コードギアス 騒動のルルーシュ 〜 Lelouch of ToLOVE Ru   作:elimin

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STAGE 12の続き( * . .)"
ルルーシュが毎晩コクピットで寝るシチュはガンダムSEEDの砂漠編のキラっぽいな振り返ると…


STAGE 13 帰る場所

風邪を引いた日から、数日が経った。

 

結城家の地下にあるラボでは、いつもと変わらない光景が広がっていた。

 

漆黒の装甲に金色のラインが走る巨大な人型機動兵器――蜃気楼。その正面には大型モニターが展開され、ルルーシュは端末に接続されたドルイドシステムを操作していた。

 

「……機体制御系、異常なし。ハドロン砲の出力も規定値内か」

 

画面に流れる診断結果を確認しながら、ルルーシュはキーボードを叩く。ドルイドシステムが蜃気楼の各部を自動的に走査し、機体内部の状態が次々とモニターへ表示されていく。

 

「姿勢制御プログラムに、わずかな遅延があるな。補正を入れておくか」

 

ルルーシュは数値を入力し、シミュレーションを実行した。画面上で蜃気楼の仮想モデルが動き、修正後の挙動が表示される。

 

「……よし。これで一通りの確認は終わったな」

 

端末に表示された最終診断結果を確認し、ルルーシュは小さく息を吐いた。

先日の風邪はすっかり治っている。熱も下がり、身体のだるさもなくなった。学校での生活にも支障はない。

 

ただ、ひとつだけ以前と変わったことがあった。

 

「……やはり、寝床は考え直すべきか」

 

ルルーシュは、モニターの向こうに表示された蜃気楼のコクピットを見上げた。

あの日、三十八度を超える熱を出して倒れたのは、雨に濡れたことだけが原因ではないだろう。狭い操縦席で身体を休める生活も、多少は影響していたのかもしれない。

 

もっとも、本人としては大きな問題だとは考えていなかった。

コクピットで眠ることには慣れている。ドルイドシステムで機体の状態を確認してから、そのまま休めるため、むしろ都合がいいとすら思っていた。

しかし、リトや美柑たちの反応を見る限り、どうやら周囲はそう考えていないらしい。

 

「……余計な心配をかけるのも本意ではないが」

 

そう呟き、ルルーシュがシステムを終了させようとした、その時だった。

 

「ルルーシュさーん!」

 

階段の上から、聞き慣れた声が響いた。

 

「……美柑か?」

 

「ちょっと上に来てくれる?」

 

「何かあったのか?」

 

「ううん。みんなで話があるの!」

 

「みんな?」

 

ルルーシュは首を傾げた。

何か面倒な相談事だろうか。ララの発明に関する話なら、できれば事前に内容を聞いておきたいところだった。

 

彼はドルイドシステムを待機状態に切り替えると、階段を上がっていった。

 

 

 

 

 

 

リビングに入ると、そこには結城家の面々が勢揃いしていた。

リトと美柑に加え、ララ、ナナ、モモ、そしてセリーヌまでいる。

テーブルの上には、住宅の間取り図らしき紙が広げられていた。

 

「……これは?」

 

ルルーシュが尋ねると、ララが勢いよく立ち上がった。

 

「ルルーシュのお部屋を作ろうと思いまーす!」

 

「……は?」

 

予想外の言葉に、ルルーシュは思わず目を瞬かせた。

 

「お部屋?」

 

「ああ。前から話してたんだよ」

 

リトが苦笑しながら説明する。

 

「この前、風邪で倒れただろ? それで改めて考えたんだけどさ。お前、毎晩地下のラボで寝てるんだよな」

 

「そうだが」

 

「いや、そうだが、じゃなくて。普通にベッドで寝た方がいいだろ」

 

「……それは理解している」

 

「だったら、部屋を作っちゃえばいいじゃん!」

 

ララが身を乗り出す。

 

「私の発明品を使えば、二階に新しい部屋を増やせるんだよ!」

 

