないのだが940位→408位から一気に10位、とんでもない大躍進だが紅院がどうしてそこまでオファーがかかったのか分からない。
村上が紅院の退魔師学校調べの成果報告を見る。
「僕これまで何してたっけ……」
「えっと……鎌鼬、枕返し、提灯お化け、サキュバスの封印、インキュバスと酒呑童子と天狐の懐柔……大体高ランクの資料だね」
「殆ど村上君のおかげのやつじゃん……枕返しくらいだよ?あれも鎌鼬の協力があったし」
「旧・御三家の所在の確認」
「あれも酒呑組がたまたま保有してただけで……そもそも残り1個が分からないんだからどうしようもなくて……」
「鬼の情報の横流し」
「僕が酒呑組の情報を退魔師の情報と物々交換したもので……」
「…………霊符を持ってない状態で高ランクの妖怪の群れに囲まれて肉弾戦で返り討ちにしたっていうのは俺も知らないんだけど」
「あっ……それは本当に僕がやったやつだよ……参ったな、僕もそれは評価されたくなかったのに……」
「まあ少なくとも客観的に見て紅院君はそれくらい向こうもよく見てるわけだよ、主にパワーを、それは本当に俺も誇るべき取り柄だと思うから」
「それが正統に通用するのは原始時代とかそのあたりなんだよね……まあこんなもの来たら断れないし、余計にプレッシャーかかるからもっと気を引き締めていかないと……」
「ちなみに上級退魔師のメリットって何かあるの?」
「公共機関が無料になる!」
「それは凄いけど退魔師の権力どうなってるの?」
かくして上級退魔師試験まで一緒に受けることになった紅院と村上、村上を式神扱いするだけでも相当なリスクだがなんかもう今更後に引けない。
資料を一通り書いて後は名前を書くだけなのだが……。
「そういえば、紅院君って付き合いはそこそこあるけど俺フルネーム知らなかったな」
「え?転校してきた時言わなかったっけ?」
「言ってない、紅院って名乗ってた」
「あっごめーん……ほら、僕って由緒ある一族だから本名凄く長くて省略してたんだよね、子供の頃に紅と院だけ読めたから紅院って名乗って……あっ、それで言ったら僕も村上君の下の名前知らないよ!」
「ああ、俺の名前?ほら、俺いわゆるキラキラネームだからマイナスになると思って苗字だけにしてたんだよね」
「えっそうだったの!?そ、それはごめん……」
「でも式神として名乗るならこっち使えるかもしれないな、紅院君の正式名も聞きたいから俺も名乗るよ」
……紅院はおそらく初めて、村上の本名を聞く。
キラキラネームは単語だけ聞いたことがあるのだが、実際どんなものが当て字として飛んでくるのかとごくりとじっくり聞く、笑う気など毛頭ない。
「両親が揃って名付けたんだけど凄い名前なんだよ、村上……村上基格胞っていうんだ」
「……えっ、なんか思ったよりはキラキラ感……ないね」
「まあ当て字がキラキラしてるんだけどね、まだ紅院君でもどう読むかまでは言えない……」
これが村上の本名、親以外に自分だけが知る自分の秘密。
それを聞いたらなんか特別な感じがして嬉しくなってくる。
きっと紅院がビビらないように村上がハードルを下げてくれたんだ。
紅院は達筆の習字でスラスラと書き始める。
「うん、村上君もちゃんと言ったんだから僕も言わないとね、僕の正式名称……」
【紅甲飴教皇院破道閻魔参拾弐聖】
「ね?変な名前でしょ?」
「うん、確かに早口言葉みたいな……」
と、いうところで村上に対してマナーモードで電話がかかる……白沢だ。
紅院に見えないように電話する。
(何かあったらと思って常に貴方は盗聴していました)
(ちゃっかりしてるね……それで急にかけて来た用件は?)
