俺だけ使える成長システムで湘北を全国制覇に導きたい 作:should
近代-現代のNBAチームからめちゃくちゃ影響を受けています。
紅白戦が終わってから、しばらく時間が経った。
部員たちは着替えを終え、次々と体育館を後にしていく。
そんな中、宮城リョータは体育館の隅に座り込んでいた。
(……なんなんだよ、あいつ)
頭に浮かぶのは、今日の紅白戦での佐藤翔真の姿だった。
赤木先輩へのパスを何度もカットし、三井先輩にも自由にシュートを打たせなかった。
ボールを奪えば、すぐに前を向いて速攻を仕掛ける。
パスもドリブルも上手く、周囲の状況を把握する判断力まである。
しかも、身長は自分より15cmほど高い。
(俺が得意だと思ってたこと、全部できるじゃねえか……)
宮城は、自分の手を見つめた。
スピードには自信があった。
小柄な体格を生かした素早い動き。相手を翻弄するドリブル。狭いスペースを抜けていく突破力。
それが、自分の武器だった。
身長が低いことは、ずっと気にしていた。
それでも、速さとドリブルなら誰にも負けない。そう思って練習してきた。
いつか自分のプレーで、強豪校の選手たちを驚かせてやる。
そのために、何度もドリブルを練習し、何度も失敗してきた。
なのに。
(翔真は、俺よりデカいくせに、ドリブルもうまい。パスもうまい。守備だって俺より上手いんじゃねえか?)
もちろん、今日の紅白戦だけで何もかも判断できるわけではない。
それは分かっている。
けれど、実際に目の前で見せつけられた差は、あまりにも大きかった。
同じ1年生。
これから同じチームで戦っていく仲間だ。
それなのに、自分が得意だと思っていたことまで、あっさりと上回られてしまった。
(……俺、何のために湘北にいるんだ?)
今日の紅白戦で、翔真は何度もチームに貢献していた。
ボールを奪い、味方にパスを出し、速攻を生み出す。
守備では相手の動きを読み、パスコースを塞ぎ、チーム全体で守りやすい状況を作っていた。
安西先生も言っていた。
得点やアシストといった数字に残るものだけが、チームへの貢献ではない。
スクリーンをかけること。
味方のためにスペースを作ること。
相手を誘導し、味方がボールを奪いやすい状況を作ること。
そうした目に見えないプレーも、勝利につながっている。
ならば、自分はどうすればいいのだろう。
翔真は、そうしたプレーまでできていた。
自分が今まで自信を持っていたスピードやドリブルだけではなく、守備やパス、状況判断まで。
(俺にできることなんて、あるのかよ……)
答えは出なかった。
考えれば考えるほど、自分に足りないものばかりが見えてくる。
宮城は膝を抱えるように座り、ぼんやりとコートを眺めていた。
そこへ、足音が近づいてきた。
「宮城君」
顔を上げると、安西先生が立っていた。
「あ……安西先生」
「まだ帰っていなかったのですね」
「……はい。ちょっと、考え事をしてまして」
「そうですか」
安西先生は急かすことなく、宮城の隣に腰を下ろした。
しばらく、2人で何も言わずにコートを眺めた。
やがて、安西先生が口を開いた。
「今日の紅白戦は、どうでしたか?」
宮城は、すぐには答えられなかった。
どうだったか。
そんなことは、自分が一番よく分かっている。
「……俺、何もできなかったっす」
「何も、ですか?」
「はい」
宮城は、俯いた。
「俺、スピードとドリブルには自信があったんです。背が低くても、そこなら勝負できるって。だから、ずっと練習してきたんですけど……」
言葉が途切れる。
今日の翔真の姿が、また頭に浮かんだ。
「翔真は、俺よりデカいのに、ドリブルもうまいし、パスも出せる。守備だって、あいつの方が上手いように見えました。俺が得意だと思ってたことまで、あいつはできるんです」
「……」
「俺、あいつに勝ってる部分が一つもないように思いました。今日の紅白戦で、はっきり分かったんです」
口に出すと、余計に悔しさが込み上げてきた。
翔真が悪いわけではない。
あいつは努力して、実力を身につけてきたのだろう。
それは分かっている。
それでも、同じチームに自分より何でもできる選手がいるという事実は、宮城にとって簡単に受け入れられるものではなかった。
「……俺は、どうすればいいんでしょうか」
宮城は、安西先生を見た。
「俺にできることって、何なんですか?」
安西先生は、すぐには答えなかった。
宮城の言葉を受け止めるように、静かに頷く。
「宮城君は、翔真君と同じ選手になりたいのですか?」
「……え?」
思いがけない質問だった。
「同じ選手、って……」
「翔真君と同じようにプレーし、翔真君と同じような能力を身につけたいのでしょうか?」
宮城は答えに詰まった。
確かに、今日の紅白戦では、翔真と自分を比べてばかりいた。
ドリブル。
パス。
守備。
身長。
自分より優れているところを見つけるたびに、胸の奥が重くなった。
けれど。
(……俺は、あいつになりたいのか?)