「……待て。部屋を増やす?」

 

ルルーシュは間取り図を覗き込んだ。

結城家は一般的な住宅であり、二階にはすでに家族の部屋が配置されている。新たに一室を設ける余裕があるとは思えなかった。

 

「今の間取りでは、物理的に難しいだろう」

 

「ふっふっふ。そこは私にお任せ!」

 

ララは自信満々に胸を張った。

 

「空間拡張装置を使うの!」

 

「……空間拡張?」

 

「そう! 建物の外側はそのままにして、内部の空間だけを広げる装置だよ。デビルーク星の技術を応用すれば、これくらい簡単なんだから!」

 

「……簡単、ね」

 

ルルーシュは眉をひそめた。

以前からララの発明品には何度も振り回されている。便利なものも多いが、予想外の機能や副作用が付いてくることも少なくない。

 

「ちなみに、安全性は?」

 

「大丈夫!」

 

「具体的な検証結果は?」

 

「えーっと……」

 

ララの視線が泳いだ。

 

「……ララ」

 

「だ、大丈夫だってば! ちゃんと計算してあるもん!」

 

「その計算を見せてくれ」

 

「うっ……」

 

リトが苦笑した。

 

「ほら、やっぱりそうなるだろ」

 

「……念のため確認するだけだ」

 

「ルルーシュ、細かいなあ」

 

ナナが呆れたように言う。

 

「いや、こればかりは細かく確認すべきだろう」

 

「まあまあ。お姉様も、今回はきちんと安全性を確認しているようですよ」

 

モモが微笑みながら間に入った。

 

「それに、せっかくですから、ルルーシュさんのお部屋を作って差し上げたいですもの」

 

「……モモまで」

 

ルルーシュは困ったように息を吐いた。その時、美柑が静かに口を開いた。

 

「ルルーシュさん」

 

「何だ?」

 

「私たち、前から気になってたの。ルルーシュさんが毎晩、あんな狭いところで寝てること」

 

美柑は地下へ続く階段の方をちらりと見た。

 

「この前、リトのベッドで寝た時、すごく気持ちよさそうだったよね」

 

「…そうだったか…?」

 

「うん。起こすのが申し訳なくなるくらいだった」

 

リトも頷く。

 

「俺もびっくりしたよ。普段のお前なら、もっと早く起きてそうなのに」

 

「……体調が悪かっただけだ」

 

「それだけじゃないと思うけどな」

 

リトが肩をすくめた。

 

「それにさ。お前、ここに来てからずっと、部屋を欲しがるようなことを一度も言わなかっただろ」

 

ルルーシュは少しだけ視線を落とした。

 

「……俺は居候だ。そこまでしてもらう理由はない」

 

「理由ならあるよ」

 

美柑が即座に答えた。

 

「ルルーシュさんも、ここで一緒に暮らしてるんだから」

 

その言葉に、ルルーシュは顔を上げた。

美柑はいつものように穏やかな笑顔を浮かべている。

 

「だから、自分のお部屋があってもいいと思うの」

 

「……」

 

「ね?」

 

ルルーシュは、すぐには返事をしなかった。

居候という立場を考えれば、これ以上何かを求めるのは図々しい。そう考えるのは、彼にとってごく自然なことだった。

しかし、目の前の彼女たちは、誰一人として迷惑そうな顔をしていない。

むしろ、当然のことのように部屋を作ろうとしている。

 

「……分かった」

 

やがて、ルルーシュは小さく頷いた。

 

「そこまで言うのなら、ありがたく使わせてもらおう」

 

「やったー!」

 

ララが両手を上げる。

 

「それじゃあ、早速お部屋の準備を始めよう!」

 

「……その前に、装置の設計図を見せてくれ」

 

「ええーっ!?」

 

リビングに笑い声が広がった。

 

 

 

 

 

 

 

その日の午後。

ララが持ってきた設計図を確認したルルーシュは、空間拡張装置の仕組みに興味を示していた。

 

