【完結済み】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~   作:黴男

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新連載ですが、完結済みです。
最後まで更新していきます、一日四話更新です。


序章
001-Ve’z


目覚めると、知らない場所にいた。

うまく舌が回らない。

 

「ど、どこだ...ここ」

 

半透明のカプセルのようなものに入れられていて、慌てて手元を探るとスイッチがあった。

押すと、カプセルが開いて僕は外に放り出された。

 

「ここは.....一体どこなんだ...?」

 

カプセルの外は、無重力だった。

いや、そう表現するしかない場所だ。

水中じゃないし、息が苦しいわけでもない。

声が響く、空気があるんだ。

泳げばいいと思ったけど、足をバタバタ振ったところで進むわけではなかった。

仕方なく、床を伝って移動する。

 

「これが扉なのか...?」

 

そもそも、ここがどこかわからない状況で扉を開けるのは憚られたが...仕方がない。

僕は扉のそばの操作盤に触れてみる。

 

「よ、読めない...か」

 

謎の文字がその操作版に出て、僕は咄嗟に手を引っ込めた。

ここから出るのは難しそうだ。

ふと、外を見る。

何かに見られたような気がしたからだ。

 

「あ」

 

事実、外には何かがいた。

そしてその目が、僕の方を向いた。

 

「ひっ!」

 

直後、背後で何かが壊れる音がした。

そちらを向くと、触手? のようなものがこちらに向かってくるのが見えた。

 

「た、たすけて!」

 

ドアを叩くが、開かない。

僕はそのまま強引に掻っ攫われて、怪物の元まで引き摺り出された。

 

「お、お願いだから助けて」

「縺薙s縺ェ螂?キ。縺瑚オキ縺薙k縺ィ縺ッ窶ヲ縺ゅ≠縲√お繝ェ繧「繧ケ讒倪?ヲ蜀阪?縺贋シ壹>縺ァ縺阪k縺ィ縺ッ窶ヲ...」

「???」

 

怪物は、よくわからない言葉で喋る。

僕が意図を測っていると、怪物の目が輝く。

 

「う、わぁあああああああ!」

 

途端、凄まじい頭痛に襲われた。

見たことも聞いたこともない違う記憶が流れ込んできて、思わず縛られたまま吐いてしまった。

 

「おぇええええっ」

 

なんとか目を開けると、吐瀉物が目に入った。

でもそれは、目を覆いたくなるようなものではなくて、橙色に発光する液体だった。

 

「な、何が...」

『エリアス様、大丈夫ですか?』

「???」

 

やっと怪物の言う言葉がわかるようになった。

植え付けられた記憶が、言葉の意味を教えてくれている。

だけど、エリアスって誰...いや、知ってる。

僕は自分の手を見る。

不自然なほどに白くて、女性の手みたいに見える。

これは、“僕ら”Ve‘zの特徴である、強化義体だ。

 

「ア....ああ。長く待たせたな」

『ああ.....お待ちしておりました』

 

状況が理解できないのに、そこに至るまでの理由は知っている。

頭がおかしく....いや、とっくにおかしくなってるかもしれない。

でも今はとりあえず、この”記憶”を頼りに弁明するしかない。

 

「とりあえず、降ろしてくれ」

『御冗談を、エリアス様なら簡単に解けるでしょう?』

「.....ああ、そうだったな」

 

僕は触手と身体の隙間に手を掛け、強引に引き剥がす。

前世でも、こんな力は発揮できなかった。

 

「記憶のインストールが上手く行かなかったようだ、後で再度インストールをする事にする」

『なるほど、それでですか........』

「現在の状況は?」

 

まだ頭が痛い。

ただ、ここの状況は知っておきたい。

 

『そちらに情報を送信しました』

「受け取った」

 

脳内に情報が流れ込んでくる。

”僕ら”の国の、最後に残った首都の情報が。

動力不足で、いろいろな機能が停止している状態だ。

ここは備蓄エネルギーで稼働し続けているようだが。

 

「動力不足か」

『申し訳ございません、1124年と212日前に動力系にシステムトラブルが発生しましたが、唯一の権限者が不在でしたので、緊急停止を行ったままです』

 

そう。

事情は分かっている。

僕は、エリアスのクローン体だ。

 

「直ちに復旧を頼む」

『分かりました』

 

”僕ら”の文明、Ve’z(ヴェズ)。

数万年前に栄華を誇った文明だったけれど、結局滅びた。

子供を作る能力が失われて、最終的に一人まで減ってしまった。

それが........エリアス・アルティノス。

 

「......カサンドラ」

『....はい』

「僕はもう、君を見捨てない」

『......光栄の至りです』

 

でも少なくとも、エリアスの人生は幸せではなかった。

データ上彼女の死因はシステムエラーだけど...ね。

Ve’zの滅んだ原因も、エリアスの人生も全部繋がっている。

 

「(僕は、とりあえず出来ることをしよう)」

 

頭は分かっている。

心は分かってない。

そんなちぐはぐな状況で、僕の異世界生活は始まったのだった。

 

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