なーんか雰囲気的な意味でオールマイトの手伝いをすることになっちゃったんだけど、その前に一言だけいいかな?
(あの相澤さんの体を抱えている生徒の一人って…あのマスゴミ騒動の時に食堂で私と同じテーブルに座ってた子達の一人じゃない?)
緑がかったもじゃもじゃ頭っていう特徴的な頭をしてたから、なんか記憶に残ってた。
そっか…彼ってばA組の生徒…即ち、相澤さんの教え子だったんだ。
ヘタレと無謀さを融合したような顔をしてるけど大丈夫かな?
「ライダー! タロス君! 気を付けてくれ! あの脳みそ剥き出しの奴はショック吸収と超再生の個性を持っているらしい!」
『え? なんで二つも個性を?』
「それは分からない! と言うか、余り想像をしたくはないと言うのが本音だな!」
『あー…』
なんとなーく想像が出来ました。
最近の
と言っても、あいつらがそれをやったようには見えないけれど。
お世辞にも頭脳派には見えないし。
態度、言動の両方から精神的幼稚さが丸見えだ。
そこら辺は後で考えるとして…。
『ショック吸収に超再生ね…』
『無効』じゃなくて『吸収』ってのがミソだな。
あと、再生系の個性は基本的に、再生能力を上回るほどのダメージを与えれば大丈夫ってのがお約束なんだよ。
流石にエールストライカーじゃ攻撃力不足で厳しいけど。
こんな奴がいるなら、せめてソードかランチャー、もしくはライトニングとかにしとけばよかった。
今更言っても遅いんだけど。
『ご心配なく。ビーム兵器は『物理攻撃』じゃないので吸収はされませんよ』
「確かに!」
『なので、援護はお任せを』
「あぁ! 私の背中は預けるよ!」
はい。預かっちゃいました。
これは責任重大だぞー。
「オールマイトに巨大ロボット…ふざけてるな…! こんなの反則だろうがよ…! なぁ…ヒーロー…!」
『『反則』? 敵の分際で随分とまぁ甘いことを言うんですね。『卑怯』『反則』それらは全て『弱者』の言い訳であり『弱音』です。一度戦場に立ったが最後、『卑怯』も『反則』も相手にとっては最高の誉め言葉にしかなりません。その程度の事すらも分からないのであれば、最初から襲撃なんて真似はすべきじゃなかったですね』
「お前…図体がデカいだけのポンコツの分際で…!」
『相手を見た目でしか判断できないのは三流以下の雑魚。どうやら、今回の襲撃の主戦力は、あの脳みその化け物であり、貴方達はそのオマケ程度と判断して良さそうですね』
あぁ…いつからだろう。
こんなにも口から相手を挑発するようなセリフがスラスラと出るようになったのは…。
純粋無垢にOLを目指していた騎呂ちゃんはどこへ行ったのかしら…。
「もういい…脳無。まずは…そのデカブツからやれ!!!」
おっと。少し怒らせすぎちゃいましたかね?
ま、別にいいですけど。
どっちにしても、やることは何も変わらないんだし。
「ライダー!!」
『思ったよりも速い…けど、問題はありません』
脳無と呼ばれた怪物君は、命令通りに拳を握り締めながらこっちに向かって突撃してきた。
ふむ…どうやら、あれは文字通りの『
それならそれで色々とやりようはある。
『タロス。シールド』
『了解。シールドを使用します』
思い切り振り被った拳が、突撃してきた勢いのまま構えたシールドに激突する。
ぶつかった瞬間、物凄い衝撃と爆発音が辺り一面に響き渡るが、私は元気です。
タロスのコクピットには衝撃吸収材が至る所に使用されてますから。
東京タワーの頂上から落とされても、中にいる私はビクともしません。
『中々のパワーのようで。でも、この程度じゃタロスの装甲すらへこませられませんよ?』
「冗談だろ…脳無はオールマイトに対抗するために、オールマイトと同格のパワーにしてあるんだぞ…! なんでそれを、あんな盾一枚で簡単に防げちまうんだ…!」
『オールマイトと同格…ね。その『同格』というのは、一体いつ頃のオールマイトの事を指してるんでしょうか?』
「あぁ?」
『このタロスをどうにかしたかったら、最低でも『全盛期のオールマイト』と全てが完全に同じスペックぐらいじゃないと微塵もビクともしませんよ? 少なくとも『パワーだけ』を模倣した程度で私達を本気で倒せると思われるのは心外です。なので…』
ビームライフルを手から落とし、その代わりにバックパックに設置してある突起物を掴み、それを思い切り引き抜く。
『私達に攻撃をした、この悪い腕一本ぐらいはサンプルとして貰っていきましょうか』
そこから出現するのは光の剣。
その名も『ビームサーベル』。
「光の…いや…ビームの剣だと…!?」
『ビームは物理攻撃じゃない。ましてや、これは『剣』だ。防ぎようがないでしょう。特に、この距離では』
「脳無!! その場から下がr…」
『遅い』
ブースト全開で全速前進!