「……なるほど。内部空間の座標を一時的にずらし、外部の構造と干渉しないように固定するわけか」

 

「そうそう!」

 

ララが嬉しそうに頷く。

 

「これなら、二階の廊下の突き当たりに新しい部屋を作れるんだよ!」

 

「理論上は可能だろうな。だが、空間を拡張した状態で建物の構造に負荷がかからないか?」

 

「そこもちゃんと計算してあるよ!」

 

「……ならいい」

 

ルルーシュは設計図をテーブルに置いた。

 

「ただし、装置の出力と安全装置は確認しておきたい。万が一、空間が不安定になれば、生活どころではなくなるからな」

 

「うん! じゃあ、一緒に確認しよう!」

 

ララは嬉しそうに笑った。二人はそのまま設計図を広げ、細かな調整を始めた。その様子を見ていたナナが、呆れたように口を挟む。

 

「……なあ、これって部屋を作る話だよな?」

 

「そうだけど?」

 

「なんで二人とも、そんな難しい顔してんだよ……」

 

「安全性の確認は重要だ」

 

ルルーシュが淡々と答える。

 

「うわ、真面目……」

 

ナナは肩をすくめた。

 

「まあ、いいや。あたしは家具を選ぶ方に参加するから!」

 

「家具?」

 

「そう! せっかく新しい部屋を作るんだから、かわいいものをいっぱい置こうぜ!」

 

「……かわいいもの?」

 

ルルーシュの眉がわずかに動く。ナナは気にせず、テーブルの上に家具店のカタログを広げた。

 

「ほら、これとか!」

 

そこには、色とりどりのクッションやぬいぐるみが掲載されていた。

 

「……」

 

ルルーシュは無言でページを見つめた。

 

「どうだ? いいだろ?」

 

「……部屋の用途を考えた方がいいと思うが」

 

「えー! こういうのがあった方が楽しいじゃん!」

 

「俺は寝室兼作業部屋として使うつもりだ。必要以上に物を置く理由はない」

 

「つまんねー!」

 

ナナが頬を膨らませる。モモはそんな姉を見て、くすりと笑った。

 

「ナナ。ルルーシュさんにも好みがあるから、無理に押しつけてはいけないわよ」

 

「分かってるって!」

 

「本当かしら?」

 

「モモ!」

 

また笑い声が起こった。一方、セリーヌはテーブルの上に広げられたカタログに興味を示し、小さな手を伸ばしていた。

 

「まう?」

 

「おっと、セリーヌ。これは食べ物じゃないぞ」

 

リトが慌ててカタログを持ち上げる。

 

「まうー!」

 

セリーヌは不満そうに声を上げた。

 

「……まったく。家具選びだけでも大変そうだな」

 

ルルーシュは小さく息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

数日後。

休日の朝、結城家の玄関には、出かける準備を終えた面々が集まっていた。

 

「よーし! 今日は家具を買いに行くぞー!」

 

ナナが元気よく声を上げる。

 

「まったく、そんなに気合いを入れる必要があるのか?」

 

ルルーシュが苦笑する。

 

「あるに決まってんだろ!なんせルルーシュの部屋を作るんだからな!」

 

「…ふ、そうだったな」

 

「それじゃあ、出発!」

 

ララの掛け声とともに、一同は家を出た。向かった先は、郊外にある大型家具店だった。

広い店内には、ベッドや机、ソファ、収納家具などが整然と並んでいる。展示された部屋の一角には、実際の生活を想定したインテリアが配置され、照明やカーテンまで含めたコーディネートが紹介されていた。

 

「わあ……! いっぱいあるね!」

 

ララが目を輝かせる。

 

「まずはベッドから見ていこうか」

 

美柑がカタログを手に取った。

 

「ルルーシュさん、どんなベッドがいい?」

 

「……普通のもので構わない」

 

「またそれ?」

 

