100億人に一人の才能 作:キモいよ
全身ボロボロで大の字に倒れたカミーラ。
「さて、振の修行の説明をしましょうか」
「ごほっ、ごほっ。はあっ、はあっ、はあっ」
「ふつう睡眠のようにリラックスするほど回復効果が高まると言われているよね? 今、カミーラが絶をやってるのもそういう話の影響だと思う。実際、回復効果を高めはする。だけど俺は思ったわけだよ。本当にただ力を抜くだけが回復なのかと」
「ぜぇっ、ぜぇっ、ぜぇっ」
「完全な停止は呼吸を止めるのと同じ。むしろ害まである。正しく回復力を高めるのはリラックスと力みの繰り返しが適切。そう思って生み出したのが振ってわけよ。見ててね」
クチナシはぼんやりとオーラを肥大化させ、縮小させる。もう一度ぼんやりとオーラを肥大化させ、縮小させる。そう繰り返す。
「分かるでしょ? 深呼吸のリズムでオーラを大きくし、小さくする。それを繰り返しているわけ。そうすると絶のようにただオーラを減らすよりも素早く回復できるようになるよ。やってみて」
「ごほっ、ごほっ。いつつ……っ」
カミーラは痛みに顔をしかめながら、ゆっくりとクチナシを手招きする。何か言いたいことがあるが、大きい声は出せないらしい。
「何? 聞こえるから言ってみて」
クチナシは聴覚を強化する。だが、カミーラは喋らない。
「しょうがないなあ」
クチナシはカミーラの口元に耳を近づける。
「うちの庭で……修行っ……ごほっ、ごほっ」
「ここじゃなくて君の家でやるってこと? どうして?」
「毎回移動……ごほっ、ごほっ。王子……、仕事……っ。ううっ」
「なるほどね。王子の仕事がたくさんあってここに来る時間がないと」
カミーラはこくんとうなずいた。
「ま、カミーラは人間の弟子の中では一番真面目だからね。多少融通はきかせてあげてもいいよ」
「うっ、いたたっ……」
そうしてクチナシはカミーラの離宮に移動することになった。
「おーい! 俺はカミーラの家で修行してくるからよ! お前等もゴミ拾いサボるんじゃねえぞぉ!」
「えっ!? カミーラ様!?」
「どういうこと!? なぜあいつがカミーラ様の名前を!?」
クチナシは船の上から女達に叫ぶ。
カミーラはその間に手下に連れられて自室へ戻っていった。
船で王宮へ移動する。クチナシは暇なので船内を歩き回る。カミーラの手下から殺気を飛ばされる。
「なんだこれ? 珍しい服があるな」
カミーラはファッションに興味がある女性。大量の私服を持っており、使わなくなった服は船内に詰め込んでいた。
「触るな」
「どうして?」
「離さないと撃つぞ」
「ご自由にどうぞ」
「ぐ……っ」
撃つと脅したが、クチナシが触っているのはカミーラの私服。手下が発砲して服を傷つけるわけにはいかない。
「コラ! 触るなと言っている!」
「高そうな服だなあ」
結局手下がクチナシを撃てず、力ずくで引きはがそうとする。が、それも難しかった。
「人の服を勝手に触らないでくださる?」
「おおっ、風呂入ったんだ」
カミーラがバスタオルを巻いた姿でやってきた。車椅子に乗っており、手下の女性が押している。全身包帯まみれで痛々しい。
「その傷で水が当たって痛くなかったの?」
「痛いに決まっているでしょう」
「もう少し治るまで寝てたらよかったのに」
「あんな姿で都に戻るわけにはいかないわ。うっ、いたたっ」
「というかどうやって風呂入ったの? 歩けないでしょ?」
「婆やに洗ってもらったわ」
「そこまでする?」
「お洒落は我慢なの。お子ちゃまには分からないでしょうけどね」
「そうだね。全く分からない」
歩けないほどのダメージでも見た目を気にしたいということだろう。
「あなたもお風呂に入りなさい」
「俺は海で洗うからいいよ」
「入らないと許さないわよ」
「じゃあ許さなくていいよ」
カミーラがクチナシをギロリと睨む。
「船内にある物、触りたいならお風呂で身体を洗いなさい」
「ああっ、そういうやつね」
クチナシは体内からワラワラと蟻を出す。
「ほらっ、俺の身体って垢の一滴も残らない程こいつらに食べさせてるからさ。もうつるっつるのすべすべなわけよ。風呂で落とす汚れなんて何もないよ。むしろ落とすともったいないよ。こいつらの餌なんだから」
