俺だけ使える成長システムで湘北を全国制覇に導きたい   作:should

9 / 9
いつの間にか桜木花道よりも金平監督の方が年齢が近くなってきているので初投稿です。


その方がバスケを好きになってくれる

翌日の放課後。

俺はシュートを外し続けた味方と二人で、体育館の隅のゴールに向かっていた。

 

「翔真、ほんとに付き合ってくれるのか?」

 

「約束したからな」

 

(まずは現状把握だ)

 

ゴール下から1メートルの位置に立たせた。

 

「ここから打ってみてくれ」

 

ぽーん。

 

ボールはリングの手前で失速した。

 

「……」

 

「……」

 

(1メートルで届かない。これは想像以上だ)

 

でも、焦らない。

鑑定の条件は味方が決めて初めてアシストになる。

つまり俺がやるべきことは、味方の決定力を底上げすることだ。

 

(ミドルシュートを教えるのは遠回りだ。まずはゴール近くを確実に決められるようにしよう)

 

「いいか。シュートの前に、足の使い方を覚えよう」

 

俺はレイアップの基本を教えた。

 

「右手でシュートするときは、左足で踏み切る。右足で上がるんじゃなくて、左足だ」

 

「右手のときは、左足……」

 

「そうだ。ゴールに向かって、右、左、ジャンプ」

 

味方は真剣な顔で頷いた。

そして走り出した。

 

右右ジャンプ。

 

ぼふっ。

 

「あ」

 

「右、左、だ」

 

「右、左……」

 

右左右。

 

「ジャンプは左で!」

 

「ジャンプは左……あれ?」

 

(足が絡まっている)

 

【 指導経験:+2 】

【 レイアップ指導:失敗 】

 

(教えるのも大変だな)

 

それでも三日目には味方は右左、ジャンプのリズムを覚えた。

 

ぽとん。

 

ボールがリングの上に乗って転がり落ちた。

 

「惜しい!」

 

「入らなかった……」

 

「でもリングには乗ったぞ。ゴールが見えてる証拠だ」

 

「すごいいい感じだよ。あとは力を抜いてリングの上にボールを置いてくるイメージだよ」

 

そして一週間後。

 

「いくぞ」

 

右左ジャンプ。

 

ふわっ。

 

ボールがバックボードに当たって、ゆっくりとリングに落ちた。

 

スポッ。

 

「入った……」

 

味方は自分の手を見つめていた。

 

「入った……俺のシュート、初めて入った……!」

 

「ああ、入ったな!」

 

「やった! 翔真、見たか!?」

 

「見たよ!」

 

味方は両手を突き上げて跳び上がって、そのまま着地に失敗して尻もちをついた。

 

「いてて……でも、嬉しい!」

 

(これだ。この顔が見たかった)

 

【 指導経験:+8 】

【 味方のフィニッシュ:向上 】

 

「翔真、もう一回やっていいか?」

 

「何回でも付き合うよ」

 

その様子をマル先生が少し離れたところから見ていた。

 

「ほう」

 

練習が終わったあとマル先生は俺をベンチに呼んだ。

 

「翔真、お前、あの子にレイアップを教えていたな」

 

「はい」

 

「実はな、わしもそれを全員にやらせたいと思っておる」

 

マル先生はベンチの背もたれに体を預けた。

 

「小学生のうちは、ディフェンスを叩き込んだり、パスを回せと怒鳴ったりするよりも、まずは点を決める喜びを知ってもらいたい。シュートが入る楽しさを知れば、子どもたちはバスケを好きになってくれる」

 

(……この人いい監督だ)

 

「北野という監督の受け売りなんだがな」

 

マル先生は照れくさそうに頭をかいた。

 

「バスケを好きになってもらえさえすれば、子どもたちは勝手にうまくなる。わしはそう信じておる」

 

「俺も、そう思います」

 

「うむ。では明日から、全員でレイアップ練習だ」

 

その日からチーム全体の練習メニューが変わった。

 

レイアップ。

ゴール下のシュート。

クロスレンジ。

 

全員が順番にひたすらゴールの近くからシュートを打つ。

 

「右、左、ジャンプ!」

 

マル先生が声を張り上げる。

 

「右、左、ジャンプ!」

 

子どもたちが一斉に走り出す。

 

右左ジャンプ。

ぼふっ。

右右ジャンプ。

ぼふっ。

左左ジャンプ。

どすっ。

 

体育館中にボールが空振りする音が響いた。

 

(ひどい光景だな……)

 

でも、全員笑顔だった。

 

「入った!」

 

「俺も入った!」

 

「やった!」

 