からのビームサーベルを一閃!!
『まずは一本』
背部カメラで確認すると、脳無の右腕が根元からバッサリと切り落とされ、太くで真っ黒な腕が丸々と地面に転がっていた。
(切断面からの出血は無し…。どうやら、本当に『人間』じゃないみたいね…)
全く…随分と悍ましいもんを作ったもんだ。
バイオハザードじゃないんだっつーの。
ここはラクーンシティじゃなくて雄英高校だぞ。
「あの…脳無の数倍以上のデカさで…どうして脳無以上の速度で動けんだよ…! ふざけやがって…ふざけやがって!!」
まーた首元をガリガリしてるし。
そんなにしてると傷跡がついちゃいますよー。
「なんという動きと速度なんだ…! 私の拳が全く効いている様子が無かったのに、一撃で腕を斬り落とすとは…!」
『自慢するわけじゃありませんが、私の『個性』とタロスの『性能』が合わされば、この程度は造作も無いですよ』
うーん…ちょっとだけ照れくさい。
私は優越感に浸るような性格でもないんだけどな…。
「おい…なんで脳無の腕が再生しないんだよ…おかしいだろうが! あいつの体がどんな損傷でも即座に回復するんじゃなかったのか!!」
「お…恐らく…再生速度が追い付かない程に、あの光の剣の攻撃力が高いと言うことではないかと…」
「チートだ…チート野郎だ…。オールマイトと同じ…ふざけんな…」
チート…ね。
確かに、個性発動中の私は自他共に認めるチートだと思いますけど、生身の状態では寧ろ基礎スペックはそこらにいる生徒の子達よりも遥かに下ですよ?
「おい黒霧! あのロボット野郎をお前の個性でどうにか出来ねぇのか!?」
「すみません…余りにも奴が巨大過ぎる上に素早過ぎます…。私一人の力では全身は愚か、半身すらも覆えるか微妙です…それに…」
「それに…なんだ」
「恐らく、あのロボットは私の『攻撃範囲』にも気が付いている可能性があります。下手な個性発動は却って自分の首を絞める危険性も…」
「お前…一番肝心な時に使えないとか…ふざけすぎだろ…」
なにやら仲間内で揉め始めてるし。
こんな時に一体何をやってるんですかね。
呆れてものも言えませんわ。
『なんだか予想外の状況になりましたが、今がチャンスなことは変わりありません。私が先に仕掛けますので…』
シールドを装備している、空いている左手で落ちているビームライフルを回収、装備し直して構える。
『トドメはお願いします。この形態…実は機動力重視でして、お世辞にもそこまで攻撃力が高い方とは言えないんです』
「うーん…今の一撃でそんなことを言われても説得力が無いが…いいだろう! 任せておいてくれたまえ!!」
ぶっちゃけ、エールの時よりは今のオールマイトの方が圧倒的に攻撃力は高い。
どれだけ彼が弱体化していても…ね。
『では…いきます!』
エールストライカーの出力を上げてから、今度はこっちから突撃。
一拍遅れてオールマイトも同じように突撃を開始。
「くそ…こうなったら俺が…なっ!?」
『やらせると思いで?』
左手のビームライフルで、あの全身手まみれ野郎とまっくろくろすけを牽制。
別に命中させる必要はない。
身動きさえさせなければいいのだから。
「この射線…やはり、私の『攻撃の当たる場所』を把握しているとしか思えない!」
「邪魔…すんな! 脳無!」
『もう遅いですよ』
すれ違いざまに残るもう一本の腕も肩口から斬り落とす。
本能的に防御ではなく回避を試みたようだが、動くタイミングが余りにも遅すぎた。
脳無が回避行動をし始めた時にはもう、ビームサーベルの刃は奴の体に触れていたのだから。
『今です!!』
「この瞬間を…待っていたんだ!!!」
上手い…最高のタイミングで飛び込んだ…!