「……あまり聞きたくないことだけど、最後にお風呂に入ったのはいつ?」
「え? さあ」
「いいから答えなさい」
「うーん……。あっ、学校の旅行で入らされたから1年前か」
「……」
カミーラは大きく息をついた。
「カミィの部屋に来なさい。カミィ自ら洗ってあげるわ」
「っ!? カミーラ様!?」
手下達はギョッとした。
「えっ。いいよそんな……。カミーラ体中痛いんでしょ?」
「あなた、どれほどもったいないことを言っているか分かってる? 男にとってこんな幸運ってないのよ?」
「お背中お流ししますわってやつ? ジャポンでもバカ殿は美女にやらせてるらしいけど」
「どうしてジャポンの名前を出すのかしら」
「えっ、俺、ジャポン出身だよ。言ってなかった?」
「初耳ね……」
カミーラは部下たちに視線を動かすが、誰も知らなかった。
カミーラの私室にある豪華なシャワールーム。クチナシは裸になってカミーラと共にそこに入る。
「あなたのそれ……、尻尾?」
「〇んちんだよ」
「お〇んちんは後ろに反り返ったり尻尾みたいに伸びたりしません」
「できるんだもの。人間だもの」
「……もとに戻しなさい」
「えっと、この〇んちんの中に女がいて……」
1.5mはあろう木製の超巨大ちんちん。それがパカッと開き中から胎児のポーズをした若い女が現れる。
「その子、誰? あなたの子供?」
「いや、他人だよ。話したこともない」
「……じゃあなぜお〇んちんの中に?」
「死にかけていたから助けたんだけど、俺が切り離したらオーラの流出とかで死んじゃうから離せなくなっちゃった」
「オーラの枯渇……? 精孔が開いているってこと?」
「そう、そういうやつ」
カミーラはしばらく固まってしまった。
「じゃあ、どうやってお〇んちん洗えばいいの?」
「洗わなくていいよ。蟻に食べさせるから」
「それは許さないわよ! 洗うわ!」
「おおっ!? おほおっ!?」
カミーラはクチナシの巨大お〇んちんをゴシゴシと洗い始めた。手付きが洗い。皮がちぎれてしまいそうだ。が、そこは木製おち〇ちん。表皮も硬く血が流れることはない。
「あはっ。あなたでもそういう反応をすることがあるのね」
「ち〇ちんって感度がなんかおかしいんだよなあ」
「それはもちろん、気持ちよくなるところなんだから」
「女もそうなのか?」
ガリッ。カミーラがクチナシの巨大ち〇ちんに爪を立てる。
「おふぅっ!?」
「そういうことは女性に言っちゃダメよ。ご両親から習わなかったの?」
「いやあ、言ってたかなあ? 言ってたような気がするなあ」
「ご両親は何をされてる方なの?」
「漁師だよ」
「へえ、どこの漁師?」
「ジャポンの小笠原村ってとこだよ。すっごい田舎。知らないでしょ」
「今はどこ?」
「だから小笠原村だって」
「あなたはカキンにいるじゃない」
「1人で来たからね」
「えっ、1人で船に乗って来たってこと?」
「いいや、泳いできた」
「泳いで? どうやって?」
「そりゃあ魚の姿になってだね」
「ああ、なるほど……」
カミーラは少し考えた。
「あなた、密入国者ってことになるわね」
「そうなんだ」
「密入国者を堂々と離宮に入れるわけにはいかないわ」
「王子の権力とかでなんとかやれば?」
「今日はそれでいいけど、あなたは正式に私設兵に入れたいから、ビザを取ってきてほしいわ。いえ、ジャポンの制度ならそれも難しいか……。あなた成人してないわよね?」
「ジャポンでは20歳から成人だね。俺は12歳」
「うーん、となると……」
カミーラはハッとした。
「あなたなら、ハンター試験にも合格できるかもしれないわね」
「ハンター試験? それに合格するとビザが取れるの?」
「合格するとハンター協会からプロハンターのライセンスが交付されるの。聞いたことない?」
「うーん、うっすら?」
「あれは各国で使える身分証明書にもなっているの。あなたの密入国もどうにでもなるわ」
「そうなんだ」
「というわけで。あなた、新年になったらハンター試験受けなさい。それまでは移民希望者ってことで匿ってあげるから」