リトが呆れたように言う。

 

「せっかくなんだから、ちゃんと選ぼうぜ」

 

「……分かった」

 

ルルーシュは展示されたベッドを見比べた。

硬さや大きさ、寝返りのしやすさ。実用性を考えれば、選ぶ基準はいくらでもある。

しかし、実際に横になってみると、どれもそれなりに快適だった。

 

「……これは悪くないな」

 

彼が選んだのは、落ち着いた色合いのシンプルなベッドだった。

 

「じゃあ、これにしようか」

 

美柑が頷く。

 

「次は机だな」

 

ルルーシュは展示スペースを歩き、いくつかの机を見比べた。

 

「……もう少し広い方がいい」

 

「勉強用?」

 

リトが尋ねる。

 

「それもあるが、書類や資料を広げることもある。作業スペースは広い方がいい」

 

「なるほどな」

 

リトは感心したように頷いた。結局、十分な広さがあり、引き出しも備えた木製の机を選ぶことになった。

 

次は本棚だった。

 

「ルルーシュさん、かなり本を持ってるんですのね」

 

モモが尋ねる。

 

「必要な資料が多いだけだ」

 

「それでも、かなりの量ですよ?」

 

「まあな、知識は身につけて損はない…」

 

モモは棚のサイズを確認しながら、いくつか候補を挙げていく。

 

「こちらなら、収納力もありますし、机との色合いも合いますね」

 

「…落ち着いているな、確かに」

 

ルルーシュは本棚を眺めた。落ち着いた木目のデザインで、部屋全体の雰囲気にも馴染みそうだった。

 

「これにしよう」

 

「決まりですね、ふふっ」

 

モモは満足そうに微笑んだ。

その頃、ナナは別の売り場で何やら物色していた。

 

「おーい! ルルーシュ!」

 

「……何だ?」

 

「これ、どうだ?」

 

ナナが両手で抱えていたのは、黒い猫のぬいぐるみだった。丸い目と小さな耳が特徴的で、どこか愛嬌のあるデザインをしている。

 

「ぬいぐるみか」

 

「そう! 部屋に置いたら絶対かわいいって!」

 

「…俺の部屋に?」

 

「そうだよ!」

 

ルルーシュは、しばらくぬいぐるみを見つめた。

 

「…必要性は感じないな」

 

「えー!」

 

ナナが不満そうに声を上げる。

 

「じゃあ、こっちは?」

 

今度は、白いウサギのぬいぐるみを差し出す。

 

「……それも同じだろう」

 

「なんだよー! ひとつくらいいいじゃん!」

 

「……」

 

ルルーシュは困ったように眉を寄せた。

 

その様子を見ていたモモが、そっと助け舟を出す。

 

「ナナ。ルルーシュさんが困っています」

 

「……ちぇっ」

 

ナナは不満そうに頬を膨らませた。

しかし、ぬいぐるみを棚に戻す直前、ルルーシュが口を開いた。

 

「……その黒い猫なら、悪くないかもしれない」

 

「えっ?」

 

ナナが目を丸くする。

 

「本当か!?」

 

「……ああ。ひとつくらいなら、置いても問題はないだろう」

 

「やったー!」

 

ナナは満面の笑みを浮かべた。

 

「じゃあ、これに決まりだな!」

 

「…はは、そんなに喜ぶことか?」

 

「喜ぶに決まってるだろ!」

 

ナナはぬいぐるみを抱えたまま、嬉しそうに笑った。

ルルーシュは少しだけ視線を逸らす。

 

「……まったく」

 

その口元には、わずかな笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

家具選びは、その後も続いた。

 

カーテンは、ルルーシュ自身が深い青色のものを選んだ。派手すぎず、落ち着いた色合いで、部屋全体を引き締める効果がある。

ラグは美柑が手触りを確かめながら選び、照明はモモが柔らかな光を放つものを提案した。

 

「これなら、夜も落ち着いて過ごせると思います」

 

