【完結済み】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~ 作:黴男
「しまった」
エリアスの呟きが、喧騒の中で掻き消える。
直後、周囲を取り囲んでいた七人が、全員崩れ落ちる。
だが、その内の一人の身体が上下に両断され、血飛沫をまき散らす。
ケルビスのように綺麗にはいかず、彼女は少し悔しそうにする。
「思ったより制御が難しいな」
「し....死ねぇぇ!!」
部屋の入り口に立っていた男が、ライフルを連射する。
エリアスは触手でそれを全て防ぎきり、男の手からライフルをもぎ取る。
「ほう.....バッテリーを直接交換する仕組みなのか」
「ば....化け物.....!」
「化け物?」
エリアスは周囲を見渡す。
そして、それが自分に向けられたものだと気付く。
「.......僕よりも、ケルビスの方が百倍化け物だと思うが...」
男を蹴り飛ばして、エリアスは先を目指した。
「第四区画! 突破されました!」
同時刻。
下層でケルビスが暴れまわっていた。
近づく者は触手で無力化し、引きちぎった配管を投げ飛ばして攻撃する。
「この先には行かせん!」
三人の隊員による射撃をたった二本の触手で受け流し、ケルビスは隊長格の男の頭をがしりと掴む。
「人間如きが――――」
まるでトマトを握り潰すかのように、隊長の頭は握り潰された。
恐怖に歪む隊員二人の頭も、一陣の風と共に胴体とお別れすることとなる。
「人間は恐怖すると撃ってくれる。これで正当防衛が成立するのか」
ケルビスはニヤニヤと笑いつつ、先へと進む。
すると、何かが飛んでくる。
ケルビスがそれを掴むと、ロケット弾頭であった。
「お返ししますよ」
ケルビスはそれを右腕に持ち替えて、軽く投げ返す。
直後、攻撃者の元で爆発が巻き起こる。
「いつまで遊んでいる?」
その時。
ケルビスは声を掛けられ振り返った。
「エリアス様。艦橋へは?」
「さっきの広場が、エレベーターホールだ」
「.....そうですか........行きますか?」
「当然だ」
二人はエレベーターホールへと戻り、エレベーターが停止しているのを確認した。
「こんなもの」
エリアスは壁を蹴りながら上へと跳躍し、艦橋への扉を蹴倒した。
「なっ....もうここへっ!?」
遅れて、ケルビスが床を突き破って登場する。
エリアスは服の汚れがないか確かめてから、目の前にいる人間たちを見る。
総数、80名。
そして、その中央に立つのは――――女性だ。
「鎮圧しなさい! 生死は問いません!」
「悪い冗談だ」
「ええ」
80の銃口を向けられ、それら全てが光を放つ。
だが、二人はその程度で動じることはない。
「ケルビス、返してやろう」
「お任せを」
エリアスとケルビスは互いに両手を突き出す。
直後、二人の周囲にあったレーザーは全て静止する。
「死ね」
二人が手を離した直後、レーザーは反転し、撃った人間の元に返った。
銃を下ろした者は手を、そのままの者は銃を撃たれ、しかし両方とも武器を取り落とすこととなった。
「撃ったので、正当防衛ですよね?」
「ああ」
二人の触手が消え、直後、79人の命が失われた。
「え....なんで.....うぅん........」
そして、その光景を直視した女が一人、倒れ込む。
現実を直視できなかったのだ....いや、出来るはずがない。
「あれを連れて帰るぞ」
「....もしや、TRINITY.の指揮官とは....この女ですか?」
「そうだ」
エリアスはため息をつく。
「女性ばかり増えていくな」
「御心中、お察しします」
「黙れ」
「.....」
エリアスとケルビスは、女性を連れてテレポートしていった。
既に周囲の艦隊は壊滅しており、乗員の全滅した旗艦が、幽霊船のように漂っていくのであった。