異世界に凡人が転生で神様 作:ぶれぶれ
小説書くって難しいね
ダイジェスト感がすごい。
◆◇◇◇
森の中は大変におどろおどろしい雰囲気でいっぱいでした。
鬱蒼としているし、先も見えないし、何かの鳴き声は聞こえてくるし。
生えている木もやたら怖い感じだ。
なんでやたらぐにゃぐにゃ曲がってんだよ、真っ直ぐ育て!
(うぅ……怖いよぉ。神様。)
神じゃない!
そして光るな!見つかるだろ!!
およそ10歳で身体を失った可哀そうな少年に、心の中で暴言を吐く自称大人がそこにいた。
色んな意味で終わっている。
でもキミの「ひぇっ!」とか、「わぁ……!」とか、そんな悲鳴が頭に響くから余計に臨場感たっぷりなんだ。
どうか許してほしい。
森に入ってからひたすら直感を頼りに突き進む。
なんか前世だったらトラウマになりそうなサイズの虫(カイル少年曰く魔獣らしい)だったり、何だったりをやり過ごす。
そしてようやく見つけたのは……。
(ふぇー、すっごくおっきい……)
はい。警戒していたやたらでっかいやつでした。
……おしまい、おしまいです。
だけど、運がよかったのか相手には気づかれてはいない。
木陰に身を潜めつつ様子を観察する。カイル少年も光るなよ?
体長は2メートルくらい?の虫。
なんだろ、コガネムシを大きくして、鋭い脚だの牙だのやたら戦闘特化したみたいな感じ。
口の脇に生えた触覚らしきものをピクピクさせながら佇んでいた。
(なにしてるんだろ?……食べものでも探しているのかなぁ?)
……この場合の食べ物ってリッド君では?
そんな自分の不謹慎な考えを読み取ったのか点滅するお守り。
やめろ!抗議のつもりか!
そのピカピカするのやめなさい!!見つかるでしょ!?
ドタバタしたものの気づかれなかったことに安堵して、再び潜伏。
でか虫の様子を伺いつつ神経を研ぎ澄ませる。
……自分の感覚だとこのでか虫だけじゃなくて、リッド君も近くにいる気がするんだよなぁ……いや、いるわ。
奴を挟んで向こうの木の陰、伏せるようにして身をひそめるリッド君が見えた。
でか虫が目と鼻の先にいるせいか自分から見ても震えているのが分かる……可哀想に。
(リッド君!)
で、問題はどうするか。
そのまま出れば普通に見つかる。
ただ、リッド君も見た感じ半べそかいてるし限界が近い気がするので、あまり時間はかけられないだろう。
こっちに注意を引いても自分達が逃げ切れないような気がするし、リッド君と反対側に石とか投げてもなぁ……子どもの身体じゃ大して飛距離でないしなぁ。
(……神様)
冒険者の人やアイザックさんなら勝てるのかなぁ……いや、聞いたことがある魔獣とサイズ感が明らかに違うし、倒せるっていう保障はないな。
……よし、リッド君は諦めよう。
(神様!!)
ごめんて。
でも、打開策がマジで思いつかないんだよ。
やたら直感は冴えてるけども、別に不思議な力も沸いてこないし……泣くな泣くな!やめて!それが一番精神的にきついから!
……仕方ない。
心は痛むけど自分が一番マシだと思っている方法を取ろう。
直感さんも大丈夫って言っているから安心してほしい。
そして自分はお守りを握り直してワインドアップ……大きく振りかぶった。
(えっ、神様?)
……すまないカイル少年、キミに決めた!
リッド君とは反対方向に向かって全力でお守りをぶん投げる。
(か、神様のバカー!!!!!)
「?」
ピカピカと点滅しながら放物線を描くお守り。
あのでか虫も気を取られているようだ。
……光れ、そなたは美しい。
◆◆◇◇
きれいな放物線を描くお守りを見届けつつ、自分は行動を移す。
今ならデカ虫も気を取られている。
カイル少年の犠牲を無駄にはできない……今のうちにリッド君をお助けせねば!
そんな思いでそろりそろりと通り過ぎようとすると目が合う。
そう、でか虫と。
「……」
……キミさ、さっきまでお守り見てなかった?
ほら、向こうでまだピカピカ光ってる……きれいだね?