「……そうだな。目にも優しそうだ」

 

「決まりですね」

 

一方、ララは相変わらず、便利な機能を追加しようと張り切っていた。

 

「ねえねえ! 部屋の中に自動掃除機を走らせるのはどう?」

 

「……必要ない」

 

「えー! じゃあ、温度調節機能は?」

 

「普通の空調で十分だ」

 

「じゃあ、壁に小型の映像投影装置を埋め込むとか!」

 

「……お姉様」

 

モモがララの勢いに押されている中、ルルーシュは額を押さえた。

 

「部屋は休息と作業のために使う場所だ。機能を増やせばいいというものではない」

 

「むー……」

 

ララは頬を膨らませた。

 

「ルルーシュって、意外とこだわりが強いんだね」

 

「……必要なものと不要なものを分けているだけだ」

 

「はいはい」

 

リトが笑う。

 

「でも、これくらいの方がルルーシュらしいかもな」

 

「……どういう意味だ?」

 

「いや、何でもない」

 

その後、買い物を終えた一同は、購入した家具の配送手続きを済ませ、帰路についた。

帰り道、リトは荷物を運ぶ段取りについて美柑から説明を受けていた。

 

「机と本棚は結構重そうだな……」

 

「配送してもらうから、リトが運ぶ必要はないよ」

 

「いや、組み立てとかは手伝うつもりだけどさ」

 

「それは助かるけど、無理しないでね」

 

「分かってるって」

 

その会話を聞いていたルルーシュは、ふと口を開いた。

 

「……俺も手伝う」

 

「いや、お前は休んでろよ」

 

リトが即座に返す。

 

「自分の部屋だ。何もしないわけにはいかないだろう」

 

「それなら、組み立ての説明書を読んでくれればいいよ」

 

ララが微笑む。

 

「力仕事は私たちに任せて!」

 

「……分かった、お前達に任せる」

 

ルルーシュは小さく頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

結城家の二階では、朝から慌ただしい作業が続いていた。

ララの空間拡張装置が設置され、二階の廊下の突き当たりには、新しい部屋へ続く扉が現れていた。

外から見れば、以前と何も変わらない。

しかし、扉を開けると、そこには十分な広さの空間が広がっていた。

 

「本当に広がっているな…」

 

ルルーシュは、部屋の中を見渡した。

 

「でしょー!」

 

ララが胸を張る。

 

「これがデビルーク星の技術だよ!」

 

「確かに、見事なものだ」

 

ルルーシュは壁や床を確認し、空間の安定性を確かめる。

 

「今のところ、問題はなさそうだな」

 

「だから大丈夫だって言ったじゃん!」

 

「…念には念を入れるべきだ」

 

ララは苦笑した。

 

その後、地下のラボへ続く専用エレベーターの設置も始まった。

部屋の一角に設けられた扉の向こうには、小型の昇降機が用意されている。これを使えば、二階から地下のラボまで直接移動できる仕組みだ。

 

「これで、蜃気楼のところまで一気に行けるよ!」

 

「それは便利だな、感謝するぞララ」

 

ルルーシュは感心したように頷いた。

 

「ただし、誤作動は困る。安全装置の確認をしておきたい」

 

「もちろん!」

 

ララは操作パネルを叩き、試運転を開始した。

低い駆動音とともに、昇降機がゆっくりと動き出す。

 

「…あぁ、問題なさそうだな」

 

「でしょ?」

 

「ああ。助かった」

 

ルルーシュが素直に礼を言うと、ララは嬉しそうに笑った。

 

「えへへ!」

 

その間、リトたちは家具の搬入を進めていた。

ベッドを組み立て、机を配置し、本棚を壁際に設置する。美柑はカーテンの長さを確認し、モモは家具の配置を微調整していた。

ナナは購入した黒猫のぬいぐるみを抱え、置き場所を探している。

 

「うーん……ここかな?」

 

ベッドの枕元に置いてみる。

 

