精霊が切り札の世界で、俺だけ孤独に成り上がる 作:モナカパウマン
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022 BRAVING
この世界は7枚のカードによって形作られた。
魔と幻影を司る月。精霊の
死と再生を司る火。死霊の
律と封印を司る水。騎士の
生と成長を司る木。生命の
富と合成を司る金。名誉の
龍と逆鱗を司る土。怪物の
光と秩序を司る日。世界の
月火水木金土日。7つの地に7人の王。
それら7枚の王を集めれば。
再び──────
◆
ファイト・ホイール。
ファイトパーティから流通するようになったそのマシンは、既に一部のファイターの中で使われ、案の定珍走団めいた存在すら作り上げるようになっていた。
俺が今相対しているのも、そんなファイト・ホイールを使った闇ファイターたちだった。
「ぐぉおおおおおお!? 副団長がやられたぁああああああ!?」
「嘘だろ!? あいつこれで13戦目だぞ!?」
「集中力どうなってんだ!?」
闇のカードが作り出した峠のサーキット。
自動車が来る気配はないし、AI稼働のファイト・ホイールが事故ることはない。
乗っているファイターが突然カード化でもしない限りは。
今しがた、奴らに副団長と呼ばれたファイターがカード化し、そのホイールがこけた。
それを後続のファイト・ホイールが器用に避けたことに内心ホッとするも……。
いい加減疲れてきたな。
「雑魚はよく群れると言いますが……」
闇ファイターになったところで、ファイトスキルが上がるわけじゃない。
つまり雑魚を闇ファイターにしたところでこの程度。たかが知れているわけだが。
誰だよ、闇のカードを配り歩いてんのは!!
「精霊狩りィ……いよいよ俺様が相手してやるよ!!」
「
おかしいな、まっとうなファイターを狩った覚えはないんだが。
ま、たしかに何人か精霊の力を悪用している連中を狩ったかもしれないな。
しかしそれだけで、精霊狩りとまで言われる筋合いはない。
ま、精霊祓いなんて言われていた段階で、似たようなもんだが。
「ああ!! 光と闇の力を併せ持つ、謎のファイト・ホイーラー!! テメェだろ!!」
「どれが光で、どれが闇なのかは知りませんけどね」
どっちも同じ精霊だろって話。
たしかに奪った闇のカードをいくつか使わせてもらっているけれど。
それとアルタイアが違う存在とは、もう思わなくなっていた。
「ごちゃごちゃと御託を!! 次は、俺様とファイトしろ!!」
「かまいませんが……貴方が親玉なら、他の人たちに闇の力を捨てるよう言ってほしいですね」
「へっ!! 結果を見れば、おのずとそうするだろうさ!!」
ずいぶん威勢の良い団長だ。
しかしまぁ……俺の敵ではない。
「「ファイト!!」」
6ターン後、向こうが仕掛けてきた。
「マッドブレイダー・デスリングで攻撃!!
マッドブレイダー・デスリング。相手のホイールに合わせて疾走するリング上のクリーチャー。
ファイターと合わせてすごい世紀末な雰囲気だ。そのモヒカンで普段何をしてるの?
「私は速攻呪文、
「なにっ!?」
「この呪文は
俺がデッキから召喚するのは────
「現われよ!!
疾走する俺のホイールに合わせて、腐敗の女神が翼をはためかせて召喚される。
やはりエウリディケなんだよな。
「チィッ……!! デスリングの効果がスカされた……!! ターンエンドだ」
「では私のターン、腐敗のエウリディケの効果で、墓地にいる
「なに……!? じゃあ俺様の場はがら空きだ!!」
「そういうことです」
デスリングが霧のように消滅した。手札へと戻されたのだ。
この効果便利なんだけど、元クリーチャーだとやや使いづらいんだよな。
下級クリーチャーの効果だから……。
「そのまま腐敗のエウリディケでダイレクトアタック!!」
「ぐああああああああああああああああああああああ!?」
「グッドゲーム。いいファイトでしたよ。私にとってはね」
雑魚の親玉が強い保証などない。
雑魚のレベルが知れているならなおのことである。
団長はカード化され、ファイト・ホイールは吹き飛んでいった。
「団長!? 何やってんだよ、団長ォ!!」
「もうおしまいだ……マッドヘイズは……」
絶望してか、ホイールを止める残りの珍走団。
あとはトボトボやってくるであろう精霊局の連中に任せるとするか。
俺はファイト・ホイールの画面を動かし、帰還の指示を出した。
そのままホイールが疾走し続けると、真横に白銀の魔女が現れた。
『今日は豊作だったな』
「まったく……闇の力を集めろなどと、面倒くさい」
『言っただろ? 必要なことだ』
────────アルタイアの目的。
それは、七曜と呼ばれるカードを集めることだという。
月火水木金土日。それぞれの王。
月曜日はアルタイアだからあと6枚。
しかし、それらの王を御するためには闇の力が必要だ。
別に闇のカード自体は回収しなくてもいい。
持ち主の俺が倒せば、アルタイアに自然と吸収される。
闇の力を吸収していいのか?
