俺だけ使える成長システムで湘北を全国制覇に導きたい 作:should
高身長を取得した翌朝。
俺は、ベビーベッドの中で身体設計の画面を開いた。
■身体設計(現在の予測値)
最終身長 181cm
ウィングスパン 186cm
股下 77cm
手の大きさ 小
頭の大きさ 小
足の大きさ 27.5cm
(181センチ。悪くない数字だ。でも、全国制覇するには、まだ足りない)
原作を思い出す。
赤木は197センチ。
花道は189センチ、流川は187センチ。
山王のセンターは、確か200センチ前後だったはずだ。
(今の予測値だと、湘北の中で一番小さい。ポジションによっては、ミスマッチを突かれる)
経験点は、残り3点。
今すぐ何かを変えられるわけじゃない。
それでも、目標だけは決めておかないといけない。
(理想の体って、どんな体だ。前世の知識を総動員しよう)
前世の俺は、NBAをよく見ていた。
深夜に、眠い目をこすりながら試合を追いかけた。
選手の身長、ウィングスパン、手の大きさ。
ドラフトの前になると、そんな数字を延々と比べて遊んでいた。
(NBAの平均身長は、確か198センチ前後。センターは210センチ超えも珍しくない。でも、日本の高校で210センチは、さすがに非現実的だ)
それに、大きければいいというものでもない。
身長が高すぎると、膝や腰への負担が増える。
動きも遅くなる。
怪我しにくい体があっても、限度はある。
(大事なのは、バランスだ。身長だけじゃない。ウィングスパンと、手の大きさも、同じくらい大事になる)
俺は、頭の中で一つずつ整理した。
まず、身長。
高いほど、リバウンドもブロックも有利になる。
上から打つシュートは、止められにくい。
次に、ウィングスパン。
これは、両腕を左右に広げたときの、指先から指先までの長さだ。
この長さが身長より長いほど、腕が届く範囲が広くなる。
ディフェンスでは、相手のシュートやパスに、手が届く。
リバウンドでは、同じ身長の相手より、高い位置でボールを掴める。
NBAでは、身長と同じくらい、この数字が注目される。
そして、手の大きさ。
手が大きいと、ボールを片手で掴める。
ドリブルは安定するし、パスも取られにくい。
ボールが手に吸いつく感覚は、大きな手にしか味わえない。
(スラムダンクだけ読んでいた頃は、こんな数字を気にしたこともなかった。でも、実際に戦うとなると、こういう部分が勝敗を分ける)
さらに、股下。
脚が長いと、一歩の幅が広がる。
ドライブでも、ジャンプでも、有利に働く。
(頭の大きさは、小さい方が体のバランスがいい。今は小だから、そのままでいい)
そこまで考えて、俺の頭に、一人の選手の姿が浮かんだ。
(マイケル・ジョ○ダン)
前世の世界で、バスケットボールの象徴だった男。
身長は、確か198センチ。
ウィングスパンは、確か211センチ前後。
手は大きく、ボールを掴むというより、ボールを包み込む。
そして、ガードもフォワードも務まる、圧倒的な運動能力。
(センターほど大きくない。でも、日本の高校なら、十分すぎるほどの巨体になる。しかも、ボールも運べるし、スリーも打てるし、リバウンドも取れる。ガードもフォワードも、全部こなせる体だ)
(ジョ○ダン級の体。これを目標にしよう)
迷いは、なかった。
俺は、目標値を頭の中で整理した。
■目標値
最終身長 198cm
ウィングスパン 211cm
股下 92cm
手の大きさ 大
頭の大きさ 小
足の大きさ 29.0cm
次は、必要な経験点の計算だ。
画面の調整コストの表を見ながら、俺は、指を折って計算した。
■必要経験点(自分の計算)
最終身長 +17cm (17×40=680点)
ウィングスパン +25cm (25×40=1000点)
股下 +15cm (15×20=300点)
手の大きさ 小→大 (80点)
足の大きさ +1.5cm (3×20=60点)
合計 2120点
(2120点……)
「あうー……(多いな……)」
一日に稼げる経験点は、上限まで頑張っても、だいたい20点前後。
100日以上かかる計算だ。
(まあ、とにかく入力してみよう。もしかしたら、何か別の数字が出るかもしれない)
俺は、目標値の欄に、最終身長の198センチを入力した。
その瞬間、画面が一斉に切り替わった。
【 連動効果が発動しました 】
■身体設計(入力後の予測値)
最終身長 198cm
ウィングスパン 203cm
股下 84cm
手の大きさ 小
頭の大きさ 小
足の大きさ 29.0cm
「あうっ!?」
(ウィングスパンが203センチ……股下が84センチ……足まで、勝手に29センチになった!)
最終身長を上げると、ほかの項目も自然に伸びる。
この連動が、画面上でちゃんと反映されていた。
俺は、残りの項目にも目標値を入力していった。
ウィングスパンを211センチに。
股下を92センチに。
手の大きさを大に。
すると、画面の隅に、新しい数字が出た。
■必要経験点(画面の計算)
最終身長 +17cm (680点)
ウィングスパン +8cm (320点)
股下 +8cm (160点)
手の大きさ 小→大 (80点)
足の大きさ (0点)
合計 1240点
(1240点……!)
思わず、拳を握った。
自分の計算では2120点だった。
それが、連動のおかげで、1240点まで下がった。
(880点も浮いた。これは大きい)
一日20点なら、約62日。
毎日きっちり稼げば、2か月ちょっとで届く。
問題は、効率だった。
同じ行動を繰り返すと、効率は落ちる。
新しい行動が、一番の稼ぎ場になる。
(つまり、2か月間、毎日新しい何かに挑戦し続ける必要がある。赤ちゃんが)
俺は、天井を見上げて、苦笑した。
(これ、ある意味、普通の赤ちゃんより忙しいな)
もう一つ、大事な注意書きが、画面の隅にあった。
【 成長期が終わると、身体設計は確定します 】
【 それまでは、経験点があれば何度でも調整できます 】
(調整の期限は、成長期の終わりまで。中学、高校あたりまでは、まだ余裕がある)
今すぐ全部を仕上げる必要はない。
でも、早く仕上げるほど、その後の経験点を、他の能力に回せる。
(方針は決まった)
俺は、頭の中で、優先順位を整理した。
まず、最終身長を上げる。
次に、ウィングスパン。
それから、手の大きさ。
特殊能力は、その後だ。
(体を作って、技術を積む。順番を間違えなければ、時間は俺の味方だ)
窓の外に、朝日が昇っていた。
新しい一日の始まりだ。
【 現在の目標 】
【 ① 身体設計を目標値まで仕上げる(必要経験点:1240点) 】
【 ② 特殊能力を厳選する 】
【 ③ 湘北高校に入学する 】
【 ④ 花道たちと、全国制覇する 】
「あー……うー……(まずは、今日の分を稼ごう)」
隣の部屋から、母親の足音が聞こえてきた。
「翔真、起きてる? 朝ごはんよ」
(よし、今日の実験場に向かおう)
俺は、ベビーベッドの柵につかまって、ゆっくり立ち上がった。