違う。
自分がなりたいのは、佐藤翔真ではない。
宮城リョータとして、バスケットボールで活躍したいのだ。
「……分かりません」
正直に答えた。
「今日、初めて考えました。俺がチームのために何ができるのかって」
安西先生は、穏やかに微笑んだ。
「それは、とても大切なことですね」
「……」
「ただ、今すぐ答えを出す必要はありません」
宮城が顔を上げる。
「翔真君にできることと、宮城君にできることは、必ずしも同じではありません。チームに必要なのは、同じ能力を持った選手が何人もいることだけではないのです」
「でも……」
「今日の試合で、翔真君が活躍したことは事実です。彼には彼の強みがあり、それをチームのために使っていました」
安西先生は、ゆっくりと言葉を続けた。
「では、宮城君には何ができるのでしょうか。それを考えることが、これからの君にとって大切になるのではないでしょうか」
宮城は、もう一度コートを見た。
今日、自分が見ていたのは、翔真ばかりだった。
翔真が何をしたのか。
翔真がどれだけ優れていたのか。
自分と比べて、どこが上なのか。
そんなことばかり考えていた。
けれど、チームのために何ができるのかを考えるなら、見るべきものはそれだけではない。
自分の武器は何なのか。
味方はどんなプレーを得意としているのか。
自分のスピードを生かせば、どんな攻撃ができるのか。
ドリブルで相手を抜くことだけが、ドリブルの価値なのだろうか。
相手を引きつけて味方へパスを出すこともできる。
守備を崩して、別の選手が攻めやすい状況を作ることもできる。
速さがあるなら、攻撃だけでなく、守備に戻るときにも生かせるかもしれない。
考えるべきことは、まだたくさんある。
「……俺、もうちょっと考えてみます」
宮城は、小さく呟いた。
「ええ。期待していますよ、宮城君」
安西先生は立ち上がった。
「自分の強みを見つけること。そして、それをチームのためにどう使うかを考えること。焦らず、少しずつ取り組んでいきましょう」
「はい。ありがとうございました」
宮城も立ち上がり、頭を下げた。
安西先生が体育館を出ていったあと、宮城はもう一度コートを見渡した。
さっきまでと、同じ景色だった。
けれど、少しだけ見え方が変わった気がした。
(……俺にしかできないこと、か)
まだ、答えは分からない。
翔真との差が埋まったわけでもない。
それでも、自分に何ができるのかを考えなければ、何も始まらない。
宮城は、ボールを拾い上げた。
そして、ゴールへ向かってドリブルを始める。
低い姿勢から、右へ。
次に、左へ。
鋭く切り返し、再び前へ進む。
いつも繰り返してきた練習だ。
けれど、今日は少しだけ違う気持ちでボールを突いていた。
ただ速く動くためではない。
ただ相手を抜くためでもない。
このスピードを、どうすればチームの勝利につなげられるのか。
それを考えながら、宮城は何度もドリブルを繰り返した。
(……絶対に、見つけてやる)
いつか、翔真と並んでコートに立ったとき。
自分にしかできないプレーで、チームを勝利に導けるように。
宮城は、もう一度ボールを強く突いた。
その頃、体育館の反対側では、赤木と三井も帰り支度をする手を止めていた。
2人とも、今日の紅白戦について考えていたのだ。
「……面白かったな、今日の試合」
三井が、タオルで汗を拭きながら呟いた。
「ああ」
赤木は、短く頷いた。
前半は、翔真に攻撃を読まれ続けた。
自分がローポストやハイポストでボールを受けることを前提に、攻撃を組み立てていた。ところが、エントリーパスをことごとくカットされ、得意なポストプレーを始めることさえできなかった。
三井も同じだった。
シュートを打とうとしても、翔真が自由にさせてくれない。
突破しようとしても、進む方向を限定され、カバーの方へ誘導された。
前半の自分たちは、得意なプレーを封じられた途端、攻撃の手段を失ってしまった。