助けが欲しくてなんとなくリッド君の方も見ると自分に気づいたのかすんごい驚いた表情でこっちを見ている。
うん、作戦は失敗したんだ……すまない。
どうやら間抜けは……そして得物は自分だったようだな、クソが!!
「村へ逃げろ!!」
リッド君へ端的に伝え、彼とは反対方向に走る。
それと同時にでか虫の雄叫びが後ろから聞こえる。
虫が叫ぶなよ!やかましい!!
まだ死の気配は遠い。
なめるな!
アイザックさんからひたすら走らされて鍛えた自分のスタミナを見せてやる!!
「か、神様ぁー!?」とカイル少年の叫び声が後ろから聞こえた気がした。
◆◆◆◇
(アイザック視点)
あれから魔獣の痕跡を辿りつつリッドの捜索を続けた。
地面に残された足跡や草木の折れた様子からして相当大きい相手だ……少なくともこの森に生息していた生き物や魔獣の類ではない。
状況が変わったことで戦えない者は村へ帰した。
そう……リッドの父親もだ。
大分揉めたが戦えない者を抱えたままではリッドを救える可能性を下げるだけだ。
何とか理解してもらい戻ってもらった。
現在、自分と村の猟師、そして3級冒険者二人の合計4名で捜索に当たっている。
魔獣の痕跡を追っていて不可解な点が2つある。
思いのほか森を荒らした形跡がないことと、何かを探すように森を動いていることだ。
もしリッドが追いかけられているとしたら、もっと木々に爪痕が残ってもおかしくはない。
でもそれがない。
単純にリッドを、獲物を追うのではなく、何か目的があって動いているような節を感じる。
そんなことを考えていると何か大きな生き物の雄叫びが向こうから聞こえてくる。
「アイザックさん!」
冒険者が空を指す方向をみれば一瞬だけ明滅する何かが見えた。
明らかに何かが起きている。
急行。
そして目の前の光景に目を疑う。
逃げるカイルとそれを追う大型の魔獣。
何故カイルが、どうして、疑問が浮かびあがるがそんなことを考える前に自分は剣を抜いて突っ込んでいた。
「カイル!」
「アイザックさん!?」
自分なんか目も向けず孫を追う魔獣……絶対にやらせはしない!
我が剣に誓って今度こそカイルを守って見せる!!
◆◆◆◆
足音、鳴き声、木がなぎ倒される音。
それを背にひたすら走る。
森の中なんか走ったことないため、何度か草木や根に足を取られそうになる。
それに奴の眷属かなんかしらんけど虫の魔獣が襲い掛かってくるし。
それでもまだなんとか逃げられているのは、村をひたすら走って鍛えられたスタミナと、自分の直感が光り指す道となって逃げるのに最適なルートを教えてくれるからだろう。
だがそれでも少しずつ死の気配も近づいているのが分かる。
恐らく、自分のスタミナが切れた時こそ自分が死ぬときなのだろう。
「ッ!」
上からの死の気配に対し、感覚を頼りに直角で曲がる。
遅れてズンッと大きな音が聞こえてくる。
多分、倒した木を咥えて放り投げたとかそんなところか?……自分より頭良いな。
ただ、今ので一気に近づかれた。
「カイル!」
「アイザックさん!?」
やばいかもと感じた時、アイザックさんが剣を抜いてこちらに突っ込んでくる。
いつの間にかリッド君捜索隊とかち合ったらしい。
……いや、あの雄叫びを聞けばそりゃこうなるか。
「奴は自分を追っています!アイザックさん、皆さん、無理しないでください!」
すれ違いざまに忠告。
何でここにいるだとか思っているだろうが、一緒に戦えないことも含めどうか許してほしい……自分はほら、まだ10歳だから。
それに奴は立ちはだかるアイザックさんや冒険者らしき人達に目も向けずこちらを追ってきているので自分が目的ということが確定した。
どうやら自分の予想は当たっていたようである。
……遅めのモテ期かな?馬鹿め。
だけどアイザックさんの横やりで距離は稼げた。
自分にしか興味のない相手だ。
このまま自分が引き付けて見失えば、アイザックさん達も離脱しやすいはず。
止まらずに直感のまま走り続ける。
……?
あまりに必死だったから気にも留めなかったけど、逃げる先の方で何かに呼ばれている気がする。
そこまで行けばなんとかなるのだろうか。
アイザックさん達の安否に後ろ髪を引かれつつ、自分は走り続ける。
……それにしてもカイル少年の身体スペック高すぎない?