精霊が切り札の世界で、俺だけ孤独に成り上がる   作:モナカパウマン

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そういえばX始めたからよろしくやで
詳しくはプロフィールを見たってな。ちょっとした小話もするよ


014 疾風迅雷②

 自動人形(オートマタ)。

 デメリット付きだが高い攻撃力とダメージ性能を持ち、場の制圧力が高いのが売りのミッドレンジテーマだ。速攻呪文との相性もよく、ロックやバーン、パーミッションやカウンターなどにも派生させやすいのが売り。

 

 かく言う俺も序盤はデメリット付きの大型クリーチャーで攻め、いざ敵エースが現れたらロックバーンに切り替えて一気にライフを奪い取るという戦法を愛用している。

 

 SSRの超大型自動人形(オートマタ)クリーチャーも存在するのだが、当然俺の手元にはない。

 ともあれ、とある自動人形(オートマタ)のフレーバーにはこんな文句が描かれている。

 

 ──────硬く、大きく、鋭い。であれば恐ろしいのは明白だ。

 

「おまえ、今日自動人形(オートマタ)デッキ使ってないやろ」

 

 というわけで5ターン目。俺のライフはすでに半分を切っていた。

 相変わらずの後攻だが、相手はアグロデッキの使い手……つまり超速攻でケリをつけるデッキだ。

 なんとか5ターン目まで持ち越せただけ奇跡と言えよう。

 

「普段ならこれぐらいのターンになると大型クリーチャーが場を塞ぎよるもんなぁ。悲しいわぁ。なんなん、そのカード」

 

 今、赤羽くんの場には5体の雷霆トークンがいる。

 一方、俺の場にいるのはバルメオの神官騎士トークンが1体。

 こいつは速攻呪文から召喚されるクリーチャーだ。

 

「おや、コレぐらいのクリーチャーでもそっちのクリーチャーを上回ってるじゃないですか。なぜ私が自動人形《オートマタ》を使ってないと? 引けてないだけかもしれないじゃないですか」

 

「これは持論なんやけど、精霊のいないカードにも引(・)き(・)や(・)す(・)い(・)カ(・)ー(・)ド(・)ってのがあるやろ」

 

「ありますね……」

 

「手に馴染んだカードはなぜか手札に来やすい。よくおまえが序盤クリケットを引いとるのもそれや。ワイはカードが懐くって表現しとる。精霊がいなくても相性ってのがあるねん、なにかと」

 

 言われてみれば、俺も普段は大体同じ展開をしている。

 普通に違うクリーチャーが出ることもあるし、確定して出てくると言うほどでもないが。

 カードが馴染む……前世から言われているようなオカルトだ。卓でやるならともかく、ドライバーでのシャッフルが行われるこの世界においては、無意識に選別しているとも言い難いし……あるのかもしれない。そういうオカルト。そもそもこっちは精霊がいる世界だしな。  

 

「で、練達したファイターってのはそれを込みで、デッキを弄る。経験あるやろ。このカードは引きやすいから、増やそう。このカードは引きにくいから、減らそう。枚数に関係なく、引きやすいカード、引きにくいカード……おまえのそのデッキはまだそこまで調整が進んどらへん」

 

 ビシリ、と赤羽くんがこちらを指差してくる。

 

「つまりサブデッキやろ?」

 

「どうでしょうね」

 

「ひどいわぁ。せっかく対策してきたのに……」

 

 そう言って、赤羽くんがカードを一枚、ボードにセットした。

 

「────────界域展開」

 

 突如としてあたりに立ち込める暗雲。

 鳴り響く轟雷。室内だと言うのに、雨が降り出した。

 ……が、俺もカードも別に濡れていない。

 

 さらに、地面から複数の墓が縦横無尽に生えだしてきた。

 

「これは……!」

 

「雷霆墳墓、やね」

 

 界域呪文だ。設置呪文と同じく場に残るけれど、例外無く場の全てのクリーチャーに同等の効果を与える呪文……!! 相手も効果が使える代わりに非常に強力な効果が多い……! 

 精霊がいないとはいえ、SSRで非常に引きにくいカードだって言うのに!!

 

「これで全てのクリーチャーは敵クリーチャーを無視してダイレクトアタックできる。ただし発動ターンに与えるダメージは半分になるがの。いけっ!! トークンども!!」

 

 バルメオの神官騎士トークンを通り抜けて、攻撃が繰り出される。

 おかげで俺のライフはあと1/4になってしまった。

 

「これでワイはターンエンド。次のワイのターンで決着つけるで」

 

「ではターン終了時に、バルメオの聖餐を発動。自分の場のクリーチャー1体を墓地へ送ることで、手札を1枚ドローし、それが呪文ならさらに1枚ドロー出来ます」

 

 コレで俺の手札は5枚。一方、向こうは2枚だ。

 場のアドバンテージはとられているが、手札ではこちらに分がある……!

