精霊が切り札の世界で、俺だけ孤独に成り上がる 作:エクシーズ次元
「
くっ、召喚扱いだから召喚時効果が適用される……!!
氷結騎士ランスロットの効果は──。
このクリーチャーの召喚時、以下の効果を発動する。
◯次ターンのエンドフェイズまで相手が呪文の効果を発動した時、それを無効にする。
つまり、俺のターンのエンドフェイズまで、俺は呪文を無効化されるわけだ。
「おっと、ただの蘇生呪文じゃねぇぞ? 更に召喚したクリーチャーと同名のカテゴリを持つ──つまりコストが2つ上の氷結騎士をデッキから召喚して、これに載せるッ!!」
既存のクリーチャーを下敷きにして、新たなクリーチャーを呼び出す効果。
これが進化だ。
恐ろしいのはコストの軽減能力。ランスロットを蘇生した上に、それを下敷きにするとは言え、コストが2つ上のクリーチャーを召喚できるのだから。
「疾風怒濤のワイルドハントッッ、今こそ降臨し、絶対なる冷気で敵を討て!!」」
氷の騎士の鎧が割れて、その中から龍に乗った白銀の騎士が現れる。
ずいぶん気合の入った召喚口上だ。そういうの俺も好き。
「上昇召喚ッッ!!」
漫画の決めゴマのようなかっこいいポーズとともに、龍が雄叫びを上げた。
おお、まさしくアニメの登場人物って感じだな……。
「氷結騎士王ペンドラゴン!!!」
氷結騎士王ペンドラゴン──!!
前世でも猛威を振るった恐ろしいクリーチャーだ……!!
攻撃力も脅威だが、恐ろしいのはその効果。
「ペンドラゴンの効果発動!! テメェの手札、場、墓地のカードをそれぞれ除外するぜッッ!!」
「くっ……!!」
手札が1枚、場のメイデン、そして墓地のクリケットが除外された。
コレは破壊じゃないから、破壊をトリガーにした呪文は使えないし……。
第一、ランスロットの効果で呪文の効果は無効にされてしまう!!
「さらにダイレクトアタック!! 3200のダメージだ!! キャハハハハッ!!」
龍に乗る騎士が俺に氷の槍を投擲してきた。
串刺しになる俺、しかしそれは幻影なのだが──。
夢の中で刺されたような違和感を感じる。っていうか心なしか寒い。
今、5月だってのに!!
「ターンエンド、テメェの番だぜ」
「私のターン!! ドロー!!」
どうするか……3200のクリーチャーは簡単に倒せない。
かといって呪文はランスロットの効果で妨害されてしまう。
……っと、いいカードを引いた。ひとまずこれで様子を見るか。
「私は
つまり3200のバーンダメージ。
車輪の形をしたクリーチャーがくるくると回り、向こうの龍に糸を伸ばす。
そのまま操って、相手の少女をさっきと同じように串刺しにした……すぐ元に戻るが。
「チッ、ダルいカードを使いやがって……まぁいい。ウチのターン!!」
よし、これで呪文カードが使え……。
「これで呪文が使えるとか思ってねぇよなぁ? 呪文発動ッ!! 氷結騎士の派遣!!」
「なにっ……!」
「場に存在する氷結騎士を1枚墓地へ送り、その召喚時効果を発動するぜッ!!! ちなみに下敷きになっているランスロットにも使える」
つまりまた俺のターンのエンドフェイズまで呪文が妨害される……!!
けど、このターンにはまだ決着がつかないはずだ。
「さらにさらにッ!! 装備呪文氷結騎士の聖槍を装備ッ!! こいつを装備したクリーチャーは1ターンに氷結騎士と名のついた呪文が使用された回数分、追加で攻撃することが出来るッ!!」
「3回攻撃ですって!?」
「トドメだァ!!」
この3回攻撃を喰らえば俺のライフはゼロだ……!!
打つ手なし、万事休すか……!!
…………な~~~んちゃって。
「私は速攻・装備呪文バルメオの足枷を使います」
「あぁ? だから呪文は使えないって……つか速攻・装備呪文?」
珍しいカテゴリである。
速攻呪文のように相手のターンにも使える装備呪文。
バルメオってカテゴリ、変な呪文が多いんだよな……俺は好きだけど。
「たしかランスロットの効果は呪文の効果を発動した時、それを無効にするでしたよね」
「だからどうした」
「装備呪文って……条件発動なんですよ」
「…………テメェ!!!!」
カードの使用と効果の発動は違う。
カードの使用とは、カードをプレイすること。
例えばクリーチャーを召喚したり、装備呪文を装備させたりする時の処理だ。
さっき発動された氷結騎士の聖槍はこちらを参照するので、自身の使用にも効果が適用される。
効果の発動とはクリーチャーの効果を発動したり、呪文効果を適用する時の処理。
つまり効果の実体だな。銃と弾丸のようなものだ。
ランスロットが無効にするのは、効果の発動。
タルタロスの時に言っていた、宣言発動と条件発動の違いだ。
つまり……装備呪文は連鎖処理を作らず、効果の無効という効果の対象にはならない。
そしてバルメオの足枷の効果は……。
「装備したクリーチャーは攻撃することが出来ない。この効果も宣言発動の必要性がありません。つまり連鎖処理を作らず、無効にされない……ああ、装備呪文は相手のクリーチャーにも装備できるなんて初歩的なルールの説明は必要ないですよね?」
「くっ……!!」
「悔しいでしょうね」
このターン決められると思っていたのにね。
みすみす相手にターンを渡しちゃったね。
しかもコスト全部使っちゃったね。
「だがテメェが相変わらずまともな呪文を使えないのは同じだッッ!! 次のターンでトドメを刺してやるよォ!! ターンエンドだッッ!!」
「おお、吠える吠える」
…………とはいえ、いいカードを引けないと厳しいのはこちらも同じだ。
相変わらず綱渡りだ。こういう時、精霊に愛されてれば好きなカードを引けるんだろ?
