俺だけ使える成長システムで湘北を全国制覇に導きたい 作:should
# 第24話 守備を身体に叩き込む
方針は決まった。
目指すのは、相手のエースを止められるロックダウンディフェンダー。さらに、味方が抜かれたときには素早くカバーに入り、ポジションを問わず守れる選手だ。
そのために必要なのは、単純な足の速さだけじゃない。
相手についていくアジリティ。
接触に負けないパワー。
試合の最後まで動き続けるスタミナ。
そして、相手の動きを読む判断力。
全部まとめて鍛える。
まずは1対1のディフェンスからだった。
腰を落とし、相手との距離を保つ。ドリブルに反応して足を動かし、簡単には進路を明け渡さない。
最初は、相手のフェイントに反応して足が止まった。
1歩目で抜かれ、慌てて追いかける。無理に手を伸ばしてファウルを取られることもあった。
だが、何度失敗しても繰り返す。
相手の手元ではなく、腰や身体の向きを見る。
抜かれたくない方向を意識し、相手を自分の守りやすい位置へ誘導する。
ボールを奪えなくても、相手に簡単なシュートを打たせなければいい。
守備は、ボールを奪うことだけが目的じゃない。
相手の選択肢を減らし、攻撃を思いどおりにさせないこと。それも立派なディフェンスだ。
次は、ヘルプとローテーション。
味方が抜かれた瞬間にカバーへ入る。自分が動いたことで空いた相手を、別の味方が受け持つ。その間に、俺は元の位置へ戻る。
頭では分かっていても、実際に動くと難しい。
カバーに行くのが遅れれば、簡単にシュートを打たれる。
早すぎれば、元々守っていた相手をフリーにしてしまう。
だから、2対2、3対3の練習を何度も繰り返した。
1人を止めるだけじゃない。味方の位置を確認し、ボールと相手の動きを見て、次に起こることを予測する。
さらに、相手のシュートに対するクローズアウトも練習した。
離れた位置から素早く距離を詰め、シュートを打たせない。勢い余って相手に飛び込まず、いつでもドライブに対応できる姿勢を保つ。
ただ走って近づくだけでは駄目だ。
シュートを警戒させながら、突破されない位置で止まる。
地味だが、こういう細かい技術の積み重ねが重要になる。
もちろん、フィジカルトレーニングも欠かさない。
短い距離のダッシュと切り返し。低い姿勢を維持したフットワーク。何度も往復するコートを使った反復練習。
1度だけ速く動けても意味がない。試合の終盤まで同じ動きを繰り返せなければ、守備では使い物にならないからだ。
1対1で相手を止める。
抜かれた味方を助ける。
スクリーンに対応し、必要ならマークを受け渡す。
そして、守備から速攻につなげる。
この一連の動きを、身体に染み込ませていく。
夏の大会が終わってから、季節が変わるまで。
俺は守備の練習を徹底的に積み重ねた。
もちろん、オフェンスを捨てたわけではない。シュートも、ドライブも、パスも続けている。せっかく身につけた技術を落とす理由はない。
むしろ、守備で相手の動きを読む力が身につくにつれて、オフェンスでも相手の反応を予測しやすくなった。
ディフェンスは、ただ相手を止めるためだけの技術じゃない。
相手を観察し、動きを読み、状況に応じて最適な選択をする。その経験は、コートのどこにいても生きてくる。
今のステータスを確認する。
【ステータス:中学3年生・冬】
【中学基準/最大100】
佐藤翔真
OVR:89
■フィニッシュ
クローズショット:90
ドライビングレイアップ:89
ドライビングダンク:25
スタンディングダンク:25
ポストコントロール:84
■シューティング
ミドルレンジ:89
スリーポイント:86
フリースロー:90
■プレイメイク
パス精度:90
ボールハンドル:92
ボール保持スピード:90
■ディフェンス
インサイド:74
ペリメーター:94
スティール:77
ブロック:78
ヘルプIQ:90
■リバウンド
オフェンスReb:70
ディフェンスReb:86
■フィジカル
スピード:92
アジリティ:94
パワー:84
ジャンプ力:88
スタミナ:95
「……つよくなったな」
思わず声が漏れた。
大半の能力が80台後半から90台。ゲームメイクも、シュートも、フィニッシュも、そしてディフェンスも。
どこか1つだけが突出しているわけじゃない。
攻撃を組み立て、自分で得点を奪い、相手のエースを止め、リバウンドにも絡む。状況に応じて必要な役割をこなす、オールラウンダーとしての能力が整ってきた。
もちろん、弱点がないわけではない。
ドライビングダンクとスタンディングダンクは、相変わらず25。
ジャンプ力そのものは伸びている。だが、今の身体では、リングに直接叩き込むプレーを武器にするのはまだ難しい。
ただ身長はかなり伸びていて、今は178cmだ。原作会までにはダンクの能力も磨くことができるだろう。
ここは焦っても仕方がない。身体の成長を待ちながら、今できる技術を磨いていくしかないだろう。
それ以外の能力については、想像していた以上の水準に到達していた。
中学生として考えれば、十分に規格外だ。
ただし、数字が高いことと、試合で完璧に使いこなせることは別問題。
どれだけ能力が高くても、判断を誤れば意味がない。強い相手と対戦し、実戦の中で経験を積み、技術を自分のものにする必要がある。
それでも、ここまで成長できたのは大きい。
俺が目指しているのは、得点だけで試合を支配する選手じゃない。
チームに足りないものを埋め、攻守のどちらでも勝利に貢献できる選手だ。
そのための土台は、着実にできあがっている。
「よし。次は、これを試合で証明するだけだ」
画面を閉じ、ボールを手に取る。
まだまだ、上を目指せる。
俺の成長は、ここで終わりじゃない。