 

「私のターンなので1枚ドロー。手札が5枚以上の時、この呪文をノーコストで発動できます」

 

「ノーコストで発動やと!?」

 

「バルメオの龍儀式。場にバルバロイ・メテオ・ドラゴンと名のつくトークンを召喚します」

 

 魔法陣が場に展開したかと思えば、そこから現れる黒鉄のドラゴン。

 二本足で立ち、宇宙から飛来したような無骨な黒い輝きに満ちている。

 

「バルバロイ・メテオ・ドラゴンは、相手の場にいる全てのクリーチャーの攻撃力を合計した数値になります。よって────」

 

「攻撃力6000……!!」

 

 トークンは1体1200……5体合わせて6000だ。

 このターンの動きが決まれば勝てる。

 

「雷霆墳墓の効果でダイレクトアタック!!」

 

「させるか、速攻呪文スタンボルト!! クリーチャーの攻撃を無効にするで!!」

 

 赤羽くんがドライバーのボートにカードを叩きつける。

 やはり持っていたか、速攻呪文。しかし……。

 

 ────それを待っていた。

 

「当然構えていると思っていましたよ、ええ。同じく速攻魔法バルメオの報復を発動! バトルフェイズ時、相手が攻撃を阻害する効果を発動した時────それを無効にし、自分のクリーチャー1体の攻撃力を倍にした追加攻撃が可能!! 行けっ!!」

 

「攻撃力12000やと!?」

 

 ダメージの半減効果は前のターンで切れている。トドメだ!!

 しかし赤羽くんはいつもの笑みよりも酷薄に微笑んだ。

 

「速攻呪文リフレクション・ミラー!! 自身にダメージが入った時、それを反射する!!」

 

「なんですって!?」

 

「おまえが追い詰められたらワンキルかましてくるのぐらい知っとるわ」

 

 つまり12000のダメージが俺を襲う……!!

 うわぁあああああああああああああああああああーッ!!

 

 俺の負けだぁーッ!!

 

 

 

 

 

 ……なーんちゃって。

 

「幻月の封魔鏡を発動します!!」

 

「なんやと!?」

 

「このカードは相手の場にあるカードの効果をコピーし、発動します。私がコピーするカードは……リフレクション・ミラー!!」

 

 幻月の封魔鏡──速攻呪文。

 このカードは1ターンに1度だけ発動できる。

 相手の場にあるカードの効果をコピーし、発動する。

 このカードが連鎖処理以外で発動された時、この効果を無効にする。

 

 連鎖処理中の呪文は場に存在するという裁定だ。

 よってこの連鎖処理に巻き込まれたリフレクション・ミラーをもコピーできる!!

 

「今反射されたダメージをさらに反射して、トドメです!!」

 

「くそっ……ワイの手札はゼロや……ッ!!」

 

「ではもう速攻呪文は使えませんね。私の勝ちです」

 

 鏡が反射する派手な光線が赤羽訓を包み込む。

 ふぅ……相手がアグロ構成で良かった。

 手札が残っていたら、まだ空中戦が続いてたところだよ。

 

 周りのホログラムが消え、赤羽くんがこちらに向かってきた。

 胸についている一つ星のバッジをもぎ取り、渡してくる。

 

「ほな二回戦出場って感じやな。ワイも受付でまたバッジ貰って追いついたるわ」

 

「ええ、あとでまた戦いましょう」

 

「しかし……かなり別デッキやな……カウンター型のデッキか? 誰をメタってるん? キングさんって感じやないし……」

 

「くっくっく、秘密ですよ」

 

「フン、また戦うからな。それまで負けるなよ!!」

 

 ガシッ、と握手を交わしその場を後にする。

 さて、まずバッジを受付に渡して二つ星バッジを貰わないとな……。

 

 ん? 待てよ……。

 

 ………………結局、俺も受付行かなきゃダメじゃん!!

 

 

 

 

 

 

 

 仕方なく体育館の入口にある受付へと向かったものの、そこには既に赤羽くんの姿はなかった。

 代わりに受付を担当しているらしいニコニコとしたご老人が長机に座っていた。

 

「あれ? オレンジ髪の子が来ませんでしたか? 糸目の……」

 

「ああ、敗退した人は一旦体育館から出てもらって入口から入り直しなんデスじゃ」

 

「め、面倒くさいですね……」

 

「順路がありますデスじゃ」

 

 あんまりイベント慣れしていない運営なんだろうか。

 いや、慣れているからこそ細かいルールがあるのかもしれない。

 

「じゃあ一つ星バッジが2つ手に入ったので、二つ星に交換してください」

 

「ああ、それなら二階に向かってくださいデスじゃ」

 

「受付にないんですか!?」

 

「第二会場みたいなものデスじゃ」

 

 なるほど、二つ星の選手を集めるための措置か。

 この体育館は地味に四階まである。

 

 もしかするとキングさんは四階で待ってるな、この分だと。

 

 階段で二階に上がってる最中、なんとなく嫌な気配を感じた。

 背中がゾワッとするという感覚というか……。

 

「なんだ……!?」

 

『上階で闇のファイトが行われているようだな……』

 

「やはり襲撃してきたか……」

 

 二階の中央エリアに上がると、エレベータールームで既にファイトしている四人組がいた。

 黒いポニーテールに赤インナー。薄い金髪をしたセミロングの少女。

 