だが、後半は違った。
「赤木、お前のスクリーン、思った以上に使えるな」
三井が言った。
「俺も、あそこまでうまくいくとは思わなかった」
赤木は腕を組んだ。
最初は、三井に少しでもシュートを打ちやすくさせるためだった。
公式戦でも何度か使った形だ。
自分の大きな体格なら、翔真の進路を塞げる。そこから三井が動けば、わずかでもフリーになる時間が生まれるはずだと考えたのだ。
実際、その狙いはうまくいった。
スクリーンによって翔真を遅らせ、三井がドライブする。
ヘルプに来たディフェンダーには、自分がもう一度スクリーンをかける。
その結果、三井はレイアップを決めることができた。
さらに、同じ形からスリーポイントも生まれた。
ガードがドライブした場面では、守備側がヘルプに来れば三井がフリーになる。三井へのパスコースを塞げば、今度は自分へのアリウープが通る。
一つのスクリーンから、いくつもの攻撃が生まれたのだ。
「……俺、今までチームのことを考えてなかったかもしれないな」
赤木が、ぽつりと言った。
「ん?」
「どうすればローポストでボールを受けられるか。どうすれば1対1で勝てるか。どうすればゴール下でシュートを決められるか。そういうことばかり考えていた。去年の紅白戦や公式戦でもお前にスクリーンをかける形は何度もやってきたが、自主練ではポストプレイのパターンを増やしたりすることばかり考えていた」
それ自体は、無駄ではなかった。
ゴール下で勝負するために、シュートの種類を増やしてきた。
相手にファウルをされたときに備えて、フリースローも練習してきた。
ポストでボールを受けられれば、さまざまな選択肢から得点を狙えるようにしてきた。
けれど、それらはどれも、ポストでボールを受けて1対1を始められることが前提だった。
ボールが入らなければ、自分の技術を生かす機会すらない。
今日の前半は、それを痛感させられた。
「ポストで勝負できなければ、何もできない。それじゃ駄目なんだな」
赤木は、ゆっくりと自分の手を握った。
自分には身長がある。
体格もある。
ゴール下で相手と競り合う力も、リバウンドを取る力も持っている。
それを、ポストでボールを受けて得点するためだけに使う必要はない。
スクリーンをかければ、味方がフリーになる時間を作れる。
ゴール下へ走り込めば、ディフェンダーに守る対象を増やさせられる。
相手の進路を塞げば、味方のレイアップを助けることもできる。
そして、シュートが外れたときには、体格を生かしてオフェンスリバウンドを狙える。
今日のスクリーンは、その可能性を教えてくれた。
「スクリーンを使うだけでも、あれだけ選択肢が増えるんだな……」
赤木は、もう一度コートを見た。
「でも、まだまだできることはあるはずだ」
スクリーンをかけるタイミングや角度。
味方がどちらへ動きたいのかを理解し、その動きに合わせて位置を取ること。
スクリーンのあとにゴールへ飛び込むのか、外へ開くのか。
味方がドライブしたとき、どこにいれば相手のヘルプを妨げられるのか。
自分がボールを持っていなくても、できることはたくさんある。
それらを磨けば、得点力を伸ばすだけでなく、チームに貢献できる場面そのものを増やせるのではないだろうか。
(俺の体格を、もっと生かせる方法があるはずだ)
今までの練習が間違っていたとは思わない。
ポストプレーを磨くことも、得点パターンを増やすことも、これからの自分に必要な技術だ。
ただ、それだけでは足りない。
自分の強みを生かせる場所を、もっと増やす必要がある。
赤木は、今日のスクリーンプレーを頭の中で繰り返した。
三井がシュートを打つ。
自分がスクリーンをかける。
ディフェンダーが動く。
そこから、次のプレーが生まれる。
もし別の動きをしたら、どんな結果になるだろうか。
もし、自分がもう少し早くゴールへ走り込んだら。
もし、味方がドライブする前に、もっと効果的な位置でスクリーンをかけられたら。