流石はオールマイト…単純にパワーが圧倒的と言うだけじゃない。
戦闘に関する全ての知識と経験値が圧倒的に他を凌駕している!!
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」
超至近距離からのパンチのラッシュ攻撃!!
しかも、一発一発全てに100%以上の力を込めている!!
どうやら、私が来るまでの間の戦闘で既に残り時間が相当に少なくなっていたようだ…!
それにしても、この衝撃と爆音…まるでゼロ距離でナイアガラの滝にいるみたいだ…!
え? なんでそんなことを知っているのかですって?
前に海外に出張行ったついでに少しだけ観光をして実際に見に行ったからですが何か?
脳無は私によって両腕を失っているので防御が出来ないし、このラッシュの前じゃ回避も不可能!
後はもう時間の問題だな…。
「矢張り! 我々の予想通り! 『無効』ではなく『吸収』ならば!! 必ずどこかで吸収限界が存在する!!」
あれ? 私ってば、そんなことを一言でも口にしましたっけ?
心の中では確かに思いましたけど…。
「私対策!? 上等だ!! 貴様らが小癪な真似で小細工を弄すると言うのならば…私は!! 私達は!! 結束の力で更にその上から捻じ伏せてみせよう!!!」
なんかもう完全に私も数に入れられてるんですが。
それに関しては今更か…って?
(オールマイト…血を吐いて…? もう既に限界ギリギリなのか…)
そうであるにも関わらず、あれ程のラッシュを叩き込むとは…。
やっぱり、この人は色んな意味で規格外すぎる。
不動のナンバー1だったのも頷けてしまうな。
「『ヒーロー』とは!! 常に
最後にして渾身の一撃が…来る…!
「
の…脳無が…USJの天井を突き破って…空の向こうまでぶっ飛んでいった…。
今のパワーを生身で出してるとか…完全に人間辞めちゃってるんですけど…。
『…タロス。脳無がどこまで飛んでいったか分かりますか?』
『正確な飛距離はまだ計測中』
噓でしょ…まだ飛んでる最中なの?
マジでどこまでぶっ飛ばしたのさ…。
『脳無の落下を確認。ここより約400m程先にある雑木林に落下した模様です』
よ…400mとな…。
おっそろし…。
『圧倒的なパワーで『ショック吸収』を完全に無力化するとは…まさに究極の脳筋…。完全にフィクションの世界ですよ…』
これが…これこそが誰もが皆憧れるナンバー1ヒーロー…か。
報告書…書かないといけないよなぁ…はぁ…お仕事追加…。
「矢張り…衰えてしまっているようだ。これがもし全盛期だったならば、5発も撃てば十分だったろうに…今回は300発以上も撃ってしまったよ」
いやいや…今のでも十分過ぎるぐらいのパワーがありましたから。
貴方が言っても嫌味にしか聞こえませんから。
『キロ。もうそろそろ…』
『分かっています』
オールマイトはもう限界寸前だ。
脳無は何とかすることが出来た。
ここからは私の仕事になるだろう。
『オールマイト。後は私にお任せを』
「すまないね…情けない話だが、今回ばかりはお言葉に甘えさせて貰うよ…」
流石のオールマイトも、今は余り強気な言葉は言えないか…。
『残るは貴方達だけのようですが…どうしますか? 今ならば、美味しいカツ丼を御馳走してくれる警察署をご紹介できますが?』
「この…チート野郎どもが…!」
さて…ここからどうするかな…?