 舞夏さんと姫宮さんである。

 

 それに相対するのは、二人。

 痩せているが長身の男は船長のような帽子を被っており、もう一人は半裸でオウムのようなマスクを被っている。見るからにコスプレイベントに来たような変な二人組だ。

 

 姫宮さんが上がってきた俺に気づいたようで、控えめに手を振ってきた。

 

「やっほ~~今、タッグファイトやってるところ」

 

「タッグファイト!?」

 

 あんまりお目にかからないルールだ。

 ていうか、明らかに相手からは闇の力を感じる。

 

 ええっと状況は……。

 

 舞夏さんの場にはいつも通り、曲芸獅子(レオタード・レオ)・銀剣のレイピオル。

 姫宮さんの場はがら空き。

 

 一方、相手の場には界域呪文『霧影の三角海域』。

 これにより全てのクリーチャーは相手へと攻撃できない状況だ。

 

 さらにホログラム上の海から顔を出しているのはヴェノムミスト・スクウィッドナーガ。

 イカなのか蛇なのかはっきりしてほしい。

 

 あれは呪文を1ターンに1度封じる上に、毎ターンのエンドフェイズ時に、そのファイターの場にいるクリーチャー×500ポイントのダメージを与える。

 

 加えて隣にいるワニのような海獣クロコドロスは自身へのダメージを1ターンに1度無効にする上、自分のクリーチャーに1回の破壊耐性を付与する──。

 

 このままではじわじわと500ポイントを喰らい続けて終わりだ!!

 あれ、もしかしてコレ……詰んでね?

 

「貴方達……負けたら仇は取ります……」

 

 手を合わせて合唱する。

 そういえばファイト中に対戦相手に殴りかかったらどうなるんだっけかな。

 たしか対戦相手が死亡した時は、生き残った側の勝利だったと思うけど。

 

「ちょ、まだ詰んでないから。いけるから」

 

「詰んでる人間は皆そう言うんですよ」

 

 ……と言いつつ姫宮さんの顔には焦りがまったく見えないが。

 こいつはいつもこんな感じだから仕方ない。

 

「ヒィーヒッヒ!! サレンダーするなら今の内でやんすよぉ!!」

 

「正論! 正論!! 正論!!!」

 

 オウムのような姿をしている男がキィキィとした声でそう繰り返し、船長姿の男が高笑いをする。

 完全に勝利を確信している態度だ。くっ……許せねぇ、ぶっ殺してやろうか。

 

「くっ……でも、このままじゃ何も出来ずにやられちゃうよ!!」

 

 舞夏さんが泣き言を姫宮さんに漏らす。既に半泣きである。

 というかお兄さんはどうしたんだろう。先に行ったのかな。

 ……闇ファイターどもを放置して?

 

 もしかして既にやられたんだろうか。

 

「まぁ任せんしゃい。そろそろコストが溜まるんだよね……それじゃあアタシのターン」

 

 そう言って、姫宮さんは一枚のカードをボードに叩きつけ、宣言した。

 

 

 

 

 

「──────────無限証明(ループコンボ)を開始する」

 




≒雷霆≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒
雷霆墳墓
界域呪文
場に「雷霆」と名のつくクリーチャーがいる時発動可能。
全てのクリーチャーは敵クリーチャーを無視してダイレクトアタックできる。
ただし発動ターンに与えるダメージは半分になる

スタンボルト
速攻呪文
クリーチャーの攻撃を無効にする

リフレクション・ミラー
速攻呪文
自身にダメージが入った時、それを無効にし
同じ数値分のダメージを相手に与える。


≒バルメオ≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒
バルメオの聖餐
速攻呪文
自分の場のクリーチャー1体を墓地へ送る。
手札を1枚ドローし、それが呪文ならさらに1枚ドローできる。

バルメオの龍儀式
基礎呪文
手札が5枚以上の時、この呪文をノーコストで発動できる。
場にバルバロイ・メテオ・ドラゴンと名のつくトークンを召喚
トークンの攻撃力は相手の場にいる全てのクリーチャーの攻撃力を合計した数値になる

バルメオの報復
速攻呪文
バトルフェイズ時、相手が攻撃を阻害する効果を発動した時
それを無効にし、自分のクリーチャー1体の攻撃力を倍にした追加攻撃が可能

幻月の封魔鏡
速攻呪文
このカードは1ターンに1度だけ発動できる。
相手の場にあるカードの効果をコピーし、発動する。

このカードを発動するターン、呪文が合計で
3回以上使われてない場合、この効果を無効化する


≒海獣&ヴェノムミスト≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒
霧影の三角海域
界域呪文
全てのクリーチャーは相手へと攻撃できない。

ヴァノムミスト・スクウィッドナーガ
クリーチャー 攻撃力2300
①呪文を1ターンに1度封じる、
②毎ターンのエンドフェイズ時に、
 そのファイターの場にいるクリーチャー×500ポイントのダメージを与える。

海獣クロコドロス
クリーチャー 攻撃力2800
①自身へのダメージを1ターンに1度無効にする。
②自分の場にいるクリーチャーは1ターンに1度破壊されない。
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