「別に匿わなくていいよ。その辺の島に適当に住むから」
「そういうわけにはいかないって言ってるでしょ。これは国家の問題なの。私と一緒に修行できなくなるわよ?」
「ええ~」
「ハンター試験は毎年数百万人が受けると言われているわ。その中でも合格者は一握り」
「難しいってこと?」
「カキンにもプロハンターはほとんどいないわ。私設兵に合格者がいたら自慢できる」
クチナシの顔に興味が宿った。
「ま、おもしろそうなら、受けてもいいかな」
「受けるからには真剣にやって絶対に合格すること。いいわね」
「へいへい」
洗い終えたカミーラはクチナシを浴槽へと押す。
「入らなくても綺麗なのに」
「……これはサービスなのよ?」
「へいへい」
浴槽に入るクチナシ。カミーラが震える脚で後に続く。
そして、もう限界だという風に倒れ込んだ。
クチナシは慌てて前から抱き留める。
「やっぱり! 無茶してたんだ!」
「ごほっ、ごほ……っ。あなたの、能力で……。ごほっ。私を、治しなさい……っ」
「最初からそうやって言えばいいのに」
クチナシは木化してカミーラに木々を伸ばそうとするが。
「それはダメ!」
「おふぅっ!?」
カミーラは巨大〇んちんに爪を立てて妨害する。
「カミィに接する時は……っ、ごほっ。素肌で。やさしく包み込むように、よ……っ!」
「木にならないと効率は悪くなるよ?」
「お洒落は我慢……っ、ごほっ、ごほっ。ううっ」
「分からないよ、その感覚」
そう言いつつも、クチナシは木化せず、素肌でカミーラを抱きしめる。
「がっ、がふっ……!?」
カミーラの大きな胸がつっかて、うまく素肌を密着させられない。
クチナシは胸がつぶれるほど身体を押し当てる。
「痛い……っ! 苦しいわ……っ!」
「ごめんね。でも、くっつかないと治せないんだ」
「あっ、いたっ。ぐっ。分かっ、たっ……。我慢……する……っ」
キーンと音が聞こえるほどの勢いでクチナシのオーラがカミーラに入っていく。傷がみるみるうちに治っていく。だが、クチナシは不満げだった。
「やっぱり治りが遅いなあ。いつもはこんなに下手じゃないんだけど」
「問題ないわ。治ってるわよ。ううっ」
カミーラは目をつぶって痛みに耐え続ける。その事実がクチナシには不満だった。
「キスしていい……?」
「……っ」
「痛そうだから。キスしたらすぐ治せると思う」
「不要よ……」
「でも、カミーラにはそういう顔してほしくないんだよ」
「……カミィのこと、好き?」
「好き? というより友達?」
「じゃあ、キスしないで……」
「好きだったらキスしていいんだ」
カリッ。カミーラはお〇んちんに爪を立てた。
「おふうっ」
「そういうことは、言っちゃダメよ……」
「なんか女に〇んちん攻撃されると力抜けちゃうんだよなあ」
クチナシは不意にカミーラのビラビラを撫でる。
「あっ!? あふぅっ……!」
カミーラはビクンと一瞬のけ反る。そして全身の力が抜けたようにぐったりした。
「やっぱりそうだ。女性も男性に触られるとビクンってなるみたいだね」
ガリッ。
「あっ!? あふっ!?」
何とカミーラは〇んちんに噛みついていた。素肌モードなのでいつもより感じるものがあった。
「次、勝手に触ったら……。あなたのお〇んちん嚙みちぎるわよ……?」
「やってもいいけど、カミーラの歯では嚙みちぎれないよ……?」
「ふん!」
ガリッ、ガリガリガリ!
「あっ、おふうっ!? やめっ、こしょばっ!」
カミーラは本気で歯を立て、噛み千切ろうとしていた。クチナシの皮膚はもはや素肌の時でさえゴム製に近いものになっている。さらにはオーラによるガードがありカミーラの歯では傷をつけることも難しい。ただ、痛いというよりこしょばゆかった。
クチナシの力で回復し、さらには過剰なオーラにより全身みなぎりまくった状態で復活したカミーラ。彼女と私設兵、それにクチナシを伴って離宮を歩く。
「まずは溜まった書類を処理するわ。終わるまで修行もできないから、あなたも手伝いなさい」
「なんか便利屋みたいに使われてんなあ」
カミーラの私室。山のように積み上がった書類。クチナシはカミーラの私設兵と共に資料を眺め、処理していった。