────という話だが、そもそも精霊に光も闇もない。
ただただスタンスと契約の違いでしかないのだ。
通常は、闇のカードのような使い手が危険になる契約は結ばないらしいが……。
結びさえすれば、ああいった闇の力が使える。
要は、アルタイアは高まった精霊たちの力を奪いたいのだ。
でなければ他の6枚は────まず回収できない。
いや、できたとしても逃れられてしまうのだとか。
まぁ、知らないけど。
この世界がムカつくからやっているだけ。
闇ファイターが減れば、その分まともな世界になると信じて。
…………それに支援者も増えたしな。
ファイト・ホイールが夜闇を走る。
遠方からようやく精霊局が乗っているであろうホイールの疾走音が聞こえた。
そのまま俺が辿り着いたのは────元フリークス。
俺の行きつけだったカードショップだ。
裏口のガレージのシャッターを開けて、中へと入っていく。
そのガレージの奥には、モニタールーム。
メガネを掛けた茶髪の少女が、何やらキーボードと叩いていた。
服装はなんともミリタリー風。頭部にはヘッドホンを被っており、俺が入ってきたことには気づいてそうにない。俺はこっそり近づいて、そのヘッドホンを奪いとった。
「あ!! ちょっとなにすんスか!!」
「気づかないからですよ」
ヘッドホンを返してやる。
流石に被り直すことはなく、そのまま机に置いた。
「その様子だとマッドヘイズには全勝したみたいスね」
「雑魚でしたよ」
彼女は
店長の親戚だった。
店長がいなくなってから二週間後のことだった。
俺のやっているサイトに、千草さん側からアプローチしてきたのだ。
ご丁寧にエキドナのレシピまで送ってきて。
彼女の動機はたった1つ。
店長をそそのかした精霊を捕らえたい。
そう、闇の力を配っている精霊がいる。
俺が倒した元部長然り、それはこの街に潜んでいる。
ゆえに俺は彼女と手を組んだのである。
なによりフリークスが再開できる目処が立ったのが嬉しかった。
「あいつらから闇のカードの入手経路を探りたかったんスが……」
「倒せばカード化してしまう。難しいですね」
「全員倒したんスか?」
「残党は何人か残っています。精霊局が探るかと」
「じゃあそれ待ちスね」
そう言って、再び千草さんはパソコンに向き直った。
こうなると、再びしばらく会話にならない。
俺は肩をすくめて、店の奥へと向かった。
「シャワー借りますよ」
返事はない。
どうでもいいことなのだが、俺は今、フリークスに住んでいる。
千草さんだけではフリークスは回せないと泣きつかれたので、渋々であった。
元々いつかは一人暮らししようと思っていたからな。特に父親と合わないから。
…………問題は千草さんもなんか住んでいることだが。
一応、同棲になるのか? 相手にそんな気配は微塵もないけれど。
たまに下着姿でうろつくのやめてほしいけどな。
乳がでかい。でかすぎる。さすが店長の親戚。
しかし、そんな目で相手を見てはいけないのである。
ホビーアニメってそういうものじゃんかよ。
……流石にこの世界がホビーアニメかどうか、疑わしくなってきたけどな。
店長の親戚。茶髪ロングのミリタリーファッション。デカい。
現在、フリークスの新店長だが、立場だけっぽい。
マッドヘイズ
ファイト・ホイールに乗る珍走団。邪魔するやつはカード化してしまう。
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マッドブレイダー・デスリング
クリーチャー 攻撃力2500
①1ターンに1度、対象の攻撃力を1000下げる。
②相手クリーチャーを破壊した時、上回った攻撃力分のダメージを相手へと与える。
クリーチャー 攻撃力1200
1ターンに1度、発動できる。
このクリーチャー以下の攻撃力を持つ対象を手札へと戻す。
速攻呪文
クリーチャー 攻撃力3300
このクリーチャーは場にいる
下記の効果は1ターンに1度発動できる。
◯墓地にある
というわけで二期っぽい導入でした!