【完結済み】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~   作:黴男

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082-最古の記録

僕とシーシャは、実体を持たない大書庫を、下へ下へと降りていく。

積み重ねられたデータは、深くなるにつれより詳細に、より明確になっていく。

そして、十分に検証が積み重ねられ、そのうえで禁忌とされたものが、大書庫にある閉架に集まるのだ。

 

『ここには、アルティノスの権限だけで入ることはできない。シーシャ?』

『はい』

 

僕とシーシャ、そしてカサンドラの権限が三つ揃って初めて、この書架にアクセスできるようになる。

管理者である僕と、副管理的な側面を持つカサンドラ、そしてVe‘z最重要区画の保護者であるシーシャがいて初めて、入れる場所なのだ。

ここにはエリアス自身も興味を持ったことがないようだ。

 

『ここは......凄まじい新規知識の宝庫ですね...』

『だが、シーシャ。お前に知ることは許されていない』

『ええ、分かっています』

 

本当なら僕も知る権利はない。

だが、その全てを知るためにここに来たわけではない。

僕はここに、Ve’zの過去を求めにきたのだ。

 

『なかなかに深いな、ここの情報だけでは新し過ぎる』

 

Ve‘zの歴史はここ一万年に留まらず遥かに長く、閉架の浅層にある情報はむしろ最終章により近い内容だ。

僕とシーシャは閉架を辿り、より古い情報へと向かっていく。

ある時を過ぎると、閉架の管理方法に人間性が現れてくるようになった。

恐らく閉鎖される前に、管理者が情報を読み解いた後なのだろう。

 

『申し訳ありません、エリアス様』

 

四代ほど記録を遡った時、シーシャが喋りかけてきた。

そちらを見ると、何もない空間にシーシャが張り付いていた。

 

『ここより先は、エクスティラノスでは進めないようです』

『そうか...では戻れ。僕だけで行く』

『お気をつけて』

 

僕は更に下へ下へと降りていく。

そして、違和感に気づく。

 

「ここらの情報は手打ちなのか」

 

記憶から直接書き込んだ情報ではなく、生身の人間がキーボードらしきもので打ち込んだ文章が多い。

恐らく、Ve’z最古の記録に近いのだ。

 

『ここが終着点か』

 

僕はそこにある情報を見た。

驚く事に、そこにある情報は、地球の技術レベルとそう変わらないものばかりだった。

記録を閲覧すると、僕の中に文章が入り込んでくる。

 

『偉大なるVe‘zの歴史もまた、その興りは普通の国家と変わらなかった。Veという国がそこにあったのだ。度重なる争いを経て、戦乱の中で生まれた国家だ』

「...」

『長きに続く争いで、我らの先祖が住まう惑星は荒れた。死の炎が大地を焼き尽くし、振り撒かれた毒が大地と住まう人間を蝕んだのだ』

 

これは恐らく、核戦争があったのだろう。

結局、地球とは事情が異なるとはいえ、核を持った人間がやることは変わらないか。

 

『我らの先祖は絶望の歴史を歩んだが、始まりの八人は違った』

「始まりの八人?」

『彼等は自らの持てる全てを使い、クローンに意識を移して復活する技術を手に入れた。これにより、我らは毒の中で恐れず活動できるようになった。インプラントの開発で、より自らの性能を引き上げた我らの祖先は、宇宙へと足を踏み出した』

 

展開が早いような気がするが、書き方からすると、これは後世から検証された記録なのだろう。

 

『宇宙は広く、広大だった。だが、祖先には無限の時間があり、それはさしたる問題ではなかった。問題は、この後にある』

「問題...?」

 

僕は気になる文面を見つけ、それをより詳しく調べるのだった。

 

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