声楽学園日記~女体化魔法少女の僕が劣等生男子の才能を開花させ、成り上がらせたら素敵な旦那様に!~   作:卯月らいな

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はじめての魔法

<アキラ視点>

 

ナーシャから呪文書と言われて手渡されたものには、五線譜が書かれていた。

 

メトロノーム記号で120と書かれていて、四分音符と八分音符が入り混じった楽譜。

 

C-G-F-Cが二回繰り返されるだけの童謡のようにベーシックなコード進行。

 

はっきりいって、比較的演奏しやすい部類の楽譜だ。

 

「あ、もしかして、あなた、呪文書読んだことないの?」

 

その質問に僕は固まる。

 

どういうことだ。

 

この楽譜通りに歌えば、この世界でいう、呪文を唱えたことになるのか?

 

「いや、これが、僕の知ってる楽譜と同じであれば、読むことはできる……と思う」

 

「言ってることがよくわからないけど……唱えられるのね?」

 

「歌詞は?」

 

「歌詞って?ああ、これは、素人にでも簡単に詠唱できるように、古代文字を覚えなくても、LALALAだけで詠唱できるベーシックな呪文よ」

 

彼女は僕にそう説明したが、僕は上の空になっていた。

 

「ははは……」

 

どうやら、僕は受験勉強で疲れているようである。

 

疲れているからこんな白昼夢を見ているのだ。

 

「さあ、ここは危ないから村に帰りましょう」

 

彼女に導かれて、山道を降りていく。

 

5分ほど歩くと、周囲から殺気がした。

 

「危ない!」

 

僕は彼女を突き飛ばす。

 

彼女めがけて鎖鎌が飛んだのだ。

 

「うえっへっへっへ」

 

下卑た笑い声と共に中年の男が3人近づいてくる

 

「まるで時代劇のような三下だ」

 

と、失礼ながら正直な感想を言ってしまう。

 

「よう。そこの若いお二人さん。身ぐるみはがさせてもらいましょうか。素直に言うことを聞けば命までは取らないよん」

 

どうやら、いわゆる山賊というやつらしい。

 

ファンタジーゲームの世界では雑魚キャラといってもいいが、リアルの中世においては、旅人にとって、命に関わるくらいには怖い存在だったようだ。

 

「呪文を唱えて?」

 

ナーシャが僕に話しかけると、山賊はげらげらと笑う。

 

「おいおい、そこの頭の悪そうな兄ちゃんが呪文だって?そんなもの唱えられるわけねーだろ。ふふん」

 

「呪文ってなにさ?」

 

「さっき、風の呪文を渡したはずでしょ?あれで、私たちの足が速くなって逃げられるの!」

 

ナーシャが突っ込むと山賊はさらに笑い声を大きくした。

 

「腹が痛え。バカいじりはそこまでにしな。気が変わったわ。お前らには死んでもらおう」

 

山賊は、ナイフを振り回しはじめたので、僕は彼女の手を引き、逃げ出した。

 

(本当にこんなもの効果があるのかな?)

 

「LALALALALALALALA♪」

 

半信半疑のまま僕は、呪文書に書かれた歌を歌い始めた。

 

すると、僕とナーシャの足に風がまとわりついた。

 

僕たちはものすごい勢いでその場を逃げ出した。

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