(聞かせてもらいましたよ……紅甲飴教皇院破道閻魔、それはですね……!我々が探している……)
(所在不明の三人目の旧・御三家……なんでしょ、紅院君は人間だけど)
(し、しかしただの旧・御三家でもありません、貴方にも分かりやすく言うと紅甲飴教皇院破道閻魔という妖怪は……)
【閻魔大王】。
——
「……まさか旧・御三家の最後の一角が、目の前でテストの点数に一喜一憂している天然ポンコツ退魔師という展開とは」
電話を切った村上は、バインダーの端をとんとんと自分の額に押し当てながら、冷徹にリスクの再計算を行った。
紅院が持つ「霊力ゼロなのに、素手の肉弾戦で高ランクの妖怪の群れを返り討ちにする」という常識外れの物理パワー。村上はそれをずっと「古臭い山籠りの空回りした修行で鍛えられた単なる脳筋の極み」だと思っていた。
だが白沢の言葉によってまた別の答えに合点がいった……あれは霊術としての閻魔の力、「地獄の裁きを物理的な質量攻撃によって強制執行する即決裁判権」の変質形態なのかもしれない。
(だとしても、リスクが高すぎる……)
酒呑組の源浜岸雪右衛門。
退魔師学校にある山本五郎左衛門。
そして紅院こと紅甲飴教皇院破道閻魔。
旧・御三家のすべてが彼の周囲に集結しつつある状況など、平穏な高校生活を望む村上にとっては巨大な倒産リスク以外の何物でもない。もしこの事実が退魔師協会や他の妖怪勢力に知られれば、間違いなく血で血を洗う権力闘争に巻き込まれる。
「村上君! 申請書類書けたよ! 僕たちの『パートナーシップ契約書』、これで完璧だよね!?」
一切の事情を知らない紅院が、晴れやかな笑顔で完成した書類を掲げてきた。
村上は深々と溜め息をつき、彼の姿を眺めた、今更立場が分かったところで彼に向ける視線は変わらない。
「完璧どころか、コンプライアンスと存在証明の二重の意味で違法建築状態だよ。……まあいい、行くよ紅院君。まずはその『式神雇用資格』とやらを毟り取りに行く」
◆
翌日。退魔師学校・西関東支部の大型演習場。
会場には、全国から集まったエリート若手退魔師たちが殺気立った空気を漂わせていた。彼らの傍らには、威圧感を放つ巨大な霊狐、凶悪な角を生やした赤鬼、美しくも禍々しい水神など、高位の式神たちが控えている。
もちろんここにはあの蒼介もいる、紅院の試験姿と聞いてわざわざ休暇明けてきたくらいだ。
その厳粛な空気の中に、学ラン姿の紅院と、普通の制服姿でバインダーを抱えた村上が並んで立っていた。
「おい見ろよ……あの920位の棚ぼた野郎だぞ」
「式神代わりに……ただの眼鏡をかけた男子高校生を連れてきてるのか!?」
「正気か? 霊力が微塵も感じられないぞ! 退魔師学校を舐めているのか!」
(なるほど……妙にベタベタしてると思ったがなんだ、式神だったのか……俺にとって恋のライバルにならなければそれはよし!紅院を助けるのではなく背中を合わせるのもそれもまたときめき!)
周囲からの嘲笑と困惑の視線が集中する。だが紅院は緊張でガタガタと震えており、村上はただ淡々と書類のページをめくっていた。
「静粛に!!」
中央の審判席から、厳格そうな上級退魔師の面接官が雷のような大声を上げた。
「これより『式神雇用資格・実技査定』を開始する! 408位、紅院! 貴様の式神は……そこにいるただの人間か! 式神契約とは、退魔師の強大な霊力をもって超常の存在を服従させ、現世に留め置くもの! 貴様、その式神にどのような霊的圧迫と威圧を施して従わせている!?」
高圧的な問責に対し、紅院が「ひえっ」と縮み上がった瞬間、村上がすっと一歩前へ出た。
「失礼ですが試験官。その質問は現代の雇用管理における重大な不適切発言(ハラスメント)に該当します」
「……は?」
鬼頭試験官が口ぐせを挟む暇もなく、村上はバインダーを掲げて朗々と突きつけた。
「第一に、当契約は『霊的従属』ではなく『業務委託型コンサルティング契約』です。第二に、『威圧』による服従の強要は、労働安全衛生法および退魔師ハラスメント防止ガイドライン第4条に明確に違反します。主人の霊力による威圧で式神を従わせる手法は、旧態依然としたブラック職場そのものですよ」
「な、何を言っているんだ貴様はーッ!? 式神は妖怪や霊体だぞ! 労働基準法が適用されるわけなかろう!」
「労働基準法第9条において『事業に使用され、対価を得る者』を労働者と定義します。形態が妖怪であれ人間であれ、役務を提供し対価を得る以上、基本的な人権および適正な労働環境は保証されるべきです。ちなみに私の契約対価は『学業補助』および『平穏な高校生活の防衛』として処理されています」
朗々と法律とガイドラインを暗唱する高校生に、会場全体が静まり返った。
そこに対して蒼介がかっこいいところを見せようと挙手する。
「横から失礼、資料によるとこの式神……式神は、言霊使いということでこういった発言を相手にぶつけることで戦意を削いだり、霊気を減らす働きがあるといい実際に功績を残しているとのことです」
「あ、蒼介さん……」
蒼介の突然のフォローに周囲もざわめくが村上のこの言霊の威力は本物だ、霊気が実際に落ちているような感覚がする……村上はさらに、試験官の隣に鎮座していた巨大な赤鬼の式神に視線を向けた。
「ところで、そちらの赤鬼さん。貴方の左肩の霊力ライン、過剰供給で著しく摩耗していませんか? 主人からの強引な霊力注入は、一時的なパワーアップと引き換えに霊体の構成組織を破壊します。いわゆる『過剰残業による自己搾取』です」
「え……? あ、いや……最近、夜になると肩が重くて……」
赤鬼が思わずボソッと漏らした。村上は「やっぱりね」と深く頷く。
「その契約書、労働時間の打刻や適切な休憩規定はありますか? 霊力の適正配分ガイドラインを守っていませんね。今すぐ退魔師労災監査局に通報すれば、一発で是正勧告対象ですよ」
「マジで!? おいご主人! 俺、そんなブラックな労働させられてたのか!?」
「バカ者! 騙されるな赤鬼! 敵の術術(?)にはまるな!」
試験官と式神の間で突如として労働条件を巡る内紛が発生した。
これだけで退魔師達も蒼介の言うことに信憑性が増してくるし紅院も何も言わない。
こいつはとんでもない式神を連れてきやがった、全ての退魔師の常識を覆すアンチ系クソリプ野郎、それが周囲から見た村上という男であった。