少しずつゴールが決まる音が増えていく。

一人が決めると隣の子も跳びはねて喜ぶ。

その喜びが連鎖していく。

 

(これがバスケの楽しさか)

 

俺は思わず笑ってしまった。

 

(前世でもこんなふうに楽しんだことがあったっけ)

 

そんな日々が数か月続いた。

 

練習試合のたびに、味方のレイアップが少しずつ決まっていった。

俺が出すパスは、前よりも多く得点につながるようになった。

 

【 本日のアシスト:6 】

【 本日のアシスト:7 】

【 本日のアシスト:6 】

【 本日のアシスト:7 】

 

(平均6から7本。着実に増えてきている)

 

でも、10には届かない。

 

【 鑑定:条件を満たしていません 】

【 達成回数:0/20 】

 

(あと少しなんだけどな)

 

そんなある日練習試合の前日。

俺は画面を開いてふと気づいた。

 

【 現在の経験点:172点 】

 

(経験点結構溜まってるな)

 

ここ数か月は、味方の指導や試合で稼げる経験点が多かった。

でも、使い道を考えている間に貯めたままだった。

 

(このポイントを使ってパス精度を上げたらどうだろう)

 

■プレイメイク

パス精度 55

ボールハンドル 66

ボール保持スピード 52

 

(俺のパスがもう少し正確に味方の手元に届くようになれば、シュートの成功率も上がる。それならアシストも増えるはずだ)

 

画面にパス精度の強化メニューを呼び出した。

 

【 パス精度 +1:経験点10 】

 

(+15なら150点か)

 

172点から150点を引くと22点が残る。

 

(結構使っちゃうな……でもこれは賭けてみる価値がある)

 

俺は深呼吸して画面を押した。

 

【 パス精度を強化します 】

【 経験点150を使用 】

 

画面が光った。

 

【 パス精度:55 → 70 】

【 残り経験点:22点 】

 

(70……!)

 

胸の奥が熱くなった。

 

ボールを握ると感覚が違っていた。

指先から離れるボールの軌道が、頭の中のイメージと重なる。

 

(これならいける)

 

 

練習試合当日。

 

相手チームは、これまでの練習試合で対戦したことのない学校だった。

 

「翔真、今日もよろしくな」

 

「ああ。今日は、いつもよりいけそうな気がする」

 

(いけそうな気がするじゃない。いける)

 

試合開始。

 

最初のパスはゴール下に走る味方へ。

手元にすっと届いた。

 

「いっけー!」

 

右左ジャンプ。

ふわっ。

スポッ。

 

【 アシスト:+1 】

 

(決まった)

 

次は左サイドの味方へ。

走りながらちょうど受けやすい位置にボールを置く。

 

「ナイスパス翔真!」

 

右左ジャンプ。

スポッ。

 

【 アシスト:+2 】

 

(いい)

 

前半が終わった時点でアシストは4。

試合の流れがいつもと違っていた。

 

後半。

相手チームが俺にダブルチームをかけてきた。

 

(来たな)

 

でも、俺には余裕があった。

視野を広げてパスコースを探す。

 

(ゴール下がフリー)

 

ビュッ。

 

受けた味方がレイアップを決める。

 

【 アシスト:+5 】

 

(まだまだ)

 

続けて相手の守備が俺に寄った隙に反対側へ。

 

【 アシスト:+6 】

 

【 アシスト:+7 】

 

ここで味方たちが俺に声をかけた。

 

「翔真、次は俺に出してくれ!」

 

「いや、俺だ!」

 

「全員にパスを出すから落ち着け!」

 

(チームの空気がいい)

 

【 アシスト:+8 】

 

試合は残り3分。

アシストは8。

 

(あと2つ)

 

心臓がどくどくと鳴っていた。

 

(落ち着け。ここで焦ったらパスが乱れる)

 

相手のディフェンスが俺の前に壁を作った。

視線を左右に振る。

 

(ゴール下……いや違う、カバーに行けるように見られてる。その分、左DFが中央によって左のコーナーが空いてる)

 

ボールを大きく振り出した。

 

ビュッ。

 

左のコーナーに走っていた味方がボールを受けた。

そのままゴール下に飛び込んでレイアップ。

 

右左ジャンプ。

 

スポッ。

 

【 アシスト:+9 】

 

(あと1つ!)