「いや、そこだと寝返りを打った時に邪魔になりそうだな」

 

ルルーシュが指摘する。

 

「じゃあ、こっち?」

 

今度は本棚の上に置く。

 

「そこなら問題ないだろう」

 

「よし!」

 

ナナは満足そうに頷いた。

 

セリーヌは部屋の中を興味深そうに歩き回っていた。新しい床の感触が気に入ったのか、裸足でぺたぺたと歩き、時折、家具の脚を叩いている。

 

「まうー!」

 

「セリーヌ、そこは危ないよ」

 

美柑が声をかける。

しかし、セリーヌは気にせず、ベッドの上へよじ登ろうとした。

 

「おっと」

 

ルルーシュが慌てて抱き上げる。

 

「……まったく。君は本当に目が離せないな」

 

「まうっ!」

 

セリーヌは嬉しそうに笑い、ルルーシュの頬に小さな手を伸ばした。

 

「……こら」

 

その様子を見ていたナナが、くすくすと笑う。

 

「なんだよ、ルルーシュ。セリーヌには甘いんだな」

 

「幼児相手に厳しくする理由もないだろう」

 

「ふーん?」

 

ナナは意味ありげに笑った。

 

「…何だ?」

 

「別にー」

 

ルルーシュは、わずかに眉をひそめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おやつの時間を少し過ぎた頃。

 

家具の配置が終わり、部屋はすっかり整っていた。

ベッドには新しいシーツが敷かれ、机の上には必要な文房具が並べられている。本棚には、ルルーシュが持ってきた本や資料が収められ、深い青色のカーテンが窓辺を彩っていた。

壁際には、ナナが選んだ黒猫のぬいぐるみがちょこんと座っている。

 

「……完成、か」

 

ルルーシュは部屋の中央に立ち、ゆっくりと周囲を見渡した。

自分のために選ばれた家具。自分が使うために用意された空間。そして、ここに至るまでに動いてくれた家族たち。

彼は、何か言おうとした。

 

しかし、すぐには言葉が出てこなかった。

 

「どう? 気に入った?」

 

ララが、少し不安そうに尋ねる。

ルルーシュはもう一度、部屋を見渡した。

 

「……ああ。十分すぎるほどだ」

 

「本当?」

 

「机も広いし、本棚も使いやすそうだ。カーテンの色も気に入った」

 

「よかったです♪」

 

モモが嬉しそうに微笑む。

 

「ルルーシュさんの雰囲気に合うように、皆さんで考えたんですもの」

 

「……そうだったのか」

 

「そうだよ!」

 

ナナが胸を張る。

 

「ぬいぐるみも、あたしが選んだんだからな!」

 

「それは分かっている」

 

「ちゃんと大事にしろよ!」

 

「……あぁ、ただナナのぬいぐるみへの拘りは強いな」

 

「はぁ!?どういう意味だー!」

 

部屋の中に、明るい笑い声が広がった。その時、美柑がルルーシュの隣に立った。

 

「ルルーシュさん」

 

「何だ?」

 

美柑は、部屋の中を見渡しながら、穏やかに言った。

 

「もう冷たいコクピットで寝なくてもいいんだよ」

 

その言葉に、ルルーシュは少しだけ目を見開いた。

美柑は、彼の顔を見上げる。

 

「これからは、ちゃんとベッドで寝てね。疲れた時は、ここでゆっくり休んでいいんだから」

 

「……美柑」

 

「ここはルルーシュさんのお部屋なんだから」

 

その言葉は、決して特別なものではなかった。

けれど、ルルーシュの胸には、静かに染み込んでいった。

彼はこれまで、誰かのために戦い、誰かのために計画を立て、誰かのために自分を犠牲にしてきた。

自分の居場所を求めることは、いつの間にか後回しになっていた。

必要なものだけを手元に置き、与えられた場所で過ごす。それが当たり前だと思っていた。

 