考えれば考えるほど、まだ試せることがあるように思えた。
「……俺たちは、まだ強くなれるな」
赤木が呟くと、三井が笑った。
「当たり前だろ。今日の試合で、それが分かったんじゃねえか」
「今度安西先生に、どんなプレイを俺がすればチームのためになるのか聞いてみるか」
「そういうお前はどうなんだ?」
赤木に聞かれ、今度は三井が考え込んだ。
自分はシュート力に自信がある。
それは間違いない。
フリーになれば、外から得点できる。
相手が警戒して距離を詰めれば、ドライブでゴールへ向かうこともできる。
実際、今日の後半は、赤木のスクリーンがあったことで、シュートだけでなくドライブからのフィニッシュも狙いやすくなった。
だが、前半の自分はどうだっただろうか。
翔真にマークされ、フリーになれない。
無理に抜こうとしても、進行方向を限定され、ヘルプに阻まれる。
結局、苦し紛れに出したパスまでカットされた。
(……シュートが得意だからって、それだけじゃ駄目なんだよな)
シュートを打てる状況を作るのも、自分の役割だ。
赤木のスクリーンを利用して動く。
味方のドライブに合わせて位置を変える。
相手が自分を警戒しているなら、その注意を利用して味方にスペースを作る。
そして、シュートを警戒して距離を詰めてきた相手には、ドライブで仕掛ける。
自分が得点できるかどうかだけではなく、自分の存在が相手の守備にどう影響しているかを考える。
それだけでも、プレーの選択肢は増えるはずだ。
「俺も、もっと練習しなきゃな」
三井が言った。
「シュートだけじゃなく、ドライブも、もっと磨きたい。フリーになるための動きもそうだし、味方が攻めやすい状況を作ることだってできるはずだ」
「そうだな」
赤木が頷く。
「俺たちの強みは、それぞれ違う。だからこそ、組み合わせればもっと強くなれるんだろう」
「ああ。お前のスクリーン、これからも頼りにしてるぜ」
「お前も、しっかり決めてくれよ」
2人は顔を見合わせ、笑った。
今日の紅白戦で、翔真に自分たちの弱点を突かれたことは悔しかった。
けれど、それで終わるつもりはない。
自分たちが何を得意としているのか。
その強みをどうやって生かすのか。
そして、今はまだできないことを、これからどう身につけていくのか。
考えるべきことは、たくさんある。
赤木は、自分の大きな手を見つめた。
三井は、ボールを手の中で軽く回した。
持っているものを生かすこと。
足りないものを伸ばすこと。
その両方を続けていけば、きっと今よりも強くなれる。
「明日から、また練習だな」
「ああ」
2人は、並んで体育館を後にした。
その様子を、少し離れた場所から見ていた人物がいた。
木暮公延だった。
片付けを終えた木暮は、2人が帰っていくのを見送ってから、静かになったコートを振り返った。
(……みんな、いろいろ考えているんだな)
今日の紅白戦は、木暮にとっても考えさせられる試合だった。
前半、翔真は赤木へのパスを読み、三井のシュートを封じていた。
後半になると、赤木がスクリーンを使い始め、三井との連携で次々と得点を生み出した。
赤木の体格を生かしたスクリーン。
三井のシュート力とドライブ。
そして、2人の連携を利用したガードの突破。
目の前で繰り広げられるプレーは、見ていて面白かった。
同時に、自分には何ができるのだろうとも考えさせられた。
赤木には、恵まれた体格がある。
三井には、優れたシュート力がある。
そして、翔真には、幅広い能力と優れた判断力がある。
それぞれが、自分の強みを持っている。
では、自分はどうだろうか。
(俺には、これといって突出した能力がないんだよな……)
木暮は、自分の手を見つめた。
赤木のような体格があるわけではない。
三井のようなシュート力があるわけでもない。
宮城のようなスピードがあるわけでもない。
もちろん、バスケットボールを続けてきたし、自分なりに練習も重ねてきた。