まったく便利だよなぁ、っと!!
「私のターン、ドロー!!」
いやいや、しかし俺は……。
転生するだけあって、運命には愛されているようだ。
「私も進化とやらを使ってみますかね。下敷きにはしませんけど」
「何ッ……!?」
「まず
このクリーチャーは場の
見目は美しい女神だと言うのに半分は腐り果て、機械で無理やり動かされている。
そんな異形の女神が、運命の輪を砕き、召喚された。
ええっとなんてったっけ?
こういう時の決め台詞……ああ、たしか……。
「上昇召喚」
コレこそが俺の切り札。
「
かなり重いし、準備が必要なのでSRという微妙な評価を受けているが……。
出せれば強い。出せればな。
こいつを召喚するにはいわゆる生贄召喚が必要だ。
下敷きにする進化とはまた違うんだけど……。
しかしエウリディケにはちょっと面白い効果がある。これは下敷きにしていると使えない。
「エウリディケの効果を発動!! 墓地にある
「……!! 進化じゃねぇから速攻で進化元が墓地に送られてんのか……!!」
「そういうことです」
あとはおわかりだろう。
すでに6400のダメージを受けている相手には、コレを耐えきるライフは残っていない。
「
「がぁああああああああああああああああああ!?」
氷が割れる音と猛吹雪が吹き荒れ、場に出ていたクリーチャー達が消滅する。
その勢いで、相手の少女は吹き飛び、倒れ伏した。
「グッドゲーム。いいファイトでしたよ。それで私の容疑は晴れましたか?」
「…………闇の気配は感じられなかったんだなも」
そう言って巨体の男性は斃れている少女に肩を貸し、起き上がらせる。
少女は俺の容疑が晴れたというのにすごい顔で睨んでいた。
「クソッ! クソッ! 覚えてやがれッ……!!」
「名前を知らない人に覚えていろと言われましてもね」
そういえばこいつから名前、聞いてなかったな。
巨漢の人は手帳を見せてくれたが、あんな一瞬で覚えられるわけないし。
すると、少女はちょっと涙目になりながら、こう叫んだ。
「氷雨礼だッ!!」
「ふーーん、余裕があったら覚えておきます」
「いつか必ずリベンジしてやるッ……!! 絶対だぞ!!」
「それって業務の内に入るんですか?」
「個人的にだッッ!!」
「はいはい、帰るど。迷惑かけて悪かっただなも」
ぺこりと頭を下げると、そのまま巨漢の男性が氷雨さんを連れて帰った。
まったく、面倒くさいったらありゃしない。ファイトは楽しかったからいいけど。
………………ま、どさくさに紛れてなんとかアルタイアを見られることは避けられたな。
さて……俺はアルタイアをポケットから取り出した。
「で、誰が闇のファイターなんですか?」
『決まっているだろう。先日戦った男──吉田とかいうやつだ……』
「吉田さんが……!?」
だったらいますぐさっきの二人に報告……いや、あの温厚な吉田さんのことだ。
事情があるに違いない。なんなら闇のカードに操られている可能性だってある。
精霊局に任せれば、さっき言っていたようにカードにされるかもしれない。
……だいたい吉田さんは、俺が殴られたあの場にいたのだ。
つまり部長をカード化したのは俺のために怒ってくれたからだろう。
心まで闇に落ちたとは思えない。
説得しに行こう。
……アルケミーにいればいいが。
「というかなんで黙ってたんですか」
『我らに闇のファイターを狩る義務などない』
「それはそうですが……」
言えよ、こいつ。相談して然るべき情報だろうが。
終いに破くぞ、まったく……。
『余計なことをされると、我に危険が及ぶと思ったのでな……ごめんなさいごめんなさい、ちょっとやぶこうとしないで力入れないで。折れちゃう折れちゃう折れちゃう!!』
温厚な俺が破きかけた。精霊の力で防御されたが……。
さて、行くか。アルケミー。待ってろよ、吉田さん。
部長は助けなくてもいい……いや流石に倫理にもとるか。出来たら助けよう。
氷雨礼 精霊局の人間。チンピラのような口調で話す。蒼銀の髪をしている。
背が小さいのに爆乳。
オデ まだ名前もわからない。巨漢で太ましい。100キロ以上ありそう。
今日の最強カード
≒≒≒氷結騎士≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒
LvSp《レベルアップ・スペル》アヴァンジフォース
基礎呪文
墓地にあるクリーチャー1体を選び、召喚する。
その後、そのコストより2高い同名カテゴリを持つクリーチャーを
このクリーチャーを下敷きにして召喚する。
氷結騎士王ペンドラゴン
クリーチャー 攻撃力3200
召喚した時、相手のランダムな手札と場・墓地からカードをそれぞれ1枚除外する。
氷結騎士の派遣
場に存在する氷結騎士を1枚墓地へ送り、その召喚時効果を発動する。
氷結騎士の聖槍
装備したクリーチャーは1ターンに氷結騎士と
名のついた呪文が使用された回数分、
追加で攻撃することが出来る。
≒≒≒
クリーチャー 攻撃力2200
このクリーチャーは攻撃できない。
下記の効果は1ターンに1度発動できる。
◯相手クリーチャー1体を対象にし、その攻撃力を参照したダメージを相手プレイヤーに与える。
バルメオの足枷
速攻・装備呪文
装備したクリーチャーは攻撃することが出来ない
クリーチャー 攻撃力3300
このクリーチャーは場にいる
下記の効果は1ターンに1度発動できる。
◯墓地にある