シルフィとフィッツ 作:シルフィ超かわいい
僕には大切な人がいる。
臆病で、引っ込み思案で、荒事が苦手で、そして信頼出来ると思った人に依存しきってしまう、
そんなか弱い子。
その子との関係を言葉で表すは難しい、『知り合い』と言うには些か近過ぎるし、『友達』と言うのも少し違う、勿論『恋人』でも無い。
そう最近アリエル様やルークに「まるで秘密の恋人のよう〜」なんて言われたけど断じてそんな関係では無いのだ。
だから僕は彼らが言うような『大切な物は閉じ込めちゃう束縛の強いタイプ』では無い。
僕にとっての理想は、好きな人にはしたい事を自由にしてもらって、僕もそれを支えられるような。
そんな関係なのだから、真逆と言ってもいい。
だから「それなら!」と言って縄を渡さないでほしい。
いや結び方が分からないからって訳じゃ無いから!教えてくれなくて良いから!大体なんでみんな当たり前のように出来るんだ…
いざと言う時に困るって、僕はそんなアブノーマルな事するつもりは無いよ!
相手はそうかもってそれは…そうだけど。
・・・
結局貰ってしまった。
それにしてもやけに手触りが良い、一体いくらするんだろう、使いどきも無いのに申し訳なくなってきた。いやだからって使わないけども!
なんだか話が逸れてしまった気がする。
えっと、そうだ。彼女との関係のいい形容の仕方を考えていたのだ。
彼らは『恋人のよう』という言葉を僕らの関係に当てはめているようだ。
『恋人』ではなく、恋人の『よう』。
上手い表現だとは思うがしっくりは来ない。
そもそも恋人以前に、僕は彼女の事をそこまで好きではないしね。
大切には思ってるけど。
そういう意味では『主従』というのは少し近いかもしれない。
彼女が僕より上位であると言うのは間違っていないし、僕が彼女を守ってるのも事実だ。
でもアリエル様達の関係を見るとそう形容するのは気が引ける。
彼らの関係はとても理想的だ。
互いの事をよく理解し欠点を知って尚全幅の信頼を寄せている。
対して僕は彼女をそこまで信頼していないし、彼女もそれは同じだろう。
理解が足りない訳じゃない。むしろこの世界で一番彼女の事を理解してるまである。
ただ、だからこそ信頼出来ていないのだから救えない。
なんだか悪口みたいになってしまったけど、本当に大切に思っているのだ。
それこそ親友であるアリエル様やルーク以上に。
彼女は純粋で無垢でそれ故にとても愛らしい、嫉妬してしまうほどだ。
そんな彼女も最近はめっきり表に出てこなくてなってしまった。
元々引っ込み思案な子ではあったし表に出ていた時も僕の影に隠れてではあったけれど、それもなくなって日課のランニングもやめてしまっている。
やはり両親の死と言うのはショックが大きかったのだろう。
当然だ、僕だってショックだったのだ、彼女の手前気丈に振る舞っていたけれど。
いや『振る舞っているつもりだった』が正しいだろうか、アリエル様にも
「自覚はないかもしれませんが、根を詰めすぎです。動いていたいと言う感情は理解しますが、明らかに精彩を欠いています」
と言われてしまい、アリエル様を筆頭にルーク以下従者の全会一致でお休みを取らさせられた事もあった。
僕ですらそんな調子なのだ、交友関係を殆ど持ってない彼女にとって両親の比重はとても大きいだろう。
以前は「ここ、ルディに教えて貰った所だ!う〜ん。でもなんかちょっと違うね、なるか回りくどい感じ。」なんて言って楽しそうに授業を受けていたが…
ここの授業はとても面白い。
入学の経緯はのっぴきならない物だったけれど、ここに通えてよかったと思う。
だからこそ彼女にはもっと純粋に学校を楽しんで貰いたいのだけど、どうしたものか。
でも彼女は僕にあまり弱みというかそういう事を話してくれないし…心配だ。
アリエル様には時折お話しして甘えているようだけど…それがかえって心配だ。
なんと言うか彼女の甘やかし方はすごいのだ。
もうぐでんぐでんになるまで甘やかしている。
このままでは別の意味で社会復帰不可能になってしまいそうだ。
本人は加減してるなんて言っていたけど、言葉の節々に甘えてくれる事への喜びが漏れていた。
心配だ、本当に心配だ。
そんな折、何かいい手はないかと考えていた時のことだった。
その名前を目にしたのは