 

残り30秒。

俺はボールを持った。

 

相手のディフェンスが俺に集中している。

 

視界の端であの子が走っていた。

最初に一緒に練習したあの子だ。

 

(……来い)

 

目が合った。

 

ビュッ。

 

ボールがあの子の手に収まった。

あの子はゴール下に走り込む。

 

右左ジャンプ。

 

ふわっ。

 

ボールがバックボードに当たってリングに落ちた。

 

スポッ。

 

【 アシスト:+10 】

 

その瞬間、画面に光が走った。

 

【 本日のアシスト:10 】

【 鑑定条件:達成 】

【 達成回数:1/20 】

 

「うおおおおおおおおおお!!」

 

俺は思わず叫んでいた。

 

「やったああああああああ!!」

 

コートの中で両手を突き上げた。

ジャンプしてそのまま着地に失敗して尻もちをついた。

 

「翔真!? 大丈夫か!?」

 

「大丈夫だ! 10アシストだ! 10アシストだぞ!」

 

「え、10アシスト……?」

 

味方たちがきょとんとしている。

 

「それって、すごいのか?」

 

「すごい! めちゃくちゃすごい!」

 

「よく分からないけど、翔真が嬉しそうだから、俺も嬉しい!」

 

「やったー!」

 

全員で飛び跳ねた。

 

試合終了のブザーが鳴った。

結果はこちらの勝利だった。

 

でも、俺にとっては勝ち負けよりも、10アシストのほうが重要だった。

 

(1/20。やっと1回目だ)

 

ベンチに戻るとマル先生が腕を組んで待っていた。

 

「翔真」

 

「はい」

 

「お前、勝ったことより、10アシストのほうが嬉しそうだな」

 

「あ、いえ、勝ったのも嬉しいです」

 

「どっちのほうが嬉しい?」

 

「……10アシストです」

 

「正直だな」

 

マル先生は声を上げて笑った。

 

「いいだろう。お前らしい」

 

ベンチの隅であの子がまだ自分の手を見つめていた。

 

「俺、最後のシュート、決めたんだよな」

 

「ああ。決めたよ」

 

「翔真のパスだったから、決められたんだ」

 

「いや、お前が決めたんだ」

 

あの子は照れくさそうに笑った。

 

窓の外は夕焼けだった。

 

 

 

(あと19回。長い道のりだけど確実に近づいている)

 

俺は手の中のボールをぎゅっと握りしめた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

はじめの一歩転生・・・こいつかよ!?(作者:櫻13)(原作:はじめの一歩)

まさかの梅沢転生。良いキャラしてるのになぁ・・・と思ったので


総合評価:756/評価:7.78/連載:13話/更新日時:2026年10月07日(水) 15:31 小説情報

業火の覇王譚(作者:覇者)(原作:ONE PIECE)

▼ 国盗りを画策した男──志々雄真実。▼ これは、そんな男の容姿と名前を持って生まれた男が、国盗りを上回る覇業である世界盗り。これを成し遂げんと、成り上がる物語。


総合評価:1062/評価:8.19/連載:5話/更新日時:2026年10月04日(日) 19:30 小説情報

無職転生 異世界行ったら妄想を本気で再現する!(作者:ぐちロイド)(原作:無職転生)

アニメの戦闘シーンに憧れをいだき独学で殺陣さばきや一通りの武器の扱いなど覚えたオタクの少年暁連は殺人事件を通りがかったら巻き込まれて刺されて死んだが次に目が覚めると何故か赤ん坊の姿になっていて此処が異世界と言う事を実感する。▼アレンの術式ネタバレ有り↓▼https://syosetu.org/novel/398337/1.html


総合評価:210/評価:7.25/連載:18話/更新日時:2026年10月08日(木) 06:57 小説情報

パワプロシステムで行くやり直し野球人生(作者:ホームラン)(オリジナル:現代/スポーツ)

水流憲吾 三十歳。▼ ある日彼は、訪れた神社で出会った「神」からこう持ちかけられた。▼ 「人生を、やり直したくはないか?」▼ 『パワプロシステム』を与えられ高校入学前に戻された彼は、人生をやり直すためにシステムの力で成長を遂げていく……▼※この物語はフィクションです▼※実在の人物、組織などを侮辱する意図はありません▼※アンチ・ヘイトタグ、R15タグは念のため…


総合評価:1885/評価:8.06/連載:14話/更新日時:2026年10月07日(水) 23:24 小説情報

Skybound Ace 【Redux】(作者:心ここにあらず)(原作:ハイキュー!!)

▼この作品はリメイク版です!▼ハイキューの世界にリエーフの幼馴染的な主人公を交えたお話です。生まれもった環境もポテンシャルも全てを兼ね備えた主人公がどのように原作キャラたちと交え成長していくのかをご覧ください!⚠︎リエーフは幼馴染であるが同じ高校に進むとは言ってない…ウシワカとか大王様とか宮城には個性的な人たちがいるからそっちと絡ませたいです!


総合評価:217/評価:7.75/連載:15話/更新日時:2026年07月11日(土) 07:12 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>