俺だけ使える成長システムで湘北を全国制覇に導きたい 作:should
夏の大会が終わり、次に重点的に鍛える能力は決まっている。
ディフェンスだ。
俺は育成画面を開き、能力一覧を眺めた。
ペリメーターディフェンス、インサイドディフェンス、スティール、ブロック、ヘルプIQ。
項目は分かれているが、実際のディフェンスはもっと複雑だ。
一対一で相手を止める選手もいれば、味方が抜かれた瞬間に助けに入る選手もいる。広い範囲を動いて複数のポジションを守れる選手もいれば、相手の攻撃を先読みしてチーム全体を動かす選手もいる。
同じディフェンダーでも、得意分野は違う。
ならば、俺はどんなディフェンダーを目指すべきなのか。
NBAの選手を参考に考えてみよう。
まず、マイケル・ジョー○ン。
得点力ばかりが注目されるが、守備でも最優秀選手賞を受賞している。
彼のような選手を考えるとき、重要なのは一対一の強さだ。
相手のドライブに反応し、方向転換についていく。シュートを簡単には打たせず、隙があればボールを奪う。
そのためには、アジリティや反応速度だけでなく、相手との距離を保つ技術やフットワークも必要になる。
次にカワイ・レナー○も対人守備の参考になる選手だ。
長いリーチと身体の強さを生かし、相手の進路を制限する。無理にボールを奪おうとするのではなく、相手の得意なプレーそのものを封じ込める。
二人に共通しているのは、目の前の相手に自由を与えないこと。
ただし、方法は一つではない。素早い反応で相手の隙を突くことも、身体とリーチを使って選択肢を減らすことも、対人守備の強さにつながる。
俺が目指す守備を考えるうえで、まず参考にしたい部分だ。
次に、ドレイモンド・グ○ーン。
彼の特徴は、一対一だけではなく、チーム全体の守備を成立させる能力にある。
味方が抜かれたときにヘルプへ入り、スクリーンへの対応を判断し、自分が動いたことで空いた場所を味方と連携して埋める。
必要なのは、ヘルプ、ローテーション、ポジショニング、そしてディフェンスIQだ。
さらに、ケビン・ガー○ットのように、広い範囲を動きながら攻撃を予測できる選手もいる。
ただ足が速いだけでは、広い範囲は守れない。どこへ動くべきかを判断し、そこへ間に合う身体能力が必要になる。
ここまで整理すると、ディフェンスには少なくとも五つの方向性がある。
一つ目は、一対一で相手を封じる対人守備。
二つ目は、ゴール下でシュートを止めるインサイド守備。
三つ目は、味方を助け、守備の穴を埋めるヘルプとローテーション。
四つ目は、複数のポジションを守れるスイッチ能力。
五つ目は、相手の攻撃を読み、チーム全体の守備を整える判断力。
もちろん、実際にはそれぞれが組み合わさっている。優れたディフェンダーは、一つの能力だけで守っているわけではない。
それでも、何を伸ばすべきか考えるには、分けて整理したほうがいい。
では、俺はどれを目指すべきなのか。
答えを考えるには、将来の湘北を思い浮かべればいい。
まず、赤木。
センターとして、ゴール下を守る役割がある。インサイドで相手を押し返し、シュートを難しくし、リバウンドを確保する。
ゴール下の守備を専門的に伸ばすなら、赤木が中心になるだろう。
ただし、素早いガードやフォワード、シュート範囲の広いセンターは抑えるのは難しいと思う。
次に、桜木。
身体能力を生かしたヘルプや、状況に応じたスイッチが期待できる。
海南の神へのマンツーマンや、陵南戦での「なぜそこに桜木がいるんだ!」などを考えると、ヘルプもうまいだろう。
さらにガードにもついていけるアジリティ、センターよりも高く速く飛べるジャンプ力、経験を積めば素晴らしいヘルプディフェンダーになるだろう。
赤木の苦手なシュート範囲の広いセンターも対応できる。
問題は初心者だから、経験を積む機会が少ないことだろうか。
次に三井。
簡単にはぬかせない能力と、守備IQの高さがある。
