file0:シャーレの先生
“……私のミスでした。”
目の前の少女は告げる。
どことなく、先ほどの黒い髪の少女に似た雰囲気を持っていた。
“私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。”
何を間違えてしまったのか、どんな状況なのか。
私はそれを知らない。
“結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……。”
私が、正しかった?
そんな訳ない、と思った。
私は、むしろ失敗を重ねて、自分の今を招いた。
だから私にそんなこと言われても……
……?
「あなたは……私の何かを、知ってる?」
“どうでしょう?”
少女はそう言った。
彼女は、私の何を知っているんだろう。
少女は続けた。
“……今更図々しいですが、お願いします。”
“███先生”
その呼び方に、私が先ほどあった黒髪の少女が、目の前の少女の姿に重なる。
「……あなたも、私を先生って呼ぶんだね」
“えぇ”
少女は穏やかに微笑んだ。
その笑顔をどこかで見たことがあるような気がしたけど、思い出せなかった。
“きっと私の話も、そして私に関係することは全て忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。”
なんで忘れるのかは分からなかった。
けど、なんとなく、きっとそうなんだな、という確信はあった。
“ですから……大事なのは経験ではなく、選択。”
選択?
“あなたにしかできない選択の数々。”
私にしかできない?
“責任を負う者について、話したことがありましたね。”
彼女は私の話をしているのだろうか。
それとも、”私の知らない”私の話?
“あの時の私には分かりませんでしたが……。今なら理解できます。”
“大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。”
“それが意味する心延えも。”
“……。”
彼女は少しの沈黙を挟んだ。
私には何も理解できない話をしているように思う。
でも、全く関係のない話をしているとは、思えなかった。
“ですから、先生。”
“私が信じられる大人である、あなたになら、”
“この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……。”
“そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです。”
捻れて、歪んだ、先の終着点……
意味こそ分からなかったけど、それが”最悪の何か”であることはなんとなく分かった。
“だから先生、どうか……。”
急速に視界が黒く染まっていく。
少女の声が聞こえなくなる。
あれ、少女って誰…?
そもそも……今何の夢を……
「……い。」
誰かの声が聞こえる。
「……先生、起きてください。」
その声は次第にはっきりとしてくる。
「先生!!」
誰かの叫び声で、一気に目が覚めた。
私のいる場所は、窓の外を見るに、かなり高い建物の中のようだった。
目が覚めていくと共に、記憶が朧げながらも思い出されていく。
「……。」
目の前に、少女が立っていた。
「……?」
ん……誰だっけ……見覚えが…あるような…ないような…
「少々待っていてくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。
なかなか起きないほど熟睡されるとは。」
ダメだ、思い出せない。
「……夢でも見られていたようですね。
ちゃんと目を覚まして、集中してください。」
言われてみて、確かに何か夢を見ていた気がした。
どんな夢かは、思い出せない。
「もう一度、あらためて今の状況をお伝えします。」
少女はそう言うと、少し咳払いしてから続けた。
「私は七神リン、学園都市”キヴォトス”の連邦生徒会所属の幹部です。」
あ、何となく思い出せてきたかも…
「そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生……のようですが。」
「ん……推測系なんだ…。」
「……ああ。
推測系でお話ししたのは、私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです。」
「あ、そうなんだ…」
何で呼び出したであろう方々の比較的上の立場にいる人が知らないのか。
そもそも私はなんでこの人達に、ここに呼ばれたのか。
色々分からない情報が入ってきて混乱が加速する。
「……。」
リンさんはそんな私に気付いたようだった。
「混乱されてますよね。分かります。」
リンさんは立ち上がると、私の方に向き直って続けた。
「こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。
でも今はとりあえず、私についてきてください。」
「どうしても、先生にやっていただかなくてはいけない事があります。」
「…それって?」
「……。」
リンさんは少し沈黙した後、
「学園都市の命運をかけた大事なこと……ということにしておきましょう。」
リンさんは扉に向かって歩き始めた。
私はゆっくりと立ち上がって、リンさんの後ろに着いていった。
名前 :█████
所属 :連邦捜査部シャーレ
役職 :シャーレ担当顧問
年齢 :25歳
誕生日:5月16日
身長 :160cm
趣味 :体力トレーニング、ロードバイク、おもちゃ、スマホゲーム