しかし、目の前の人々は、彼が求めるより先に、居場所を用意してくれた。

 

「……ありがとう」

 

ルルーシュは、静かに言った。

 

「みんな。ここまでしてくれたことに、感謝している」

 

「どういたしまして!」

 

ララが明るく答える。

 

「気に入ってくれたならよかったよ」

 

リトも笑った。

 

「……まあ、これからは毎晩ちゃんと寝ろよ。コクピットで寝るのは禁止な」

 

「……善処する」

 

「おい!」

 

「冗談だ」

 

ルルーシュは、わずかに口元を緩めた。

その様子に、リトも笑う。

 

「まったく……」

 

ナナは満足そうに腕を組み、モモは穏やかに微笑んでいる。美柑も、どこか嬉しそうだった。

セリーヌはベッドの上で跳ねながら、楽しそうに声を上げていた。

 

「まうっ! まうっ!」

 

「……おい、セリーヌ。布団が乱れるだろう」

 

ルルーシュが慌てて声を上げる。

 

「まうー!」

 

「だから、跳ねるなと言っている!」

 

そのやり取りに、みんながどっと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

結城家の二階は、すっかり静まり返っていた。

ルルーシュは机の上に広げていた資料を片付けると、椅子から立ち上がった。

新しい部屋には、まだ少しだけ家具の匂いが残っている。窓の外からは、夜風に揺れる木々の音が聞こえていた。

彼はベッドの脇に置かれた黒猫のぬいぐるみを見た。

 

「……まったく。余計なものを買ってくれたものだ」

 

そう呟きながらも、ぬいぐるみを本棚の上から手に取り、ベッドの枕元へ移した。

そこなら、睡眠のときに寝返りの邪魔にはなるかもだが、不快にならないし問題ない。

それだけの理由だった。

 

ルルーシュはカーテンを閉め、照明を落とした。

ベッドに腰を下ろす。柔らかなマットレスが身体を受け止めた。

そして、ゆっくりと横になる。

肩の力を抜き、枕に頭を預ける。足を伸ばしても、身体を丸める必要はない。寝返りを打つ余裕も十分にある。

 

「……快適だな」

 

小さく呟き、目を閉じた。

これまで眠ってきた蜃気楼のコクピットとは、まるで違う。

あの場所には、戦場で生き残るための機能が詰まっていた。操縦桿も、モニターも、警告灯も、すべてが戦うために存在していた。

 

だが、この部屋にそういう物騒な類のものは何もない。

ただ眠るためのベッドと、日々を過ごすための家具があるだけだ。

それなのに、ここには不思議な安心感があった。

廊下の向こうから、誰かの足音が聞こえた。おそらく、リトか美柑だろう。

やがて足音は遠ざかり、家の中は再び静かになった。

ルルーシュは、天井を見つめた。

 

自分の部屋。

自分のために用意された場所。

その言葉を、心の中でゆっくりと反芻する。

 

「……悪くない」

 

そう呟くと、彼は目を閉じた。

今夜からは、地下のラボへ降りる必要もない。

明日の朝も、ここで眠っていればいい。

ルルーシュは布団を肩まで引き上げ、静かに息を吐いた。

 

その夜、彼は初めて、結城家の中に自分だけの居場所を持った。




この辺からルルーシュも内面が変わり始めたり…秘密を知る人が増えていったり?(っ ॑꒳ ॑c)
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なお、准将みたいに頑張らないと世界が簡単に破滅しそうな戦略兵器がポコポコ簡単に撃たれるマッポーめいた終わらない明日へ目指して「それでもっ、守りたい世界があるんだぁぁぁ!!!!」しないとならない模様。▼将来別嬪なお姫さまが嫁になったり、カッコいいロボットに乗ってオレTUEEEEE!!!!出来るイケメン主人公ではあるが、絶対に転生したくない主人公の1人である。▼…


総合評価:22934/評価:8.46/未完:117話/更新日時:2026年06月19日(金) 18:00 小説情報


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