相手の狙いを読み、味方の位置を把握し、必要な指示を出す。そうした役割は担えると思う。
ただし、三井にはアジリティや体の強さには課題がある。
身体能力が優れていない彼では、素早くて体が強い海南の牧のようなガードには1人で守り切るのは、簡単ではない。
では、俺はどうするか。
赤木と同じようにゴール下を守る必要はない。桜木と同じ役割を専門にする必要もない。三井と同じように、守備全体の判断を主な武器にするのも違う。
俺が目指すべきなのは、赤木が対応できない素早いガードや三井が対応できないからだが強くて押し込まれるフォワードを一対一で守れる選手ではないだろうか。
つまり、海南の牧、陵南の仙道、山王の沢北のようなエースと呼ばれる選手だ。
相手のエースを任せられる。
簡単には抜かれず、得意なプレーをさせない。
さらに、必要なときには味方を助けられるだけの守備範囲も持つ。
カワイのような対人守備を土台にしながら、全盛期のレブロン・ジェー○ズのように、相手や状況に応じて幅広い役割を担える選手。
それが、オールラウンダーを目指す俺に合っている。
ゴール下を赤木が支え、桜木がヘルプやスイッチで広く動く。三井が守備全体を理解し、俺がガードやフォワードの主力を抑える。
そうした役割分担ができれば、チームの守備はもっと強くなるはずだ。
俺はノートに書き込んだ。
『目標:広い守備範囲を持つロックダウンディフェンダー』
目指す形が決まれば、必要な能力も見えてくる。
最優先は、ペリメーターディフェンス。
ガードやフォワードを守るなら、まず一対一で簡単に抜かれない技術が必要だ。守備姿勢、フットワーク、相手との距離、進路を制限するポジショニング。これらを身につける。
次に、アジリティ。
相手の切り返しに対応し、横方向へ素早く動くための能力だ。どれだけ守備の知識があっても、身体がついていかなければ相手を止められない。
さらに、パワーとスピードとスタミナ。
パワー負けせず、ヘルプに出たあとに元の位置へ戻り、攻守の切り替えを繰り返しても動きが鈍らないよう、この3つも鍛える必要がある。
ディフェンスIQとヘルプも、並行して伸ばしていく。
相手の動きを読む力は、プレイメイクで培ってきた経験を生かせるはずだ。ただし、予測ができても、正しい位置へ動けなければ意味がない。実際の練習を通じて、判断をプレーにつなげる必要がある。
スティールは、優先順位を少し下げよう。
ボールを奪うこと自体を目標にすると、無理に手を出して抜かれる危険がある。まずは相手を止める。そのうえで、隙が生まれたときにボールを奪う。
俺は育成画面を見ながら、方針をまとめた。
『重点強化:ペリメーターディフェンス、アジリティ、スピード、パワー、スタミナ』
『並行して強化:ディフェンスIQ、ヘルプ』
これまで鍛えてきたシュート、フィニッシュ、プレイメイクも維持する。ディフェンスだけに偏るつもりはない。
目指すのは、何でも少しできるだけの選手ではない。
自分のマークマンを止められる。必要なら味方を助けられる。そして、試合の状況に応じて守備の役割を変えられる。
そういう選手になりたい。
方針は決まった。
あとは、実際に鍛えるだけだ。
俺はノートを閉じ、立ち上がった。
まずはフットワークから始めよう。
守備姿勢を低く保ち、左右へ動く。重心を崩さず、相手の動きを想像しながら方向を変える。
派手な練習ではない。
けれど、こうした基礎を積み重ねなければ、目指すディフェンダーにはなれない。
今度は、守備からチームを強くする。
知らなくても問題ない知識の紹介。
この話に出てくる選手たちは、レブロン以外は全員DPOY受賞者です。
DPOYとは、アメリカのプロバスケットボールリーグの最優秀守備選手賞のことです。
タイプがちょっとずつ違って面白いので出しました。
ちなみに桜木花道のモデルといわれているデニス・ロッ〇マンもDPOY受賞者です。