それでも、チームの中で誰にも負けないと言い切れるような武器は、まだ見つけられていなかった。
だからこそ、これまでは自分にできることを探しながら、練習に取り組んできた。
けれど、今日の安西先生の話を聞いて、少しだけ考え方が変わった。
得点やアシストだけが、チームへの貢献ではない。
味方のためにスクリーンをかける。
相手が動きたい場所を塞ぎ、味方が守りやすい状況を作る。
シュートが外れることを想定して、リバウンドの準備をする。
味方が攻めやすいように、適切な位置へ移動する。
どれも、特別な能力がなければできないプレーというわけではない。
もちろん、簡単にできるわけではないだろう。
スクリーンひとつ取っても、タイミングが悪ければ味方の邪魔になる。相手の動きを理解していなければ、効果的な位置に立つこともできない。
味方が何をしたいのかを考え、次に何が起こるのかを予測する必要がある。
そうした技術を身につけるためには、練習を重ねなければならない。
それでも。
(……俺にも、できることはあるかもしれない)
木暮は、もう一度コートを見渡した。
自分が得点を量産する選手になれなくても、チームのためにできることはある。
味方が動きやすいようにスクリーンをかける。
相手のシュートに対して、確実にボックスアウトをする。
守備では、無理にボールを奪いにいくのではなく、相手の進路やパスコースを限定して、味方が守りやすい状況を作る。
オフェンスでは、ボールを持っていない時間にも周囲を見て、適切な位置へ動く。
そして、味方が苦しい状況に陥ったときには、無理なプレーをせず、次の攻撃につながるパスを出す。
一つひとつは、地味なプレーかもしれない。
けれど、それらを確実にこなせる選手がいれば、チームはきっと助かるはずだ。
(特別な武器がないなら、チームを支える技術を磨けばいいんだ)
今日の赤木と三井の連携を見ていて、木暮はそう思った。
赤木は、スクリーンをかけることで、三井が得意なシュートを打ちやすくしていた。
三井は、そのスクリーンを利用することで、自分の得点力を最大限に生かしていた。
どちらか一人だけでは、あれほど効果的な攻撃にはならなかったかもしれない。
自分も、誰かの長所を引き出すことができるのではないだろうか。
そのためには、まず自分が何を身につけるべきなのかを考える必要がある。
スクリーンの技術。
リバウンドで相手に先にポジションを取らせないための体の使い方。
状況を見て、適切な位置に移動する判断力。
守備で味方を助けるためのポジショニング。
どれも、今から練習できることだ。
そして、それらを磨いていけば、いつか自分にしかできない貢献の仕方も見つかるかもしれない。
「……よし」
木暮は、小さく頷いた。
自分には、まだ突出した武器がない。
だからといって、チームに貢献できないわけではない。
むしろ、自分にできることを一つずつ増やしていけばいい。
赤木や三井のような強みを持つ選手を支えることもできる。
翔真が攻めやすい状況を作ることもできる。
そして、試合の流れを見ながら、自分にできる役割を果たすこともできるはずだ。
(明日から、少しずつ練習してみよう)
木暮は、体育館の扉へ向かって歩き出した。
今日の紅白戦で、すぐに何かが変わったわけではない。
自分が突然、特別な選手になったわけでもない。
けれど、これから何を目指して練習すればいいのか。
その手がかりは、少しだけ見えた気がした。
今日の紅白戦は終わった。
けれど、それぞれが自分の課題に気づき、成長するための時間は、まだ始まったばかりだった。
今日の紅白戦は終わった。
けれど、それぞれが自分の課題に気づき、成長するための時間は、まだ始まったばかりだった。
主人公があんまり活躍しないので、タイトルとかとずれるんだなと感想見て思ったので、ここでやめておきます。
今後も主人公が大活躍するような機会は、高校3年の夏のIHまでないです。